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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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71.最高のドレス…モデル撮影

「で、出来たぁぁ〜〜!!!」

『おおぉぉぉ〜〜!!!!』


あの後結局間に合わず、先に終わったスタッフの方たちにも手伝ってもらい、ドレスを作っていたローズさん。


俺はその間、転写が終わったユーリさんと共に身の回りの世話を焼いたり、ピコットさんと話したりしながらその時を待っていた。


ピコットさんとの会話中に、俺がドレス案を出したと知った彼女は、是非俺の絵が見てみたいと言った。


自分の作品は恥ずかしくて見せたくないが、人の作品は見てみたい…そんな気持ちがよく分かる俺はそれを了承、先ほど描いたデフォルメキャラの落書きを見せた。


結果は大喜び。

隣で見ていたユーリさんと共に、可愛い絵だと絶賛してくれた。

嬉しいが少し気恥ずかしい。


そんなこんなしてる間にも、ローズさんたちの作業は進み、そして今、こうして完成したのだった。


作業の終わったローズさんが、その興奮を残したまま俺に呼びかける。


「マーガレットちゃん!早速着てみてちょうだい!」

「はい!」


俺は元気に返事をすると、ドレスを持ったローズさんと共に部屋を移動し、彼女に手伝ってもらいながらそのドレスに袖を通したのち、部屋にある姿見を見て自分の姿を確認する。


(わぁ…!)

「素敵っ!」


そこにはお姫様がいた。

純白のドレスに身を包み、同じく白のハイヒールを履いた、黄色いロングの髪をしたお姫様だ。


マグとローズさんが感嘆の声を上げる中、俺はただただ見惚れていた。


鏡に映る愛しき婚約者の姿に、俺は見惚れて咄嗟に反応できず、気付いた時には、


「綺麗……」


そう、心から感じたことが口から漏れてしまった。


その言葉にローズさんが得意げに答える。


「そうでしょ!えぇ、本当に頑張ってよかったわっ!あとは髪飾りね。何が良いかしら……一番合わせたいのはティアラなんだけど……キラキラしたものよりも合うものがある気がするのよね……」

「ティアラよりも合うもの……」


彼女の言葉に、未だボーッとしている頭で考え始める俺。


答えはすぐに浮かんだ。


「ローズさん、これなんてどうでしょう?」


俺はマジックバッグから、先ほど購入した花のカチューシャ2色を取り出し見せる。


「まぁ!良いじゃない!うーん、どれが良いかしら?白で統一する?青も良いわねぇ……うーん悩ましいわぁ……」

「(う〜ん……)」


確かに悩ましい。

全身白か、ワンポイントブルーか。


(う〜ん…あ、じゃあ他の人にも聞いてみませんか?)

(ん、なるほど。名案だ)

「ローズさん、ここは他の人にも聞いてみましょう」

「ふむ…そうね。聞いてみましょ!」


俺たちはみんなの待つ作業場に戻る。


すると、ユーリさんを始め、みんなが口々に褒め称えてくれた。


「わぁぁ〜!マーガレット凄く可愛いし凄く綺麗っ!」

「うんうん!マーガレットちゃん、元から可愛いのに、その服を着てるともうお姫様にしか見えない!」

「可愛いよぉ!頑張って良かったぁ!」

「この仕事やってて良かったぁぁ〜!!」

「はぁ…尊いっス……」


とんでもねえ騒ぎだ。

だが当然といえば当然だ。


だってマグだからね!

可愛いに決まってるのだっ!!


「はいはい!気持ちは分かるけど落ち着いて!みんなに聞きたいことがあるの」

「聞きたいこと?」

「なんですか?ローズさん」

「実は髪飾りに、このお花のカチューシャをつけようかって話してたんだけど、みんなは何色がいいと思う?」


ローズさんがそう言ったタイミングで俺がカチューシャを掲げる。


「わぁ素敵!」

「その2色で悩んでるんですか?」

「これはマーガレットちゃんがさっき買ったやつよ」

「あ、じゃあお店にある他の色のものも持ってきましょうか?」

「んー…そうねぇ…持ってきてもらえる?」

「はい!」


スタッフの1人が凄い勢いで去っていった。


ドアをバンッ!て開けるのやめようね。

ビビるからね。


そして1分するかしないかで戻ってきた。


ドアをバンッ!て閉めるのもやめようね。

ビビるからね。


「ローズさん!お店にあったそのカチューシャの色違いと、違うモデルのお花のカチューシャも持ってきましたぁ!」

「ありがとう!早速選ぶわよっ!!」

『はいっ!!!』


ローズさんの号令でカチューシャを選び始めるお店の方々。

俺とユーリさん、ピコットさんも混じり、みんなでウンウンと唸り悩む。


そしてある程度悩んだところで思いつく。


「とりあえず全部つけてみていいですか?」

『あっそっか!』


うん、みんな興奮しすぎて気づかなかったな?

まぁ俺も今気づいたんだけどさ。


というわけでカチューシャを取っ替え引っ替え身につけていく。


俺が買ったカチューシャと別のモデルの物は、購入したものよりも豪華で、とても華やかな作りだった。


確かに似合う。

よりお姫様感が強くなって、とても綺麗だ。


「それじゃあ、このままじゃラチが開かないし、絞っていきましょ!」

「はい!それならこっちの豪華なやつを…」

「いや!こっちのシンプルなデザインの方で…」

「静粛に!…マーガレットちゃんは?」

「…私は……」


シンプルか、ゴージャスか。


難しい問題だ。

どちらも似合うからより難しい。


(もう、決まってるんでしょう?)


ふふっ……もちろん。

答えは決まっている。


「私は、シンプルな方が良いと思います」

「うふふっ♡それはなんで?」

「ゴージャスな物ももちろん素敵です。本物のお姫様みたいになって、とても綺麗でした。それでも私はこっち(シンプル)が良い」

「な、なんで?」


俺にそう聞いてくるゴージャス派のお姉さん。

ちなみにユーリさんとピコットさんはゴージャス派でした。ごめんね。


そんなゴージャス派に俺は先ほど購入した白いお花のカチューシャを鏡で確認しながら身につけ答える。


いかんな……。

天使すぎて頬が緩んでしまうな……。


「だって…こっちの方が可愛いじゃないですか」

『…………』


俺の答えに押し黙る皆様。


…何か答えてくれないと寂しいんだけど。


するとユーリさんが動いた。


「…ハッ!?ごめん!見惚れてた!」

「ハッ!?ごめんっス!死にかけてたっス!」


ピコットさん重症じゃねぇか。


「…マーガレットちゃん……」

「なんでしょう?ローズさ…ん…?」


えっ?どったの?この人。

顔怖いよ?


「…今のは卑怯だわ……」

「ひ、卑怯……?」


なんで?


「えぇ…あんなの見たらもうこれしか無いって思っちゃうじゃないの……」

「??」


どゆこと?

いや、周りの人も頷いてないで、なんでか教えてよ、ねぇ。


「さぁ!ピコットちゃん!あとは任せたわよ!」

「お任せくださいっス!最高の出来を約束するっスよ!!」


困惑する俺を置いて話を進める他一同。


結局分からずじまいのまま、俺はピコットさんに転写してもらうことになった。


(なんで?何が卑怯なん?)

(う〜ん…なんででしょう……?普通に答えただけですもんねぇ……?)

(だよねぇ……?)

((う〜ん…?))


マグにも分からんか……。


俺たちがなんでか考えていると、準備が整ったらしいピコットさんが話しかけてきた。


「マーガレットちゃん!ポーズをお願いするっス!」

「ポ、ポーズ…ですか……?」

「はいっス!こっちで指定するんで、言われた通りにしてくれれば良いだけっスから!」

「そ、そうですか……」


良かったぁ……。

正直ポーズとかサッと思いつかん。


ピコットさんにポーズを指示され、転写作業が始まる。


「それじゃあまずは…… 両手を下腹部の前あたりで合わせて…そうそう、あとは顔っスね。笑顔でお願いするっス!」


そう言われても難しい。


学校とかの集合写真なんかも、笑顔で!って言われても、何が楽しいわけでもなく、むしろ煩わしいレベルだし。


何より緊張する。

会話してるなら良いのだが、こうして見つめられるととても落ち着かない。


とはいえこれも仕事、しかも衣装は最高の出来の物だし、これを作る過程も見ていた。


ならば俺もその頑張りに答えるのは道理というもの。


(コウスケさん!楽しいことを思い浮かべましょう!そうすれば笑顔になりますよ!)


そう、マグが言ってくれた。


正直俺はその気遣いだけでほっこりする。


(楽しいこと…か……)


あぁうん、そうだな。

今俺が1番楽しいのは人と話すこと。

その中でもマグと話すことが特別楽しい。


だからマグのこと考えてれば良いだけだ。

なんだ、簡単だな。


「あぁ〜!その笑顔もいいんスけどっ!そのフッて笑うのもいいんスけど、今はもっと柔らかいもので!」

「あっはい」


うっかり普通に笑ってしまった。

いかんいかん…集中集中……。


柔らかいもの…ねぇ……。


(柔らかい笑み…それなら微笑ましいものが妥当かな?)

(微笑ましい……モニカちゃんとか?)

(あぁ〜、微笑ましいぃ〜!)


モニカちゃんの姿を思い浮かべるだけで思わずふふってなるね。

うん、頑張る女の子、かわいいね。


「あ!良いっスよ!その顔!そのままお願いするっス!」


よしきた。

今日のラッシュ時のモニカちゃんをOKが出るまで思い浮かべれば良いんだな?

楽勝だぜ。


そんな感じで、続けて2つほどポーズを変えて転写。


後ろ手に組んで、振り向き不敵な笑み。

この笑みは黒の剣士さん(二刀と狂戦士どちらも)を参考にした。


クールでカッコいいよホント。

憧れるよね、ああいうの。

実際にそんな状況にはなりたくないけどね。


次に、右手をブローチに軽く当て、左手は力を抜き、少し斜めに構えて満面の笑み。


これはもう…マグの屈託のない笑顔を思い出し真似してみた。

思い浮かべただけで俺も綻んでしまったので、これが1番早く終わった。


…それにしても、全部立ってる状態なんだな。


「あの、ピコットさん。座った状態を転写することは出来ないんですか?」

「あ、そうね。ワタシも気になってたの。貴女の本見させてもらったけど、どうしてみんな立って写ってるの?」

「あぁ〜…まぁ気になるっスよねぇ……」


俺とローズさんの疑問に頬を掻き苦笑いで返答するピコットさん。


何か条件でもあるのかな?


「いやぁ…恥ずかしい話、昔座ってる人を転写して盛大に失敗したことがあって…まだ小さい頃だったし、転写魔法も使い始めたばかりでそんなに上手くなかったから仕方ないとは思うんすけど、どうしても苦手意識が出来ちゃって……」

「まぁ…そうだったの……」


そういうことか……。

う〜ん…苦手意識があるってんならあんまり無理強いは……


「それじゃあこの機会に克服しちゃいましょうよ!」

「えっ!?今っスか!?」


あらぁ、ローズさぁん……突き進むねぇ……。


「ワタシ、どうしてもマーガレットちゃんにしてほしいポーズがあるのよ!」

「してほしいポーズ?」

「ズバリ、お花を持って座り込んでいるポーズよ!」

「ハッ!まさか、女の子座りで!?」

「その通りよ!」


あぁ〜…うん、確かに、とても絵になりそう。

絶対可愛いもの。


…でもなんか…引っかかるなぁ……。

なんだろう…?


「くっ!それは見たい……!でも……いや、やっぱり見たい!ローズさん!ボク、やります!」

「よく言ったわ!さ、マーガレットちゃん!そこにペタンと座ってみて!ワタシはお花を持って来るわ!」

「あっはい」


テンションがバカ高い2人の勢いに押される形で俺はその場に座り込む。


そこにユーリさんが気遣うように話しかけてきた。


「マーガレット、大丈夫?何か考えてたみたいだけど……」

「あ、いえ…なんというか…自分でも分からない心の引っ掛かりがある気がして……」

「あぁ〜…よくあるよね、そういうの。なんだか気になるんだけどそれがなんなのか分からなくて余計モヤモヤしちゃう〜みたいな」

「そうそうそれです。いやぁ〜記憶力は良い方だと思ってたんですけどねぇ…」


二十歳(はたち)にしてボケ気味かぁ?

もうちょっと頑張ってくれや、俺の脳よ。


と、そこにローズさんが戻ってきた。


「お待たせ、マーガレットちゃん!備品のお花持って来たわよ!造花だけど、とっても綺麗でしょ?」

「はい、ありがとうございま…す……!」

(!)


そう言いながら渡してくれた花を見て、俺はようやく思い出した。


座り込むマグと花…そして今渡されたのは、マグと同じ名前の花…マーガレット。


これは…あの時と同じような構図だ。


あの夢と…龍が現れるあの夢と同じような構図だ。

白ドレスって現実じゃそうそう見ない気がするなぁ……。


なんかの式典とかも赤とか黒とかの方が多い気がするのは私だけだろうか……。

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