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408.あの子のアクセサリー…旅立ち前夜の子どもたち(+α)

準備は完了した。

用意してくれた自分の荷物も確認したし、リオが作ってくれた神装具たちもしっかりまとめた。


神装具はシャールさんが持ってきた黄色い布袋に全部入っており、これを旅の間シャールさんがバッグに入れて運搬。

作戦開始前に俺に渡すという流れだ。


出来ることならそのままシャールさんに運んでもらうか、マジックバッグを俺に貸して欲しいのだが、フォバと直接話したことのある俺が言ったほうが説得力があるし、マジックバッグもシャールさんたちのはハルキの特別製でそもそも家族以外に貸せないようになっているらしいので無理。


なので俺が持っていくしかないのだが……これを俺が全部担いでユーリさんに渡すのか…と考えると正直ちょっと怖い。

ちょっと怖いが、まぁとにかく準備はよし。


あとは明日寝坊しないように早めに寝るだけ…なのだがその前に。


リオ「マーガレット、ちょっといいか?」

コウスケ「ん?うん、大丈夫だよ」


布団を敷き詰めたところでリオが何か話があるようで俺を呼んだ。


コウスケ「どしたんリオ?」

リオ「えっと…さっきユーリさん用の装備をまとめただろ?」

コウスケ「うん」

リオ「でもそれ以外にも作っただろ?その……そう、オヤジから糸をもらうために作ったやつ!」

コウスケ「う、うん、そうだね?」


(マグ)のために作ってくれてたのは明白なのにまだ認めないのね……。

まぁ今はみんないるし、リオの性格的に難しいのは分かるからいいけどね。


コウスケ「それで、それがどうかしたの?」

リオ「いや、えっと……や、やっぱりなんでもない……」

コウスケ・マグ「(…?)」

パメラ「もー!ヘタレェ!」

シエル「そこはスパッと言ったりなさい!」

リオ「うっ…で、でもよぉ……」


コウスケ(な、なんか揉めてるね……?)

マグ(ですねぇ……ん〜…あっ、なんとなくわかったかも)

コウスケ(えっ、そうなの?)


そのままマグに教えてもらおうと思ったところでチェルシーが俺に話しかけてきた。


チェルシー「マギーちゃんマギーちゃん」

コウスケ「どったんチェルシー?」

チェルシー「マギーちゃんの荷物ってそれだけ?」


そう言ってチェルシーが指したのはメイカさんたちがまとめてくれたキャンプグッズ&ユーリさんに届ける神装具がこんもり入った黄色い布袋。


厳密には布袋はしばらくシャールさんの荷物なのだが、俺の荷物でもあるこたあるのでまぁ間違いではない。


あとは俺が元々持ってるマジックバッグの中にある着替えやら何やらが入っているくらいだ。

そのマジックバッグにキャンプグッズも入るだろうから実質的な荷物はほぼゼロと言っていい。


コウスケ「うん、そうだよ」

チェルシー「じゃあさじゃあさ。もう少しくらいなら荷物が増えても大丈夫そう?例えば身につけるものとかさ」

コウスケ「ん?まぁそれくらいなら……」


って…はは〜ん?読めてきたぞ。

そういうことなら乗らない選択肢は無いな。


コウスケ「いや、確かに必要だね。まったく無いのとちょっとでもあるってのは安心感が段違いだしさ」

チェルシー「でしょでしょ!でもあまりゴテゴテしたものは重くなっちゃうし、それにユーリさんのお父さんがあんな感じだからちょっと硬いくらいじゃあんまり意味がなさそうだし…だからお守り的な意味も込めてアクセサリーなんかがいいと思うんだけどどうかな?」

コウスケ「いいね。あーでも今から用意するのは難しいよね〜」

チェルシー「そうだね〜。ちょうど誰か持ってたりしないかな〜?(チラッ)」

コウスケ「そんな人がいたらありがたいけど、そこまで都合よく行くとは思えないよ〜(チラッ)」

マグ(わざとらしい〜)


そんなことないと思うけどなー。


シエル「ほらチャンスよリオ!」

モニカ「今いけばヒーローだよリオちゃん…!」

パメラ「覚悟決めちゃいなよ!」

リオ「よ、よぉし…!マ、マーガレット!」


コウスケ・マグ((キタッ!))


コウスケ「どしたのリオ〜?」

リオ「そ、その……こ、これ…!」

コウスケ「うん?あっ!」

マグ(これはっ!)


ついに勇気を出したリオが俺に差し出したのは、リオ渾身の作品であり、親方さんを納得させたあの髪飾りだった。


(マグ)のために作ったのになかなか渡してくれないと思っていたんだ。

でも自分からねだるのはなぁ…と遠慮してたんだが……


コウスケ「く、くれるの?」

リオ「う、うん……」

コウスケ「ほ、ほんとに?」

リオ「うん、ほんとに……」

コウスケ「……わはー…そっかぁ……!」


実際にあげると言われるとちょっと躊躇ってしまうわけで。

一応リオに念入りな確認を入れて、答えが変わらないことを確認した俺は、両手でリオから髪飾りを受け取った。


再び目にした髪飾りはやはり美しく、それが(マグ)のために作られたものだという事実にさらに喜びが込み上げてくる。


っと、そうだ。

いつまでも喜びを噛み締めている場合じゃない。


コウスケ「早速つけてみてもいい?」

リオ「お、おう」


リオに許可を取った俺はメイカさんたちがまとめてくれた荷物の中から鏡を取り出し、みんなに背中を見せながらいそいそと髪飾りをつけ始める。


ショコラ「わくわく!」

チェルシー「ワクワク!」


感情が口に出てるショコラちゃんたちに見守られながら、納得のいく位置に髪飾りをつけられた俺は軽く頭を揺らしてみて落ちそうにないかを確認。

大丈夫そうなので楽しみにしているみんなの方へ振り返る。


コウスケ「じゃじゃーん!どう?」

みんな『おぉー!』

リオ「…!」

チェルシー「マギーちゃんかわいい〜!」

パメラ「すごい似合ってるよマグー!」

コウスケ「えへへ…そう?」


リオが頑張って作ってくれた髪飾りが歓声が上がるほど似合っているというのはシンプルに嬉しい限りだ。


シエル「ほらほら、リオも何か言ってやんなさいよ」

サフィール「ご自分の作ったものが実際に身に纏われているご感想はありませんか?」

リオ「お、おぉ……」


シエルとサフィールちゃんに背中を押されて俺の前に立ったリオは、「えー…」とか「あー…」とか呻いたあとにようやく言葉が見つかったようで…


リオ「えと…その……よく似合ってる……」


とだけ言ってくれた。


照れながらも頑張って褒めてくれたその気持ちと、目も合わせられず耳まで真っ赤なお顔だからこそ本心だと分かる嬉しさで俺的採点で満点花丸120点です。


パメラ「え〜それだけ〜?」

モニカ「まぁまぁ…リオちゃんもがんばったんだし……」

シエル「まぁリオにしては気の利いたこと言った方じゃない?」

ショコラ「あはは、シエルも大して変わらないじゃん♪」

シエル「えっ…ショ、ショコラ……?あ、アタシ何かした……?」

ショコラ「えっ?なにが?」


やはり文句ありげなパメラちゃんがモニカちゃんに嗜められてる横で別の問題が起きかけているが…当のショコラちゃんはなんもわかってない顔をしているのでまぁ大丈夫だろう。


でも出発前に仲良くしろよとは言っておこう。


まぁそれはともかく、褒めてくれたお礼をちゃんと言わねば。


コウスケ「ありがと、リオ♪」

リオ「お、おぅ……」


お礼を言われてまたわかりやすく照れるリオを微笑ましく思いながら俺は髪飾りを外す。


メリー「……もうはずしちゃうの?」

コウスケ「うん。この髪飾りをどうやって持っていくか考えないと」

チェルシー「そっか。マギーちゃんのバッグに入れられないもんね」

パメラ「ずっと頭につけとけば?」

コウスケ「それでもいいんだけど、やっぱり寝るときとかは外した方がいいでしょ?汚れるから雨に降られるのも嫌だし」

モニカ「たしかに……せっかくリオちゃんが作ってくれたのに、汚れちゃったら悲しいもんね」

メリー「……べつでいれものをよういするとか?」

サフィール「それが妥当でしょうね。ただポーチなどに入れるなら、そのままよりもハンカチに(くる)むなどした方が良いですよ」

コウスケ「なるほど、それもそうだ」


リオが作ってくれた髪飾りは触って見た感じ頑丈な作りに思えるが、だからといって手を抜く理由にはならない。


むしろやりすぎなくらい丁寧に扱うのが正しいくらいだ。


コウスケ「そうと決まれば早速良さげな小物入れとハンカチを見繕ってこよう」

マグ(善は急げ、ですね!)

リオ「な、なにもそこまでしなくても……!」

コウスケ「おたわけ!」

ショコラ「おたわけ?」

コウスケ「リオがせっかく作ってくれた髪飾りを大事にせずして何が友か!」

チェルシー「誰か入ってないマギーちゃん?」

コウスケ「とーにーかーく!私だって汚したくないし、念には念を入れるの!玉ねぎできるくらい入れるの!」

シエル「何重にする気よ……」

メリー「……かさばりそう」

モニカ「玉ねぎだと身が無いよ?」

リオ「わ、わかったよぉ……///」

パメラ「わかったんだ……」


周りのツッコミを聞き流しながらリオを説得できたので、俺は自分の部屋に向かい良い感じの入れ物と包む用のハンカチを探しに行った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あーでもないこーでもないと悩んでいた結果、あまりに遅いので他の子たちも結局参加し、またあーでもないこーでもないと話し合った。


リオはその間嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を赤くして黙りこくっていた。


そんなこんなしつつも無事に納得のいくものを見つけたところで、そろそろ寝ようという話に。


時間的にはいつもよりも全然早いのだが、元々早く寝て明日に備えようという予定だったのでむしろ若干遅いくらいだ。


というかそもそももう寝ようとしてたところだったはずなのだが、リオに髪飾りをもらったことで完全に舞い上がってしまった。


しかしそれを言い訳にしたらリオが気に病むので絶対に言わないが。


そんなわけで寝ようとしたわけだが……。


コウスケ(う〜ん……)

マグ(眠れませんね……)


明かりを消していざ横になると、どうしても明日以降のことを意識してしまい、なかなか眠りにつくことができなかった。


こうなればマグとだべって寝落ちするというのを狙うか……。

そう思ったところで、周りから寝息が聞こえないことに気付いた。


コウスケ「……みんなもしかして起きてる……?」


そう問いかけても沈黙が返ってきたが、少ししたところでもぞもぞと動く音が聞こえた。


チェルシー「えへへ……バレた?」

サフィール「やっぱり気になってしまって……」

コウスケ「まぁそうだよねぇ……」


チェルシーとサフィールちゃんとの会話に反応して他の子たちも顔をこちらに向けてきた。


ほんとにみんな起きてたんだ……。


俺は作戦やら何やらで緊張しているが、みんなはみんなでもうあとはただ信じて帰りを待つしかない状態のため、実行組の俺と同じかそれ以上に不安なのだろう。


そりゃあ眠れないのもしょうがない。


コウスケ「ちょっとおしゃべりしよっか?」

モニカ「えっ?でも……」

メリー「……いいの……?」

パメラ「早く寝ないとなんじゃ……?」

コウスケ「このままだと眠れそうにないもの。お話してたほうが緊張もほぐれそうだし、そのまま眠れるかもしれないでしょ?」

リオ「なるほど。理にかなってるな」

サフィール「そうですね。不安なときはお話をすると良いですから」

シエル「まぁ、そういうことならいいわよ。マーガレットにはがんばってもらわないとなんだから」

コウスケ「うん、ありがと」

マグ(実際に体験したことのある子の言葉は違いますね……)


まぁ確かに。

もちろんその相談役だった俺もその効果はしっかり理解している。

おすすめしてくれるほど効果があるのは正直鼻が高いぜ。


モニカ「それじゃあ…うん、お話しちゃおっか」

ショコラ「マグは眠たくなったら寝ちゃっていいからね?」

コウスケ「うん、そうするね」

チェルシー「じゃあ何から話そっか?」

パメラ「西区のボンズさんが南区のトマーナさんを食事に誘った話する?」

サフィール「恋バナ…というやつですね!」

リオ「誰だよボンズさん」

シエル「誰よトマーナさん」

モニカ「食事に誘っただけで噂話になるってどういう人なんだろう……?」

メリー「……マグみたいなひとかな?」

子どもたち『あぁ〜』

コウスケ・マグ「(ちょっと?)」


そんなこんなみんなと雑談している間に、俺たちはいつの間にか眠っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


フォバ「う〜む…まさか六角関係だったとは……人口が多いとそういうこともあるのじゃな……」

コウスケ「そうそうないよ……」

マグ「でもボンズさんがまたトマーナさんとデートの約束が出来ていてよかったですね」

コウスケ「なんであんな紆余曲折あったのに普通に進展したんだよ……ってかもういいんだよそんな複雑怪奇な街の恋愛事情は」


複雑すぎて途中から授業を受けてるがごとく眠気が襲ってきたよ。

想定してた寝方と全然方向性が違かったよ。

俺はもっとキャッキャうふふして楽しい気分で寝落ちするもんだと思っていたのに……。


フォバ「いいじゃろ?大体お主が途中で寝なければボンズを付け狙っていたワンネイネがトマーナの父と繋がっていた真相が…」

コウスケ「やだよ怖いよ俺……普段過ごしてる街でそんなドロドロの恋愛模様が繰り広げられてるなんて知りたくなかったよ……」

マグ「えー?」


くっ、マグは向こう側だからこっちが不利か……。


コウスケ「それよりも!いよいよ明日なんですけど、なんかあったりしないんですか?」

フォバ「(わらわ)か?だって妾は夢の中で会うのだから別に別れるわけではないし」

コウスケ「あー…それはまぁそうだー……」


作戦前日まで話ができるってのはありがたいけどさー。


マグ「じゃあ一緒に旅ですね〜♪」

フォバ「うむ。その日その日のことを教えてくれると嬉しいぞ!」

マグ「はい!」

フォバ「うむうむ♪マーガレットは愛いの〜♪お主も恋人なら少しくらい真似てみたらどうじゃ?」

コウスケ「毎日完璧にマグしてます〜」


まったく…こっちは4ヶ月マグやってんだぞ?

もはや真似るまでもないわ。


フォバ「まっ、里までまだ数日あるのじゃ。それまでに気をやらないようにだけ言うといてやるわ」

コウスケ「えらそ〜」

フォバ「だって神じゃもの♪」

マグ「ふふふ♪仲良しですね〜♪」


ちょっと抗議したいぞ。


まぁなんだかんだフォバからも激励(?)をもらった俺たちはある程度話してから深い眠りについた。

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