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94.ふにふにふにふに…ハッ!?

〔マグ〕


もうっ!

メイカさんもディッグさんもケランさんも、自分のことは棚に上げて!


コウスケさんもコウスケさんですっ!


そりゃあ言わなかったのはこっちの責任ですし、私もコウスケさんも忘れてましたのは素直に認めますけども!


それは私たちの責任であって、コウスケさん1人の責任じゃないじゃないですか!


むぅ〜!!

甘えるのが苦手だと思ったから、私が甘やかそうって決めたのはいいですが、こういう責任とかも話し合わないといけないようですね!


…そもそもコウスケさんは、私よりも出来ることが多いし、知識だって豊富だし……。


それでも私を頼ってくれるし、コウスケさん自身もすごく楽しんでるのは、今鍛治ギルドで武器を見たところからもよく分かるし……。


…でもなぁ〜……!

…やっぱりコウスケさんは優しいし……それに…不器用だからなぁ……。


だからものすごく甘やかすことにしたんだけど……う〜ん……。


……もっと押さないと…かな……?


コウスケさん、「可愛い」とはすぐにいうんだけど……あれはもう口ぐせみたいなものだよね……。


本当に可愛いと思ったものにしか言ってないのは分かるんだけど……それでも結構言ってるもんなぁ……。


本心なんだろうけど、ずっと言われると慣れちゃうというか……ねぇ……?


…ローズさんのお店でモデルのお手伝いをしたとき、白いドレスを着た私の姿を見て、言葉が出ないほど見惚れてたって言われたときはすごく嬉しかったな……。


…えへへ……。

それにすごく小さい声で「綺麗」って言ってくれたし……そのあとのコウスケさんの照れ具合も……


「んへへへへ……」

「マ、マーガレット……?」

「んふふふ……う?」


私が照れてるコウスケさんを思い出してるところに、すぐ上からユーリさんの声がかけられたので、私は彼女の顔を見上げる。


「えっと……幸せそうなところ悪いけど……そろそろなんで私に抱きついてるのか教えてくれるかな……?」


そう、私は今ユーリさんに抱きついている。

ガッシリと、抱きついている。

さっき照れてるコウスケさんを思い出したときなんて、彼女の胸の間で思いっきり顔をぐりぐりした。


メイカさんたちにお説教したあと、メイカさんの腕の力が緩んだのでするりと抜け出した。

のは良いのだが、なんだか無性にコウスケさんに甘えたくなった私は、同じくいつの間にか抜け出していたユーリさんに抱きついて、とりあえず甘えたい欲を埋めとくことにしたのだ。


…結果はあんまりだけど……。

コウスケさんとユーリさんじゃ、やっぱり気持ちが違う。


ユーリさんも包み込んでくれる優しさを感じて安心するんだけど……やっぱりコウスケさんが1番安心する。


私はユーリさんの質問に、もっとぎゅっとしながら答える。


「だって…今私が甘えられるのはユーリさんしかいませんし……」

「あぅ…かわいい……!」

「それにユーリさん、私に落ち着くからって言って飛びついてくるので、私が抱きついても怒らないだろうなって……」

「だ、打算的ぃ……!」


それにユーリさん…すごく…柔らかいし……。

ふにふに……。


(…マグ、自重しなさい)

(ハッ!?)


いけないいけない……。

またユーリさんのもちふわに囚われるところだった……!


危なかった……ありがとう、コウスケさん……!


「うぅ…マーガレットちゃんに怒られた……」

「しかも実例出されて怒られた……」

「僕は単純に記憶力が落ちてるって言われただけな気がする……」


メイカさんたちの落ち込んだ声が聞こえる。


んー……メイカさんたちに心配をかけちゃったのは事実だし、みんな反省してるからいいかな……?


(コウスケさん、どうします?)

(んー?…あぁ、メイカさんたち?)

(はい。そろそろ許してあげようかなって思ってるんですけど……)

(いいよ。というか、メイカさんたちが怒ったのって、俺の監督不行届(かんとくふゆきとどき)が原因だろうし)

(かんとくふゆきとどき?)


なんでしょう…その難しそうな言葉は?


(今俺は、マグの保護者みたいなところがあるだろう?)

(そうですね…だからこそ休日とか、1人で行動してても何も言われませんし……)

(まぁ別に、何か問題を起こしたわけじゃないし、普通の子供なら遊びに行くのも不思議じゃないからね。俺がいるいないに関係なくその辺は大丈夫だと思うけど……。まぁとにかく、俺にもっとしっかりしろって言いたかったんじゃないかな?)

(むぅ……)


つまりメイカさんたちは、なんで言わなかったのかってことと、コウスケさんにそういう大事なことを忘れないで!って言いたかったってことかな……?


(んで、俺はまぁ…うん。バッチリその通り、浮かれポンチだったので反論できませんでした……)

(えぇ……?)


そんなに言うほど浮かれてたかなぁ……?


あの日は…確かに、鍛治ギルドではすごくはしゃいでてかわいかった…ごほん。楽しそうでしたけど。

それは私もですし、正直襲われたときよりも、隠密ギルドで穴に落とされたときの方が怖かったので別になんとも思ってないんですよね……。


う〜ん…確かにちょっと浮かれてはいたけど…そんなに気にするほどじゃないですね。


それに…


(それだったら私も十分楽しませてもらいましたし、コウスケさんが気にすることじゃないですよ)

(…まぁ確かに、今後気をつけますとしか言えないし、マグが楽しかったなら良かったけどさ……)

(はい!はしゃいでるコウスケさん、すごくかわいかったです!)

(……あぁ…そういうね、うん……そっかぁ……でも可愛いってのはちょっと…その…俺だって成人男性ですし……)


んふふふ…♡

照れてる照れてる♡

かわいいなぁ、もう……♡


(…ごほんっ!とにかく!そろそろ武器選びに戻りたいし、メイカさんたちともこのままってのもやだし、許してもいいんじゃないでしょうか!)


あ、話逸らした。


う〜ん…でもそうですねぇ……。

いい加減選ばないと時間も無くなっちゃいますし……。お昼だってまだですし……。


(じゃあララさんに少し遅れるって謝りましょう。適当に選んでいいことじゃないですし)

(ん……それは確かに……。そうだね、ギルドのみんなには悪いけど、今回はじっくり選ばせてもらおうか)

(はい。じゃあメイカさんたちにもそう伝えますね)

(うん、お願い)


コウスケさんと話が着いたので、私はユーリさんから離れ……


「……(ふにふに)」

「……?」

「……(ふにふに)」

「マ、マーガレット……?」


もうちょっと…もうちょっとだけこのふにふにをふにふにしてから……


(……マグ)

(ふにふに……)

(……マーガレット・ファルクラフト嬢?)

(ふあっ!?)


コウスケさんにフルネームで呼ばれてハッとする。


ま、またこのふにふにに心を奪われてた……!

だ、だって…柔らかくて気持ちいいし…いつまでもふにふにしていたい衝動に駆られるし…………ふにふに…


(…マグはお胸が好きなんだねぇ……)

(ふぇっ!?い、いえっ!そ、そんなことは……!)

(じゃあとりあえず、その手、離そ?)

(……ハッ!?)


あ、あれ!?

確かにさっき離そうとしてたはずなのに……!?

また思いっきりふにふにしてたっ!?


(…マグ、代わろ?多分そのまま離れられないよ?)

(い、いえっ!頑張りますっ!頑張りますからっ!)


ダメダメ……しっかりしないと!

男の人のコウスケさんにユーリさんのもちふわをふにふにさせるわけには…だ、だから離さないと……離す……は、はな…す……


(…はい、交代)

(ふぁっ!?)


再びふにふにしようとしてたらしい私がまたハッとした隙を突いて、コウスケさんが私と交代する。


あぅぅ……ふにふにぃ……!

…じゃないっ!

ダメだ…まだふにふにが頭から離れない……!


「こほん…すみませんユーリさん。長いこと抱きついちゃって……」

「え?ううん、気にしないで!むしろもう少し抱きついててもいいんだよ?」

「えっと…さ、さすがにこれ以上は……」


コウスケさんはユーリさんから少し離れながら答える。


…やっぱり照れてるコウスケさんはかわいいですねぇ……♡


するとユーリさんが自分のお胸を下から少し支えて、夢のような提案をしてくれる。


「…もう少しふにふにしてもいいんだよ?」

「えっ!?」

(えっ!)


良いのっ!?


「い、いえっ!大丈夫です!もう十分ですっ!」

(えぇぇ〜!!?)

(マ、グっ!)

(はぅっ!?ご、ごめんなさいっ!)


お、怒られちゃった……。

うぅ…ふにふにぃ……!


「あー…えーっとぉ……?何するんだったっけな……?あぁそうだ、グラズさん」

「う、うん?何かな?」


私がまだふにふにに未練がある中、コウスケさんはユーリさんから離れて、サクサクと話を進めていく。


鍛治ギルド(ここ)にテレフォンオーブってありますか?」

「あぁ、あるよ。何か連絡かい?」

「はい、ララさんにまだ時間がかかるって伝えたくて…」

「ん、ということは……?」

「はい、武器をじっくり選んでも良いですか?」


あ、さりげなく試す武器の数を増やす言い方してる。


「うん、構わないよ。あぁでも、そろそろお昼ご飯の時間だから、そっちを済ませてからでも良いかな?」

「はい、私もお腹ペコペコですから大賛成ですよ。お昼はどうするおつもりで?」

「そうだねぇ…いつも外に食べに行ってるし、今日もそうしようと思ったんだけど…どうするリオちゃん?」

「そうですね。オヤジもまだ怒られてるだろうし……」

「…まだ怒られてるんですか……?」


えぇ……?

あれからそこそこ時間が経ってると思うんだけど……。


「まぁいつものことだからな。そうだ!なぁマーガレット!オレたちと昼飯、一緒にどうだ?」

「え?でも…」


グラズさんをチラッと見るコウスケさん。


…多分今、グラズさんが嫌な顔しないか確認してるな……。

もう…すぐ人の顔色を窺う〜……。


「うん、良いじゃないか。俺たちと行こうよ。そうだ、せっかくだし白兎亭に食べに行く?」

「おぉ、いいですね。お邪魔でなければ是非ご一緒させてください」

「うん、もちろんだよ」

「……で、マーガレット。その…そっちの人たちは……?」


グラズさんとお昼ご飯の話をしているところにリオがメイカさんたちの方を見ながら聞いてきた。


「あぁ…ちょっと待ってね。…あー…皆さん?」

「うぅ…マーガレットちゃ〜ん……!マーガレットちゃんに怒られたぁ〜……!」

「落ち着いてくださいメイカさん。言語が不自由になってますよ?」


コウスケさんがメイカさんたちの顔を覗き込みながら話しかけるが、座り込んだ状態のメイカさんは若干涙目になりながら訴える。


多分、私に怒られたってコウスケさんに泣きついてるんだろうけど……今は他の人もいるからこう言ったんだね。


うん、落ち着いて?

コウスケさんじゃないとツッコミづらいことを言わないで?


「ほらほら、私はもう怒ってませんから」

「うぅぅ……」

「私も悪いのは事実ですし、お互いに今後気をつけようということでね?」

「マーガレットちゃん〜……」

「聞いてます?」


(聞いてませんね……)

(も〜…)


話を聞かないメイカさんに呆れつつ、コウスケさんはメイカさんの前で左膝を立ててしゃがみ、右手をメイカさんに差し出しながらこう言った。


「ほら、メイカさん。行きましょう?」

「うぅぅ〜……!マーガレットちゃんがイケメンすぎるぅ〜……!」

「あに言ってんですか。それで?どうするんです?」

「行くぅ〜……!」


メイカさんはコウスケさんの手を取ってそう答えた。


コウスケさんはディッグさんとケランさんの方に向くと、同じように微笑みかける。


「はい。ディッグさんとケランさんも行きましょう?」

「お、おう……」

「い、いいのかい……?」

「なんですか?お三方。不満ですか?」

「い、いや!」

「そんなことないよ!」

「じゃっ、行きましょ?」

「おう…」

「うん…」


ディッグさんとケランさんも大人しく従ってくれたのを確認すると、コウスケさんはグラズさんに話しかける。


「グラズさん、みんな行くそうです」

「…それは良かったけど……。マーガレットちゃんって、将来男を惑わす悪女になりそうだよね……」

「えぇ……突然のディスり……。そんなことないよね?リオ」

「いや、なる。絶対なる」

「よぉし、意地でもなんないぞ」


リオに言われてコウスケさんが何か決意を固めた気がした。


いやいや…悪女って……。

なんないですよそんなの……。


「まぁいいです。さ、ユーリさんも行きましょう?」

「あ、私には聞かないんだね?」

「本当はユーリさんにはもう休んで欲しいですけど……」

「まだ元気だよ!」

「…そう言うと思ったので……」


ユーリさん……。

確か、2日間の徹夜…だっけ?

…寝ましょうよ……。


でも普通にお願いしても聞かないだろうなぁ……。

だからコウスケさんは目を離さないようにしてるんだろうなぁ……。

私も心配だよ……。


「それじゃあ行こうか。あ、その前にララさんに連絡だっけ?」

「あっはい、そうです」


とりあえず場がまとまったと思ったらしいグラズさんが、出発を提案してきた。


「じゃあリオちゃん、マーガレットちゃんをテレフォンオーブの部屋まで案内してくれる?」

「はい。んじゃ、行こうぜ」

「うん、お願い」

「じゃあ他の皆さんは俺について来てください」


コウスケさんはリオに、他のみんなはグラズさんが案内して、私たちは一旦別れた。


…う〜ん……。

モニカちゃんに会えるのはいいけど、コウスケさんがウサミミと尻尾が好きなんだよなぁ……。


……むぅ〜……。

…さっきユーリさんにくっついてたときとは逆に、今度は私がしっかりしないと……!

マグはソムリエになるかな?どうかな?

まだわかんねぇな。

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