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394.2回目のお昼の報告会…まだまだある課題

簡易なものとはいえ無事に腕輪を作り、ひとまず必要なものを揃える目処が立った。


この調子でどんどこ作っていこう!と息巻いていたリオだったが、その簡単なものでもトラウマによるストレスでめちゃくちゃメンタルがボロボロになってたわけで……。


そんな調子で簡易版からひとつだけでも難易度を上げるなんてしたら……


チェルシー「そうなるよねぇ……」


お昼。

昨日と同じく、ご飯兼情報交換のために我が家に集まったみんなに午前のことを話したらこの言葉が返ってきた。


()()、とは今のリオの状態のことを指しており、昨日と同じく俺にひっついているリオのことを見て苦笑しながらそう言ったのだ。


シエル「まったくもう……やる気だけは一人前なんだから……」

モニカ「まぁまぁ…それでもがんばってふたつも作ってくれたんだから……」


呆れているシエルにモニカちゃんがそんなフォローを入れてくれる。


しかし彼女の言うふたつ、というのは最初に作った腕輪と同じ簡易なもの。

しかも最初のアレを含めてふたつなので、実質あの後にひとつしか作れていないということになる。


とはいえ1個でも1時間掛かるのだから、それでも午前中だけでふたつというのは十分なのではないかと、素人的には思うのだが……。


そこんとこどうなんだろう?


フルール「さぁ……?」

サフィール「鍛治のことはよくわからなくて……」

チェルシー「アタシもさっぱり……」

おじいさん「鍛治は専門外でのぅ……」


誰も知らんかった。

親方さんに聞いた方が早いんだけど……リオがいる上にメンタルが荒れているときに聞くのもなんだかなぁ……。


パメラ「まぁでもとりあえず作れたんだからいいんじゃない?」

ショコラ「そうだよ!それは石がみっつ付いてるから…あとふたつ作ればいいんでしょ?」

メリー「……ぜんぶうでわ…?」

シエル「両腕ガッチャガチャになりそうね……」

リオ「さすがにそれはちょっと……」

チェルシー「あっ、復活した」


ショコラちゃんの超単純な目算は、メンブレ中のリオも思わず素に戻るレベルのようだ。


コウスケ「でも最悪それで済ませることになるかもよ?」

リオ「うっ……が、がんばります……」

コウスケ「ほどほどにね」

モニカ「そうだよ。無理してまた大ケガなんて絶対めっ!だよ?」

サフィール「合理的な意見としましても、今リオさんがケガをしてしまったら作戦に大きな支障が出ますから、本当に無茶なことはダメですからね?」

リオ「わ、わかってるよぅ……」

コウスケ「ん、ならよし。えらいぞ〜(なでなで)」

リオ「ん…♪」


みんなに注意されてしょぼくれるリオを、再び甘やかす。


そんな俺たちを見ておじいさんが感心したようにヒゲをさすりながら話しかけてきた。


おじいさん「毎度ながら、お嬢さん方はお嬢ちゃんのことを本当に信頼しているのじゃな」

ショコラ「うん!マグすごいからね!」

チェルシー「優しいし頼りになるし♪」

モニカ「一緒にいると安心するんですよ〜♪」

おじいさん「ほほっ、そうかそうか♪」


子どもたちの俺自慢に楽しそうに微笑むおじいさん。

一方俺はリオを撫でくりまわすことで照れ臭いのを誤魔化していた。


サフィール「くすくす♪」


サフィールちゃんが俺を見てめっちゃ笑って いるが多分誤魔化せていると信じとく。


メリー「……♪」


メリーもなんかニコニコしてるが信じとく。


リオを一心に撫でる俺を尻目に、今度はメイカさんが口を開いた。


メイカ「ユーリちゃんもこんな感じでマーガレットちゃんのこと好きだったのよ?」

おじいさん「ほうほう」

フルール「一時期はずっと一緒に寝てたくらいだしね」

おじいさん「なんと」

パメラ「一緒にお風呂にも入ったんですよ〜♪」

ショコラ「みんなで洗いっこするの楽しいよね〜♪」


俺の精神は削れるけどねー。


おじいさん「ほう……仲が良いのはよくわかったが……今どきの子はそれくらいの距離が普通なのかい?」

シエル「う、う〜ん……他の子のことはよく知らないけど……多分ここまでではない…かも……?」

リオ「まぁ…そもそも大勢で入れる風呂や寝れる部屋なんかは普通の家にはないしなぁ……」


マグ(そうですね〜……たしかに村にいたころよりも近くなったとは思いますけど…コレくらいならまだ普通じゃないですかね?)

コウスケ(女子の普通は未だにわからんから、俺にはなんとも……)


そのおかげでちょいちょい苦労があるわけだしな。


なんて考えたところで、同じように考え込んでいたショコラちゃんがおじいさんの質問に答えた。


ショコラ「ん〜、ショコラもよくわかんないけど〜…でもショコラはみんなとお風呂に入ったり一緒に寝たりするの楽しいよ!」


コウスケ(う〜ん…ショコラちゃんらしいまっすぐな答えだ)

マグ(ふふふ〜♪)


マグが友だちを褒められて誇らしげだ。


コウスケ(自慢げなマグも可愛いよ)

マグ(むふふー!)


マグが俺に褒められてめっちゃ嬉しそうだ。

そこ超えちゃアカンのでは?


ショコラ「だからユーリさんともまたお風呂に入りたいし一緒に寝たいしそれからそれから〜…とにかくいっぱい遊びたい!だからがんばるよ!」

おじいさん「ほっほっほっ♪そうかい、それは頼もしい限りじゃ♪」

ショコラ「むふん♪」


見てくださいあの得意げに胸を張る姿。

とってもキュートですね。

あの子あれでマグやサフィールちゃん(10歳)より1個年上なんですよ。


あぁそうだ。


コウスケ「モニカちゃん、サフィールちゃん。今朝鍛治ギルドの前でエストさんとシャールさんが待っててさ。話は聞いたから協力するよ〜って言ってくれたよ」

サフィール「あっ、本当ですか?」

モニカ「もう!?早いね〜」

リオ「なっ。多分話を聞いてすぐに来てくれたんだろうな」

コウスケ「二人が朝早くに行ってくれたおかげだよ。ありがとね♪」

モニカ「えへへ…♪」

サフィール「どういたしまして♪」


お礼を言われてニッコニコのふたりがとても微笑ましい。


ショコラ「ハッ!はいはいはい!ショコラたちも良いことあるよ!」


と、そんなふたりになにかを思い出した様子のショコラちゃんが元気よく手をあげた。


コウスケ「何があったの?」

ショコラ「商業ギルドに行ってちゃんとお話してきたよ!」

コウスケ・リオ「「おっ」」


そうだ。

ショコラちゃんとパメラちゃんには商業ギルドに魔力糸の加工職人の協力を依頼しに行ってもらったんだった。


コウスケ「良いことってことはもしかして?」

ショコラ「うん!協力してくれるって!」

リオ「おぉっ!やるな!」

ショコラ「えへん♪」


再び胸を張るショコラちゃんに癒されながら、パメラちゃんが細かい説明をしてくれた。


パメラ「受付の人とお話してたらいつの間にかミュイファさんが後ろにいてね?腕の立つ人を探してくれるんだって」

ショコラ「決まったら教えてくれるって言ってたよ!」

コウスケ「おぉ〜!それはありがたい!」

ショコラ「でしょでしょ!」


これで魔石を服に変える選択肢も取れるようになった。

装備の幅がさらに広がったな。


ショコラ・パメラ「「じー……」」


じゃあ凄い見つめてくるこの子たちにお望みのものをあげないとね。


コウスケ「ふたりともありがとう。助かるよ♪」

ショコラ・パメラ「「ふふ〜ん♪」」


これだけでこんなに喜んでくれるなんて本当にコスパの良い子たちだなぁ……。

まぁその分普段の生活でなんやかんやしてるわけだが……。


シエル「……」

サフィール「……」


そんなふたりを見て、シエルやサフィールちゃんたち情報収集組がそわそわし始めた。


この子らも褒められるの好きだからな…と思ったのだが、なんだかちょっと様子が違う気がする。

どことなく申し訳なさそうな雰囲気が出ているのだ。


コウスケ「えっと…どうしたの?」

サフィール「あっ…えっと……」

シエル「…実は……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メリー「……みんなせいかゼロ…?」

シエル「ごめんなさい……」


おずおずと話し始めたシエルたちのその内容は残念な結果のお知らせで、シエルが本当に申し訳なさそうに謝った。


チェルシー「同じお話を別の人の視点から書いたものとか増えてきて……」

サフィール「なんとなく予想はしていたんですが、情報はもう大体出揃った感じですね……」

モニカ「ごめんねマーガレットちゃん……」

コウスケ「う〜ん、そっかぁ……まぁしょうがないね……」


セインディア様が口出ししたみたいだし、情報がある程度統一されてるんだろうなぁ……。

それならこれ以上はもう望み薄かも。


じゃあ代わりに何をしてもらおうかなぁ……?

こっちの応援に来てくれると嬉しいんだけど、こっちにはふたりきりじゃないと素直に甘えてくれないリオがいるからなぁ……。


これまでのあれこれや、昨日今日とガッチリ俺にしがみついているところをバッチリ見られているわけだが、それでもプライドがまだ少し残っているようで、他の子がいるところではちょっと遠慮が見られるのだ。


まぁほんとにちょっとなので、今回みたいにメンタルがぐずぐずなときは周りの目を気にせず(する余裕が無い)甘えてくるわけだが。


なんて考えていたら、その当人であるリオがみんなを誘った。


リオ「なら午後からはオレたちの手伝いをしてくれよ。やっぱふたりだとどうしても手のかかることがあってさ」

チェルシー「えっ、いいの?」

リオ「おう」


俺が今考えていたことと同じようなことを思ったのだろうチェルシーがパメラちゃんやモニカちゃん、サフィールちゃん、そしてメリーと目で会話している。


多分今見た子らは「わかってる組」なんだろう。


ショコラ「?」


ショコラちゃんはまぁわかってなさそう。

というかこの子は「(マグ)に甘えるのは当たり前」くらいに思ってそうだから、リオが甘えてもそこまで気にしないのだろう。


むしろ自分も甘えたい!って思いのが強そう。


シエル「でもあんたマーガレットとむぐっ」


そして口に出すのがシエル・クオリティ。

パメラちゃんに口を押さえられ無力化されました。


リオ「ん?ど、どうしたんだ?」

パメラ「なんでもないよ〜」

チェルシー「それじゃあアタシたちもお手伝いさせてもらうね!」

モニカ「が、がんばるよ!」

リオ「お、おう、よろしく…?」


突然の奇行に疑問を持つも、勢いに押されて話を終わらせられてしまった。


そりゃあ目の前で口押さえられてちゃ困惑するでしょうに、押し切ったよこの子たち。

なかなかやるね。


おじいさん「ふむ、では最後は儂の番じゃな」


そしておじいさんが空気を読んで何事もなかったかのように話を進めてくれた。


サフィール「おじいさんはココさんが捕まえたお仲間さんの説得に行ってらしたんですよね?」

おじいさん「左様。ひとりでもこちらに協力してくれれば多少は楽になると思ったのじゃが……」

フルール「あまり芳しくなさそうね」

おじいさん「面目ない……想定はしていたが、仮にも族長の親である儂の言葉にここまで耳を貸さんとは思わなんだ……」

メリー「……うらぎりものだから?」

チェルシー「それであのダメパパがみんなにおじいさんはダメだぞ〜って広めたとか?」

おじいさん「あり得るのぅ……離れてわかるが、ただ愚直に規律を守る集団とはなんとも厄介なものじゃわい……」


ふぅ……とため息を吐くおじいさんに、ショコラちゃんたちとモニカちゃんが背中をさすったりお茶を勧めたりしている。


もう完全に爺と孫。


そんなおじいさんはお茶を飲んで一服した後再び口を開いた。


おじいさん「ふぅ…お嬢さん方ありがとうの。さて、それでは次の話に移ろうかのぅ」

コウスケ「次の話ですか?」

おじいさん「うむ。協力者と神装具の目処が立ったのは良いが、まだ探さなければならぬことがある」

パメラ「なんだろう?」

ショコラ「ご飯!」

おじいさん「ほっほっほっ♪ご飯も大事じゃが、それよりも大事なのが足じゃよ」

ショコラ「足?」

リオ「里まで行くための移動手段ですね」

おじいさん「左様」

コウスケ・マグ「(なるほど)」


確かに重要なことだ。

今ある問題の中に、作戦に適している里の祭日…《奉納日》に今のままだと間に合わないというのがある。


次の奉納日を逃すとその次は1ヶ月後。

それだけあれば諸々の問題は解決できるだろうが、その分ユーリさんの負担も増えることを忘れてはならない。


ここもなんだかんだ言ってずっと悩んでいるところだ。

早さか確実性か。


しかし相手が相手なので確実性も何もないというのがやっぱり出てくるため、早さ優先になるのだ。

俺は。


ともあれその早さを選ぶためにはおじいさんの言う()がいる。


里へ急行するための足。

前世で言うなら車などのことだ。

こっちだと馬とかになるんだろうな。


だが馬と車じゃもちろん早さが段違いなわけで。

そもそも車のパワーの単位、馬力ってのは馬何匹分っていう計算なわけで。

そら段違いだわな。


そんなわけで問題のある早さなわけだが……。

…ハルキが車とかしれっと持ってたりしないかな……?


ってそういえば、確か前にイカつい馬をモーリッツさんに貸し出してたよな。


あの馬は……普通の馬何頭分なのだろうか?

ともかく足が速いってのは言ってた。

遠くのヤマトの国との交易を、本来の日程よりも短く済ませたと言っていたのを覚えているからな。


その馬を借りれればワンチャン…ってとこか?

でもおじいさんが言ってた到着予定日数って、おじいさん基準の予定日数だと考えた場合その馬よりも早く移動する恐れがあるから……。


いやでも体力的な問題とかも考慮しての日数だとすると、やっぱり乗り物があったほうがいいよな……?


という考えで合っているということを、その後のおじいさんの説明で理解した。


おじいさん「儂も一応里の者として鍛えている身。やろうと思えばここから数日足らずで里まで行くことも可能じゃろう。じゃがそれは着いた後のことを一切考慮しない場合の話じゃ」

チェルシー「その後戦いになるって話だから、体力が無くなってちゃダメだよね……」

おじいさん「その通り。そこで代わりの足の調達が必須なのじゃ。馬だけでもいいが、お嬢ちゃん方の体調なども考えると馬車くらいはあった方がよいじゃろう」

パメラ「でもそれだと遅くなっちゃいますよね……?」

おじいさん「うむ。じゃから出来れば足の速いものが良いのじゃが……さすがにそこまでは儂にもわからぬ。自分の足があれば良い…というのもあるが、この街はちと動きづらい。そこかしこに監視の目が張り巡らされておるからのぅ」

リオ「隠密ギルドが目を光らせてくれてますからね。確かにずっと見られてるって考えると少し思うところがありますけど、やましいことをしてなければ頼りになる人たちですよ」

コウスケ「割と気さくな人が多いしね」

おじいさん「ほほっ、耳が痛いのぅ。まぁおかげで、ついつい探りを入れてしまうのは悪い癖じゃと気付かせてくれたがの」


ほっほっほっ、と朗らかに笑うおじいさん。


コウスケ(でもこんな気さくなおじいさんがユーリさんのおじいさんで、とんでもない実力を持っているんだよなぁ……)

マグ(ほんと、人は見た目によらないですねぇ……)


隠密ギルドの人たちと話している時も微かに思っていたそれを改めて感じた俺たちは、ちょっと日頃の言動に気を付けよう、と密かに心に決めた。


とまぁそんな感じで2日目のお昼の報告会は終了。

課題としては足の確保が一番高い壁として残った形だ。


だがまぁそこは…ね?


チェルシーの方をチラッと見ると、チェルシーも同じタイミングでこちらをチラッと見ており目が合ったので、互いに頷いた。


うん。

午後のチェルシーの行動は変更かな。

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