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91.鍛治ギルドでご相談…武器、どうする?

「いやぁ、よく来てくれたねマーガレットちゃん。まさか奥様と一緒に来るとは思わなかったけどね」

「はい、ここに来る途中で大荷物を抱えてたので、こっちのユーリさんが声をかけたんです」

「へぇ、凄い偶然もあるもんだね」

「えぇ、本当に」


俺は今、グラズさんとソファーに座ってのんびり水を飲みながら、リオ母たるサワコさんと出会った経緯を話した。


ちなみに今いるのは鍛治ギルドの事務所、そこに俺とユーリさん、メイカさん、ディッグさん、ケランさんとここに案内してくれたグラズさんがいる。


全員が座れるほどの大きさは無いので、女性陣がソファーに、男性陣は後方で立っている。


なので俺は聞く。


「グラズさん、リオは…」

「あぁ、今リオちゃんは練習時間でね。もうすぐお昼だから戻ってくると思うよ」

「なるほど、ありがとうございます」


そっかぁ…リオも頑張ってるんだな……。


「(こんこん)グラズさん、リオです」

「はい、どうぞ」

「(ガチャ)失礼します」


と、そこに噂をすれば何とやら、リオが扉を開けて現れた。


…しかし、こんなに丁寧な言葉使いだったっけ……?


俺は何も言わずにリオのことを見つめる。


リオはちょっとこちらを見たが、すぐにグラズさんに視線を戻し話し始めた。


「午前中の分は終わって、カゴにいれてあります」

「うん、お疲れさま。それじゃあお昼休みにして良いよ」

「はい、ありがとうございます」


リオはそう言うが否や…


「よう!マーガレット!」


と、元気に挨拶してきた。


「えっ、お、おいっす……?」

「おー、おいっす!」


テンパる俺に合わせてくれるリオ。


だが俺はまだ混乱している。


「えっと…リオ…だよね?」

「おいおい、忘れたのかよ!」

「いや、だって…さっきまで別人みたいだったから……」

「ははは!あれは仕事中だからだよ!本当はああいう堅苦しいのは苦手なんだけど……」

「奥様が言ったのさ。丁寧な対応も練習しろって」

「へぇ…なるほどね」


確かにあのお母さんならそういうのに厳しそう。


「だからグラズさんにも業務対応したんだね」

「そ!あー、それで?そっちの人たちはマーガレットの知り合いか?」


リオがメイカさんたちを見てそう聞いてくる。


俺はサワコさんにしたような説明をリオにもした。


「へぇ……その…あれだな。キツネの人…えっと、ユーリさん…だっけか?すごい服だな……」

「えっ!?そ、そうかな……」

「あぁ…じゃねーや、えーっと……はい」

「あ、敬語はいらないよ。そんなに歳離れてないでしょ?」

「えっ?オレは今年で11になる…なりますけど…ユーリさんは…えーっと……」

「私は15だよ」

『15っ!?』


リオとメイカさんたちの声が重なる。


そういえば教えてなかったね。

ね、驚きだよね。


唯一叫ばなかったグラズさんも驚きを隠せず、ユーリさんをまじまじと見つめる。


ほらグラズさん。

そんな見つめないの。

顔だとしても女の子をまじまじ見つめないの。


俺の視線に気づいたのか、グラズさんが咳払いをして話を進めた。


「……ごほん…失礼……。それで、今日はどうしたの?見たところ、ギルドの仕事って感じじゃ無さそうだけど……」

「はい、実はですね…」


俺は昨日のことを話した。


「…ふむ…なるほど。そういうことなら確かに、武器の扱いに慣れておいた方がいいだろうね」

「う〜ん…マーガレットに合う武器かぁ……。魔法は使えるのか?」


リオが俺にそう聞いてくる。


「うん。だから杖を中心に見てみようかなって」

「へぇ、適性は?」

「雷」

「雷かぁ……雷は確か攻撃魔法が多いんじゃありませんでしたっけ?」

「うん、俺もそう聞いてるね。となると…」


リオとグラズさんが色々と考えてくれる。


ふ〜む…前みたいに色々見て回ろうかとも思ってたけど、やっぱ専門家に任せた方がいいかな。


と、リオが難しい顔をして呟く。


「う〜ん…やっぱりマーガレットの魔力が分からないと選びようが無いな……」

「え?そうなの?」


ただ強そうなやつじゃダメなのか?


「なんだ、知らないのか?魔杖(まじょう)ってのは、持ち主の魔力に合わせたものにしないと完全に使いこなすことは出来ないんだぜ?」

「そうなんだ……ねぇリオ、良かったらもっと詳しく教えてくれる?」

「おう!良いぜ!」


この世界の杖の仕組みがよく分からないので、リオに説明をお願いすると、(こころよ)く引き受けてくれた。


彼女はグラズさんの隣に座り、俺に質問を投げかける。


「んじゃあまずは、マーガレットは魔杖のことをどこまで知ってるんだ?」

「杖のことを「マジョウ」って呼ぶのを今知ったぐらいかな?」

「全然じゃねぇか……。そっちの…えっと……」

「メイカよ♡」

「メイカさんは魔杖を持ってるじゃないか。教えてもらわなかったのか?」

「まったく」

「えぇ……?」


そんな難しいものだとは思わなくて、聞くの忘れてたんだよね。


「しゃあないな……。魔杖ってのは、持ち主の魔力を増幅させるためのもんだ。杖に魔石を埋め込んであって、そこに魔力を通して魔法を使うことによって、魔法の威力が上がるのさ」

「へぇ…その魔石っていうのは?」

「それも知らないのか!?」

「うぃ」

「……はぁぁ〜……そんなんでよく試合しようと思ったな……」

「あははは……」


だってぇ……それが1番手っ取り早いんだもん……。


マグに聞いてもいいけど、せっかくだしリオに説明してもらおう。


「魔石ってのは、魔物からたまに取れる石のことで、これを付けて初めてただの杖から魔杖になるんだ」

「たまになの?」

「あぁ、たまにだ。魔石は、ある程度長生きした魔物からしか取れなくてな。んで、魔石が出来る魔物は、魔石を作れるほどの魔力と、その分の経験を積んでるから手強いのが多いんだ。だからそこそこ価値が高いのさ」

「……そんなのを子供の練習武器に欲しいって言っちゃったのか……」


お金はあるし、自分の物だから自分で買おうかな……?

でもあんまり高い物だと買えないからなぁ……。


「う〜ん……そうなると、ナイフとか小剣の方を練習した方が良いかなぁ……?」

「動けるんなら別にそれでもいいが……」


リオはそう言うとメイカさんたちに目を向ける。


まず答えたのはディッグさん。


「そうだなぁ……体力作りはしてるから動けないことはないと思うが……」

「今回の相手がそこそこ強いらしくて……出来る限り接近戦は避けたいんです」


ケランさんが続きを話す。


「そうだなぁ…あのガキ大将は腕っ節は強いからな……」

「リオも知ってるの?」

「あぁ、アイツらがウチに来たときにちょっとな。まぁ「強い武器が欲しい!」ってオヤジに言って、アホみたいな武器案出しやがったからオヤジに武器投げられて逃げてったけどな」

「相変わらずだなぁ……」


どっちも。

あ、でもちょっと待って…


「それ…私も投げられるかな……?」

「うん?いやぁ大丈夫じゃないかな?今、奥様にこってり絞られてるからね」

「また?あの馬鹿オヤジ、何したんですか?」

「またマーガレットちゃんに武器投げて、それを一緒にいた奥様が返してそのまま…」

「あぁ……」


リオがグラズさんに訳を聞いて呆れた顔を浮かべる。


はっはっは……今回は武器投げられるのは予想してたけど、まさかそれを主婦が素手で投げ返すとは思わなかった……。

この世界の主婦って怖い……。


てか、現役Aランクファイターのディッグさんや五感つよつよユーリさんよりも早く動くってどういうことなの?


…この世界の主婦…最強職なの……?


「というか、いくら親方でも武器を選ぶだけで怒らないよ」

「で、ですよね……」


いかんいかん……。

思考が明後日の方向に飛んでた……。

ありがとうグラズさん


「むしろ、ちゃんと自分に合った武器を探そうとしてるマーガレットちゃんなら、新しい武器を作ってくれるかもよ?」

「いやいや、それはさすがに無いでしょう。それにそこまでしてもらうのはちょっと申し訳ないです」


こっちに来てから貰うばかりで、ようやくお金を手に入れて自分で買えるようになったと喜んでたのに、結局お金を使ったのはローズさんのお店でヘアーアクセサリーを買った時だけだ。


もう、本当に、申し訳ない。


「まぁそれはともかく、そういうことならやっぱり杖の方が良さそうだな。で、一応剣も揃えておいて、あとは練習次第で決めればいいんじゃないか?」

「ん……」


ディッグさんの言葉に俺は考える。


まぁそうさな。

実際に使ってみないことにはなんとも言えないもんな。


…でもなぁ……買ったはいいけど使わなかった、なんてことになったらまた申し訳なくなるし……。


「マーガレットちゃん、お金の心配ならしなくていいのよ?私たち結構稼いでるんだから」

「そうそう、嬢ちゃんが気にすることじゃねぇよ。第一、ここで渋って本番で負けました、なんてことになったら俺たちも嫌だしな」

「えぇ、マーガレットちゃんには、モニカちゃんやチェルシーちゃんのためにも買ってもらわなければいけませんからね」


悩む俺の背中をメイカさんたちが押してくれた。


ズバリ悩みを当てられた俺は、それでもまだ踏ん切りが付かない。


なので、とりあえず魔杖がどんなもんなのか、値段を聞くことにした。


「えーっと…グラズさん。魔杖っていくらぐらいなんですか……?」

「んー…この辺りの相場だと…闘技場とかにも出してる練習用のやつでも大体1万ゴルぐらいだったかな?」


う〜ん…練習用の杖1本で1万かぁ……。

…1万あればゲームソフトが1本…安い物なら2、3本は買えるな……。


「い、1万ゴル……!」


隣でユーリさんが戦慄してる声が聞こえる。


だよねぇ…子供の物に1万かぁ……。

しかも使いこなせるか分からない物にかけるには、ちと値段がなぁ……。


う〜ん…自分で買えなくはないんだけど……。


まだまだ悩む俺に痺れを切らしたメイカさんが、少し怒った顔で俺に言った。


「お金は心配しなくていいって言ってるでしょ!子供なんだから、大人に頼りなさい!」

「えーっと……」


…中身を知ってるのに言うのか……。


う〜ん…でもこのままだと話が進まないし……。


「えと…それじゃあ、お願いしても良いですか……?」

「! うん!というわけで1本ずつお願い!」

「はい、分かりました」


メイカさんがウキウキでグラズさんに依頼する。


…はぁ……また貰っちゃったなぁ……。

しかも1本ずつって……剣とか他のやつも買ってくれることが確定されたじゃん。


はぁ…まだ今までのお礼も出来てないのに……。


「それじゃあマーガレットちゃん、早速だけど、ここの地下に試し斬り出来る試験場があるから、そこで色々と見させてもらうよ」

「あ、はい、分かりました」


グラズさんとリオが席を立ったので、俺たちも立ち上がる。


…まぁ…こうなったらしゃあない。

せっかく買ってもらったんだから、全部極める勢いで練習しようじゃないか。


…あっ、


「そういえばユーリさん、武器の手入れがどうのって言ってませんでした?」

「あっ、そうだった!あの、ここって武器の手入れとかやってくれますか……?」

「えぇ、もちろん。ちゃんとお代は貰いますよ?」

「は、はい!…ちなみにおいくらぐらいですか……?」

「う〜ん…その武器だと…砥石だけじゃダメだろうから、打ち直しもして……大体このぐらいですかね?」

「そ、そんなに……!?…手入れ中に使う武器も買わないとだから……うぅ…今日の稼ぎがほとんど吹き飛んじゃうよぅ……」


値段のところは小声で聞こえなかったが、ユーリさんの今日分の稼ぎが消えることは分かった。


…いくら稼いだのかは見てないから分からないけど。


まぁ…あれだ。


「ユーリさん、武器は大事に扱いましょうね」

「うぅ……はい……」


間違ってもゴーレムに叩きつけるとかしちゃダメだよ?

柄の方がポッキリいく可能性だってあるんだから。

そうしたらまたえらい額必要になるよ?


落ち込むユーリさんを慰めながら、俺たちはグラズさんに着いて、地下にあるという試験場へと向かった。

書いてからしばらく置いてから読み返すと、チグハグな部分が見つかって「あら〜…」ってなりますね……


ふふ…記憶力を鍛えないと……


1/24(日)


すみません、ここでも誤字発見しました……。

修正します

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