370.コンクール当日…ドキンチョ
翌日。
ユーリ「シエルちゃん、起きて。朝だよ〜」
リオ「…ガッツリ寝てるな」
サフィール「寝不足に悩まされることはなさそうですね」
ショコラ「でも途中で起きてたりしないかなぁ……?」
モニカ「それは大丈夫そうかも?ほら…」
シエル「……♪」
コウスケ「すごく楽しそうな夢を見てそうだね?」
サフィール「ですね。少なくとも悪い夢ではなさそうです」
ショコラ「じゃあ体はバッチリ元気ってこと?」
モニカ「そうだね」
リオ「あとは起きるだけだな」
マグ(それが1番の難関だよねぇ)
ぐっすり眠るシエルの周りに集まる早起き組。
どうやらシエルはあの後目覚めることなく休むことができたようだ。
ユーリ「よく眠れたのは良いことだけど、朝のうちに最後の確認をしようって昨日話してたのに〜……」
サフィール「そうですね……コンクール前の最後の機会ですから、大事に使いたいですね」
ショコラ「じゃあ起こすの?」
モニカ「…いい夢見てそうだけど……」
リオ「確かにちょっと気が引けるけどよぉ…ここで起こさない方がシエルは怒ると思うぞ?」
コウスケ「まぁそうだろうねぇ。この時間の重要さはシエルが1番分かってるだろうし」
モニカ「やっぱり起こしたほうがいいよね……それで…誰が起こすの……?」
みんな『マーガレット』
モニカ「だよね」
コウスケ「打ち合わせでもしました?」
キレーに俺に任せる流れに持って行ったねぇ……。
まぁいいけどさ。
コウスケ「シエル…起きなさい……(ユサユサ)」
シエル「んぅ……ん……まーがれっと……?」
コウスケ「さぁ…このペンジェル(まくら)を使って、自由に形を描いてください……」
シエル「…?」
コウスケ「その絵が、あなたを導くでしょう……」
シエル「……??」
リオ「何言ってんだマーガレット?」
ショコラ「まくらじゃ絵は描けないよ?」
ユーリ「遊んでないで早く起こしてあげてよ〜」
コウスケ「ういっす」
当然みんなには伝わらない(分かる人もだいぶ限られる)前世ネタをかましたところで、俺は普通にシエルを起こす。
コウスケ「シエル。もう練習時間だよ」
シエル「んぇ……?……んぇっ!?」
よし、(飛び)起きたな。
コウスケ「ほら、顔洗ってきちゃいな。こっちはこっちで準備しとくからさ」
シエル「う、うん…!わかった…!」
そう言ってドタバタと洗面所へ向かうシエル。
廊下から聞こえる「もー!こんな時に寝坊なんてありえない!アタシのバカァァ!」という声に苦笑しつつ、俺はまだ寝てるメリーを、同じく寝てるチェルシーの布団に放り込む。
チェルシー「ん〜……あれぇ…?メリーちゃんだぁ……♪」
メリー「……チェルシー…?」
チェルシー「んふ〜…♪間違えて入っちゃったのかにゃ〜…?(ぎゅ〜)」
メリー「……おぼえてない(きゅっ)」
チェルシー「そうなんだ〜…♪あったかいからいっかぁ…♪」
メリー「……ん…♪」
コウスケ(こりゃまだしばらく起きれないな)
マグ(やった張本人とは思えないほど他人事に言いますねぇ)
コウスケ(なんのことやら)
マグ(悪い人だ〜)
なんてマグと話しながら今度はパメラちゃんを同じように放り込む。
パメラ「んにゃ……あれ…?チェルシー…?」
チェルシー「パメラちゃんも来た〜…♪んふふ…入れ食いだ〜…♪」
メリー「……マグがほうりこんでたんだ」
おっとバレた。
チェルシー「じゃあマギーちゃんもおいでよ〜…♪」
コウスケ「ダ〜メ。今日は大事な日なんだから。二度寝して遅刻なんてしたら目も当てられないよ」
チェルシー「ちぇ〜…………ハッ!?そうだ!今日コンクールだ!」
パメラ・メリー「「…ハッ!?」」
あっ、これは完全に目覚めたな。
チェルシー「マギーちゃん今何時!?」
コウスケ「まだギリギリ朝練前…」
ドタバタ
シエル「お、遅くなってごめんなさいユーリさん!」
ユーリ「ん、まだギリギリ大丈夫だから許す!」
シエル「ありがとうございます!」
コウスケ「…訂正。今から練習するとこ」
パメラ「わわわっ!危ない危ない…!」
チェルシー「早く顔洗っちゃお!」
メリー「……うん…!」
と、シエルがドタバタ帰ってきたと思ったら、今度はチェルシーたちがドタバタ部屋から出ていった。
リオ「あいつら的には普段じゃ考えられないくらい早起きなんだけどな」
モニカ「それだけシエルちゃんを応援したいんだよ♪」
サフィール「友情パワーですね♪」
コウスケ「愛されてるねぇ、シエル♪」
シエル「そ、そんなんじゃないわよ!……そんなんじゃない…のかな……?」
リオ「自分で言って不安になるなよ……」
コウスケ「あんま反射的に言うのやめな……?」
ショコラ「みんなシエルのこと大好きだよ!」
モニカ「そうだよ!だから自信もって!」
シエル「そ、そう…よね!うん!」
シエルさん復活。
こんなぶれぶれな精神状態で大丈夫なんだろうか……?
ユーリ「よし!それじゃあ早速練習しよう!」
シエル「はい!」
まぁともかくやる気は十分みたいだし、上手くいくように祈るしかないか。
サフィール「マーガレットさんも負けていられませんね」
コウスケ「そうだね。よ〜し…玉乗り成功させるぞ!」
リオ「お前はもうやってることがサーカスなんだよなぁ……」
ショコラ「にゃんこサーカス見た〜い!」
モニカ「本物と違って毛とかイタズラとかの心配も無いのもいいね♪」
リオ「こっちはだいぶ現実的なこと言ってるし……魔法って結構神秘的っつーか、夢とかロマンとかがあるものだと思うんだけどなぁ……」
サフィール「夢や神秘では健康にはなれませんからね」
リオ「そうだけど…なんだかなぁ……」
コウスケ(あはは……魔法が日常的に使われているとはいえ、かなり合理的というかなんというか……)
マグ(まぁ夢は無いですよね〜。でもモニカちゃんとサフィールちゃんには夢よりもそういう考えの方が大事なんでしょうね)
コウスケ(食事処と病院じゃあそうなるか〜)
パメラ「ただいま!」
チェルシー「間に合った!」
メリー「……ギリギリ」
と、そこで遅起き組が戻ってきた。
コウスケ「急ぐ気持ちは分かるけど、あんまり朝からドタバタしないの」
パメラ・チェルシー・メリー『ごめんなさい』
ん、良い子。
さて、そろそろ俺も始めますか。
目指せ1人サーカス。
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コウスケ「あっ」
ルーク「げっ……」
練習をほどほどに切り上げ、コンクール会場である迷宮内地下1階の闘技場へとやってきた俺たちは、そこで早速本日の対戦相手であるゼリオラ少年を含むルーク組の3人と鉢合わせた。
コウスケ「出会い頭に「げっ」だなんて、随分なご挨拶だねぇ?」
ルーク「はぁ〜……面倒なのに会っちまったなぁ……」
コウスケ「ウチのシエルと勝負するんでしょ?だったら遅かれ早かれかち合うでしょうよ」
ルーク「お前らが逃げなかったらな」
コウスケ「キミらが、の間違いじゃなくて?」
ユーリ「わ〜…バチバチしてる〜……」
シエル「勝負するのアタシなんだけど……」
サフィール「完全に置いてけぼりですね……」
チェルシー「でもアタシたちだとすぐにカッとなっちゃうからねぇ……」
モニカ「男の子はやっぱり恐いし……」
メリー「……マグにまかせよう」
俺たちが互いに不敵な笑みを浮かべて睨み合う後ろでヒソヒソ話す子どもたち(+ユーリさん)。
ディッグ「ライバルって感じだな」
ケラン「ですね」
メイカ「その根性は買うけど、私の可愛いマーガレットちゃんとシエルちゃんは強いんだからね!」
フルール「貴女…今この場で1番子どもっぽいわよ?」
子どもたちの後ろでそんなことを呑気に話す大人たち。
いや誰か止める素振りだけでも見せてほしいな?
おかげで睨み合いに飽き始める程度の時間が経ってしまったところで、ようやく仲裁に入る大人が現れた。
グリム「こらこら。こんなところでケンカしてはいけないよ」
コウスケ・マグ・ルーク「(「グリムさん!」)」
声のした方を振り向くとそこにはグリムさんが立っていた。
グリム「魔術コンクールは競い合うのが目的ではなく、あくまで魔法の新たな可能性を見つけたり、それを一般の方々に見せて楽しませたりするのが主な催し物なんだからね?」
コウスケ「あ〜…すみません」
ルーク「す、すみません……」
グリム「ははは、分かればよろしい。別に競うのを止めてるわけでは無いからね。誰かを意識するというのは腕を上げるのに良いスパイスになるものだからさ。それに熱くなりすぎないようにだけ気をつけておくれ」
ルーク「はい!」
コウスケ「は〜い」
グリム「キミらもだけど、勝負をする本人たちもね?」
ゼリオラ「は、はい!」
シエル「…はい」
グリム「それじゃあ頑張ってね」
シエルは何か言いたそうにしているが、グリムさんはそれに気付かないふりをして話を切り上げて去っていった。
モニカ「シエルちゃん……」
パメラ「シエルぅ……」
シエル「だ、大丈夫……いっぱい練習したんだから……!」
特になんのアクションもされなかったシエルはちょっとショックを受けていたが、どうにか持ち堪えてはいるようだ。
とはいえ、後でまたケアは必要そうかな。
まぁグリムさん、めっちゃシエルのこと意識してたけどな。
明らかにシエルのことを見ないようにしてたし。
言っちゃなんだが、ユーリさんやサフィールちゃんのアレを見て慌てて目を逸らすやつにちょっと似てると思ってしまった。
グリムさんは思春期なんだな。
冗談はさておき、こっちもそろそろ切り上げるか。
コウスケ「グリムさんに言われちゃしゃあない。じゃっ、次は試合の後にでも」
ルーク「あぁ。お前の悔しがる顔を楽しみにしてるぜ」
コウスケ「私もキミのしかめっ面が拝めるのを心待ちにしてるよ」
ルーク「ふんっ。言ってろ。行くぞ、ジャン、ゼリオラ」
ゼリオラ「あぁ」
ジャン「へっ、せいぜい泣いて謝る練習でもしとくんだな!」
そう言い捨てて去っていくルークたち。
マグ・ショコラ(「べーっだ!」)
チェルシー「相変わらずヤなヤツら!」
パメラ「あんなのに負けたらダメだよ2人とも!」
シエル「も、もちろんよ!」
コウスケ「分かってるよ」
今グリムさんがありがたい話をしてくれたばかりだというのに、もうすでに頭になさそうなパメラちゃんに苦笑しつつ、俺はシエルの緊張をどうほぐすかを考えていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、事情を知っている人たちから応援されつつ受付にたどり着いた俺たちは無事にエントリーを済ませたのだが…
ララ「本当に出場しないのですか?」
ユーリ「はい。今日は弟子の頑張りを見届けるのに専念しようと思って」
メイカさんも参加手続きを済ませて次はユーリさん…というところでまさかの辞退表明だった。
ショコラ「えー!ユーリさんの魔法見たかった〜!」
ユーリ「ごめんね〜。今度見せてあげるから〜」
ショコラ「わーい!じゃあいいよ!」
ええんかそれで。
いやそんな単純可愛いショコラちゃんはいいとして…
シエル「ユーリさん出ないんですか……?」
師匠の不在で不安度が急上昇しちゃったシエルをなんとかしておくれ?
ユーリ「うん、ごめんね。その代わり、シエルちゃんのことしっかり見守るから!」
シエル「ユーリさぁん……!」
ユーリ「うぐっ…!そ、そんな悲しそうな声出されると物凄く罪悪感に駆られるよぅ……!」
そらぁ…見守るよりギリギリまで隣で支えてほしいよなぁ……。
メイカ「急にどうしたの?それにユーリちゃんも楽しみにしてたじゃない」
ユーリ「それは……昨日気付いたことなんですけど……」
メイカ「うんうん」
ユーリ「…私自身の練習…してないなって思って……」
シエル・メイカ「「あっ……」」
コウスケ・マグ「(あ〜……)」
言われてみれば、ユーリさんはシエルの方針が決まったときからずっとシエルに付きっきりで指導していた。
その前にはシエルが1人で練習していた時期もあったが、さすがにそれだけでは足りないだろうし、何よりもう2週間近く前のことだ。
そうなるとコンクールでやれそうなのはシエルと同じく魔法とダンスの合わせ技になるわけだが……。
コウスケ(あ〜…そうなると、ユーリさんとシエルで比べられちゃうかなぁ……?)
マグ(う〜ん……ほかの参加者と出し物が被っちゃうのはある程度仕方のないことだと割り切れますけど、身内でわざわざ対抗するようなことをするのはたしかにちょっと気が引けますねぇ……)
そうなのだ。
師匠として手本を見せる、格の違いを見せる。
そういったことをするつもりがないのであれば、ただただ比較対象が増えるだけなのだ。
数少ない使い手の中の1人と、大勢の中の1人では注目度合いも目立ち具合も違ってくる。
そして今回シエルの評価が薄れるのは避けたいのだ。
どうせ負けてもグリムさんはなんだかんだ言ってシエルを許す(というかもう許してるけど…)だろうし、ゼリオラ少年にもグリムさんから言えば納得してくれるだろう。
とはいえ、シエルの心情はまた別問題だ。
シエルはグリムさんが激おこだと思っているし、魔導書の危険性も重々承知している。
それを売り言葉に買い言葉でうっかり約束してしまったという責任を感じているからこそ、グリムさんの怒り(のふり)も理解してるし勝利への執着も相当なものになっている。
そしてそれが全てシエルにプレッシャーとしてのしかかっている。
シエルは今心の底からユーリさんの不参加を残念がってるし不安に感じているが、シエルの目的を考えればこれはシエルのことを想っての行動ということになるのだ。
まぁユーリさんが練習出来てなかったのも本当だし、なんならそこまで考えての行動なのかは俺には判断できないが。
ともかく割と合理的な判断だと分かったので、俺はユーリさんを支援する方向にシフトチェンジする。
コウスケ「まぁそういうことならしょうがない…かなぁ……?」
シエル「あぅぅ…ごめんなさい……アタシがバカなことをしたばっかりに……」
ユーリ「あややや大丈夫大丈夫っ!何で出ようって決まってたわけでもないし!みんなの発表を見るのも楽しみだからさ!」
シエル「でもぉ……」
最近のシエルは何かと涙脆いな。
それだけ余裕がないってことなんだろうが……この調子で大丈夫なんかな……?
コウスケ「まぁまぁ、ユーリさんもこう言ってくれてるわけだしさ。今シエルが返せることはユーリさんに練習の成果を見せることだよ」
シエル「うぅ……マーガレットぉ……」
コウスケ「だからそんな顔をしなさんな。それとも私だけじゃ不安?」
シエル「……(ふるふる)」
コウスケ「でしょ?出番が来るまでずっとピットリくっつくしさ♪」
シエル「うん……」
コウスケ「控え室でも、どこかへの移動中でも♪」
シエル「うん……」
コウスケ「ご飯もあーんしてあげるし、着替えとかもあったら手伝ってあげるよ♪」
シエル「うん……」
コウスケ「…トイレにも着いて行っちゃうゾ☆」
シエル「うん……」
コウスケ「……」
シエル「……?」
コウスケ「……うん、一緒に行こうね……」
シエル「うん……」
こらあかん。
コウスケ(正常な判断が出来ないほど緊張しちゃってるよ……)
マグ(いえ、それは違いますよコウスケさん)
コウスケ(ぬ?)
マグ(それだけ甘えてもまだ足りないくらい緊張してるってことですよ)
コウスケ(大問題じゃん)
マグ(大問題ですよ。シエルがプレッシャーにめっぽう弱いのは知ってましたけど、まさかここまで弱るとは……)
コウスケ(むぅ……)
まだまだ練習し足りない魔法ダンス…グリムさんとの確執…うっかりしてた自分への自己嫌悪…それらによる勝利への執着…ユーリさんの突然の辞退……。
他にもあるだろうけど、兎にも角にも今のシエルはプレッシャーに押し潰される寸前の状態に立たされているようだ。
うむむ……とりあえず今言ったやつの他にも頭撫でたり肩揉んだりと色々手を尽くしてみるつもりだが……大丈夫かな……?
心配なのは俺だけではなく、ララさんも心配そうにシエルのことを見ていたが、残念ながらララさんはそれ以外にも仕事がある身。
いつまでもシエルにばかり気を揉んでいるわけにはいかない。
ララ「う〜ん……ちょっと心配だけど…そろそろ分かれた方がいいかな……控え室の空気にも慣れておいた方がいいだろうし、観戦する側も場所取りとかしないといけないから……」
メイカ「そうね……それじゃあディッグたちはもう場所取りに行っちゃって。シエルちゃんは私とマーガレットちゃんで支えるから」
ディッグ「わかった。こっちはまかせてくれ」
ララさんの言葉にメイカさんとディッグさんが頷きあう。
さすが、高ランク冒険者だけあって判断が早い。
そんなメイカさんと、その様子に感心してる俺に観戦組の子どもたちが集まってきた。
モニカ「マーガレットちゃん…メイカさん……シエルちゃんをお願いします…!」
子ども『お願いします…!』
メイカ「うん。まかせて。ねっ、マーガレットちゃん!」
コウスケ「はい。サクッと落ち着かせてあげるよ」
サフィール「お願いします…」
リオ「頼んだぜ…!」
チェルシー「メイカさん…何かあったら誰か呼んでくれればすぐに誰か駆けつけられるってお兄ちゃんも言ってましたから…もしものときはお願いします……!」
メイカ「うん。こういうときくらい、私だって頼りになるってところ見せてあげるわ」
フルール「普段からしっかりして」
メイカ「い、今それ言わなくてもよくない!?」
シエル「…ふふ……」
みんな『!』
こういうときでもいつも通りなフルールさんとメイカさんのやり取りに、シエルからクスリと笑みが溢れた。
…そうだな。
いつも通りを心がけた方が落ち着くか。
コウスケ「よし。シエルを落ち着かせるのはそうだけど、それはそれとして私だって会場のみんなをヴァッ!?と言わせる魔法を披露するから、期待しててね!」
リオ「ヴァッてなんだよ……」
パメラ「アッと驚かせてよ〜」
ショコラ「会場全体をマグの魔法で埋め尽くしてね!」
コウスケ「待って待ってそこまでは出来ないよ?」
マグ(出来ないんですか?)
コウスケ(出来…なくはないかなぁ……)
やろうと思えば会場全体を花で埋め尽くすことも可能だと思う。
前の感じ的に。
シエル「……ふふ…アタシも負けないから」
コウスケ「!」
おっと、シエル。
だいぶ余裕が出てきた感じ?
いいねいいね。
コウスケ「もちろん。でも私だって負けないから」
シエル「ふふっ♪」
コウスケ「♪」
うん。
シエルの顔色がだいぶ良くなってる。
さっきまで真っ青だったからな。
そりゃ誰だって心配になる。
でも今なら大丈夫そうだな。
コウスケ「よし、じゃあ皆の衆。お楽しみにしていたまへ」
リオ「はいはい」
ユーリ「うん!楽しみにしてるね♪」
メイカ「ふふっ♪期待しててね♪それじゃあそろそろ行きましょ?」
コウスケ・シエル「「はい!」」
ディッグ「んじゃ、俺たちも行くか」
ケラン「はい」
フルール「えぇ」
ショコラ「がんばってね〜!」
サフィール「落ち着いてやれば出来ますよ」
チェルシー「1番良いところで見るからね♪」
モニカ「応援してるよ!」
パメラ「あんなのに負けないでね!」
メリー「……がんばれ」
コウスケ「ありがとー!」
なんか今ならなんだって出来そうな気がする。
だがしかし、だからこそシエルが再びプレッシャーに呑まれないようにいつも通りを心がけていくぞ!
そうしてみんなの応援を受けながら、俺たちは控え室へと歩いていった。




