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81.決闘についてとその計画…マーガレットは問題児?

モニカちゃんに突っかかり、チェルシーを泣かせ、俺にけちょんけちょんに煽られまくった少年3人組…剣盾持ちのリーダー格がルーク、槍持ってた酢根男がジャン、杖を持ってた眼鏡マンがゼリオラというらしい。

そいつらが去ったあと、俺は俺の服をつまんでいるモニカちゃんとチェルシーの2人の手を取る。


2人は後ろにいたので、まず腕をつかんで前に持ってこさせ、そのまま手を握った。

恋人つなぎになったが気にしない。


気にしないまま俺は周りの冒険者たちにお礼を言った。


「すみません、あんな子供のケンカに巻き込んでしまって……」

「いやいや!俺らが好きでやったことだから気にすんな!」

「そうそう!それに、剣を抜いたらそれはもう子供のケンカじゃないわよ」

「そういうこと。それよりもマーガレットちゃんは大丈夫なのか?」

「はい、おかげさまで傷一つないですよ?」

「いや、そっちじゃなくて決闘の方」

「あぁ……それはルールによりますね」


そう答えながらララさんを見る。

ララさんの後ろにはアリシアさんがいた。


俺はまずララさんにお礼を言う。


「ララさん、いい感じに落としてくれてありがとうございます」

「ううん、気にしないで。それよりごめんねマギーちゃん……。勝手に決闘とか決めちゃって……」

「いえいえ、ああでも言わないとどっかで仕返しに来ますからね。こっちとしても都合がいいです」

「そう?それならいいけど……」


それに俺の方が有利だし。


と、そこでモニカちゃんが泣きそうな顔で俺に謝ってきた。


「マ、マーガレットちゃん……ごめんね……?」

「ん?ふふ、モニカちゃんが気にすることじゃないよ」

「でも……」

「誰だって友達をいじめられたら嫌でしょ?私は当たり前のことをしただけだよ」

「マーガレットちゃん……」


うっ…そんなキラキラした目で見られると照れくさいな……。

カッコつけてあんなこと言っちゃったけど、まさかここまで喜ばれるとは……。


そこに今度はチェルシーが話しかけてきた。


「マギーちゃん……本当に大丈夫なの……?負けたらアイツの子分になるんだよ?」

「ならんよ?」

「えっ?だってさっき……」

「私、笑っただけで子分になるだなんて言ってないよ?」

「えぇっ!?ってことは……」

「負けたら悔しいってだけ」

「えぇぇ……そ、そんなのありなの……?」

「相手は納得してたから問題ないよ。ね?ララさん」

「うん、気付かなかったあの子たちが悪いもんね?」

「「ねぇ~!」」


ララさんと笑いあう俺をチェルシーとモニカちゃんがポカーンと見つめてくる。

周りにいた冒険者たちも苦笑いを浮かべていたり、さすがだと笑っている人もいたりと反応は様々だ。


(…大人ってズルいですね……)

(参考になるでしょ?)

(はい、とても)


マグもこういうちょっとしたズルを覚えた方がいいよ?

きっと役に立つから。


そんなコスイ俺にアリシアさんが笑いながら話しかけてきた。


「あははっ!マーガレットちゃんやるねぇ~!あたしも心がすっとしたよ!」

「ふふふ、それは良かったです」

「うんうん!ありがとね!…んー、でもねぇ……」

「?」


笑っていたアリシアさんの顔が曇る。


何か問題が……?


「あのルークっ子…この街の子供の中でもかなり腕っぷしが強くて有名なの……。ララさん、決闘って言っても本物じゃないでしょ?」

「それはもちろん。練習用の木製の武器でしてもらう予定ですよ?」

「あの子…身体強化の魔法が使えるみたいで、前にケンカした別のグループの男の子が骨を折る大けがをしたって……」

「「ひっ!?」」

「(…身体強化魔法か……)」


俺の両隣の少女たちが悲鳴を上げて俺にしがみついてくるが、俺とマグは魔法の方に興味を持った。


(マグ、身体強化魔法ってどういうものなの?)

(そうですね……無属性の魔法で、自分の体の一部に魔力を集めて、その部分を強化するのが一般的だそうです。ただ、魔力を集めすぎると激しい痛みに襲われたり、酷いときは体が壊れてしまうこともあるらしくて……)

(ふ~ん…諸刃の剣だねぇ……。でも使いこなせば強力なんだろ?)

(はい、使()()()()()()()、子供でも大人を投げ飛ばせたりするそうですよ?)

(そりゃスゴイ)


俺は無属性もそこそこいけるようだし、できれば覚えておきたいけど……リスクがなぁ……。


マグの体であまり危険なことはしたくないが……覚えておけば、この前みたいに武器を投げつけられたり、落とし穴に落とされても多少は抗えるようになれるはずだ。


…そんな機会無い方がいいんだけどなぁ……。


俺は両脇の美少女たちを撫でながら、アリシアさんに告げる。


「…それでも負ける気はありません。モニカちゃんいじめて、チェルシーを泣かせるような悪ガキには…おしおきが必要でしょう?」

「!?い、今っ!ぞくって来たっ!ぞくってっ!!怖いよマーガレットちゃんっ!?」

「?」

「なんで「何言ってんの?」って顔してるのっ!?」

「あはは、マギーちゃんはそういう子なの。頼りになるでしょ?」

「た、確かに頼りになるけどぉ……!」


もー、アリシアさんったらぁ、俺は普通に言っただけだよ?

最後の方はちょっと…フッ…ってしたかもしれないけど……。


ララさんもそういう子って…どういう子よ?


「まぁとにかく、教習会までにルークくんとやらに勝てるように鍛えないといけませんね。ララさん、試合のルールを教えてください。それを聞いてから何するか考えます」

「うん、いいよ。ルールは一本勝負。こっちで用意する訓練用の木製の武器と魔法のみで行うよ。だからアイテムの使用は禁止。装備の持ち込みもダメだよ?それとステージとかは無いから場外とかは無し。でもさすがに闘技場から出たらダメだからね?」

「いやいやそれは……」


さすがにそこまではしないって……。


「一応、闘技場には結界が張ってあって、この中だったら致命傷を負ったら即座に回復されるようになってるから、それが発動した場合もその時点で終了。つまり負けね。死なないわけじゃないからその辺も気をつけて」

「はい」


ふむ…これもお約束ではあるけど……死のリスクはあるのか……。

気をつけないと……。


「あとは魔法について。さっきも言ったように、魔法は人を殺すような威力のものはダメ、これは当然だよね?」

「はい、私はどつきたいだけで殺したいわけじゃありませんから」

「どつきたいんだ……」


チェルシーや、引かないでくれ。


(コウスケさんどつくはダメですよ)

(うっ…マグまで……)

(せめてたたくって言わないと……)

(あ、叩くは叩くんすね……)

(チェルシーを泣かせたんですから当然です)

(だよねぇ)


と、そこでモニカちゃんが俺の服を引っ張る。


「ん?どしたのモニカちゃん」

「お、女の子がそういうこと言うのは…めっ、だよ…?」

「(はい)」


俺とマグはモニカちゃんに弱かった。


「マギーちゃん……」


おっとチェルシーや、呆れた顔で見ないどくれ。


気を取り直して俺はララさんに手をあげて質問をする。


「ララさん、質問です」

「はいどうぞ、マギーちゃん」

「殺傷能力の高い魔法と言われてもピンと来ません。何か目安とかはありますか?」

「あるよ。闘技場は普段は冒険者たちの訓練場として開いてるの。そこに魔法の的があるんだけど、当てた魔法の威力によって色が変わるんだよ」

「へぇ〜!そんなのがあるんですね!」


便利な的だなぁ。


「他にもいろいろあるし、他の人にあまり見られたく無い人向けに、小さめの練習場もいくつかあるから、あの子たちに会うこともそうそう無いと思うよ」

「至れり尽くせりですね……」


さすがハルキ、細かいとこまで造られてんな。


「あっそうだララさん、誰かにコーチを頼むのはありですか?」

「うん、もちろんあり。というかマギーちゃん1人だと何をするか分からないから絶対に誰かと特訓してね?」

「いやいや、なんでそんな問題児扱いされてるんですか……?」

「マギーちゃんだからだよ?」

「えぇ……?」


答えになってないよ……?


…なんでチェルシーうんうんって頷いてるの?

アリシアさん、なんであー…って顔してるの?


…なんで周りの冒険者さんたちも頷いてるの?


「えっ?モニカちゃん、私ってそんな危なっかしい?」

「えーっと……そんなことないよ……?」


めっちゃ困っとる……!?

えっ?なんで?俺モニカちゃんの前でそんな非常識なことした覚えないよ!?


「それで、マギーちゃんは誰に頼もうと思ってるの?」

「スルーですかそうですか……。うーん…相手が剣と盾を持ってたので、同じスタイルのディッグさんか、魔法のことならメイカさんかケランさんに教えてもらおうかなって…」

「うん、良いんじゃないかな?あの人たち、別に生活に苦労してるわけじゃないし、マギーちゃんのお願いなら聞いてくれると思うよ?」

「そうですか?良かった」


これでとりあえずは良さそうかな……?

う〜ん……。


(できればユーリさんにも手伝って欲しいんだけどなぁ……)

(ユーリさん?確かにユーリさん、試験のときの槍捌きや火属性魔法の使い方が上手でしたけど、コウスケさんは槍が使いたいんですか?)

(んにゃ、槍使いが相手の場合の訓練もしときたいなって)

(えっ?なんでですか?相手は剣と盾使いのルークですよ?)


わぁマグったら呼び捨て。

相当お怒りですね。

俺もだけど。


(いやぁ…俺の考えすぎなら良いんだけど、万が一の場合にね……)

(?)


まぁ無いとは思いたいけど…子供は何やるか分かんないからな……。


「それじゃあチェルシーちゃん、マギーちゃん。そろそろ仕事に戻ろうか」

「ん…そうですね、分かりました」

「は〜い!モニカちゃん!アリシアさん!またね!」

「うん…!またね…!」

「今日はありがとね!今度お店に来た時サービスするよ♫」


時間も時間だし、そろそろ解散…というところで思い出した。


俺はマジックバッグに避難させておいたクッキーの袋を取り出しリボンを解くと、中のクッキーを1枚取り出し食べる。


「あっ…」


俺は無言で1枚食べ終えると、モニカちゃんに言った。


「…うん、美味しい。サクサクでほんのり甘くて好きな味。ありがとうモニカちゃん」

「!……(こくこく)」


ありゃ?顔を赤くして俯いちゃった。

かわいい。


「…マーガレットちゃんって、モテるでしょ?」

「えっ?なんでですか?」

「…いや、なんとなく……」


アリシアさん、急にどうしたんだろう?


「やっぱりマギーちゃんってお兄ちゃんに似てるところあるよね」

「うん、あの人もたまにこういうことするもんね」


ララさんとチェルシーまでどうしたん?お兄ちゃんって…ハルキのことだろ?

俺とハルキが似てるって…んー…そうかなぁ……?


そんな感じで若干モヤモヤしつつ解散。


さてさて…戦闘訓練に魔法の勉強、ギルドの仕事を休むわけにもいかないし、ロッサ村調査の依頼の方も待たなきゃいけない。


おまけにルークたちの動向にも目を光らせておかないと……またあいつら性懲りもなくモニカちゃんやチェルシーに手を出すかもしれないからな……。


もちろん俺も気を付けないとな……。

中身は俺でも、外見は愛らしいマグの姿なんだから。


はぁ……なんだってこう毎日毎日面倒ごとが降りかかるんかねぇ……?

おかしいね。

もっとまったりした作品を書きたかったはずなのにね。

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