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84.お風呂あがりと料理…を堪能する少女

フルールさんとメリーちゃんと協力してメイカさんを脱衣所に運びタオルをかけた後、そのままお風呂を上がることにしたマグたちは、服を着た後、メリーちゃんと一緒にメイカさんの看病をすることにしたらしい。


フルールさんはキッチンへ戻った。


…結局メイカさんの裸を見ることになった俺だが、さすがにこの状況でそんなことを言うわけもなく、心配そうに眺める2人を黙って見ている。


今からまた引っ込もうと思えばいけるのだが、今のメイカさんを子供2人に任せて良いものだろうか……?


まぁ後は目覚めるのを待つだけなので必要ないっちゃ必要ないのだが。


じゃあいいじゃん。


「う〜ん……」


あ、やべっ、起きちゃった。


(んじゃ、マグ。あと任せた)

(えっ?あ、はっはい、ありがとうございました)


俺はマグに任せてまた沈む。


とはいえ心配ではあるので、話し声は聞こえるようにする。


「あれ……マーガレットちゃん……?メリーちゃん……?」

「メイカさん…大丈夫ですか……?」

「(こくこく)……急に沈んだ」

「えっ…あ、あはは…ごめんね?ちょっと尊さがキャパシティオーバーしちゃって……」

「「?」」


メイカさんの言葉は2人には分からなかったようだ。


分かるわ〜。

マグもメリーちゃんもただでさえ可愛いのに、言動の一つ一つがまた可愛いんだもんなぁ……!


ほら、またメイカさんの「はわわ」って声が聞こえるよ?

どうせコテン…って首傾げてるんでしょ?

可愛さでまたメイカさん倒れるからやめたげて?

分からんけど。


「とりあえずメイカさん、まずは服を着ましょう?そのままだと風邪を引いてしまいますよ?」

「あっそっか。……ねぇマーガレットちゃん」

「はい、なんですか?」

「もしかしてコウスケに見られた?」

「…………」


こらこらマグさんや。

そこで黙ったら言ってるのと同じやで。


「そっかぁ……」

「あ、あの…メイカさん……!わ、私が呼んだんです…!だ、だからコウスケさんには……!」

「あぁうん、まぁそうだろうとは思ったけどね。元はと言えば私が倒れなければ良かっただけだし、日頃抱きついてるから今さら気にはしないよ」

「そ、そうですか……」


うん、許されたのは良いんだけどさ。

なんかおかしくない?


抱きついてるから今さらだって…それ同義なん?

抱きつくのと裸見られるの同義なん?


さっぱりしすぎじゃない?

逆に心配になるんだけど。


などと考えてる間、ゴソゴソと音がする。

多分メイカさんが服を着ているのだろう。


…音だけってのも、アレですな。


そんなこんなで、無事に着替えが終わったらしく、マグからお呼びがかかる。


「コウスケさん。もう見ても大丈夫ですよ」

(りょうかーい)


俺が再びマグと会話できる程度まで上がると、メイカさんはちゃんと服を着ていた。


だから呼ばれたんだっつーの。


「ねぇマーガレットちゃん。コウスケを呼ぶだけなら声に出さなくても良いんじゃないの?」

「いえ、そうでもなくてですね…心の奥の方にいると、直接会話が出来ないんですよ。でも外の声は届くので、こうして呼んでいるんです」

「へぇ〜!」


そうなんだよなぁ。

だからマグが辛いことがあったときとか、答えてくれなくて凄く寂しいんだよ……。


「てことは、それだけ焦ったってこと?」

「そうですよ?いきなり沈んでいって、どうしたらいいのか分からなかったんですから…」

「あはは、ごめんごめん」

「もうっ!ちゃんと反省してるんですか!?」

「だからごめんってぇ」


これ反省してないよ。


でもなぁ…正直尊さに抗うとか不可能に等しいからなぁ……。

それを責めるのは酷ってもんだよ。


なので助け舟を出す。


(まぁまぁ、さすがに死にかけたら気をつけるよ。ほらほら、それよりご飯食べに行こ?)

「むぅ〜……それなら良いんですけどね……」

「やった!ありがとう、マーガレットちゃーん!」

「きゃあ!?メイカさんっ!?」


…激突ノルマ達成おめでとう……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ごちそうさまでした!美味しかったですフルールさん!」

「そう?それなら良かったわ」


抱きついてきたメイカさんにそのまま抱っこされてリビングに来たあと、みんなと少しお話をして夕ご飯のシチューを食べたマグ。


いつも見てるだけで、ほんのりとしか分からなかったフルールさんの料理を食べたマグは大喜び。


おかわりまでしてがっつり堪能したマグは、フルールさんに元気に感想を言った。


それに対してのフルールさんのコメントはクールなものだったが、シチューを食べるマグを終始微笑ましく眺めていたのを俺は知っている。


今だって、マグに「美味しかった!」って言われて浮かれているのか、足取りが軽い気がする。


うんうん、良かったね、フルールさん。


これで第3寮舎の全員がフルールさんのご飯の(とりこ)になったよ。

みんなの胃袋を掴んだよ。

やったね。


「なんだか嬢ちゃん、昨日より明るくなったんじゃないか?」

「えぇ、マーガレットちゃん、何か良いことでもあったのかい?」

「えっ…?えっと…そういえばそうですね……」

「気づいてなかったのか?」

「は、はい……」


マグが明るくなった理由……。

いくつかあるが……まぁさっきのだろうな。


メイカさんがぶっ倒れたから緊張がほぐれたんだろう。

ほぐれたというか…それどころじゃなかったというか……。

まぁいんだよ。


とにかく、今、話しかけられたらまたちょっと自信無さげな感じになっちゃったけど、それでもちゃんと受け答えが出来てるところを見るに、昨日よりは落ち着いてるのだろう。


うん、良い傾向だ。

マグがハルキやララさんと話す日も近いかもしれない。


その後も世間話をしばらく続けたが、マグはまだ「話しかけられたら答える」といったスタンスじゃないとダメなようだ。


まぁ気持ちは分かる。

自分からは何話せばいいのか分かんないけど、相手が話しかけてきたらある程度は返せるってやつ。


ただ、これだとたまに影でコソコソと……別にこれじゃなくてもされる時はされるか。


ま、とにかく着実に前に進んでいるようで良かった。


(コウスケさん、コウスケさん)

(うん?どうしたの?)

(試合の件を話した方がいいのでは?)

(あ、忘れてた)

(えぇ……)


だって、マグの成長を見てるのが楽しかったんだもの。

しょうがないじゃないか。


(説明はコウスケさんの方がお上手ですし、実際に戦うのはコウスケさんですよね?)

(そりゃね。さすがにマグに戦って、言うわけないよ。うん、じゃあ代わろうか)

(はい、お願いします)


そうして、マグと入れ代わった俺はみんなに話しかける。


「…ん……よしっと…。あーこほん。皆さんどうでした?マグは元気になったでしょう?」

「ん…その話し方はコウスケか。なんだ、嬢ちゃんはもう引っこんじまったのか?」

「えぇぇ〜!?もっとお話したかったぁ〜!」

「まぁまぁ、これからは多分、普通に話せるようになりますよ。俺が出てきたのは今日またちょっと面倒事があったので……」

「…お前はよく巻き込まれるな……」

「変わってくれませんか?」

「無理だ、頑張れ」

「おのれ」


ディッグさんめ。

まぁいいや、本題に入ろう。


「こほん…では、今日あったことをお教えしますね…」


かくかくしかじかまるまるうまうま。


「ふ~ん…なるほど、あの嬢ちゃんがねぇ……」

「う~ん…!モニカちゃんを助けたのはいいんだけど、マーガレットちゃんを危険にさらしてるのはぁ……!」

「そこは…えぇ、申し訳ない……」


安全にってギルドの従業員の方にしたはずなのに、結局戦うのかいっ!とは思ったよ俺も……。


でも、立場をはっきりさせないと、またいらんちょっかいを出してくるだろうからなぁ……。

しつこいんだよああいうのは……。


「それで…僕とメイカさんに魔法の勉強を、ディッグさんに戦闘訓練をしてほしいってことでいいんだよね?」

「はい、時間がある時だけでいいので、お願いできませんか?」

「私はもちろんいいよ!こうなったらそのいじめっ子を完膚なきまでに叩きのめしちゃって!」

「僕もかまわないよ。これもいい経験になるだろうしね」

「あぁ、俺もいいぜ。しかしそうなると練習用の武器が必要だな……。明日見てくるか」

「なら、今日は私たちとお勉強しましょうか。準備するからちょっと待っててもらえる?」

「はい、大丈夫です。お願いします」


よしっ!とりあえず協力を取り付けることは出来た……!

後は試合までにどこまでいけるか……!


「……(クイクイ)」

「…ん?どうしたのメリーちゃん」

「……わたしも気になる」


おや、メリーちゃんも魔法の勉強がしたいのか。


「ねぇ?私も参加していいかしら?」

「フルールさんも?」

「えぇ、どうせこの後暇だし、一応私も使えるから邪魔にはならないわよ?」

「いやいや、邪魔だなんてことはありませんよ。いいですよね?メイカさん、ケランさん」

「もちろん!大歓迎よ!」

「えぇ、拒む理由なんてありませんよ」

「そう?ありがと」

「……っ!」


おーっと!ケランさんがフルールさんの笑顔にドギマギしております!


フルールさん美人ですからねぇ。

とても見事なキラースマイルですねぇ。

(はた)から見てたこっちもドキッとしましたからねぇ。


そしてそれを見逃すメイカさんではありません。


「んー?ケランったら照れてるのぉ?」

「えっ!?そ、それは……べ、勉強の準備してきますっ!!」

「あっ逃げちゃった。じゃあ私も準備してくるね」


顔を赤くして去っていったケランさんの後を追うようにメイカさんも部屋から出ていった。


「若いなぁ……」

「いやいや、ディッグさんもお若いでしょうに」

「はっはっは!そう言ってくれんのは嬉しいがな!俺はもう40だぜ?」

「(よ、40っ!?)」


全然見えないっ!


「…あなた…結構いってたのね……」

「や、やめてくれフルールさん…そう言われるとさすがに辛い……」

「あら、ごめんなさい」


フルールさんも驚いて心の声が漏れだしたみたいだ。


(はぁぁ~……いっても30前半ぐらいだと思ってたんだが……)

(は、はい…私もです……。実年齢よりお若い見た目だったんですね……)

(……もしかしたらメイカさんやケランさんも……?)

(……ありえますね……。実は30近くです!とか……?)

(ありそう……。でもさすがに年齢のことを聞くのはなぁ……)

(そうですね……ちょっとためらいますね……)


親しき中にも礼儀あり、てな。


(ま、何歳だろうがメイカさんはメイカさん、ケランさんはケランさんってことで)

(そうですね、お2人もディッグさんも頼り甲斐のある人たちです)


「お待たせマーガレットちゃん!」

「…お待たせしました……」


そうこうしてる内にメイカさんとケランさんが戻ってきた。


…ケランさんの様子を見るに、上でもメイカさんにいじられたな……。


「さ!それじゃ、早速お勉強しましょう!」

「(はい!お願いします!)」


まだ顔が赤いケランさんは置いといて、魔法についての勉強会が始まるのだった。

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