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78.雷の魔導書…魔法のヒント

新章突入!

…と言ってもほぼやってること変わりませんが……。

とても良い雰囲気でキスしようとしていた俺とマグだったが、非常に間の悪いタイミングで起きてしまった。


(二度寝するべきか……!?)

(そうですね、あ、いや、やっぱり駄目です!)

(何故だ!?)

(今寝てもまたすぐに起きちゃうし……その……ムードが……)

(……確かに……)


キスするためだけに寝て、チュッてして速攻で起きるとか……タイムアタックかよ。

そんなんじゃムードも何も無い。

そんなんがファーストキスとか嫌だわ……。


…ファーストキス……?


(……あー…つかぬことをお伺いしますが、マグさんや)

(?なんでしょうコウスケさん)

(マグはその…キスのご経験は?)

(!?あ、あるわけないじゃないですかぁ!!)

(はい!すみません!!)


良かったぁぁ!!

初めてだったぁぁ!!


別に経験があるからどうこうってわけじゃないけど、あったら…俺の心に若干のダメージが……いろんな意味で。


(なんでそんなこと聞くんですかぁ……!)

(いやほんとごめん……。冷静に考えればそりゃそうだと分かるのにホント、なんか…気になっちゃって……)


もしかしたら親とはしてたかも…とは思ったけど…うん。

それ以外でする相手とか……ショコラちゃんとか……?

いや女の子同士だぞ……?

いやでも…ありではある。


(もうっ!私はコウスケさんが初めてですし、コウスケさん以外とする気はありませんからねっ!!)

(そ、そっか……そっかぁ)

(なんで笑ってるんですかっ!)

(だ、だって……ねぇ?そんなこと言われたら……)

(?………あっ!?)

(…………)

(…………)


マグは自分がいかに俺のことが好きなのかを暴露した事に気付いたようで、お互い無言になってしまう。


そっかぁ…俺だけかぁ……。


そんな当然っちゃ当然のことを噛みしめながら、俺は朝支度を済ませていくのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(さて…もらってから丸一日読まずに置いたこの魔導書を読もうか)

(……いろいろありましたもんね……)

(…イベント多すぎなんだよなぁ……)


支度を整え、ギルドの制服に昨日ローズさんのお店で買ったヘアゴムを使って…たれツインと言うのかな?

こう…耳と同じかその下あたりの高さで縛ってあるツインテール……そんな感じのやつ。


とにかく、鏡で確認しながら髪をそんな感じでまとめてご満悦した後、俺はいつも通り中庭で体操等を済ませ、次の魔法トレーニングに移るタイミングで、ダニエルさんにもらった雷の魔導書(初級)に窓際に腰掛けて目を通すことにした。


(そういや、マグは前に読んだことがあるんだっけ?)

(はい、私が読んだのは土属性の本でしたけど…内容はよく分からなくて……)


あー…そういえばマグのお母さんは土魔法使ってたっけ。


(ん…?マグのお母さんは土魔法だったのに、マグ自身は雷が適性なんだね)

(そう…ですね。お母さんは土属性が適性でした。…確かに、血筋的には土属性の適性が出てもおかしくないですね)

(その辺は血筋とか関係無いのか、俺が入ってるからなのか…まぁ今はいいか)


そこらへんの因果関係は気になるが、とりあえず今はこの本だ。


(ふ〜む…マグが分かんないってことは結構難しいのかなぁ……)

(わ、私はそんなに頭が良いわけじゃないので……!)

(そうかなぁ……)


マグは十分頭が良い方だと思うけどなぁ……。


(まぁとにかく読んでみよう)

(はい)


俺たちは早速本を開く。


えーと……


魔法(こころざ)す者よ。この本を手にしたということは、其方(そなた)は雷の魔法が使いたいということで良いのだな?


俺はそのページを飛ばし次のページへ進んだ。


(いやいや、コウスケさん。最後まで読んであげましょうよ)

(あぁごめんごめん…なんかちょっと…めんどくせって思っちゃって……)

(それは…まぁ……)


だってねぇ……?

良いのだな?って言われても……そうだよとしか答えようがないというか、わざわざここに書くことじゃなくない?というか……。


まぁしょうがないので続きを読むために戻る。


本当に良いのだな?

火や水のような実用的なものでなくて良いのだな?

ただただカッコいいからだなどという理由ではないのだな?


俺はそのページを飛ばし次のページへ進んだ。


(んー……コウスケさん…もうちょっとだけ我慢しましょう)

(……しょうがないなぁ…)


マグも若干めんどくさそうだが、仕方なく前のページに戻る。


しゃあない。

こうなったらさっさと読んで次に行こう……。


適性だから仕方なく…とかでも駄目だぞ?

デリケートなのだぞ?

それでも本当に良いのだな?


…………。


ならば良かろう。

このワシが、この!ワシが!!教えてやろうではないかっ!!


ふはは!

今さら後悔しても遅いぞ?

今読んでいるお主はもうこの本をしっかり読み終わるまで他のことが出来ない呪いを…


俺はそのページを飛ばし次のページへ進んだ。


別に何か起きることはなかった。


「…………」

(…………)


俺たちはその後も黙々とその本を読み進めていった。


ちょいちょい独り言やら愚痴やらが混ざっていたがサラッと飛ばして読み進め、そして数分後に読み終えた。


最後のページに「呪いなんてかかってないよ〜ん♫」とか書いてあったのでその辺も大丈夫そうだ。


そして俺たちは本の感想を言った。


「(魔法のことあんまり書いてなかったなぁ……)」


この筆者……ふむ…《ジーガ》と言うのか。

もう読まん。


(…マグが読んだのもこんな感じだったの……?)

(いえ…もっと難しいことがいっぱい書いてあって、理解するのが難しいという感じでした……)

(筆者によって性格がよく出るんだな……)

(あはは……この人の本は…ちょっと……もういいかな……?)

(分かる)


はぁ…7割ぐらい魔法と関係ないこの人の話だったな……。


だが、合間にちょこちょこ挟まれてた魔法名や、どのように唱えたか、などからある程度どのような魔法かを推測することは出来た。


この本にあった魔法名は2つ。


サンダーとサンダーアロー。

大体この2つしか使わずにこの人は冒険していたようだ。


…基本魔法じゃん。

いや、そっか…初級編だもんな、これ。


この2つは詠唱文も載っていたが、見るたび違うものが載っていたので、すでに使える俺たちは良いとしても、ガチの初心者には分かりそうにない。


…じゃあ駄目じゃん。

初級編としてもダメダメじゃん。

使えな。


「はぁ……これじゃああんまり参考にならないね……」

(ですね……コウスケさんの知識の方が……あ、じゃあコウスケさんが私に魔法を教えてください!)

「俺がマグに…?」

(はい!それなら私は魔法を覚えられるし、コウスケさんも色々と考えごとが捗るじゃないですか!)

「ふむ……」


それは良い考えかもしれない。

誰かに教えるというのは、こちらにも良い刺激になるとどっかで聞いたような聞かなかったような……。


(ね、コウスケせんせぇ……!)

「うっ!?」


そ、そんな甘えた声でせんせぇって言わないでっ!

変な気分になるっ!


(せぇんせ♡)

「うぅぅぅ……!!」

「……何やってんの?」

「(ぎゃあっ!!?)」

「ちょっ!急に大声出さないでよ!?」


マグと話していたら後ろにいつの間にかフルールさんが洗濯物を持って立っていた。


「フ、フルールさん……?いつからそこに……?」

「今来たばっかりだけど……あなたが1人でぶつぶつ言ってるのは見たわね」

「えっ?」

「気づいてなかったの?」


えっ?

口に出てた?

マジで?

えっやばっ。


「ほらほら、そこにいるなら洗濯物を干すの手伝って!」

「えっあっはい」


俺はフルールさんと一緒に洗濯物を干していく。


んー…そういえばフルールさんは魔法使えるのかな?


「フルールさん」

「何?」

「フルールさんは魔法を使えるんですか?」

「使えるわよ、闇と雷」


(おっ!)

(わっ!やりましたね!)


マグの言う通り、身近に雷魔法の使える人がいたのはとても心強い。


早速聞いてみよう!


「あの、フルールさん。私に雷魔法をいろいろ教えて欲しいんですけど…」

「う〜ん…多分あなたはそのままの方が良いわよ?」

「(えっ?)」


そのままの方が良いって…どういうこと?


「魔法っていうのは、本を読んでその通りにしようとしてる人よりも、自分で考えてあれこれ試す人の方が上手く使えることが多いのよ。私もそこまで詳しいわけじゃないけど、少なくとも私はそう考えているわ」

「ふむ……」


マニュアル派よりも実践派の方が良いってことか……。


…てことは俺もマグも駄目じゃないか……?


「あの…俺たち2人とも本読むのが好きな人なんですが……」

「あら、でもあなたは結構考えるのも好きでしょう?」

「えぇ、まぁ…」

「なら、きっと出来るわ。あなたたちならね」


…相変わらず何故か俺の評価高いよね、フルールさん。


でもそうか……。

確かに、こっちに来た初日にもいろいろ考えたし、一昨日だって参考基(さんこうもと)があるとはいえ、それを再現…並びにカスタマイズまでした。


なんだ…すでに俺は出来てたのか。


「ありがとうございます、フルールさん。少し分かった気がします」

「そう?なら…そうね、授業料がわりに料理を手伝ってくれるかしら?」

「はい、よろこんで!」


魔法のことを自分なりに理解した俺は、後でマグに自分の考えを説明するときどう伝えるかを考えながら、フルールさんと一緒にキッチンに入っていった。

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