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95.武器の相談…洋服の提案

「そんなわけで7人入れますか?」

「うん、入れるよ。いらっしゃい、マーガレットちゃん♫」


無事に報告を終えた俺は、現在白兎亭に入店しましたところでございやす。


店内はやはり混み混みではあったが、どうやら上手いこと入れたようだ。


ガッツリお昼時だから少しは待つと思ってたけど、運が良かったな。


と、あのピコピコお耳のちんまい子は…


「マーガレットちゃん…!いらっしゃいませ…!」

「うん、また来たよモニカちゃん♪」

「えへへ…♪」


お水を置きに来たモニカちゃんだ。


あ〜かわいい。

頭撫でたい。


「…やっぱりマーガレットって、人タラシの才能があると思うぜ……?」

「あんまり嬉しくないんだけど……」

「あ、リオちゃん…!それにグラズさんと…あ、ユーリさん…も……」


と、そこでモニカちゃんが固まる。


ユーリさんがどうかしたんだろうか?

あ、顔が赤くなってきた。


「あっ…あっ…!あの…!ユ、ユーリさん……!?そ、その格好は……!?」


あっ(察し)


「えっ?これ?私の仕事着だよ。私、踊り子なの」

「お、踊り子さん……?え、えっと…で、でも……その……」

「…危ないよなぁ?」

「う、うん……」

「えー?そうかなぁ?」


((そうですよ))


リオの言う通り、その服かなり危ないよ?

むしろ迷宮内それで大丈夫だったのが凄いと思うんだけど……。


ちなみに偃月刀は鍛治ギルドで修理中です。


「でもマーガレットはこの服好きだもんね?」

「え?」

「えっ…?」

「だって…ねぇ?」

「!?」


ちょっ、ユーリさんっ!

こんな大衆の場でたわわを持ち上げないのっ!

襲われるよっ!


「…?そうなのマーガレットちゃん…?」

「…あれは私であって私ではない…いわゆる……んー……私だ」

「変わんねぇじゃねぇか」


モニカちゃんがちょっと焦ったような目で俺を見る中、リオのツッコミが冴え渡る。


おぉ…こういうタイプを待っていたんだよ……!


「ナイスツッコミ」

「おうよ」


ユーリさんを挟んで、俺とリオは拳を合わせる。


「……(じー)」


その間も俺はモニカちゃんにじーっと見つめられる。


くっ……!

話を逸らせなかったか……!


「えっと…モニカちゃん……?」

「…やっぱりそういう服の方が好きなの……?」

「ちょっ、モニカちゃん……!?」


モニカちゃんが顔を真っ赤にし、目を潤ませながら聞いてくる。


な、なんで泣くの!?


「えっと…好き…ではあるけど…その……ただ肌を出せば良いってわけじゃなくて……」

「……」


言い訳を開始する俺をじーっと黙って見つめるモニカちゃん。


が、俺は言い訳をする内に別のスイッチが入ったようで、ユーリさんをじっと見つめ話し続ける。


「…そうさな……。まずユーリさんが綺麗なのは分かるじゃろ?」

「う、うん…すごくきれいな人だと思うよ…?」

「えっ?ふ、2人とも……?」

「んで、ユーリさんは褐色肌…こう…日焼けとはまた違った黒さを持ってるわけよ」

「うん、きれいな肌だよね…」

「モ、モニカちゃん……!」

「せやろ?」

「マーガレットまで……!」


俺の称賛に賛同するモニカちゃん。

俺たちのそんなやりとりに照れまくりのユーリさん。


可愛いが今はちょっと話が弾んでるので止まらない、止まれない。


「それで、日焼けとは違う…とはいえ、なんだか元気な印象があるし、ユーリさん自体明るい性格なのよ。だからそうだな……。この服も似合ってはいるんだけど、例えば…」

「マーガレット?」


なんか呼ばれたが、ユーリさんのお胸あたりを指して話を続ける。


「この辺りの布面積を少し増やして、あと上着を着た方がいいかも。でもあんまりかっちりしたものだと、肌と一緒にこの服の良さも隠しちゃうから、少し短めの…ハーフジャケット?って言うのかな?分かんないけど、腰上ぐらいまでの丈のやつあるでしょ?あれを着て、下は……そうだなぁ…サイドスカート…かな?」

「マーガレット?」

「……(ふんふん)」

「モニカちゃん?」


ユーリさんの体の部位を示しつつ、俺はモニカちゃんにこんなん似合わない?という提案をし始め、それをモニカちゃんは熱心に聞いている。


ユーリさんは困惑している。


「こう…他の部分は隠れてるんだけど、前は開いてて、中は見えちゃってるんだけど、むしろ見せにいってるスタイルだから不自然に見えないというか……」

「そんな服があるの…!?」

「ある…確かあったはずだけど……まぁ無かったら作ってもらってもいいし、別のもんでも似合うと思うよ?それで…」

「まだあるの!?」


とうとう我慢できずに止めに入ってくるユーリさん。


だがそんなもんで止まるなら語らない。


「あに言ってんですかユーリさん。次は靴下と靴をですね…」

「もういいから!早く注文しちゃお!?ね?モニカちゃんもお手伝い中でしょ?」

「えっ?…あっ…そ、そうでした…!えぇっと……」


あっ!?

んも〜…まだ色とかも決めてないのに……。


「というかモニカちゃん、まだお水を持ってきただけだから、注文の段階じゃないんじゃない?」

「それはお前とユーリさんだけだ。オレたちはとっくに決まってるぞ?」

「えっ?」


リオの言葉に驚きながら周りを見ると、俺と俺の話に慌てていたユーリさん以外のみんなが、苦笑いを浮かべこちらを見ていた。


「なん…だと……!?」

「ほ、ほら!マーガレットも早く選びなよ!」

「くっ……まだ足りないと言うに……仕方がない……!」

「そんなにガッカリするっ!?」


俺は仕方なく話をやめ、水を飲みながらメニュー表を見る。


あ〜…喋りまくったから水が美味い……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「はぁ〜…ごちそうさまでしたぁ!」


なんかやたらと肉料理を勧めてくるマグに従って、今日は…なんか牛系の魔物の肉を使ったハンバーグ定食にした俺は、大満足の中食事を終わらせた。


「やっぱり美味しかったねぇ〜!」

「ですねぇ〜!」

「マーガレットの食ってたやつ、オレも食ったことあるけどすげぇ美味いよな!」

「うん!私もリオの食べてたそのステーキ、食べたことあるけど、それも凄く美味しいよねぇ!」

「あぁ!ゼッピンだ!」


ユーリさんやリオと料理の感想を言い合う。


そしてある程度お腹がこなれてきたぐらいに、グラズさんが俺に聞いてきた。


「マーガレットちゃん。どの武器が気になる、とかはあるかい?」

「そうですねぇ……やっぱり剣は外せないですね。ザ・冒険者!という感じがするので」

「そういう選び方なの……?」


ユーリさんがちょっと驚いてるが、そこにディッグさんが入る。


「まぁ何事も最初はそんなもんだろ。向き不向きは確かにあるが、それを自分で確かめるのも面白いもんだ」

「えぇ。それに魔法を使うから杖じゃなきゃ駄目、というわけでもありませんしね。剣を持ってたり、弓を持ってたり。結構そういう人は多いですから」

「そっか。確かにバランス悪そうなパーティとかもいましたねぇ……。あれはそういうことだったんだ……」


ケランさんの援護もあり、納得した様子のユーリさん。


「まぁ、たまにゴリゴリの脳筋パーティがいるけどな……」

「あっ、やっぱいるんだ……」


リオが小声でそう教えてくれた。


…まぁ…良いんじゃない?


「あとは…刀が気になりますね」

「あっ、いいね!それなら私も少しは教えられるよ?」

「へぇ、もしかしてユーリさんってヤマト出身?」

「はい!」


グラズさんの質問に元気に答えるユーリさん。


へぇ…やっぱりヤマトの武器なんだ。

じゃあ薙刀もそうかな?


あれ?でも偃月刀は無かったな。

特注もんかな?


「う〜ん…でもマーガレットに刀はデカくないか?」

「うっ…それは……」


…確かに……。「子供向け」の武器とはいえ、デカいものはデカい。


つまり、刀や槍なんかは結局向いてない。


一応特注品という手もあるのだが……。


それはつまり、自分のものと同じぐらいの試合用の木刀も作ってもらわなければいけないわけで。


そうなると普通にズルだ。


だって自分が持ってるものと同等のものを試合に用意しているのだから。


せっかく試合では武器による性能差を抑えるため、練習用の木製武器を使うのに、それでは普通に反則ものである。


さすがにそれはちょっと……。


「う〜ん………そういえば、ギルドの訓練場にある訓練用の武器って何があるんだろう……?」


それが分からないと選びようが無いことに今になって気づいた。


「ん?あぁ、そういう選び方か?」


俺の呟きにリオが反応してくれた。


「うん。何はともあれ、そこにある武器じゃないと意味無いし」

「そうだなぁ、練習していざ試合だ!って時に、自分の得意な武器が無いってんじゃ、意味ねえもんなぁ。グラズさん、冒険者ギルドの訓練場には、何を(おろ)してましたっけ?」


リオがグラズさんに聞くと、グラズさんは少し考えながら答える。


「えっと確か…あそこで見せた武器は大体あったはずだよ?あ、でもそうか……。確かに刀とか薙刀は無かったかも……」

「えっじゃあ刀は……?」

「残念ながら候補外になりますね……」

「そんなぁ……」


教えられないと分かったユーリさんが落ち込んでしまった。


ごめんねユーリさん。

俺も刀使ってみたかったけど、今回は勝利を優先しないとだから……。


「でも、いろいろ試すつもりですけど、やっぱり杖かなぁって……」

「まぁあの威力が出せるなら、魔法使いがあってるだろうな」

「一応、他の武器にも魔石が付いたものとかあるんだけどね。まぁ今回は訓練用の武器を使う予定だから、やっぱり杖しか無いかな」

「やっぱりそうかぁ……」


う〜ん…普通に冒険者になるために選ぶってんなら、もうちょっと自由に選べるんだけど……。


まぁ言ってもしゃーない。

メインは杖で良いとして、あとは…


「杖は持つとして、盾とか短剣とかのサブはどうしようかな……?」

「そうだねぇ……。盾はあった方が良いかもね」

「そうねぇ……。マーガレットちゃんは結界魔法や障壁魔法は使えるの?」

「う〜ん…まだ試したことが無いので分かりませんね」

「それじゃあその辺りを次は教えてあげるよ。使える魔法の種類が多いことは、強さに直結するからね」

「ありがとうございます、メイカさん」


障壁…バリアとかかな。

あれはそれだけで手札が十二分に潤うほどの汎用性を誇る…と思うから、是非とも使えるようになりたいな。


「マ、マーガレットちゃん…」

「ん…?あ、モニカちゃん。どうしたの?」


俺たちが今後の予定を立てていると、モニカちゃんが遠慮気味に話しかけてきた。


「マーガレットちゃん…もしかして今、決闘のこと話してるの…?」

「うん、今は武器を選んでるところだよ」

「そっか……うん……」

「?」


なんかすごいもじもじとしてる。


その様子はとてもかわいいんだけど……どうしたんだろう?


「あの…ね……?その…こんなこと私が言うのも変なんだけど……」

「うん」

「…決闘しないでほしいなって……」

「うん?」


モニカちゃんが俯きながら言ったセリフに困惑する。


う〜ん…そんなこと言われても……。


「でも、あれは私も望むところだし……」

「……」

「うっ……そ、それにモニカちゃんだけじゃなくチェルシーまでバカにしたんだよ?モニカちゃんだって嫌でしょ?」

「そうだけどぉ……」

「うぅ……!」


そ、そんなうるうるした目で見ないでよぉ……!


(が、がんばってくださいコウスケさん!ここで負けたらダメですよ!)

(分かってる…分かってるんだけど……!)

「……(じー)」

「その目は反則だよぉ……!」


無理だよこんなん……。

そんなうるうるした目で上目遣いで頼まれたら断れないって……!

思わず「うん」ってうなずいちゃうって……!


そんな俺の状態を察してくれたのか、メイカさんがモニカちゃんに話しかけた。


「ねぇ、モニカちゃん。どうして決闘してほしくないの?」

「あぅ…だって…マーガレットちゃんがケガしちゃうかもしれないから……」

「大丈夫よ、マーガレットちゃんの魔法は凄いのよ?その男の子に何もさせないで勝っちゃうわよ!」


それ絶対相手納得しないよなぁ……。


「…それもありますけど……練習だってあぶないですし…それに……マーガレットちゃんだっていそがしいのに……」

「それは……」

「んー…それはマーガレットが納得して決めたことだし、モニカが気にすることじゃないだろう?」


ちょっと言葉に詰まったメイカさんの代わりにリオが話を引き継いだ。


「で、でも……!」

「いんだよ。それに、武器選んでるマーガレットは凄く楽しそうだぜ?」

「そ、そうなの……?」

「おう!そりゃあもうキラキラ目を輝かせてたぜ!なぁ?」

「よせやい、照れるぜ」


しょうがないじゃないか。

ああいう武器とか鍛冶とかってとってもファンタジーなんだから。


「…でも……」


ありゃ…まだ納得いってない感じですか?


「マーガレットちゃんもチェルシーちゃんも、私をかばわなければこんなことにならなかったのに……」

「駄目よモニカちゃん。そういうこと言っちゃ」

「そうだよ!モニカちゃんのせいじゃないんだから!」

「でもぉ……!」


モニカちゃんは今にも泣きだしそうな顔で後悔を口にする。

メイカさんとユーリさんがなだめようとするが、それでもモニカちゃんは話し続ける。


「わ、私がルークくんたちに謝ればいいの……!私だけがいじめられてれば……」

「!そんなこと…」


さすがにそれは聞き捨てならない。


「モニカちゃん」


俺は静かにモニカちゃんを呼んだ。


「おいで」

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