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388.第一次進捗報告会…甘えんぼドワーフを添えて

コウスケ「落ち着いた?」

リオ「おう……すまん……」

コウスケ「ええんやで」


自分が今回の計画で一番重要な部分である補助装備を作ることになってしまい、親方にはカッコつけて啖呵を切ったものの、二人きりになった途端に不安でいっぱいいっぱいになってしまったリオを小一時間宥め続け、今ようやく落ち着きを取り戻した。


コウスケ「じゃあ早速で悪いんだけど…とりあえず、装備作る時はまずどうするとか決まってることってあったりする?」

リオ「んっと…まずはある程度の形を考えることだな。で、それを紙に起こして忘れないようにしつつ、追加するものや削るものを探していくんだ」

コウスケ「なるほど」


形が決まってないと作ってる途中でも迷走し始めるもんな。


コウスケ「それじゃあそうだなぁ……あまり嵩張らず、それでいて魔石を10個以上埋められそうな装備品となると……う~ん…腕輪とか……あっ、籠手(こて)とかどう?」

リオ「ん~……籠手かぁ……わるかないな。少しならサイズ差も紐の調整とかでどうにかなるし……」

コウスケ「あとはベルトとか……」

マグ(マント!)

コウスケ「マント……」


マグの勢いある発案にうっかり口に出してしまったが、マントとか布系は魔石を付けるには向かないんじゃ……?

そう思ったものの、どうやらリオ的にはありのようで反応は悪くなかった。


リオ「マントかぁ……そうだな、それもいいかも」

コウスケ「えっ……自分で言っといてなんだけど、マントのどこに魔石を付けるの……?」

リオ「いや、マントとかの場合は魔石は粉になるまで砕いて、それを水に溶かした魔力水ってのを糸に染み込ませて、それで服を作るんだ。混ぜ物にする都合上、砕く前と比べて魔力の保有量は同じなのに質量は増えちまうことになるから、籠手とかと比べりゃ嵩張るもんになっちまうんだけどな。けど糸や水も上のランクの魔物が落とす素材にすれば、そっちに元からあった分の魔力と合わせて元の魔石とほとんど同じ保有量に近づけられる。物に寄っちゃそれ以上になるかもな。しかも石よりも糸の方が加工がしやすいし使い勝手もいい。ただまぁ砕いて染み込ませた物だから、分けて使えばもちろん薄くなってる保有量はもっと減るし、余った分の保管をしっかりしとかないと混ざったりいつの何の糸なのか分からなくなったりするから気をつけないといけないし…何より素材から作ってるわけだから、完成までに時間がかかっちまうってのが結構面倒なんだよなぁ」

コウスケ・マグ「(ほぇ~……!)」


そうなのかぁ……。

なるほど…糸に染み込ませるってのは想定外だった。


リオ「それに一番の問題があってな……」

コウスケ・マグ「(一番の問題?)」

リオ「あぁ……実は……鍛冶ギルド(うち)で服飾系の仕事できる人がいなくてな……」

コウスケ・マグ「(えっ……)」


大問題じゃん。


コウスケ「い、いやでも待って?鍛冶ギルド(ここ)にはその糸で作られたであろう服とか並んでなかった?」

リオ「あぁ、あれは魔術ギルドや商業ギルドの助っ人に手伝ってもらって作られたやつなんだ」

コウスケ「えっ、魔術ギルドは分かるけど…商業ギルド?」

マグ(いろいろ新しいものの開拓はしてますけど、装備開発なんてしてましたっけ?)

リオ「ほら。商業ギルドはいろんな店や人と繋がってるだろ?だから向こうに頼んで服飾職人に手伝ってもらってるんだ」

コウスケ・マグ「(あっ、なるほど)」


商業ギルドを通して外部に依頼してるってことか。


リオ「マントなら羽織るだけだし選択肢としてはありなんだけど……やっぱり時間がな。良いものを作ろうとしたら素材を集めるのも一苦労。糸に魔力水を染み込ませるのも時間がかかるし、そっからどこかに作成依頼を出して…で、依頼を受けた人に寄っても時間が結構前後するから……」

コウスケ「もしそうするなら早い方がいいってことね……」

リオ「まぁそういうことだな」

コウスケ・マグ「(う~ん……)」


元から作るとこから始めるわけだし、ある程度の時間がかかるのは分かってはいたが……。

作る物やその方法によってもかかる時間がだいぶ変わるのか……。

いや、普通に考えりゃそりゃそうだって話か……。


コウスケ「とはいえ、急いで決めればいいってもんでもないよねぇ……」

リオ「あぁ。つーかそもそもオレが本当にそんなもん作れるのかってところから問題なんだけど……」

コウスケ「そこは…頑張るしかない…かなぁ……?」

リオ「だよなぁ……はぁ……」


マグ(う~ん……やっぱり不安だよねぇ……いきなりそんな大事なこと任されちゃあ……)

コウスケ(とはいえ親方さんの言い分も分かるからなぁ……まぁとにかく俺たちはしっかり支えてあげよう)

マグ(ですね)


再び不安に(さいな)まれるリオをまた励ましながら、俺たちはひたすら案を出し合い続けた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


お昼。


特に示し合わせたわけでも無いのだが、いつもくらいの時間に白兎亭前に集まった俺たち。

もはや慣れたもんだと感心しつつ、さすがに店の中で出来る話ではないのでそのまま我が家に直行し、フルールさんに料理を作ってもらっている間に早速それぞれの進捗を報告しあう。


その間おじいさんはまだ作戦を詰めているようで、少し離れたテーブルに置かれた紙とのにらめっこに集中していた。


コウスケ「……とまぁ、私たちはこんな感じかな」

パメラ「そっか……リオが作ることになったんだ……」

メリー「……リオだいじょーぶ……?」

リオ「心配ない…とは言い切れないんだよなぁ……さすがに大役すぎてずっと緊張しっぱなしなんだよ……」

サフィール「それは辛いですね……」

ショコラ「でもリオがユーリさんのことをよく知ってるのは間違いないし、ショコラもリオが作るのが良いと思う!」

リオ「いやぁ…オレもそれは分かるんだよぉ……!でもやっぱ怖いんだよぉ……!」

ショコラ「あわわわ……ご、ごめん……」

リオ「いや大丈夫!そう言ってくれるのは職人として嬉しいし……ただ自分の腕が追い付く気がしないだけで……!」

コウスケ「おぉ~…よしよし落ち着け落ち着けぇ?ほぅらマーガレットさんの良い香りだぞぉ?」

リオ「な、なんか変態っぽくてヤなんだけど……!……すぅ……はぁ……」

シエル「吸うんかい」

モニカ「マーガレットちゃんの匂いは落ち着くからね~♪」

マグ(うんうん♪)

コウスケ(あなたの体ですよ?)


なんてツッコむ俺だが、もし先に頷かれなければ俺の方が誇らしげに頷いていたかもしれないので、正直人の子とは言えない。


シエル「でもなんだかんだ案は絞れたのね?」

コウスケ「うん。元々選択肢も少なめだったしね」


俺の胸に顔をうずめるリオの頭を撫でながら会話再開。


そしてそうなのだ。

実はもうある程度絞っている。

それは説明中にテーブルの上に出した紙に書きあげられている。


サフィール「まる…籠手、服、マント、ベルト、ティアラ…王冠……」

モニカ「さんかく…腕輪、えっと…よろい…?」

コウスケ「うん、合ってる合ってる」

モニカ「やった♪よろい、くつ、下着……」

パメラ「ばつは指輪とヘアピンとヘアゴム……」

コウスケ「とりあえず大きさ的に無しっていうのが✖。△はちょっと問題があるけどそれさえどうにかすればまぁ良さげ…って感じで、〇がまぁ無難なところかなぁ?って感じのやつ」

サフィール「ティアラと王冠は無難なんですか……?」

チェルシー「大きさ的には確かに大丈夫そうな気はする……」

ショコラ「ユーリさんティアラ似合いそうだね♪」

シエル「それは…思うけども……」

メリー「……(こくこく)」


まぁ王冠に関しては半ばジョークみたいなもんです。

ティアラは…いけそうならやってもいいんじゃねぇかなと。


パメラ「う~ん……でもマントとかって作れるの?リオ裁縫できたっけ?」

ショコラ「それに魔石って石なんでしょ?どうやって布にするの?」

コウスケ「それはねぇ……」


俺は未だはなれないリオの代わりにさっき聞いたことを話した。


ショコラ・パメラ「「へぇ~!そうなんだ~!」」

モニカ「そんなことができるんだぁ……すごいね!」

コウスケ「ねっ。私も驚いたよ~」

ショコラ「あれ?シエルたちは驚いてないね?」

シエル「アタシはマスターから聞いてたからね。それにその糸で作られた魔法繊維の服は魔術ギルド(うち)の人たち仕事で使うから普通に着てるし」

サフィール「私も同じように私のマスターから……」

チェルシー「お兄ちゃんがよく使ってるから!」

ショコラ「そっか~」

シエル「というか他のギルドの制服もその繊維で出来てるって聞いたんだけど?」

コウスケ「えっ、そうなの?」

シエル「えぇ。その証拠に結構着てるけど色落ちとかしてないでしょ?」

コウスケ「……そういえば……」

パメラ「はぇ~……知らなかっただけでいつもそんなすごいの着てたんだぁ!」

ショコラ「だから動きやすかったんだ!」

サフィール「そうですね。動きを補助する魔法も込められているそうですから」

コウスケ・マグ「(そうだったんだぁ……)」


初耳~。


コウスケ「リオさっき教えてくれてもよかったんじゃないの~?(むにむに)」

リオ「んぁ~……だって別に聞かれなかったしぃ……」

パメラ「というかリオはいつまでマグにくっついてるの?」

ショコラ「ずる~い!ショコラと交代しよ!」

モニカ「わ、私も!」

メリー「……(じ~)」

リオ「もうちょっと~」

サフィール「ふふふ♪リオさん可愛い♪」

チェルシー「それだけ不安なんだよ~」

シエル「も~……だからってベッタリしすぎじゃない?前までは人前でこんなベッタリしなかったじゃない」

サフィール「そうですね。マーガレットさんがそれだけ凄いのか、それとも私たちの前なら大丈夫だと思ってくれてるのか」

チェルシー「後の理由なら嬉しいけど~……マギーちゃん強いからな~♪くすくす♪」


好き勝手言ってんなぁ。


まぁでも?

俺もすでにこの甘やかし生活4カ月目ですし?

それだけ強化されていても不思議ではない!かもしれない!


と、調子に乗ったところでパメラちゃんが気付いた。


パメラ「あれ?リオの耳……」

リオ「っ!(サッ)」

パメラ「……ほほ~う?(ニヤニヤ)」

ショコラ「あっ!ほんとだ赤~い!」

シエル「な~んだ。恥ずかしくなって離れるに離れられなくなっちゃっただけじゃない」

サフィール「予想が外れてしまいましたか~」

チェルシー「結構良い線行ってたんだけどね~♪」

リオ「……///(シュ~)」

コウスケ「おぉう…熱い熱い……あんまからかわないであげて~?」

みんな『は~い♪』

リオ「うぅぅ……///」


ありゃ。

服ぎゅって掴んでより離れなくなっちゃった。

あははは、ごめんごめん。(なでなで)


コウスケ「まぁとにかく、こっからまた厳選していくってことで。みんなはどう?何かわかったこととかあった?」

ショコラ「うん、聞けた!…けどぉ……」

パメラ「ナバロさんに聞いたらすんごい長いお話が始まっちゃったけど……」

ショコラ「抜けれたけど……まだ途中なんだよね……」

コウスケ「おぅ……」


熱く語っちゃってるのね……。

むしろよく抜けてこれたな……。


パメラ「でも、なんか過去にセインディア様も降りてきてたみたい」

ショコラ「あっそうそう!神官さんに乗り移ってこの世界を近くで見てたことが何回かあったんだって!」

パメラ「セインディア教の中では有名なお話らしいよ?」

コウスケ「へぇ~…そうなんだ……」


セインディア……光の神様だね。

何回か例があるってのはちょっと心強い。


チェルシー「地上が好きなのかな?」

サフィール「見定めていたのかもしれませんよ?この世界に存在価値があるのかどうか」

シエル「怖い怖い…サフィール怖いって……」


コウスケ(暗黒面が出てる……)

マグ(本当に信仰心とかまるで無いですよね…サフィールちゃん……)


モニカ「あはは…神様もご飯とか食べたかったんだよきっと……ねっ?」

サフィール「そう…ですね。すみません」

コウスケ「あっはい」


多分俺らの空気を変な感じにしたことへの謝罪であって、神様に偏見持ってごめんなさいとかでは決してないんだろうなぁ……。


それをシエルも察したようで、無理やり話を戻そうとショコラちゃんたちに話しかけた。


シエル「え、え~っと……ナバロさんのお話ってまだ途中なんでしょ?もしかしたらもっと詳しい内容とか出てくるかもしれないわね?」

パメラ「そうだねぇ……まだいろいろ知ってそうではあるんだけど……」

モニカ「けど?」

パメラ「それが私たちが欲しい情報なのかどうかが……」

ショコラ「今神様が誕生したところから詳しく話し始めちゃってて……」

パメラ「勢いも強いし、すごく嬉しそうに語ってくれてるから止めづらくて……」

シエル「二人ともよくここに来れたわね……」


コウスケ・マグ((ほんとにね……))


ショコラ「みんなとお昼食べるからって言ったら許してくれた」

パメラ「あそこで止めなかったら多分夜までずっと話してた……」

コウスケ「おぅ……おつかれ……」


テンションぶちあがってる人って止めにくいよね……。


パメラ「あっでも、その際は神様のチカラを受け止めきれるように、しん…そう…ぐ…?っていうのを付ける習わしがあるんだって!」

コウスケ「しんそうぐ?」


多分、神装具、かな?


ショコラ「そうそう!でも、詳しいことは秘密なんだって……」

パメラ「ものすごく大事な物だからナバロさんも知らないんだって」

コウスケ「う~ん…そっかぁ……まぁしょうがないか」


神様を降ろせる装備なんて、魔の刺した奴がいくらでも欲しがるお宝だもんね。


パメラ「私たちはこんなところかな」

コウスケ「うん。ありがと。それじゃあ次、シエルんところは?」

シエル「ん…そうね。アタシたちは他に神様が依り代を使って降りてきたことが無いかをマスターに聞いたり勧めてくれた本を読んだりしてきたわ」

チェルシー「うん。セインディア様ももちろん載ってたけど、他にも割と降りてきてた事例があるらしいんだよね」

コウスケ「そうなの?」

チェルシー「うん。とはいえ時代はバラバラだし、神様同士も出会ってないみたいだし……」

シエル「そもそも全部口伝なのがね……中にはウソっぽいのもあったから、信憑性があるかって言うとちょっとねぇ……」

サフィール「今回の件もそうですが、やっぱり表には極力出さないようにしているみたいですね……」

パメラ「まぁ神様なんていたらみんな驚くもんね」

シエル「とはいえ、結構神様じゃないと説明が付きづらい事象とかもあって、その時期に大体降りてるって話が重なってたりしてたからまったくあり得ない話ではなさそうなのよね」

コウスケ「ふむ……前例があるのは間違いないって考えてよさそうだね」


問題はその結果なんだけど。

その依り代の人がどうなったのか……。

神様が降りてきているというのは、ちゃんと依り代の人が無事の状態だったのか…それが一番大事なのだ。


そして、そのことをサフィールちゃんたちがしっかり調べてきてくれていたようだった。


サフィール「では私たちの番ですね。私たちは神様が降りた後のこと。依り代と呼ばれる人がどうなったのかを中心に調べてきました」

コウスケ「さっすが。助かるよ」

サフィール「ふふ♪ありがとうございます♪」


褒められてめちゃくちゃ嬉しそうなサフィールちゃん可愛い。


サフィール「結論から言いますと、依り代と呼ばれる人たちの死亡例は数が少なく、神様が依り代の方から抜けた後も生存が確認できた人がほとんどでした。といっても、まだまだ見れていないものはありますし、これもきちんと正しい情報なのかは分かりませんが……」

モニカ「でもでも、神様がいなくなった後も神の使いとして天寿を全うした、っていうお話が多くて、その少ない死んじゃった人も、元々お年を召してたかららしいよ?」

コウスケ「なるほど~?」


コウスケ(なんかちょっと…怪しくない……?)

マグ(う~ん……そんな上手く出来てるものですかねぇ?)

コウスケ(だよねぇ……)


それはやはりサフィールちゃんも感じているようで、少し難しい顔をしていた。


サフィール「すみません……どうしても神様の方に焦点が行ってしまって、なかなか依り代の方の描写がないんです……」

モニカ「うん……ものすごく簡単に終わらされてるものばかりで……ごめんね……?」

コウスケ「いやいや、十分ありがたいよ。そこが一番知りたいところだったからね。二人ともありがとう」


さて…まだ調べる余地がありそうだけど、ひとまず最低限欲しい情報は出てきたかな……。


う~ん……正直なんとも言えない感じではあるものの、とりあえず神様が降りることと依り代が必要なことは確定……。


そして装備も必要なのも確定…かな?

それの詳細は分からないけど、ひとまず方向性は間違って無さそう。


フォバのプランが絶対に無理ってものではないことは正銘されたか。


コウスケ「ふ~む……となるとやっぱ、とりあえず私たちも早いとこ装備の方向性を決めないとだね」

リオ「う~ん……でもなかなかこれっていうのがなぁ……」

チェルシー「あっ、復活した」

サフィール「やっぱり難しいんですか?」

リオ「うん……魔石の大きさとの相談にもなるし、それぞれの長所と短所も分かれてるし……とりあえず全部作るなんてするには時間も手も足りないし……何よりサイズが分からないってのが一番の問題なんだよなぁ……」

シエル「そっか……せっかく作れても、ガバガバなんじゃ危ないわよね……」

パメラ「持ってるだけじゃダメなの?」

リオ「ダメってわけじゃないけど、手に持てる量なんてたかが知れてるしな……う~ん……持ってける両の制限もキツい……せめてAランクのマジックバッグがあればなぁ……」

サフィール「Aランクなんてマスターたちですら持ってるかどうか……」

リオ「だよなぁ……」


俺が持ってやつはCランク……。

魔石が最低でもBランク以上である関係上、間違っても入れられはしないだろうなぁ……。


あ~あ……バッグのランク以上のものは入れられない、じゃなくて…入れるには容量がその分嵩むとかだったらまだよかったのに……。


なんて悩む俺にチェルシーがこっそり囁く。


チェルシー「ごめんね……ランクの高いバッグは元から防犯能力も高くって、今あるやつは貸すこともできないって前言ってて……」

コウスケ「そうなんだ……というかハルキ持ってるんだ……」

チェルシー「うん。でも作るのにもチカラがいっぱい必要らしくって…お兄ちゃんはみんなに持たせてくれるって言ってくれてたんだけど、まだアタシたちの分も回りきってないの……」

コウスケ「なるほど……そんな代物じゃあ、今何かハルキも忙しそうな状況だし、新しいのを作ってくれる見込みも無さそうだね……」

チェルシー「ごめんね……」

コウスケ「チェルシーは悪くないでしょ。そもそもハルキのチカラは特別なんだからそんなに頼りすぎも良くないし」

チェルシー「そうだけど……」

コウスケ「大丈夫。ねっ?(なでなで)」

チェルシー「うん……」

リオ「?」

コウスケ「あぁリオごめんね?ほれほれ(なでなで)」

リオ「♪」


うん。どうやらリオには聞こえなかったようだ。

この近距離で。

俺らの小声があまりにも小さかったのか、リオの耳が遠いのか……。

後者じゃないことを信じよう。


フルール「みんな出来たわよ~」


なんて考えてるところにフルールさんがお昼ご飯を持ってきてくれた。


メリー「……ごはん♪」

ショコラ「わ~い!ありがとうございますフルールさん!」

みんな『ありがとうございます!』

フルール「えぇ、召し上がれ♪」


とりあえずご飯だ~っと。

腹が減っては戦は出来ぬって言うし、頭ももちろん回らんし~。


気持ちを切り替えて食事を楽しもうとした俺たちに、フルールさんが話しかけてきた。


フルール「そういえばチラッと聞こえたんだけど、ユーリのサイズが分からないから装備は難しいって言ってたかしら?」

リオ「んっ…もぐもぐ…ごくん。そうですそうです」

シエル「もしかしてフルールさん知ってるんですか?」

フルール「私も細かい数字は知らないけど……知ってそうな人に心当たりはあるわよ?」

みんな『えっ!』


こんなところに救いの手が!?


フルール「まぁみんな知ってる人だけど」

みんな『えっ!?』


知り合いに救いの手が!?


コウスケ「それはいったい……?」

フルール「ローズよ。ほら。私たちもよく世話になってるでしょ?」

みんな『…………あぁっ!』


盲点オブ盲点!

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