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415.壊れたキツネ…VS至って真面目な人

拒絶されて体も思考も止まった俺たちを見てもユーリさんは止まらない、止まれない。

壁際で座り込んでずっとぶつぶつと呟きながら頭を抱えている。


ユーリ「ウソだウソだ……!コウスケとマーガレットまでそんなこと言うなんて夢だ…悪夢なんだ……!本物はちゃんと私を助けてくれるもん……!もっと私のことを考えてくれるもん……!あんな奴らと同じようなこと言わないもん……!」


マグ(コ、コウスケさん……どうしましょう……!)

コウスケ(……)

マグ(コウスケさんっ……!)

コウスケ(っ!あっ…ご、ごめん……)


ユーリさんに拒絶されたのが想像以上にショックだったみたいだ……。


マグ(私もツラかったので気持ちは痛いほどわかりますけど、それよりも今はユーリさんの方がツラいと思うんです!だからがんばらないと!)

コウスケ(……そうだね。ありがとうマグ)


ほんっと、俺よりよっぽど大人だよなぁこの子。


ともかく、マグのおかげで気を持ち直せた。

なら次はユーリさんだ。

ユーリさんなんだが……


コウスケ(で、どうしよう……?)

マグ(う、う〜ん……今のままだとお話も聞いてくれそうにないですよね……)


気合いだけでどうにかなる状況じゃないので立ち尽くす俺たち。


怯える相手を落ち着かせるといったら、1番穏便なのは抱きしめてあげることだろうか?


少なくとも手荒なマネは出来ない。

気持ち的にも、実力的にも。


しかし今のユーリさんに近づくのは至難の業。

ゆっくり怯えさせないように…は無理だ。

もう怯えてるもの。


それにゆっくり行って逃げられない保証はない。

部屋の隅に誘導したって、ユーリさんなら隙をついて角から角へ捕まらずに逃げられるだろうし。


対して俺はさっき魔力を盛大に使ったのであんまり残っていない。

いつの間にか身体強化切れてるし、そもそも着地も失敗してたし。


こんな状態で、さらに外のみんなが耐えてる間に落ち着かせて説得して装備着けてフォバに降りてもらって、って……。


無理とは言えん。

やらなきゃならないから。

でも…厳しすぎん……?


マグ(う〜ん……もういっそフォバ様がユーリさんを説得してくれたほうが話が早い気がするんですけど……)

コウスケ(そのための下地を作るためにこうしてるんだから、それだと本末転倒だよねぇ……)

マグ(ですよねぇ……)


確かにフォバ本人からいければ早いんだけど、残念ながらパスが繋がった時にはもうユーリさんから受け取り拒否されてるような状態になってしまったようだしな……。


そもそもフォバが話しかけてこれたのも俺たちが夢の中で頻繁に話せる特異な体質…体質?

まぁそういう感じだからみたいだし、そもそもコンタクトを取れる条件が難しいのが……。


コウスケ(ん?)

マグ(コウスケさん?何か思いついたんですか?)

コウスケ(いや……)


御子であってもパスが繋がるとは限らない。

パスがなければフォバも降りようがない。

だからこうして神装具を着けて依代の魔力量を上げ、体への負担とパスの繋ぎやすさUPのための目印を作るために来た。


ユーリさんは御子としての修練+αによって何もなくてもフォバが見つけられる。

じゃあ俺たちは?


夢の中で話せる特異体質と言っても、そんなホイホイ見つけられるような距離じゃないはずだ。

現にユーリさんへのパスが繋がったのが10日前なのだから。


でも攫われた翌日にフォバはコンタクトが取れた。

何故?

見つけやすかったから?


まぁ他に夢の中で話してる奴いるか怪しいだろうし、夢の世界では目立ったのかもしれない。

フォバも長い眠りがどうたらこうたら言ってたし、夢の中だから出会いやすかっただけなのかもしれない。


でもそれでも、俺たちとフォバは毎日話せていた。

これはつまり、こっちの夢にホイホイ来れるほど太くパスが繋がっているのではないか?


なんて整理していたのだが、どうやらマグには聞こえていたようだ。

そして俺が言いたいことがはっきりわかったらしい。


マグ(もしそうなら……)

コウスケ(そう……俺たちでフォバを呼べるかもしれない……)


もし呼べるのならばわざわざ嫌がっているユーリさんに無理強いしなくてもよくなる。

本人が来ればユーリさんだってさすがに落ち着くはずだ。

多分、きっと、おそらく、願わくば。


どうだろう、ワンチャン食ってかかるかもしれないけど…そこはまぁ…フォバに頑張ってもろて。


とにかく呼べるのならば御子の負担も軽くなる。

というか、呼べたら御子の必要性はぐんと下がる。

そうすれば里の規律も緩和されて、ユーリさんがどこで何していようが問題なくなる…かもしれない!


これだ!

まっ最後は元からそういう計画だったものなんだけど、とにかくこれなら今のユーリさんを説得する必要がなくなるから時短になる。


それになにより…


ユーリ「(びくっ)…ふぅ……ふぅ……!」


怯えた顔で威嚇じみた息遣いをしているユーリさんにこれ以上の負担を強いなくて済むのがやっぱり1番デカい。


土壇場の大博打だが……やるっきゃない。


コウスケ(よし!やろう!)

マグ(はい!)


作戦が決まった俺たちはサクサク行動を始める。


まずは持ってきた神装具を装着。


サイズがユーリさん仕様なのでちょっとガバいが、そこはヒモでぎゅってして誤魔化していく。


小手と腕輪等アクセサリー類はガバガバすぎてすぐずり落ちるので最後。


当然下着もサイズが合うわけないのでブラは襷掛(たすきが)け。

パンツはリオのくれた髪飾りに引っ掛けないように細心の注意を払いつつ頭に被る。


マグ(……ん?)

ユーリ「……(ぽかーん)」


そんなこんなでローズさん渾身のマントを着けた後に、後回しにしたアクセサリーたちと、締めに小手を着ければ……


コウスケ「よし、できた!」

マグ(う〜ん……動きづらそう)


マグの感想がとてもよく刺さる、着てみたいお年頃の子どものような格好になりました。


俺もちょっと動ける気がしない。

でもまぁ着用は着用。

これで装備は整った。


コウスケ(あとは呼ぶだけかな?)

マグ(そう…いや、待ってください?私たちはユーリさんみたく御子の修行なんてしていませんし、装備を固めただけじゃ足りないかもしれませんよ?)

コウスケ(なるほど?でも今から修行なんてやってる暇はないよ?)

マグ(はい。でも今ここでできる御子っぽいこと、あるじゃないですか)

コウスケ(ほほう、それは?)

マグ(おじいさんが言ってた、奉納の舞ってやつですよ!)

コウスケ(あー!はいはい舞ね、舞……舞……この格好で舞……?)


こんな少し歩いただけでこけそうな格好で舞えと?

だいぶ無茶よ?


マグ(それと神装具の魔力も放出しとかないとですよ!)

コウスケ(あ、そっか!)


魔力は空気中にあるもの。

ゆえに魔石にも勝手に溜まり、勝手に抜けていく。


が、全部が全部抜けるわけでも溜まるわけでもなく、キチンと循環しているためそうそうどちらかに極端に偏ることはない。


魔石に関してはそれが顕著で、割合で言えば溜め7抜け3といったところ。

単純に考えて差し引き4割が溜まっていく計算になる。


これは普通ならありがたいのだが、こと今回に至ってはデメリットになってしまう。


だって元の魔力が無ければ無いだけフォバの魔力を入れられるのだ。

多く入るのならばそれだけ体への負担が減り、憑依後のフォバの強さも上がる。


旅の途中はしっかりとちょくちょく抜いていたのだ。

が、昨日と今朝は里の人たちに気取られないように抜かずにいた。


フォバの説明ではこれでもユーリさんなら十分余裕だったのだが、急遽降ろすことにしたマグの体では未知数。


御子じゃないし授業してないしそもそものスペックが段違いだしで、言うまでもなくユーリさんよりも成功率がガクンと下がるであろうことが予測されるため、こういう小さいところでもしっかりやって万全にしておきたい。


てなわけで。


マグ(ユーリさんみたく魔法とダンスを合わせましょう!)

コウスケ(やっぱそうなるかー!)


仕方ないとはいえ難易度高すぎるってぇ!


コウスケ(奉納の舞って何!?)

マグ(わかりません!なのでそれっぽいのを踊りましょう!)

コウスケ(雑ぅ!)

マグ(あとできれば歌も歌いましょう!)

コウスケ(キビシィー!)


だがやれることは全部やれ状態なのだ。

やるっきゃないったらない!


コウスケ(えーと…じゃあじゃあ……!)


なんか無いかなんか無いか?

なんか舞っぽいのないか?

そもそも俺の踊れるやつって何かあったっけ!?


えーと……俺のダンス経験は……ハッ!


ある……あるが……どうなんだ……?

舞…と言えるのかこれは……?


いや、この場で知ってるのは俺だけだから、俺が舞と言い張ればそれは舞だ!

ヨシッ!


コウスケ(あったよマグ……俺が踊れる舞……しかも歌詞付き)

マグ(おぉっ!さすがです!)

コウスケ(ただ…その……感想とかは…言わないでいただけると……)

マグ(えっ?わ、わかりました……)

コウスケ(ありがとう……)


ちょっとでも「なんだこれ?」って思われたら多分心が折れる。

だって歌詞うろ覚えだし、なんなら踊りもちょい曖昧だし……。


なにより恥ずい。

これを1人でやるのがすんごく恥ずいのだ。

団体でやるやつだもの。


マグ(えとえと……どんなものかは聞いてもいいですか?)

コウスケ(え?あー…そうだなぁ……)


どんなもの……。


コウスケ(豊漁祈願…かな……?)

マグ(ほ、豊漁……?)


多分違う気はするが、ちょっと思いつかないのでそういうことにしておく。

あれほんとになんなんだろうな?

というか漁関係かも定かじゃないんだよなぁ……。


でもまぁ……大物を釣り上げる的な願も掛けて、それでいく。

釣りじゃなくて多分網漁だけどもう細かいことは全部どうでもいい。


とにかく想いが乗ってりゃ今はいいでしょう!ねっ!


何はともあれ、踊るものは決まったから次はどうやって魔力を使うかだな……。


コウスケ(う〜ん……ひとまず装備重量の影響を減らすために強化はかけ直すとして……他にも何か使えないか……)

マグ(あっ!その強化、キツネさんに出来ませんか?)

コウスケ(えっ?…あっ、なるほどね)


さっきまでのジンオ…もといオオカミフォームの身体強化を、おキツネフォームに変えようと。

さすればよりこの里の儀式っぽくなると。

そういうことね。


コウスケ(採用!)

マグ(やったー!)

コウスケ(んー、それならせっかくだしユーリさんの踊りをパク…オマージュして、周りに雷でも……いや、ちょうどいいのがあるじゃん)

マグ(ネコ!)

コウスケ(そうそれ!それもキツネにしちゃおう!)

マグ(しちゃいましょー!)


よしよし…あれは数増やせば魔力の減りも早く出来るから都合もいい。


そうと決まれば早速ちびキツネをイメージ……動きはさすがに細かく決める時間はないからちびネコを応用しよう。


それじゃああとはおキツネフォームをどうするかだよな。

緊急事態なんだし耳と尻尾を付けただけの簡単なものでもいいが、ここまでチカラを入れてそこを手抜きというのはちょっといただけない。


それに凝ったほうがフォバが喜びそうだし。


んでまぁどうするかだけど、正直考えるまでもない。

オオカミがアレなんだから、キツネだって…ねぇ?

ちょうど装備デザインもいい感じだし。


というわけで固まったな。


詠唱はもちろん省略。

あれ考え始めると割と長いんだ。


というわけで…エイヤッ!


ユーリ「わっ……」


細めのキツネ耳に(個人的に)なかなか切れないフサフサの尻尾。


足は確か3本指だった気がするのでそうして、水掻きを付与。

これで滑るような移動が可能だ。

まぁどうせ魔法でそう見えるようにするので実際にはあまり使わないだろうが。


手はやはりいろいろ持つことを考えて何もなし。

しかし手首にちょっと返しを付けて装備がずり落ちないようにしておく。


あとは腕やひざや腰、そして背中に、織姫とかが付けてる印象のある…羽衣?的な謎パーツをいい感じに付ける。

背中のは大きく、他は邪魔にならないサイズで。


そして後頭部に天を刺すように二股の槍的な角的な何かを付ける。


相変わらず記憶がふわふわしているのでなんとも言えないが、ひとまずこれでミツネ…じゃなくて、キツネフォームは完成だ。


あとはこれに魔法でちびキツネを出してやれば準備完了っと。


これも出来れば水かせめて炎が良かったんだけど、その2つはまだ雷ほど上手く操れないから今回は保留。


ぽぽんっ


マグ(わぁー!かわいい〜♪)

ユーリ「……(じー)」

コウスケ・マグ「(ん?)」

ユーリ「ハッ……!うー……!」


準備を終えた俺たちをじっと……怯えではなく興味津々といった様子で見つめてきていたユーリさんに気付いたが、目が合うと再び威嚇されてしまった。


しかしそれも先ほどまでのバリバリの敵意ではない。


マグ(ユーリさんもコウスケさんの魔法気に入ってましたもんね)

コウスケ(あんな状態になっても好きでいてくれるとは……嬉しいねぇ……)

マグ(はい。でもやっぱりいつものユーリさんが1番…ですよね♪)

コウスケ(そりゃもちろん。じゃっ、そのために早速始めますか!)

マグ(お願いしまーす!)


コウスケ「ユーリさん」

ユーリ「…!(びくっ)」

コウスケ「見ていてください。どれだけ俺たちがユーリさんに対して本気であるかを、フォバを呼んで証明してあげます!」

ユーリ「えっ……?」

コウスケ「行くぜ炎の神!俺の舞を特等席でとくと御覧じるがいい!」


金魚鉢頭みたいなことを言いつつ、俺は気合いを入れてこぶしのかかった声を出す。


コウスケ「はぁぁぁーーー!!」


ちなみに、イントロなど知らないのでこれをイントロ代わりにします。


コウスケ「どっこいしょー!どっこいしょ!ドッコイショー!ドッコイショ!(ちょい野太い声)あソーランソーラン!ソーランソーラン!はぁどっこいしょー!どっこいしょ!ドッコイショー!ドッコイショ!あソーランソーラン!ソーランソーエンヤァァァァァァァエ"ェ"ッ"ソーランソーランソーランソーランソーランソーランハイッハイッ!ねじり鉢巻キリリと締めてぇ!○□△◎◇×☆♡ばぁ!ソーラン節、あんだかえぇいやぁぁーーーあぁぁどっこいしょー。はぁどっこいしょー!どっこいしょ!ドッコイショー!ドッコイショ!あソーランソーラン!ソーランソーラン!(以下繰り返し)」

マグ(……(唖然))

ユーリ「……(呆然)」


これが俺の舞。

前世で小学生がみんなやらされる(クソデカ主語)謎の踊り。


あれそういえば裸足だったなと思い出したが、まぁ裸足みてぇなもんだろということで気にしない。


ついでに盆踊りでも良かったんじゃね?とも思い始めたが気にしないったら気にしない。


それよりも見てるかフォバ!

この踊りシンプルに体力がキツイから早めにお願いします!

フォバさーん!?

まだ魔力が多いってかい!?

うぉぉぉぉキツネ増産じゃあぁぁ!


???「…そこまでだ」

コウスケ・マグ「(っ!?)」

ユーリ「…!」


ちびキツネを追加で呼び出したところで後ろから聞きたくないよりの声が聞こえてきてしまったので振り返る。


そこにはボロボロの姿で縛られているおじいさんとエストさんとシャールさんと、3人を囲む里の人たち。

そしてその先頭に、相変わらず仏頂面のヤクモさんが立っていた。


ヤクモ「話は聞こえていた。恐れ多くもフォバ様に夢の中で出会ったなどという妄言も、フォバ様を呼び出そうなどという罰当たりな作戦もな。…その上でどうしてそうなったのかは理解できないが…いや、理解しない方が良いものなのだろうな、うむ……」


なんか含みのある言い方をしやがるな……。

いったい今の俺のどこが理解できないというのだ。


持ってきた神装具全部付けて、その過程でブラは襷掛たすきがけ、パンツは頭に被り、魔法でキツネの格好しながら身体強化してソーラン節を踊っていただけじゃないか!


まごうことなき変態だな!

やばっ!


パンツは外すべきか……?と手を伸ばす。


いや、この際だ。

もう付けっぱでええやろ。


ということで手を戻す。


ヤクモさん以外の人たちから「え、外さないの……?」という顔を向けられている気がするが気のせいだろう。


ヤクモ「…外さんのか」

コウスケ「まぁ…いいかなって……」

ヤクモ「…………そうか……」


ヤクモさんもちょっと気にしてたようだ。


そんなヤクモさんがごほん、と咳払いをして話を戻す。


ヤクモ「とにかく、お前たちの目論見は失敗した。大人しく私たちの下に着け」

コウスケ「それは…」


さっきも言っただろう、という言葉はヤクモさんに遮られて出せなかった。


ヤクモ「拒否権は無い。最後でしくじったようだが、ここまで侵入しユーリに接触出来たほどの実力、ただ捨てるのは惜しい。ゆえにお前たちをこれからこの里の者として教育する」

コウスケ「…教育ねぇ……」


そう呟きながらユーリさんの方を振り返る。

ユーリさんは何も言わず、ただじっとヤクモさんを睨みつけていた。


コウスケ「そういうことばっか言ってるから娘にあんな顔されるんですよ?」

ヤクモ「問題ない。御子であることにはな」

コウスケ「はぁん…そーですか」


相変わらず興味なしと。

これがネグレクトというやつか。


……ネグレクトだっけ?

無理に横文字使わずに大人しく毒親とか虐待って言っときゃよかった。


あとモンペ。

モンスターペアレンツ。

ユーリさんのお母さんはいないようだからペアではないけど。


というか(めかけ)がいる人はこの場合なんて言うんだ?

モンスターハーレム?

なんかちょっといかがわしいな……。


ヤクモ「何を考えているかは知らぬが、抵抗は無意味だ。こちらには人質もいることを忘れてはいまい」

マグ(ど、どうしましょうコウスケさん……!)

コウスケ(そうだねぇ……)


凄くどうでもいいことを考えていたなんて口が裂けても言えないぜ。


そんなことよりもこの場をどう乗り切るかだ。

といってももうすぐ神装具たちの魔力を使い切りそうなのよな……。

なんとなくだけど、若干疲れが出てきた気がするんだよねぇ……。


ちびキツネたちはヤクモさんが来た段階でさりげなく退去させといたんだけど、身体強化だけでも結構キツくなってきた……。


元々俺の手札の中でヤクモさんたちを倒せる手段は不意打ち一択なわけだが、この魔力量じゃ果たしていけるかどうか……。


それに人質……おじいさんたち3人が向こうにいる以上、雑に広範囲攻撃を仕掛けるわけにもいかない。


ならば…ヤクモさんを戦闘不能にしておじいさんたちが縄抜けしてくれることを祈るか……?


とんでもないギャンブルだがやるしか…


ヤクモ「まぁ聞かないだろうな」

コウスケ・マグ「(!?)」


俺がプランを立てている途中でヤクモさんが視界から消えた。


ユーリ「マーガレット!後ろ!」


ユーリさんの声に応じ後ろを向く…ことはできなかった。


トッ


軽い音が聞こえたと思ったら、俺の視界はどんどん下がっていき……


ヤクモ「あの不意打ちは脅威なのでね。すまないがこちらもそうさせてもらった」


なんてヤクモさんの声が聞こえる中、俺はようやく床に倒れ伏したことに気付いた。


ヤクモ「安心するがいい。お前はユーリの世話係として側に仕えさせる。そうすればユーリも少しは大人しくなるだろうからな」


俺に世話させたらユーリさんは別の意味でダメになりますよ?なんて軽口を返したいものの、体はまったく動かないわけで。


おじいさん「お嬢ちゃん……!」

エスト「マーガレット……!」

シャール「っ……!」


せっかくここまで着いてきてくれたおじいさんたちの声にも応えられず…


マグ(コウ…スケ…さん……)

ユーリ「マーガレットぉ…!」


同じように意識が飛びそうなマグの声と、ユーリさんの今にも泣きだしそうな声を聞き…


[やれやれ…突然下着を被った時には開いた口が塞がらなかったが……よく頑張ったの。あとは任せて今は眠るがよい]


求めていた声が聞こえてきたことで口元が緩む感覚を感じながら、俺は意識を手放した。

コウスケのスーパーうろ覚えソーラン節は、実際に作者が書くときに思い浮かべた歌詞です。

歌詞があやふやなのでもちろんその部分の踊りもあやふやです。

ほぼ勢いだけでやってます。

大変ですね(他人事)

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