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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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44.人工型ダンジョンとDPについて…どこの世界も世知辛い

『こほん…申し訳ありません、コウスケさん、マーガレットさん……お見苦しいところをお見せしてしまいました……』

「別に見えてないし、仲が良いのは良いことだから気にしないで」

『うぅ…恥ずかしいです……』


ハルキとの言い争いを終えたフォーマルハウトが、ほったらかしっぱなしだった俺たちに謝罪をしてきた。


確かに早よ終われと思いもしたが、2人の仲の良さにマグと一緒にニヤニヤしていた時間の方が長かったので、俺たちとしては「ごちそうさま」という感じだった。


『あー…こほん。それで、どこまで話したんだっけ?』

「他のダンジョンコアで自分とこのコアを強化できるってところかな」

『あぁそうだそうだ。自然型についてはこんな感じかな?それじゃあ次は、人工型ダンジョンについて説明するね』

「お願いしまーす」


『では……人工型ダンジョンとは、僕たちダンジョンマスターがダンジョンコアの機能を使って作り出したダンジョンのこと。さっき言った通り、自然型からダンジョンコアを取ってくるか、僕みたいにダンジョンコアを引き継ぐかしか、人工型ダンジョンを経営することは出来ないんだ』

「経営て」

『これが冗談というわけではなくてね。ダンジョンを作成するには《ダンジョンポイント》…略して《DP》が必要なんだ』

「なるほど、そういうことか。さすがに、作り放題なんて旨い話ではないか」


それだったら、100階層ダンジョンとか、国の下に国より大きいダンジョンを作るとかが出来そうだもんな。


『うん、そしてDPを手に入れる方法なんだけど…』

「生物の魔力か?」

『その通り、さすが話が早いね』

「それで街を作った、と。まぁお約束だしな」


そこまでが大変なんだが、上手くいけばがっぽがっぽのウハウハだからな。


(え?え?どういうことですか?)

「ん、そっか。ハルキ、答え合わせとマグへの説明を兼ねて、俺の予想を話して良いか?」

『あぁ、良いよ』


マグにはお約束とかなんのこっちゃって話だもんな。

ならば分かりやすく教えて進ぜよう!


「では失礼して…おっほん!DPを得るには生物の魔力が必要、それはさっき言ってたからな。んで、問題はその魔力を集める方法だ。俺が思いつくのは、ダンジョンに入る、ダンジョン内で魔法を使う、ダンジョン内で生物の汗や血などの体液を流す、ダンジョンに生物の死体を食べさせる、この辺りだと考えてる。どうだ?」

『うん、(おおむ)ね正解。あとは風化したり、呪われたりした装備品やアイテムなんかの無機物も、時間はかかるけど食べるよ』

「なんだ、てっきり残されたアイテムは宝箱とかに詰めて他の冒険者に持ってかれるのを待ってるのかと思ってた」

『まぁいくつかはそうだね。でも、あまりにも危険だと思った物や、誰も欲しがらないような物はこっちで回収して、ダンジョンにゆっくりと食べさせてるんだ』

「なるほど、そりゃ勉強になった」


と、そこで俺は1つ気になったことを聞く。


「…あー…ドッグタグ系はどうするんだ?」

『そういうのは回収したあと、ギルドに送るよ。だからそこら辺は心配しないで』

「ん、それなら良いんだ」


遺品が無いなんて、こっちの世界じゃよくあることだと冒険者たちは言ってたが…やっぱり、そういうのはあった方がいいと思う。

…場合によっては辛い現実を突きつけることになるけど……。


(コウスケさん、ドッグタグとはなんですか?)

(首にかけるアクセサリーの一種だよ。プレートが2つ付いていて、その人が死んだ時の証明として、片方を他の人が持って帰って報告をするんだ)

(そ、そんな……)

(残った片方はその死んだ人に付けておくことで、たとえ判別が出来ないほどの損傷でも誰かが分かるようにしてるんだ。だから、残った人はそれを見てお墓を建ててあげたりするんだよ)

(……死んだ人の、存在証明……)

(そういうこと。…ごめん、こんな暗い話をして……)

(…いえ、教えてくれてありがとうございます。それに、弔ってくれる人がいるのは、良いことですから……)

(……そうだね……)


…この世界にはドッグタグなんて無い。

そもそも、元の世界でも民間人はそんなものを持っていないことの方が多いだろう。


…元々は兵士が身につけるものだからな。

本来はもっと細かい事とかあるらしいけど…まぁ、今長々と言う事じゃ無い。


マグの村にいた人たちにはまだ出会っていない。俺がギルドで有名になっているらしいが、それでも、マグの知り合いには会っていない。


なんとか逃げ延びていればまた会えるだろう。でも、マグが本当にあの村の唯一の生き残りだとしたら……。


…同じ村で暮らしていたからといって、村人全員の顔と名前を覚えるのは難しい。


学校でも、同じクラスなら覚えられるだろうが、違うクラスだと覚えていない人の方が多いだろう。


それが学校全体となれば、より覚えるのは困難になる。


だからもし、マグしか生き残ってないのだとしたら、墓を建てられるのはマグしかいないという事だ。


その時、恐らく彼女は苦しむだろう。

名前を知らない人のことを、顔を覚えていない人の墓を作ろうと、必死に思い出そうとするだろう。


だが、人の記憶力などちっぽけなものだ。

完全記憶能力でも無い限り、すべてを覚えておくのは無理なのだ。


それを思い出そうというのは…無理な話なのだ……。


『コウスケ?』

「あ、あぁ…!悪い……」

『大丈夫ですか?顔色が悪いようですが……』

「ちょっと、な……悪い、話を続けるぞ。ダンジョン内にいるだけで魔力を吸えるのならば、死体や魔法なんかのその時しか手に入らない臨時収入よりも、生物を住まわせて少しずつでも魔力が手に入る定期的な収入源がある方が後々(のちのち)安定しやすい。だから街を作って、そこに人を住まわせた。そうだろ?」

『うん、そうだよ』

『凄いですね、コウスケさん。ハルキが言っていた事をズバリ当ててますよ?』

「やったぜ」


(そういうわけでハルキは街を作ったんだよ、マグ)

(なるほど…ありがとうございます、分かりやすかったです)

(やったぜ)


やっぱりハルキやフォーマルハウトに褒められるよりも、マグに褒められる方が嬉しい。

…まぁ、無理して無いか後で確認はするけどね。


「それで、そのDPで魔物や罠を呼び出してるのか?」

『うん、だけどそれだけじゃなくてね。DPを使う事で、ある程度の家電や食べ物を生み出すことも出来るんだよ』

「えっ、てことは、ウチにある洗濯機やこのホワイトボードとか、昨日食べたラーメンも?」

『DPを使って生み出したものだよ。ラーメンは1度生み出して、こっちで研究して作った、この世界のオリジナルだけどね』


なるほど、だから昨日醤油や味噌っぽい別の物だって言ったのか。

あれは研究の成果だったんだな。


「すごく美味かったよ。研究は大成功だな」

『ありがとう。でもお礼はリンゼに言ってね』

「えっ、リンゼさんが作ったの!?」

『うん。ラーメンを一番気に入ったのがリンゼだったからね。いろんな味があるって教えたら、こっちでも流行らせたいって言い出して……』

「へぇ〜、なんか意外…いや、そうでもないか。好きな物は人それぞれだもんな」


俺は正直エストさんやシャールさん達、冒険者がハマったのかと思ったんだけど、リンゼさんかぁ……。

結構絵になるかも。


リンゼさんは薄い水色のおさげの生真面目なメガネ女性だ。

バランスの取れた女性的な体つきで、とてもラーメンの研究をしていたとは思えない。


もしかしたらスープとかを少しずつとか?

いや、それでもカロリーがエグそうだ。


『それでDPの話に戻るけど、DPは1DP=1ゴル。とても分かりやすいね』

「分かりやすいのは良いことだ」

『同感。おかげでそこら辺はスムーズにいけたよ』


単純すぎても問題だが、複雑すぎても意味わからん事になる。


携帯の機能とか、ゲームの機能とか、全然使いこなしていなかった。

…だって怖いじゃん。


あ、そうだ。

これは聞いておかないと。


「なぁ、魔力をDPに変えるって言ったが、具体的にはどのくらいの還元率なんだ?」

『そうだね…1人当たりの回収量が、人によって違うから難しいけど…確か……』

『1日あたり、その人が持っているMP値の1000分の1ですね。ほとんどの人のステータス上には減ったようには見えないので、人間はおろか、感覚の鋭い動物達も気付くことはまずありません』

「確かマグのMPは20だったから、0.02か……。なるほど、そりゃ人が沢山必要だ」

『どこの世界も、通貨を稼ぐのは大変ってことだよ』

「世知辛いな……」

「『はぁ〜……』」

『…なるほど。ララさん達が羨ましがっていた理由が分かりましたよ……』

『え?何か言った?』

『いいえ、何も』


異世界の世知辛さをこんなところで知るとは思わなかったが、これでダンジョンの成り立ちとかは分かった。

とりあえず俺は付近にダンジョンが発生しないように心に留めておこう。


そんな決意を固めた俺に、ハルキの問いかけを華麗に受け流したフォーマルハウトが話しかけてきた。


『あ、そうだ、コウスケさん。昨日ダニエルさんから提案されたのですが、今日他のギルドに持っていく書類をマーガレットさんにお願いしたいそうです』

「ダニエルさんが?…なんか嫌な予感するなぁ……」

『うん、僕もそう思う。本人は他のギルドの紹介も兼ねてって言ってたし、今日あるのは鍛治ギルドと隠密ギルドの2つだけだからちょうどいいとは思うけど……』

「だからこそ余計怪しく感じるなぁ……」


ダニエルさんねぇ……。

硬派な見た目の割にはチャランポランな話し方をするけど、あれでかなり腕は立つと思う。


そんな人がわざわざ提案してくるってことは…何か裏がありそうだなぁ……。


「んー…まぁ、どうせ見に行きたいとは思っていたし、昨日俺たちのことを話したんだろ?」

『うん。君が僕と同郷だって事と、マーガレットのことをね。怪しい人ではあるけど、信頼できる人でもあるから……』

「なら、まぁ大丈夫だろう。そのかわり、何かあったら責任取ってくれよ?」

『もちろん。変なことされたら僕に言って。ダンジョンマスターの権限を行使するから』

「そいつぁ心強い」


ダニエルさんはともかく、他のギルドの見学自体はとても楽しみだ。


何より鍛治ギルドで武器やら防具やらを見るのがとっても楽しみすぎる。


隠密ギルドも響きがカッコいい。

アウトローな感じでカッコいいのだが、いざそこに行くとなるとやっぱりちょっと怖いな。


まぁでも、やっぱり楽しみなのは変わらないな。

どんな出会いがあるか今から待ち遠しいぜ!

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