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413.突入!狐の里…VS全住民

フォバ「いよいよじゃな」

コウスケ「うん」

マグ「はい」


寝る前にまた作戦を確認した俺たちは、それぞれ明日の準備を済ませて早めに眠った。

唯一シャールさんだけが見張りをしてくれるということで眠らなかったが。


シャールさんは明日荷物をたんまり抱えた俺を担いでユーリさんのもとまで運んでくれる手筈となっているので、戦闘要員となるおじいさんとエストさんが優先的に休むということになったらしい。


とはいえ徹夜はさすがにキツいということで数時間で交代するらしい。

らしいというのは、俺がそのシフトにまったく関わっていないからである。


どうせ戦闘面では役に立てないのでこれくらいはと思ったのだが、フォバから聞いた話もあるし、冷静な判断が出来る状態でユーリさんに会ってほしいとおじいさんに言われてしまってはそれ以上何も言えない。


なのでせめて、お言葉に甘えて、ぐっすり寝ることにしました。

明日は運ばれるだけだが、万が一に備えて体力も魔力もパーペキにしておくに越したことは無い。


と、それはそれとして、こっちはこっちで確認しとくことがあるんだった。


コウスケ「フォバもタイミングはバッチリだよね?」


この作戦の要であるフォバの降臨。

これを事前にすり合わせておかないと、向こうでまごまごする羽目になる。


フォバ「当り前じゃ。そなたらがユーリに神装具を着け終えたのを確認し次第乗り移り、里の者たちを説得する。場合によっては力の行使も視野に入れての」

マグ「乗り移るのに場所は特に関係ないんですよね?」

フォバ「うむ。今いるキャンプ地ほど離れていたとしても憑依は出来よう。まぁ移動するとしても精々里の周辺ぐらいじゃと思うがな。しかし(わらわ)の像…つまり御子が奉納の舞を踊る儀式場から離れれば離れるほど憑依に手間取るからな。探すところから始めるとなるとどうしても大変じゃ」

コウスケ「了解。そうそう移動することは無いと思うけど……心には留めておくよ」

フォバ「それと、ユーリとの縁は強まっているものの、当の本人が妾を毛嫌いしておるところがあるため、予定通り神装具は最低魔石10個分は着けさせてくれ」

マグ「やっぱりこのままじゃダメですか?」

フォバ「ダメじゃな。なんなら魂が成長している代わりに信仰心が皆無になったせいで以前より見つけるのが難しい。見つけてしまえば入るのは容易いと思うが……」

コウスケ「この神装具たち、魔力容量の嵩増しだけじゃなくフォバの目印にもなるんだね」

フォバ「うむ。御子の魔力が分からないわけでは無いんじゃが、あるとないとでは大違いでもある。じゃからしっかり頼むぞ」

コウスケ「あいよ」

マグ「おまかせを!」


鍵はあるけど扉が見つからない、みたいなことか。

ああいうの沼ると結構長いよな……。

ヒントとかあればまだわかりやすいんだけど、今回はそれを設置しに行くってところからの話だからな……。


まぁなんにせよやることは変わらない。

俺はユーリさんをどう説得するかを考えとこう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


朝。

寝坊せずにしっかり起きれた俺は、それよりも普通に早く起きていたみんなが準備を整えてくれている間に自分の支度を済ます。


そして朝ご飯の際におじいさんが作戦の最終確認を始めた。


おじいさん「では最後の作戦確認とゆくぞ?フォバ様からの情報もあったが、作戦に大きな変更は無し。まず儂が行き数減らしとヤクモの注意を引く。エスト殿はシャール殿と共に儂の少し後に突入し二人をお嬢ちゃんを守る。シャール殿はお嬢ちゃんを抱えてひたすらユーリの元へ急ぐ。奉納の儀が行われるのは里の中心にある建物の中じゃ。部屋は一つじゃから見つけてしまえば簡単じゃろう。最も、当然守りを敷いてあるはずじゃから…」

シャール「出来ればそこまでエストがいてくれれば楽になる。逆に最悪でもどちらかはついていないとマーガレットが捕まって終わる可能性が高い…ってこと?」

おじいさん「そうじゃ」

コウスケ・マグ「(ひぇぇぇ……!)」


責任感半端ねぇ……!


エスト「大丈夫!バッチリ守ってあげるよ!」

シャール「ん。大船に乗ったつもりで良い」

コウスケ・マグ「(た、頼もしい……!)」

おじいさん「うむ。お嬢ちゃんはとにかくユーリに神装具を届けることだけを考えることじゃ。よいな?」

コウスケ・マグ「(はい!)」

エスト「わかった!」

シャール「ん、問題なし」


なんて話している間に、いつの間にか食べ終え食器も片していたおじいさんが立ち上がる。


おじいさん「よし。では先に行く。そしたら儂が向かった方向にひたすら進んでくれ。合間合間に目印を付けておく」

エスト・シャール「「了解!」」


これはさすがに森の中に入念に隠された里に土地勘の無い者だけで向かうのは無理があるということで、おじいさんたちが事前に決めていたことだ。


その時俺はいなかったのだが、移動全任せな俺が聞いたところで意味はないのでまぁ致し方なしと言ったところ。


おじいさん「馬は途中分かるところに置いておく。さすがにこの馬は気配が強すぎるゆえ、接近すればすぐにバレてしまうからの」

シャール「ん、任せて」

エスト「ご主人から借りたものを無くす気はないよ!」

おじいさん「うむ、頼んだぞ。それとお嬢ちゃん」

コウスケ「はい」

おじいさん「儂が渡した式紙はしっかり持っておるか?」

コウスケ「はい。ここに」


俺は(ふところ)から1枚のお札を取り出し見せた。


おじいさん「よろしい。困った時は必ず助けてくれるはずじゃからしっかり持っていなされ」

コウスケ「はい」


これはフォバからユーリさんの様子を聞いた日の昼休憩時におじいさんが渡してきたもの。


本当なら戦闘時に使う予定だったが、そういうことなら護衛を増やした方が良いという判断に至ったそうだ。


こちらとしてはありがたいが、時間稼ぎの戦力が減ることになるのでより迅速な説得が必要になるという諸刃の剣でもある。


そんな式紙をしっかり確認して満足げに頷いたおじいさんは「ではな」と言って姿を消す…同時に森の木々に微かに揺れる箇所が生まれた。


こっち方面に進んで、ちょいちょい残してくれる目印を辿って行けば里に着くんだな……。


シャール「それじゃあこっちも馬に乗っておこう」

エスト「うん!すぐ出れるようにしとくね!」

シャール「マーガレット、こっち」

コウスケ「はい!お願いします!」


シャールさんに手を引かれ、馬に乗って待つこと3分。

俺たちはおじいさんを追って森へと突入した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


森を進んで20分。

たまに木に刻まれている目印を見つけつつ進んだ先で、少し開けた場所に出た。


そこでここまでと同じように木にマークが刻まれていたのだが、それはこれまでの三角形の集合体で出来た簡単キツネマークではなく、馬とその首から1本の線が伸びたマークだった。


ここに馬を繋いで置けということなんだろう。


シャールさんたちもそう捉えたようなので、俺たちはそこに馬を繋ぎ止め自らの足で里を目指す。


まぁ俺は担がれているので結局歩かないんですがね!

だって速さが全然違うもの!


相手が悪いとはいえ、己の体力と戦闘力の無さに恨めしい……。

合間にでもまたディッグさんと鍛錬をしておけばよかったか……。

いやでもディッグさんたちには別のことお願いしてたし、俺も俺でそんな余裕無かったし……うむむ……。


マグ(うぅ〜…緊張しますね……)

コウスケ(うむ?)


過ぎたことを悩む俺にマグが話しかけてきた。


マグ(作戦、上手くいくでしょうか……?)

コウスケ(上手くいってくれないと困るから祈るっきゃないよ〜)

マグ(そうですけどぉ……!なんか…今さらになってもうちょっと何か出来ることがあったんじゃないかって不安になっちゃって……)

コウスケ(あ〜……)


どうやらマグも同じように悩んでしまったようだ。


コウスケ(わかるよ。俺も今まさにもうちょい鍛えておけば…って考えてたから)

マグ(コウスケさんもですか?うぅ、そうですよねぇ……私ももっと鍛えておけばこうしてお荷物にならずに済んだのかなって考えちゃいます……)

コウスケ(今言ってもしょうがないってのはわかるんだけどねぇ……)

マグ(どうしても考えちゃいますよねぇ……)

コウスケ(ね〜……)


どうして後悔ってのはほぼ毎回のように起こるんだろうなぁ……。

不注意っちゃ不注意なんだが、それにしたってもうちょっとこうなんか…ねぇ?


そうして若干暗い雰囲気になったのを、マグが気合を入れて吹き飛ばす。


マグ(う〜……!ダメですね…気持ちで負けてちゃ作戦も上手くいきません!切り替えましょ!)

コウスケ(わぉ、マグ大人〜)


少なくとも俺よりもしっかりしてる。

こんな早く切り替えられないよ俺。


とはいえせっかくマグがそう言ってくれてるのだから、実年齢が上な俺がウジウジしているわけにはいかない。


コウスケ(ふぅ〜……よし。俺も気合い入れなきゃね)

マグ(ですです!)


ここは1発ほっぺをパーンしたいところだが、今隠密行動中なのでそんな余計なアクションでバレるリスクを上げるわけにはいかない。


なので心の中で喝を入れておき、俺はマグと作戦の話をすることに。


マグ(それでユーリさんの説得ですが……何か良い案は出ましたか?)

コウスケ(う〜ん…残念ながら……)

マグ(そうですかぁ……)


気合を入れて数秒で重たい空気にしてしまった。

いやこれに関しては仕方なくない?


コウスケ(フォバはあれ以来ユーリさんにたどり着けてないらしいからね……その時点でさえ危ういユーリさんが、この10日ほどでどこまで悪化してるか……)

マグ(そうですね……話し合いができる状態なら良いんですけど……最悪の場合、ユーリさんと戦うことになるかも……)

コウスケ(そうなったらこっちに勝ち目はないからなぁ……エストさんかシャールさんがいればまだ別なんだけど、さすがにそこまでの余裕はないだろうし……)

マグ(う〜ん……やっぱりそこでつまずきますね……)

コウスケ(戦闘になるともうほぼ終わりだから話し合いでなんとかしたいけど、ユーリさんが話せる状態かわからないってのがやっぱキツいんよなぁ……)

マグ(ですね……せめてそこだけでも分かれば方針を定められるんですけど……)


説得出来るか、説得(物理)になるかだけでも決められればそれで作戦を立てられるんだけど、それすらも出来ないとなるとどちらにも対処出来るように複数のプランを考えておく必要がある。


なにぶん、フォバからユーリさんの状態を聞いてから10日近くあったのである程度は立てているのだが……。

やはり説得(物理)の方は勝利のビジョンが見えづらく、結局そっちのルートにいかないように頑張る…が最適解であり続けるのだ。


もしこれでユーリさんが問答無用で襲いかかってくるバーサーカーやらゾンビみたいな状態だった場合詰むので、なんとか1ルートくらいどうにかできる案を思いつきたいのだが……。


マグ(おじいさんの式紙さんもいますけど、やっぱり戦闘にはならないほうがいいですよね)

コウスケ(そうだね。俺たち自身が強くなるわけじゃないし、そもそも戦闘する時間がもったいないからね)


あくまで戦闘になってしまった時のサブプランであることを忘れてはいけない。

いけないのだが……サブプランがあった方がまだちょっと心に余裕が出来るのでやっぱりちょっと思いついときたいわけで……。


しかし残念ながら思いつかずにここまで来てしまった。

そしてこの最後の作戦会議も、終わりを告げることになる。


シャール「ん、見えた」

コウスケ・マグ「(!)」


シャールさんの声を聞いて前を見ると……とても森だった。


コウスケ(そりゃあ一流冒険者のシャールさんと一般市民の俺らじゃ視力も違うよなぁ……)

マグ(ですね……)


とはいえ、そんな人が視認できる程度には近づいたということではある。

ほどなくして、一般ピーポーな俺たちの視界にも木々のない開けた場所が見えてきた。


と、同時にちょくちょく倒れている狐人族が確認できた。

先行したおじいさんが仕留めたのだろう。

多分命までは取ってないはずだが、人が倒れているのを見ると少しそわそわするというか、不安になるというか……。


そんな小心者な俺をよそにシャールさんたちはどんどん近づいていき…


コウスケ・マグ「(っ!)」


突然の太陽光に怯みつつも薄目で確認すると、そこには確かに里があった。


マグ(ついに到着ですね……)

コウスケ(だね……)


なんて感慨深くなったのも束の間…


エスト「シャール!」

シャール「んっ!」

コウスケ・マグ「(っ!?)」


エストさんが叫んだのとほぼ同時にシャールさんが跳躍…したと思ったら地面に苦無が数本刺さった。


見ればいつの間にやら3人ほどに囲まれている。


このルートの敵はおじいさんが倒しているので、おそらく別のところからきた応援部隊だろう。


と、俺が分析している間にエストさんとシャールさんは互いに目を合わせ頷いた…次の瞬間に包囲しているうちの1人に揃って突撃。


相手も相当の手練れだろうに、コンビネーションであっという間に倒し…


エスト「すぐ行く」

シャール「任せた」


ひと言交わして二手に分かれた。


エストさんが敵を食い止め、シャールさんが俺を連れて走る。

作戦通りだが、エストさんがすぐに抜けてしまったのは痛い。


そう思ったのが伝わったのか、シャールさんが俺に話しかけてくる。


シャール「大丈夫。エストはすぐに来るから」

コウスケ「た、確かにそう言ってましたけど…うわっ!?」


言葉の途中でシャールさんがアクロバット。

そしてやはりいつの間にかいる敵たち。


今度はエストさんがいないがどうするのかと思ったが、シャールさんは見事な身のこなしで潜り抜けていく。


なお抱き抱えられてそんな動きをされた俺たちは悲鳴すら上げられずになすがままである。


どうなってるんだかまるで理解できない。

なんか避けてるってことしかわからない。


まぁ避けてるならええか!


若干諦めの入った感情でそう考えたところで気づいた。

敵増えとる。


シャールさんは相手を踏み台にしたり攻撃を誘発させて同士討ちを狙ったり、壁ジャンプやら屋根を伝うやらするものの段々とペースは落ちていく。


マグ(コウスケさん!あの建物じゃないですか!?)

コウスケ(ぽいね!)


ついにそれっぽい建物を発見。

そしてその近くで睨み合っているおじいさんとユーリさんのお父さん…ヤクモさんも見つけた。


あともう少し…なのだが……。


シャール「くっ……!」


シャールさんがそろそろ厳しそうだ。

迷宮都市でだいぶ捕まえ、さらに事前におじいさんが減らしてくれたにも関わらず、敵はまだこちらを完全に包囲できる数がいる。


というかこれ一般市民では?

おじいさんの話を聞いてた時からなんとなく想像してたけど、これ村民全員戦闘員では?


こういうの戦国時代でなんかあったような……なんだっけなぁ……?


ドーン!


コウスケ・マグ「(わっ!?)」


半ば現実逃避気味に要らんことを考えていると、謎の爆発と共に包囲の一角が吹き飛んだ。


エスト「追いついた!」

コウスケ・マグ「(エストさん!)」


狐人族を吹き飛ばして現れたのはさっき別れたエストさんだった。


ほんとにすぐ来た!

ってか今の爆発何したの!?


そんな俺たちをよそにエストさんはそのまま包囲網を敷いていた狐人族たちに突撃し蹴散らしていく。

たまに起こる爆発はどうやらエストさんの蹴りのようだ。


なんて見事なライダーキック。

そりゃ爆発だって起きるわな。(思考放棄)


そんなエストさんの頑張りもあってシャールさんが再び歩を進める。


もう少しで到着。

こっからは俺も頑張って説得…


エスト・シャール「「っ!?」」


もうすぐ到着というところで突然のバックステップ。

思わず驚きの声を上げようとしたところで目の前に大きな物体が飛んできた。


おじいさん「ぐっ……!」

コウスケ・マグ「(えっ……?)」


それはさっきまでヤクモさんと対峙していたおじいさんだった。


ヤクモ「まさかここまで来るとはな……」

コウスケ・マグ「(!)」


そして吹き飛ばした張本人…ヤクモさんが話しかけてきた。


ヤクモ「利口な子だと思っていたのだが、どうやら思い違いだったようだな、金髪の少女よ」

マグ(…えっ?)

コウスケ「あっ、わ、私ですか?」

ヤクモ「他に誰がいるというのかね」

コウスケ「いや…まさかピンポイントでこっちに来るとは思わなかったもので……」


そういうのって今のいままで戦ってたおじいさんの方に行くもんじゃないの普通?

しかもあなたの肉親よ?

こんなぽっと出のいたいけな少女に注目する理由ないと思うんだけど?


ヤクモ「ふむ。実力の差を知りながらも策を練りわざわざここまでやってきた幼子を不思議に思わないとでも?」

コウスケ・マグ「(……確かに……)」


普通に異質な存在だったわ。


ヤクモ「ここまで追ってきた執念は評価に値する。だが、ユーリは渡さぬ。そしてこの里のことを知られた以上放っておくわけにもいかない。ゆえに…選ばせてやろう」

コウスケ・マグ「(選ぶ……?)」

ヤクモ「そうだ。選択肢は二つ。一つはこちらに下り里のものとして生きること。ユーリの側使いの任を任せても良い」


つまり降伏勧告ってことね……。


コウスケ「もうひとつは?」

ヤクモ「里に押し入った不届きものとして処罰されるかだ」

コウスケ「まぁそうだよなぁ……」


降伏か死か。

よく聞く2択なわけだが……


コウスケ(まぁ答えは決まってるよね)

マグ(ですね)


なのでこちらもよく聞くやつで返してやろう。

第3の選択ってやつで。


コウスケ「じゃっ、ユーリさんを連れて帰る、ですかね」

ヤクモ「ふむ。どちらも断ると?」

コウスケ「むしろここまで来といてどちらかを選ぶと本気で思ってたんですか?」

ヤクモ「…そうだな。愚問であった。では…」


ヤクモさんが手を掲げる。

一斉攻撃でもするつもりか。


俺はそれに応えるようにバッグから杖を取り出す。

練習用じゃない、ガチの武器を。


それを掲げ、俺は心の中で身体強化(+その他諸々)の魔法…《纏雷(てんらい)》を思い浮かべる。


バチッ!


ざわ……。


ヤクモ「ほう……何か隠し玉があるとは思っていたが、その歳で無詠唱魔法が行えるとは大したものだ」

コウスケ「そりゃどーも」


周りのざわめき具合的に、本当に無詠唱というのは難しいのだろうなと改めて思う。


こんだけ実力者がいるんだから1人くらい使えても良さそうなものだが。


というかハードモードどころかインフェルノだかルナティックだかレベルの超高難易度コースに入っちゃった気がするんだけど、その割にはな〜んか落ち着いてるんだよなぁ。


火事場のバカ度胸ってやつかな?

そんな言葉あったか定かじゃないが。


まぁいいや。

こうなった以上こっちも全力でやれることやるだけだし、落ち着いてるのは良いことだ。うん。


無事に思考もまとまったところで、俺は掲げていた杖を下ろす。


ヤクモ「出来れば引き入れたい才能だが…ここで死ぬのが残念だ」

マグ(やれるものなら)

コウスケ「やってみろ」


ヤクモさんが手を振り下ろすのと俺の杖が地面に触れたのはほぼ同じタイミングだった。

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― 新着の感想 ―
マグの能力が覚醒して無差別スタンガンで一網打尽するとか? その場合味方も本人(笑)も痺れて動けなくなりそうではあるw そして痺れて動けないところにユーリが来て駆け落ちしたりしてwww
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