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403.もう一押し…と危ない道(犠牲者1名)

寮に戻るとやっぱりフルールさんがすでにお昼ご飯を作って待っていてくれた。


フルール「あぁ、おかえり。そろそろだと思って作っておいたわよ」


そしてこのセリフである。

なんて人なんだフルールさん…!

知ってたけど…!


まぁそれはそれとしてお礼をする。


みんな『(ありがとうございます!)』

フルール「ん。並べるのは手伝ってね」

みんな『(はーい!)』


みんなで一斉に言うとフルールさんはなんてことないかのように軽く答えてお手伝いを促してきたので二つ返事で承諾する。


そうてみんなでササっと並べたところで揃って手を合わせ「いただきます」して食べ始めた…ところで、フルールさんがスープをひとくち飲んでからこちらに尋ねてくる。


フルール「それで、今日の調子はどうなの?」

リオ「ん…順調です。やっぱり難しく考えないで自分の作りたいと思ったものを作るのは楽しいですね」

チェルシー「リオちゃん見違えるくらい元気に作ってたもんね!」

サフィール「はい。マーガレットさんに甘える時間も減ってますし、昨日までと比べてだいぶ余裕を感じました」

リオ「そ、そんなとこまで見てなくていいだろぉ!?」

みんな『(あはははは♪)』


サフィールちゃんの言葉に慌てるリオの姿にみんなから笑いが出る。

当のリオは不満げにぶーたれていたが、ご飯をワシワシと勢いよく食べて誤魔化していた。


しかしリオには悪いが俺たちも同意見である。


コウスケ(目に見えて余裕が出来たからねぇ)

マグ(ですねぇ。でも甘えてくれる時間が少なくなったのはちょっと残念ですねぇ)

コウスケ(ははは。そうね、ちょっとだけね)


とはいえリオを甘やかすパターンもまたマンネリ化してきていたところだ。

やっぱ毎日数回甘やかしてたらネタ切れするって。


そういう意味でも元気になったのはありがたい。


俺が気分良く美味しいご飯をもぐもぐしている横で、メリーがリオに今日の成果を尋ねた。


メリー「……それできょうはなにつくったの?」

リオ「ん?あぁ、今日はまずネックレス作って…髪留め作って髪飾りも作って……」

フルール「ほんとにいろいろ作ったのね」

リオ「はい。なんかやる気が溢れちゃって」

フルール「そう。それはいいことね」

パメラ「……♪(にやにや)」

リオ「…なんだよ」

パメラ「別に~♪」

リオ「むぅ~……」


そのやる気が溢れている理由を知っているパメラちゃんがニマニマしていることに再びリオが不満げな声を上げる。


他の子たちもそれを微笑ましそうに眺めている中、サフィールちゃんが会話を進めてくれた。


サフィール「ただ、まだ親方さんに納得していただけるものは無いと言ってるんですよね……」

モニカ「あっ、そうそう。せめて見せるだけでもしてみればって言ったんですけど……」

フルール「ダメって?」

リオ「いやぁ……確かにちょっとは気楽にできてはいますけど、だからって出来も良くなったかと言われるとって感じで……」

シエル「そう上手くいくもんじゃないってことね……」

チェルシー「気の持ちようひとつで上達するほど甘くはないねぇ」

リオ「まぁオレもそこそこやってきてるから、そんな簡単なことではないとは思ってたけどな。それでも気の持ちようひとつで消耗具合がこんだけ違うんだから、そこまで残念がることでもないさ。とはいえ、このままだと最高の糸は諦めるしかないよなぁ……」

パメラ「う~ん……せっかくローズさんが協力してくれてるのにもったいないな~……」

ショコラ「もう直接お願いしてもらっちゃえば?」

リオ「多分ダメだ。少なくともオレがモノを持っていくか諦めるって伝えない限りは他の人には渡さないはずだ」


マグ(あ~…親方さんはそうかも……)

コウスケ(義理がたいからねぇ……それにリオに甘いし)

マグ(そうですね。あんなですけど)

コウスケ(あんなだけど)


超ざっくり区分分けするならきっとツンデレの部類だと思う。

誰得だよって思うのは多分俺がそういう気を持ってないからです。(謎配慮)


チェルシー「じゃあ諦めるけどユーリさんのために糸は欲しいってお願いしてみる?」

リオ「ん~…多分ダメじゃないかなぁ……事情が事情だから渡してくれそうな気もするけど、それもギリギリにならないとダメだと思うんだよな。最後まで諦めるんじゃねぇって感じでさ」

コウスケ「あぁ…言いそう……」

リオ「だろ?ってかオレはまだ諦めないからな?」

モニカ「えっ?でもさっき諦めるしかないかもって……」

リオ「このままだと、な。だからどうにか打開策を考えないとってことさ」

モニカ「なるほど……う~ん…でも打開策って言ってもなぁ……」

サフィール「そうですねぇ……私たちは応援しか出来ませんし、リオさんしかどこをどうしたらいいかなんてわからないでしょうし……」

リオ「まぁそうだよなぁ……」


みんなでう~ん…と悩み込む。


フルール「まぁとりあえず食べちゃいなさいどっちにしても午後も頑張らないとなんでしょ?」

リオ「そうですね…そうします」


見かねたフルールさんに促されて食事に集中する。


ふ~む……こればっかりは俺がどうにか出来ることでもないしなぁ……。

とにかく信じてあげることしか出来ないか。


メリー「……そういえば、あれはなにがはいってるの?」

コウスケ「うん?あぁ、あれはさっきローズさんが魔力糸を加工したよ~って持ってきてくれたやつ」

フルール「あら、早いのね?確か昨日持っていったんでしょ?」

リオ「はい。しかももう魔力糸も乾かせばいいだけのとこまで終わっているそうです」

メリー「……おぉー、はやい」

ショコラ「魔石は全部ローズさんが砕いたんだって~」

フルール「そ、そう……さすがね……」


あのフルールさんを引かせるほどのことをしているローズさん。

本人には自覚がないのが……いや、褒めてるんですよ?えぇ、大助かりしてますんで、ね?


コウスケ「まぁとにかく、ローズさんにも日程を伝えたので、それに間に合うように手を尽くしてくれるはずですよ」

フルール「そう。それは頼もしいわね」

メリー「……やっぱりローズもつれてけば?」

コウスケ「ま、まぁ…活躍しそうだけどね……?」

シエル「ユーリさんの里の人たちにお説教して回りそうね……」

パメラ「あぁ…やってくれそう……」

フルール「お節介だものね……」


どうしよう、ちょっと見てみたいな……。


好奇心が少し疼いたものの、やはりダメという結論を出してご飯を食べ終えた俺たちは、あと片づけを少し手伝ってから鍛冶ギルドへと戻った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さて、ローズさんの話題でちょっと流れていたが、大事なことがまだ決まり切っていない。


リオ「で…どうすればオヤジが納得するものが作れるかだよなぁ……」

シエル「まだ思いついてないのね……」


これである。

残念ながら鍛冶ギルドまで歩いてくる道中の時間を使っても良い案が出ずじまいだった。


チェルシー「う~ん……方向性は合ってる気がするんだけどなぁ……」

パメラ「まぁ楽しく作れるに越したことはないもんねぇ……」

モニカ「でもまだ納得できるものは無いんだよね?」

リオ「あぁ……今日作ったやつも良い出来だとは思うけど、これで満足してくれるかっていうと微妙かなって……」

サフィール「理想が高すぎるという可能性は?」

リオ「う~ん……そうかなぁ……いや、どっちにしてもオレが納得できてないものを出しても多分満足しない。妥協したってこともすぐにバレちまうと思う」

コウスケ「職人だねぇ……」


そうなるとやはりリオが納得できるものを作り上げなければならない。

そうしなければ親方さんに見せるターンに移れないのだから。


なかなか良いアイデアが出ない中、ショコラちゃんがあっと声を出した。


パメラ「どうしたのショコラ?」

ショコラ「えっとね!リオはマグのことを考えて似合うものを作ったら楽しく作れたでしょ?」

リオ「ぶっ!」


ショコラちゃんのオブラートに包む気の無さ全開な言葉にリオが吹き出す。


シエル「ショコラ……それは言わないであげなさいよ……」

モニカ「ダ、ダメだよショコラちゃん……!リオちゃんは恥ずかしがり屋さんなんだから……!」

ショコラ「え?」

リオ「……///(プルプル)」


あぁ…リオが……!

図星突かれたのと周りのフォローのいたたまれなさに火が出そうなほど真っ赤っかになって震えてらっしゃる……!

おいたわしや……!


サフィール「え、え~っと…ショコラさん、つ、続きを……!」

ショコラ「あっ、うん。えっとね。マグのことを考えて良くなったんだったら、もっとマグパワーをもらえばもっと良いものが出来るんじゃないかなって!」


久々に聞いたなマグパワー。


コウスケ「って、いやいや……さすがにそれは暴論な気が……」

チェルシー「…ありかも?」

コウスケ「チェル子さん?」

リオ「えーと……マジで言ってる……?」


ショコラちゃんの力技に同意したチェルシーにツッコミを入れる俺とリオ。


しかしどうやら俺たちは少数派のようだった。


パメラ「いや、案外いけるかもよ?」

モニカ「うん。やってみてもいいんじゃないかな…?」

リオ「えっ!?パメラはともかくモニカまで!」

パメラ「ねぇ、私はともかくってなに?」

モニカ「マーガレットちゃんはみんなのパワーの源でしょ?だからあながち間違ってないと思うの」

コウスケ「私今そんなとこまでいってんの?」

リオ「う~む……」

コウスケ「悩むの?一考の余地あるの?」

パメラ「ねぇ私はともかくって…」

シエル「はいはい、アンタたちはちょっと静かにしててね~」

サフィール「はい、いらっしゃいませ~♪」

コウスケ・パメラ「「んむっ」」

マグ(ハッ!ずるい!)


俺とパメラちゃんがシエルの手によって、おいでおいでするサフィールちゃんの胸にまとめて放り込まれた。


マグさん。

何回か言ったかもしれんがやっぱり言わせてくれ。

恋人が他の子の胸に飛び込んでる状況に対するセリフそれでいいんか?


サフィール「よしよ~し♪いいこいいこ~♪」


やめて!母性を感じさせないで!

目覚めちゃうから!


パメラ「…ママ……?」

サフィール「え?」

コウスケ「目覚めた!」


あかんぞパメラちゃん!

戻ってこれなくなるぞ!


チェルシー「サフィーちゃん……立派になって……ほろり……」


そうだね、すっかりコンプレックスを武器に使えるようになってたくましくなったねってそうじゃないよ?

ほろりって口に出してないで助けてくれないかな?


シエル「……(じー)」

サフィール「シエルさんもぎゅってしたかったらいつでも来ていいですからね?」

シエル「えっ!?ア、アアアアタシは別にそんな羨ましいとかなんて全然思ってないけどまぁ万が一にでもそういうときは遠慮なくするわねっ!?」

マグ(すごい……断ってるように見えてむしろ積極的にぎゅってする気満々だ……!)


あぁ…シエル……相変わらずのチョロさはともかく、やはりいつぞやのぱふぱふが刻み込まれてしまったのか……。

あぁ…同志(シエル)……。


リオ「お前らなぁ……」

モニカ「あはは…まぁまぁ」

チェルシー「それよりどうするのリオちゃん?試してみる?」


この惨状を「それより」のひと言で済ますかチェルシーよ……。

おめぇもあとでこっち側に引きずり込んでやるからな……。


マグ(コウスケさん…そろそろ交代を……!私にもサフィールちゃんのふにふにを……!)

コウスケ(あっはい)

マグ(わぁーい♪)


やっぱこっち側に引きずり込むのはやめてやるよチェルシー……。

お前は俺とツッコミ役に回って無駄に疲れる道を歩ませてやるよチェルシー……!


リオ「そうだなぁ……ほかに案も無いし、とりあえずやってみようかな」


俺たちが遊んでいる間にリオの考えはまとまったようだ。

ごめんリオほんとごめん。


リオ「つっても、もっとマーガレットのことを考えるって言ったってどうすりゃいいんだ?」

ショコラ「えっ?う~ん……わかんない……」

リオ「えぇ……」

チェルシー「……!(キラーン)」


ショコラちゃんは思いついたはいいものの、具体的なことまでは至らなかったようだ。

が、チェルシーがなにか閃いたようだ。

ちょっと悪い顔してる。


チェルシー「それはあれだよリオちゃん!」

リオ「あれ?」

ショコラ「どれ?」

チェルシー「普段アタシたちがやっていることのさらに向こう……!より濃厚な交わり……!それを想像するんだよ!」

リオ「はぁ?普段のオレたちのさらに向こうの濃厚な交わりぃ?なんのこっちゃ……ん……?」


あまりにも抽象的なチェルシーの言葉に意味が分からんと言った様子のリオであったが、何か思い当たったようで動きを止めた。


そして少しの間考え込み…再び顔を真っ赤っかにした。


リオ「おっおまっ…!おまおまえ!おまえまさか…!」

チェルシー「ふふふ、わかったようだねリオちゃん……どう?これだけいけば十分でしょ?」

リオ「だだだだからってお前そんな…だって、そんな……!オ、オオオレはそんな目でマーガレットのこと見てるわけじゃないし…!」

コウスケ・マグ「(えっ?)」


そんな目?どんな目?


よくわからん俺たちを尻目に、チェルシーがリオに近づいて耳打ちする。


チェルシー「リオちゃん……アタシはただより濃厚な交わりとしか言ってないよ?」

リオ「……!お、お前……!」

チェルシー「ふふふ…リオちゃんってむっつりさんだね♡」

リオ「ふんっ!」

チェルシー「ひぇっ!?ご、ごめんなさいぃっ!」


なんかひそひそしたと思ったらリオがチェルシーに殴りかかった。

チェルシーおめぇ何言った。


リオ「チェルシーてめぇこら待ちやがれ!」

チェルシー「ひぇぇぇごめんってばー!」

コウスケ「あーはいはいどうどう」

リオ「っ!」


狭い室内で追いかけっこを始めたふたりを止めるため、俺はマグと代わりサフィールちゃんに開放してもらって、リオを後ろから羽交い締めにする。

その隙にチェルシーはサフィールちゃんの背後に身を隠した。


コウスケ「チェルシーに何言われたかわかんないけど、暴力はダメだよ~」

モニカ「そうだよリオちゃん!叩くのはメッだよ!」

リオ「うっ…うぅぅ……そ、それは悪かったから……は、放して……」

コウスケ「え?あっうん……?」


なんだかしおらしいリオの様子を不思議に思い素直に放してあげる

解放されたリオはチェルシーに再び殴りかかるようなことはなく、ただ俺からちょっと距離を取ってもじもじし始めた。


リオ「えと…マーガレット……」

コウスケ「う、うん……?なにかな……?」

リオ「オレとお前はあくまで友だちだからな……?」

コウスケ「えっあっはい、そうですね……?」

リオ「うん…そういうことだから……」

コウスケ「う、ういっす……?」

マグ(???)


まるで理解できないが、とりあえず友だちではあるので頷いておく。


チェルシーお前ほんとに何言った?


リオ「よ、よし!そうと決まれば早速作るぞ!」

ショコラ「おぉー、がんばれー!」

コウスケ「お、おぉー……?」


なんか…ほんとになんもわからんが…リオが何か掴んだようだから……いっか……。


そう思うことにして、俺は気持ちを切り替えることにした。


サフィール「よしよ~し♪ふふっ♪ちょっと癖になってきました♪」

パメラ「あ~……ふにふに…甘い良い香り……♪」

シエル「……ごくり……!」

チェルシー「う~ん……サフィーちゃんのママパワーがここまでとはアタシもちょっと予想外だったなぁ……」


あっちはもう手遅れだ。ほっとこう。

そうじゃないと……


マグ(いいなぁ……)


こっちも多分落とされるから……。

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