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82.お風呂問題…男らしさとは…?

「マーガレットちゃ~ん!」

「あ、メイカさんおかえりなさっぶないっ!?」


夕方、いつもと同じぐらいの時間にメイカさんたちが帰ってきた。

そしていつも通り突貫してきたが、今回はギリギリで避けることが出来た。


ふっ…そう毎回突撃される俺ではない。

激突ノルマなど無いということを証明して……


「えいっ!」

「えっはやっ…ぐえぇっ!!」


さっきよりも素早い動きで俺に抱きついてくるメイカさん。

さっきの突撃すらギリギリだった俺がそんなもんを避けられるはずもなく、結局メイカさんに捕まってしまった。


激突ノルマ達成。


「ふふ~ん♪私から逃げようなんて100年早いよマーガレットちゃん!」

「お、大人げない……」


メイカさんが嬉しそうに言いながら俺を自分の胸に押し付ける。


ま、前よりは息が出来て余裕が生まれた分、メイカさんの胸の感触に意識が……!

しかも迷宮帰りで汗やら蒸れた服の匂いが……!!

うぅ……でもなんだかいい匂いがするぅ……。


ハッ!?やばいやばい……!

こんなんじゃまたマグに睨まれてしまう……!!


「ははは、メイカ。嬢ちゃんはまだ仕事中なんだから離してやれ」

「そうですよメイカさん。マーガレットちゃんを抱きしめるのは家でもできるでしょう?」

「えぇ~?私は今がいいのぉ~!」

「むぐっ!?」


メイカさんが抱きしめる力を強めたため、より彼女に密着することになる俺。


ちょっメイカさんっ!?

強すぎて窒息しそうなんじゃがっ!?

息ができない……ぷあっ!


「ごめんごめん、つい力が入っちゃった」

「はぁ…はぁ……()()で生死を彷徨(さまよ)うこっちの身にもなってくださいよ……」


あぁ~……新鮮な空気がうまぁ~い……。


まったく…メイカさんといいユーリさんといい、もうちょっと加減ってものを覚えてくれないと、こっちの身が持たんよ……。


と、息を整える俺をニコニコ見てたメイカさんがなにかを思い出した顔をして、俺に聞いてきた。


「あ、ねぇマーガレットちゃん」

「ふぅ……はい?」

「《戦慄の天使》って呼ばれてるらしいね」

「ごふっ!」


な、なぜ……いや…そういえばあのメガネも冒険者たちが噂してたって言ってたっけか……。


「えぇ、まぁ…不本意ながら……」

「そうだねぇ…確かにちょっと物々しい名前だねぇ……」

「!ですよねっ!」


やった!さすがメイカさん!

ついに俺の理解者が……


「でもマーガレットちゃんらしいからいいんじゃない?」

「なんでっ!?」


わたしゃ職務に忠実なだけの愛らし少女なのにっ!?

ハッ!そうだ!

ディッグさんとケランさんは!?


そう期待を込めて2人を見やるが…


「いいんじゃねぇか?」

「えぇ、とても合ってると思いますよ?」

「そんなぁっ!?」


うぅ…なぜだ……解せぬ……!


~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


解せないまま住処に帰ってきた俺は、ディッグさんとケランさんに先にお風呂を譲り、夕ご飯の支度をしているフルールさんにもさっきのことを聞いてみたのだが…


「私もいいと思うわよ?あなたにぴったりじゃない」


フルールさんにも言われてしまった……。


くっ……!一体俺の何が戦慄なんだ……!!


と、横でフルールさんのお手伝いをしていたメリーちゃんが口を開いた。


「……かっこよくてかわいいと思う」

「め、メリーちゃんまで……」


確かに戦慄とかちょっとかっこいいかも…って思ったけども……!

そんなかっこつけた覚えが…無いよな?

うん、無い無い。


う~ん…でもメリーちゃんに言われるのは悪い気がしないなぁ……。

多分純粋な言葉だからだろうなぁ……。


考え込む俺をよそに、ずっと近くで聞いていたメイカさんがメリーちゃんに話しかけた。


「メリーちゃんメリーちゃん」

「?」

「昨日マーガレットちゃんとお風呂に入ったって本当?」

「……(こくり)」

「いいなぁ!マーガレットちゃん私とは入ってくれないんだよ?」

「「そりゃそうでしょうよ……」」


フルールさんと突っ込みが被った。


良かった。

この辺の良識はあって。


だがメリーちゃんは


「……じゃあ一緒に入る?」

「いいのっ!?」


なんて言って、案の定メイカさんが食いついた。


うん、よろしくないよ?


「じゃあ私が手伝い変わるから、メイカさんとメリーちゃんは次入っちゃっていいですよ?」

「マーガレットちゃんも一緒!」

「……(こくこく)」

「いやいや……」


マグとラブラブする程度にはロリコンな俺が、メリーちゃんと一緒に入ったってだけでもなかなか問題だと思うのに、綺麗な大人の女性たるメイカさんとも入るとか……事件だよ?


「えぇ~!?一緒に入ろうよぉ~!」

「……入ろ?」

「いやいやいやいや、メリーちゃんは妹みたいもんだからいいとしても、バリバリ大人なメイカさんと入るのはさすがに……」

「大丈夫!私は気にしないよ!」

「俺が気にするっつってんですよ」


話聞いてないのかな?


「メイカ……コウスケだって男なのよ?女と一緒に入るのに抵抗が無いわけないでしょ?」


さすがにフルールさんも止めに入ってくれる。


うんうん。

見た目は美少女だが、中身は二十歳だぞ?

見た目は子供、頭脳は大人なんだぞ?


混浴はまずいよ。


「むぅ~……!」

「……(ぷくぅ~)」


メイカさんとメリーちゃんが可愛らしく頬を膨らませて抗議してくるかわいい。


だがこれは譲れんぞ……。

今日のところは大人しく2人で入ってくれぇ……。


が、ここでメイカさんが痛恨の一撃を繰り出した。


「コウスケはマーガレットちゃんがいるし、それに……」

「それに?」

「あんまり男らしくないもん!」

「っ!?」


男らしく…ない……?

えっ…い、いや……だからなんだという…あれですけども…えぇ……。

男らしい…男らしい…?

まぁ確かに男らしくは……ないよなぁ……。


(コ、コウスケさん!しっかり!コウスケさんは十分男らしいですよっ!)

「わぁぁ!ごめんコウスケ!まさかそんなに落ち込むとは思わなくてっ!」

「……元気出して(さすさす)」

「ちょっと…大丈夫?」


打ちひしがれる俺をみんなが慰めてくれるが、なんか…余計悲しくなってきた気が……。うぅ……!


「えぇとほらっ!男らしくないっていうよりは……そう!紳士!紳士的な人ってこと!」

「…それはそれで世界中の紳士に失礼じゃない?」

「いいの!フルールは料理してて!」


メイカさんがフォローを入れてくれるが……俺は元より変態紳士と言っても過言ではないんだよなぁ……。

まぁライト層というか……悪い言い方をすれば「にわか」というやつだが。


……にわかの変態紳士ってなんだ……?


「と、とにかく!コウスケのことは信頼してるというか、コウスケなら私たちが嫌がるようなことはしないって思ってるから誘ってるんであって、他の男の人だったらさすがに私も誘わないし…ディッグやケランとだって入ってないでしょ?ね?だ、だからそれだけ信頼してるんだよっ!」


俺の思考が明後日の方向に飛んでいくなか、メイカさんのフォローは続いた。


……そこまで言われるとなぁ……。

信頼してくれるのは素直に嬉しいし、俺だって別に一緒に入りたくないわけじゃない。

むしろ入りたい。


でもそうなると多分俺は我慢出来ずに、無遠慮な視線を向けてしまうだろうし、そうなるとメイカさんに嫌われてしまうだろうし、何よりマグに失望されるのが怖い。


うん…やっぱり一緒に入るのは駄目だなぁ……。

でも信頼してるって言われるのは嬉しかった。


「えと…メイカさん……その…信頼してくれてるってのは素直に嬉しいです…ありがとうございます…」

「!…うんうん!」

「でもその…それとこれとはやっぱり話が別なので一緒に入るのは……」

「ガーンッ!?」


うっ……そんなにショックを受けられると悪いことしてる気分になるけど……いや駄目だ。こればっかりは駄目だ。


でもフォローは入れる。


「えっと…メイカさんと一緒に入るのが嫌ってわけじゃなくて…むしろ入れるんならぜひご一緒したいと言いますか…」

(コウスケさん?)

「ーー!?ゲフンゲフンッ!と、とにかく一緒に入るのは本人とにしてください!」


こ、怖ぇぇ……!

一瞬寒気がしたぞ……!?


「むぅ…そっか…分かった。一緒に入るのはマーガレットちゃん本人が安心して出てこれるようになったらにするよ」

「はい…ごめんなさいメイカさん…」

「んーん、私の方こそごめんね?それじゃあメリーちゃん、今日は私と入ろっか?」

「…………うん」


うぅっ!

心なしかメリーちゃんが落ち込んでる気がするぅ!!


ごめんねメリーちゃん!

せめて今度、メイカさんとフルールさんと一緒に入ってね!


あぁぁ……!

なんか2人の背中がしょんぼりしてる気がする!

心にくるぅ……!


(コ、コウスケさん…わ、私に任せてもらえませんか……!?)

(マグ!?どうするつもりだ!?)

(わ、私が2人と入ります!)

(い、良いのか……?)

(えっと…た、確かに昨日みたいなことを聞かれたらちょっと…あれですけど……で、でも!ふ、2人のためなら……!)

(マグ……!……ごめん!お願い!)

(!…はい!)


俺はマグとバトンタッチして成り行きを見守ることにする。


「あ、あの…!」

「「?」」

「そ、その……わ、()となら…良いんですよね……?」

「「!」」


マグの言葉を聞いた2人は顔を見合わせた。

そしてメイカさんが聞いてきた。


「い、良いの……?」

「あ…えと……き、昨日みたいなことがなければ……」


メイカさんの顔がパアァっと明るくなる。

メリーちゃんも心なしか嬉しそうな気がする。


「うん!約束する!ね!メリーちゃん!」

「?……(こくこく)」


…メリーちゃんはあのときいなかったから分からんだろうに……。


「じゃあ2人とも!着替えを持ったら廊下に集合!一緒に行こっ?」

「はい!」

「……ん!」


(ふぅ……なんとか出来ましたね……)

(そうだねぇ…あの笑顔を見たら、任せて良かったってホント思うよ)

(はい。…信じてくれてありがとうございます、コウスケさん)

(いやいや、お礼を言いたいのはこっちだよ。ありがとう、マグ)

(えへへ…)

(ふふ…)


マグと笑い合いながら部屋に向かう。


…さてと……


(それじゃあマグ。お風呂の間、俺は呼びかけに応じるかどうかギリギリのところにいるから、後はよろしくね?)

(は、はい!頑張ります……!)


…大丈夫かな……?


若干気張りすぎな気もするが、俺はマグに任せて心の奥底に引っ込むことにした。


…まぁ…メイカさんももう分かってるはずだし、大丈夫だろう。


…なんで風呂入るのに緊張しなきゃいけないんだ……?

次回はお風呂回。


マグの秘密が明らかに……!?


つってね。

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