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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第5章…魔術コンクール
354/435

347.雷のネコ…うん、ネコ……

ショコラ「ネコちゃん作ろっ!」

コウスケ「うん、もう1度言われても分からんな?」


ショコラちゃんがお昼ご飯中に思いついた新しい魔法案だが、やはりまだピンと来ない俺。


ネコちゃん作ろってどゆことなん?


ショコラ「えっとね!マグはオオカミさんになれるでしょ?」

コウスケ「ん〜、まぁそうだね?」


多分俺の身体強化魔法である《 纏雷(てんらい)》(ジンくんのコスプレ)のことだろう。


ショコラ「あれみたいなのじゃなくて…あっでも、ネコちゃんマグはまた見たいな〜!」

コウスケ「それはまた今度ね……」

ショコラ「やった〜!」


前にいろんな動物のカチューシャを付けて遊んでたとき話だな。

俺もケモ耳のマグをまた見たいから今度またみんなで付けて遊ぼう。


マグ(えー!コウスケさんが喜んでくれるので嬉しくはありますけど…じっくり鏡で見られるのはまだちょっと恥ずかしいんですけどー!)

コウスケ(え〜)

マグ(え〜、じゃないんですけどー!)


マグが可愛いを抗議をしてくるが、俺はもうあの光景をもう1度見る気満々なので引く気はない。

マグも恥ずかしがりながらも喜んでくれてるみたいだしな。


だから強行する。

多分そのあとドギツイ反撃喰らうけど、俺は強行するぞ!


まぁそれは置いといて。


コウスケ「それで、ネコちゃん魔法ってのは?」

ショコラ「あっうん!えっとね〜…マグが変身するのも見たいけど、そうじゃなくてね?」

コウスケ「うん」

ショコラ「マグの出すボールみたいに、ポポポーンってちっちゃいネコちゃんを出してほしいの!」

コウスケ・マグ「(なるほど〜)」


そういうことか。

俺が出すボールってのは多分 《サンダーオーブ》のことだから、それをネコの形に変えりゃいいんだな。

さしずめ《サンダーキャット》と言ったところか。


ふぅむ……。

なんか絶妙にいそうでいなさそうなラインだなぁ……。

ネズミなら超有名なあの方がいらっしゃるんだけど、雷のネコか……う〜ん……。


まぁ、普通にネコの形模してりゃいいか。

おそらくそれを望まれてるんだし。

それにこれが出来れば結構応用が効きそうだぞ?

なかなかいい案を出してくれたんじゃなろうか。


ショコラちゃんの案にかなり乗り気になった俺に、ショコラちゃんはさらに案を出してくれた。


ショコラ「で、それが本物のネコちゃんみたいに動いたらすごくすごいと思うの!」

コウスケ「なるほど」

マグ(わぁ……)


一気に難易度上がったな?


俺が《サンダーオーブ》を複数出しても使いこなせているのは、使う際に決まった動きをするようにあらかじめプランを立てているからだ。


何もないときは基本俺の近くに浮かんでいるように。

動かすときはフォーメーションを組んでキッチリ同じ行動をするように。


俺がオーブに意識を十分に割けるならもっと細かい指示も出せるのだが、何か別のことをしているときなんかは単純かつ簡潔な命令しか出せないので、どうしても動きが単調になってしまう。

多分見切ろうと思えばあっさり見切られてしまうしまうのだ。


なので数を増やし、回数限定で遠距離攻撃も付与。

代わりにオーブ1つに割く魔力量を絞ることで魔力の消費量を誤魔化しつつ、多数のオーブによるフォーメーション攻撃で単調さをカバーしながら自分は他の行動を取る。


うん。

この時点でだいぶ大変だったわ。


それをショコラちゃんは、ネコ型にして本物のように動かしてほしいと。

なるほどね。


やっぱつれぇって……。

マグも思わず声を漏らしちゃったよ?


そして魔法の知識があるシエルがこれに反応を示さないはずもなく、マグと同じように若干の引きを感じる顔と声で会話に入ってきた。


シエル「そ、それは…さすがにマーガレットでも難しいと思うわよ……?」

ショコラ「えっ、そうなの?」

コウスケ「まぁ…難易度跳ね上がってるからねぇ……」

サフィール「先ほどまでシエルさんがとても苦労していたことを、数を増やして形を変えて、しかも細かい動きまでしてほしいということですもんね……」

チェルシー「そんなの出来たらグリムさんにも驚かれそう……」

シエル「たしかに……でもそれはちょっと見てみたいかも……」

ショコラ「そ、そんなになの……!?」


ショコラちゃんの驚きの声に有識者たちがみんな一斉に頷いた。


しかし鬼難易度とはいえ、試してみたいという欲が俺の中にはかなりガッツリ目に存在している。


難易度が上がる前の段階でやる気満々だったからな。

これはその延長みたいなものだから、目標としては結構良いかも。

まだまだ高みを目指してみようって気持ちが湧いてくる。


まぁ何はともあれ、まずは1匹かたどって見るところから始めよう。


ん〜…詠唱文は……よし。


コウスケ「【(いかづち)よ】、[無害なネコとなりて]【我が前に現れよ!】[サンダーキャット!]」


俺が手をかざして詠唱文を叫ぶと、《サンダーオーブ》のときと同じように魔力が1箇所に集まるようなエフェクトが発生し、すぐにそれは形を持ち始め、やがて俺が思い描いたネコの形になった。


みんな『(おぉぉぉお?)』


それを見たみんなは驚いたもののすぐに疑問符を付けた。


大丈夫。

原因は分かってる。


コウスケ「…顔だけになっちゃったな……」


ということである。


しかも本物のネコの顔ではなく、デフォルメされた丸っこい輪郭のネコである。

パンとかにありそうなまん丸具合。


自分でやったのにどこから付いたのか分からないゴマ粒みたいな目と鼻、そしてお尻みたいな形の口があるので、《サンダーオーブ》に猫耳つけただけという雑な改造ではないのがせめてもの救いか。


ショコラ「ネコちゃん!」

モニカ「かわいい〜♪」

サフィール「しっかり顔も付いているんですね」

メリー「……ぴりぴりネコちゃん♪」

パメラ「成功だね、マグ!」


とはいえネコはネコ。

しかもみんな俺の絵柄は知っているので特にそこまで気にしている様子もなく、普通に成功したと思って喜んでくれている。


じゃあ…まぁ……いいか?


しかし絵柄はもうそれでいいとしても、顔だけでは結局のところネコ型の意味があまり無い。


唯一、噛みつく能力を手に入れた…とは思うが……いる?これ……。

いや、まぁ部分的には使えないこともないだろうけどさぁ……。


兎にも角にも、みんながどう言おうと俺的には顔だけじゃあ成功とは言えない。

次は胴体もしっかりあるネコを想像しよう。


と、その前に…ひとまずキチンと言うことを聞いてくれるか、そしてこの状態だとどこまで出来るかを試してからだな。

噛みつく能力も本当にあるかどうか試さないことには分からんし。


というわけで。


コウスケ「ゆけっ!雷にゃんこ!メリーにじゃれつく攻撃!」


メリーで試してみよう。


俺の言葉の勢いに反して驚かせないように比較的ゆっくりとメリーに近づいていくネコの顔。


…シュール。

いやこれ夜見たらホラーかもよ?

夜中トイレに行こうとした子に仕掛けたらめちゃくちゃ驚いてくれそう。


そのあと絆にヒビ入りそうだからやらんけどな?

さすがにそこまで子どもじゃない。


いい大人がこんなこと考えてる時点でなんだかなぁとは思うけども、それもまぁ考えすぎたら負けだと思うのでこれ以上考えない。

すでにつらいもの。


それはともかく、近づくネコに特に怯える様子のないメリー…むしろ目を輝かせてる気がする。

ネコがパチパチしすぎてよく見えないけど。


メリー「……ピリピリにゃんにゃん♪」


あぁ大喜びしてますね。

よかったよかった。


コウスケ「よし、じゃあ噛みつけ、にゃんこ!」


もちろん甘噛みで、と心の中で付け加えとく。

詠唱文に「無害な」と入れといたので多分大丈夫だろうとは思ったが、さすがに他人で試すわけにはいかないので念には念を入れておく。


ちなみに他人でとは言ったが、マグの体に傷をつける気も毛頭ないので、やるとしたら俺の体。

しかし俺は魂だけなので当てられない。

つまり試せない。


よってこの実験の答えはいつ出るかも不明です。

そして今後この手の魔法は全て同じ道を辿ることも決まりました。

悲しいね。


そんな悲しい結論の出たにゃんこは、俺が念を押したのもあってかメリーの出した指に噛み付いているものの、メリーは楽しそうにそれを見ているだけで痛がっている様子はなかった。


メリー「……かわいい♪」

パメラ「わっ、わっ!甘噛みしてる〜!」

チェルシー「ちゃんと噛みつけるんだね〜」

フルール「相変わらず器用なことをするわねぇ……」

シエル「う〜ん…ほんと、どうやったらこんな細かい仕草までさせられるようになるのかしら……」


みんなも大喜びな様子。

ふぅ……とりあえずは安心。

しかしあれだと噛みつくというよりは、吸い付いてる感じだな。

赤ちゃんがミルクを飲むような、そんな感じ。

かな〜り微笑ましい光景。


う〜む…しかし……。

悪ノリした俺が完全に悪いんだが…次の練習のためにそのネコ消したいんじゃが……。


ショコラ「いいな〜!ショコラにも触らせてー!」

モニカ「わ、私も!」

サフィール「私もいいですか?」

リオ「オ、オレもちょっと気になる……!」

メリー「……いいよ♪」


…こんなに楽しそうにしているのに消すなんてこと、俺にはもちろん出来ない。


うん、よし。

あのネコはあの子らの好きなようにさせて、魔力の消費削減は諦めて新しいの作ろう。


さて…今度は体もしっかり考えて……。


コウスケ「【(いかづち)よ】、[無害なネコとなりて]【我が前に現れよ!】[サンダーキャット!]」


そうして作ったもう1匹のネコ。

今度は体もしっかり付いている。

尻尾を忘れるとかの凡ミスも無し。

ちゃんとネコ。


パメラ「わぁっ!今度は体も出来てる!」

ショコラ「マグすご〜い!」


子どもたちの反応も上々。

…なのだが……


コウスケ「う〜ん……」

モニカ「マーガレットちゃん、どうしたの?」

サフィール「何か気になる点があるのですか?」

コウスケ「うん……なんというか……もっさりしてる感じがして……」

モニカ・サフィール「「もっさり?」」

リオ「どういうことだ?」

コウスケ「ん〜……なんだろう……多分ぼんやりと体の形だけを考えたからか、こう…動きがのっそりしてるというか……」

リオ「ふむ?」


なんだろうなぁ……。

ぬいぐるみみたいというか、ラク◯キ王国みたいというか……。


あぁ、関節付け忘れたからか。

そりゃあこうなるわけだ。


メリー「……このネコちゃんダメなの…?」

ショコラ「えぇ〜!でもそれじゃあかわいそうだよぉ……」

パメラ「どうにかならないのマグぅ……?」

コウスケ「どうにかったって……」

マグ(コウスケさぁん……)

コウスケ「う〜ん……」


そうだなぁ……。

関節がないから地面を歩かせると少し違和感が出るけど、空を飛ばせるだけなら……。


スイ〜


うん。

愛と勇気が友だちのパンヒーローと同じ飛び方なら問題なさそう。


ほぅれ元気に飛び回れるぞ〜。


ショコラ「わぁぁ!よかったね〜!」

チェルシー「楽しそうだね〜♪」

メリー「……びゅんびゅーん♪」


どうにかなった。

割となんとかなるもんだなぁ……。


リオ「なぁ…マーガレット……」

コウスケ「ん?どうしたのリオ?」

リオ「いやさ……めちゃくちゃ喜んでるから期待に応えてくれたんだろうけどさ……あれ最後には消すんだろ……?」

コウスケ「んっ……まぁ…そうね……」

リオ「いいのか……?あれ絶対消すとき拗れるぞ……?」

コウスケ「う、う〜ん……」


うん…まぁ……考えるよね……そりゃあね……。


マグ(えぇ〜!なんとか呼んだままには出来ないんですか……?)

コウスケ(それは魔力がかなりヤバいことになるから無理だと思う……)

マグ(うぅ〜……)


マグも悲しんでいてとても心苦しいが、魔力が切れなくても、それに近づくにつれて状態がどんどこ悪くなっていくので残念ながらどうしてもOKは出せない。


無茶をすれば苦しむのはマグの体だからな。

マグもそれが分かっているからあまり強くは言わないのだろう。


と、このマグと会話をしている間の沈黙をリオは苦悩していると捉えたようで、こちらを思いやる口調で言った。


リオ「まぁ、そのときはオレも説得に回るからさ。今はとにかく練習に集中しようぜ。な?」

コウスケ「ん…そうだね。ありがと、リオ」

リオ「いいってことよ」


う〜ん…めちゃくちゃ出来た子やなぁ……。

おかげで結構心が軽くなった。


リオ「それに、お前のそういうところ、オレは好きだからな」

コウスケ「そう?ふふっ、ありがとう」

リオ「おう」


いやほんとええ子や……。

さらなる心のケアまでしてくれるとは……。

いい友だちを持ったもんだ。

何かお礼をしないとな。


チェルシー「リオちゃん大胆〜…!」

リオ「は?」

サフィール「私もリオさんのようにまっすぐ好意を伝えたいです…!」

リオ「好意…?……ハッ!?ち、違う!あれはそういう意味じゃなくてだな…!」

チェルシー「だいじょーぶ。わかってるわかってる♪マギーちゃんもそっちの意味で受け止めてるしね」

リオ「そ、そうか?そうか……」

チェルシー「残念?」

リオ「……べ、別に?」

チェルシー「ふ〜ん?」

リオ「な、なんだよ……」

チェルシー「べっつに〜♪」

リオ「チェルシ〜…!」

チェルシー「あはは、ごめんって〜!」


…なんかマイフレンズたちが急にケンカし始めたぞ?

どした?

話聞こか?


フルール「……若いわねぇ……」

コウスケ「?」


フルールさんの呟きに疑問符を浮かべながら、俺は元気に走り回るチェルシーとリオ。

それを一緒に見守るサフィールちゃん。

未だにネコたちに夢中のメリーたちを見回して…


コウスケ(…こりゃしばらく休憩だな)

マグ(ですねぇ)


なんてことをマグとぼんやり言い合った。

ぬいぐるみのUFOキャッチャーのアーム、見ただけで分かるほどぐわんぐわんしてるのはさすがにどうなんだ?と思う今日この頃です。


取れるんかな?あれ。


そんなことを考えながらまた来週。

ではでは。

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