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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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68.アクセサリー…とお洋服

(あ!これとか可愛い!)

(コウスケさん!向こうの!向こうにあるあの雪だるまも可愛いですよ!)

(いいねぇ!む…!これなんかマグの髪に映えそうで良いんじゃない!?)

(わぁ!綺麗な赤色ですね!)


俺たちはヘアーアクセサリーのコーナーではしゃいでいた。


目的だったヘアゴムはあったのだが、他にもヘアピンにヘアクリップ、リボンにカチューシャといった様々なアクセサリーに目を奪われ、マグ共々あれも良いこれも良いとなかなか決められずにいた。


いろいろ種類はあるだろうと覚悟していたが、まさかこんなにも多いとは思わなかった。


近くには小さな鏡が置いてあって、その場で確認することが出来るようになっている。


俺たちは気になったものを見つけては、鏡に顔を覗かせキャッキャッしてた。


超楽しい。


(とはいえそろそろ決めないと…)

(そうですね、ユーリさんもそろそろ決まる頃かも知れませんし…)

(う〜ん…ヘアゴムは欲しかったからいくつか…ん、このキューブ付いてるやつとシンプルなやつを2つずつ買おっかな。マグはどれが気に入った?)

(私はあのお花がちょこんと付いてるカチューシャが欲しいです!)

(あれ可愛いよねぇ!んー…白、赤、黄色、青、ピンク…いろんな色があるんだねぇ……。…白と青、かな!買っちゃおう!)

(やったぁ!)

(ふふふ…お、あのリボン、気になるなぁ)

(あぁ!あれも可愛いですよね!何色にするんですか?)

(うーん、やっぱり黄色に合うのは水色…でも白とか黒も良いし、ピンクとかオレンジとかの明るい色も…あぁでも、暗い色にして髪の色を目立たせるってのも……)

(わぁ!良いですね、良いですね!)


いやぁ楽しいホント楽しい!

元々買い物は好きな方だったけど、こうしてマグとあれこれ話しながら買い物するのがこんなにも楽しいものだなんて!

まるでデートのよう……


…デート……?


お休みの日に恋人と一緒にお買い物……。

すなわちこれ…デートそのもの?


えっあっヤバい……!

意識したら急に恥ずかしくなってきたっ!!


(?コウスケさん、どうしたんですか?)

(えっ!?いや、えっと…さ……その……)

(?)

(…好きな子と休みにお買い物だなんて、まるでデートみたいだなぁって……)

(!?デ……!?)


あ、あかん。

これどっちも恥ずかしくなるやーつだ。


そして俺が死にかけるやーつだ。


(デート…デート…そ、そうですね…!デート…デートかぁ……!…えへへへ……)


あぁ…今日もマグはこんなにも可愛い……。

はぁ天使マジ天使。


あまりの愛らしさに国同士でケンカ起きるかも。

いや普通に困る。


「マーガレットちゃん?」

「(ひゃあっ!!)」

「きゃっ!ビックリしたぁ…んもぅ!脅かさないでよ!」

「ご、ごめんなさいローズさん…」


俺たちがもじもじしている間にいつのまにか近くにいたローズさんに声をかけられ、思わず大声を出してしまった。


…ビックリしたのはこっちだよ……。


「えっと…それで、ローズさんが来たってことはもしかして…?」

「えぇ、ユーリちゃんのお洋服何着かに絞ったから、一緒に選ばないか誘いに来たの♡」

「行きます行きます!あっ、その前にこれのお会計を済ませてきても良いですか?」

「どうぞどうぞ!試着室の前で待ってるわよん♡」

「ありがとうございます!」


それじゃあこのヘアゴムとカチューシャ、そしてピンク、黒、水色のリボンをレジに持っていこう!


ちゃんと値段も確認したから、ユーリさんの服が買えない!なんて事も無い!…はずだ。うん。


あ、ハンカチ……。

そういえば持ってなかったっけ。

これもいくつか……あらかわいい。

買っとこう。


そんなこんなで会計を済ませ、試着室前まで来た俺。


そこにはローズさんと、5着ほどの服とにらめっこしているユーリさんがいた。


「ユーリさん、ローズさん、お待たせしました!」

「あっマーガレット、おかえり。欲しいものは買えた?」

「はい!ものすごく悩みましたけど買えました!」

「そっか!えっと…じゃあ悪いけど、私の洋服…マーガレットも選ぶの手伝ってくれる?」

「もちろん!」


ふふ〜ん♫

マグに似合う髪留めを手に入れて、次はユーリさんの洋服を選ぶなんて、楽しいのぅ♫


女の子がショッピングに時間がかかる理由が分かったわ。

あれこれ考えるのが楽しくてしょうがないんだ。


いやぁ確かにこれはハマりそう。

と、いかんいかん。


「えっと…ここにあるのが選りすぐりの洋服という事ですね?」

「そ♡この中から選ぶのを手伝って欲しいのよん。あ、この子があんまりにもお金の心配をするから、少し安いものから選ばせてもらったわよ?」

「お、お気遣いありがとうございます…」


ユーリさん…いやありがたいけど、さっきとは別の意味で恥ずかしいよ……。


「んもぅ…女の子なんだからもっとお金をかけても良いと思うんだけど…生活のこととか口を出すわけにはいかないしね……」

「うっ…ごめんなさい……今日もマーガレットに言われてここに来て…しかもマーガレットが出してくれるって言うから本当に申し訳なくて……」

「えっ!?マーガレットちゃんがお金出すの!?」

「ユーリさんこの街に来るのに色々あって、お金と服が無いって言うから……」

「あぁ〜…それは心配ねぇ……分かったわ!特別に少しお安くしてあげる!」

「えっ!?いや、それはありがたいですけど……!」


さすがに申し訳ないから言わなかったのに!


「大丈夫大丈夫♡ここはワタシの店なんだから、少しぐらい職権乱用しても大丈夫なのよ♡」

「職権乱用って言ってしまってるじゃないですか!?」


というかローズさん店長だったのか!

なんとなくそんな気はしてたけど!


「ロロロローズさん…?さ、さすがにそこまでされるのは……」

「見てくださいローズさん!ユーリさんが現実を受け入れられずガタガタしています!」

「んまっ!大丈夫!?」

「あわわわわ……」


あ、だいじょうばないなこれ。

うーん…あ、じゃああれだ。


「じゃあローズさん、こうしましょう。何か私たちにお店のお手伝いをさせてください。その見返りに安くしてくれるというなら私たちも安心できます」


これならどうだユーリさん!

よし「ふんふん」って頷いてる!


「んもぅ!そんなこと気にしなくても良いのにぃ!んー…でも分かったわ。そうねぇ…何かお手伝い出来そうな事……あ、そうだ!」


お、何か思いついたらしい。

これで俺らの心が多少楽になる。


俺とユーリさんはローズさんの次の言葉を待つ。


「そんな目を輝かせて仕事を待つなんて…優しい子達ねぇ♡それじゃあ言うわよ?貴女たちにはモデルになってもらいたいの」

「(モデル?)」


マグとユーリさんがキョトンとしている。

なので俺が聞く。


「モデルって、ここの服を着てそれを宣伝するって事ですよね?」

「そ♡実は今日これからそういう絵を描いて本を出してる人が来る予定なの。お店の子をモデルにって思ってたんだけど、どうせならいろんな子がいた方がいいでしょう?」

「確かに」

「マ、マーガレット……?どうしてそんな活力に満ちた目をしてるの……?」


いやそりゃテンション上がるよ?

だってモデルだよ?


それってマグとユーリさんのいろんな姿見れるってことじゃん。

2人の可愛い洋服着た姿見れるってことじゃん。


役得じゃん。

盛り上がるに決まってんじゃん。


「それでローズさん、その人はいつ頃来るとか分かりますか?」

「んー…そろそろ来る頃だと思うけど……」

「ローズさーん、絵描きの方がお見えになりましたよ〜!」

「ほら来た!」


ナイスタイミンッ!

どんな人なんだろ?

そしてどんな絵の人なんだろ?

楽しみ!


「こちらへどうぞ〜」

「失礼しまーす」

「いらっしゃ〜い!待ってたわよ〜ん♡」

「うわぁ!?化け物ぉ!!?」

「あ"ぁんですってぇぇ!!!?」

「「(ひぃっ!!?)」」


はーい地雷ふみぬきお疲れ様でーす。


それは禁句なんですよ〜。

インパクト強いからってそれは言っちゃダメなんすよ〜。

困りますね〜お客さん。


まぁでもこのままだと話進まないし止めますかね〜。

マグもユーリさんもビクビクしてますしね〜。


「ローズさん、怖い怖い。笑顔ですよ、え〜が〜お」

「あらやだワタシったら…はしたないわぁ……」

「はい、大丈夫ですか?」

「…………天使?」

「人間です」


尻もちをついている絵師の方に手を貸して立ち上がらせる。


絵師は暗いオレンジ色の髪の女性だった。

髪はややハネ気味、メガネをかけていて、ダボついたシャツにズボン。


とてもジャージが似合いそうだと思った。


「ごほん…ごめんなさいね?つい取り乱しちゃって……ワタシがこの店のオーナー、ローズよ。よろしくねん♡」

「は、はい!ええっとボボ、ボクはピコット…よ、よろしくお願いしますローズさん……!さっきは化け物だなんて言ってすみませんでした!」

「良いわよ、許してあげる♡」


ん、丸く治ったな。


(…ローズさん怖いです……)

(大丈夫だよ、怒らせなきゃ)

「…ローズさん怖いよ……」

「大丈夫ですよ、怒らせなければ」


マグとユーリにそれぞれ返し、俺もピコットさんに挨拶をする。


「初めまして、マーガレットと申します。今日はよろしくお願いします、ピコットさん」

「えっ!よろしくって…もしかしてモデルになってくれる人ッスか!?」

「はい、私とこちらのユーリさんとで、ちょっとお手伝いすることになりました」

「えぇぇ!?黄色髪美少女に褐色キツネっ子がモデル!?」


…なんとなくこの人、俺に近い波動を持っている気がする。


だがこの世界は(ふところ)は深いが、この世界の住民全員が深いわけじゃない。


解釈違いで争ったり、にわかキッズと争ったりと、争いが絶えないのだ。


あなたはきのこ、たけのこどっち派?


私はバラエティーパック買ってどっちも食べる派。


まぁとにかくこの人がどんなタイプなのか分かるまでは慎重に立ち回ろう。


「うへへ…それなら楽しく描けそうッス!じゃあ早速着替えてきてほしいッス!」

「えあっす」

「どゆこと!?」


兎にも角にも、俺とユーリさんの下心満載のモデル体験が、今幕を開けるのだった。

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