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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第5章…魔術コンクール
336/435

329.あの子たちは今…(ノリで今って言ったけど厳密には違う)

新章突入です。

開幕章タイトルと関係なさそうなことしてますが気長に待っていただけると助かります……。

〔フレデリカ〕


ごきげんよう皆様。

ワタクシの名前はフレデリカ。


王都から北へ行ったところにある街「ナージエ」にある、ナージエ騎士・魔法学園の生徒で、一流の魔法使いを目指しているわ。

ちなみにこの学校で唯一の友だちで一緒に迷宮都市に行ってたエリーゼ…エリーって呼んでる子は魔法も剣も使える魔法騎士を目指しているわ。


なんでワタクシは唐突に自己紹介をしているのかしら?

でも深く考えたらダメそうだから考えないでおくわ。

不可解ね。


まぁそれはともかく、この学園は王国中から騎士か魔道士になることを夢見る若者が集まる学園……なんて言われているけれど、その実態はただの貴族の交流の場。


いや…交流どころか、ただのご機嫌取りね。

毎日そこかしこで思ってもいない賛辞が飛び交っているわ。


で、持ち上げられて調子に乗ってるお気楽貴族たちは、コネや権力・財力に頼れなくとも、努力してここに入学できた下級貴族や平民の子たちを見下して嫌がらせをして高笑い。

それをさらに持ち上げてご機嫌を取る取り巻きたち。


しょうもないわ。

でも昔はワタクシたちもあんな風だったんだと思うと頭が痛くなるわ……。


……一応言っておくと、ワタクシもエリーもいじめなんてしてないからね?

むしろその嫌がらせしている上級貴族たちに「気分が悪い」と言ってたのよ?

まぁそれが火に油を注ぐようなものだというのを最近になって知ったのだけど……。


それよりも、ワタクシが同じようなものだと感じたのはあの取り巻きたちの賛辞の方。

大半は無視していたのだけど、実技の授業のときは別。


ワタクシとエリーが結果を出すたびに周りがキャーキャー(はや)し立てる……。

それを心地良いと感じてしまっていたのよねぇ……。


で、自分たちは凄く強いんだって調子に乗っちゃって、学園に嫌気が差してたのもあってお忍びで迷宮都市に行ったと……。


う~ん……今考えると無茶苦茶よね……。

そのせいでワタクシたちの護衛や世話係たちは軒並み解雇・左遷されちゃって、ちょっと申し訳なかったけど……そのあと、ワタクシたちの無知に付け込んで好き放題してたのが判明したから「じゃあいいか」って思いなおしたわ。


よくよく考えれば、ワタクシたちにお金のこととか教えてくれなかった…どころか必要ないことだって言ってくるような連中だったものね。

うん、もうどうでもいいわそんなやつら。


そんなやつらを雇ったりそういう風に教育したのはワタクシの身内なんだけど。

でもお父様から替えの使用人が送られてきたらまたそうなるんだろうなぁ……。

はぁ…今から気が重いわ……。


と、いつまでも愚痴をこぼしてる場合じゃないわね。


学園に帰ってきて早3日。

使用人の大規模異動に、お父様に長年付き従っている使用人からのお説教。

頭を冷やせと次の日は学校を休まされて、エリーと別々の部屋で監視されながらひたすら勉強。


頭を冷やさせるのか働かせるのかはっきりさせてほしいわ。

そんなこと言ったらまた嫌な顔されるだけだから我慢したけどね。

マーガレットのおかげでちょっと大人になったワタクシたちには簡単な事だったわ。


まぁずっと本とにらめっこしてて凄く目が痛いけどね……。


それはそれとして、昨日の監禁で許してくれたのか、監視付きだけども今日からまた学校に通うことになったワタクシとエリー。

部屋もまた一緒にしてもらえるそうだからよかったわ。


コンコン


???「失礼します」


あら……この声はお父様がお目付け役としてワタクシたちに付けた、昨日監禁してくださったにっくき執事の声……。

こちらの返事を待たずにレディーの部屋に入ってくる姿はとてもふてぶてしいわね。

凍らせてやりたいわ。


…って、あら?

一緒に入ってきたメイドの恰好をしたあの方って……


執事「おはようございますフレデリカ様」

フレデリカ「えぇおはよう。それよりそちらは?」

執事「先日解雇したメイドたちの代わりに新しく雇ったメイドのひとりです。おい」

メイド「はい」


執事の雑な呼び方に嫌な顔をせずに答えたメイドさんは綺麗な所作で挨拶をした。


メイド「本日よりフレデリカお嬢様のお世話をさせていただくことになりました、ディエレッツァと申します。よろしくお願いいたします」

フレデリカ「ディエレッツァ……?」


あれ?

()()()()()()


執事「何かお困りのことがあればこの者にお願いします。それでは」


ワタクシが少し戸惑っている間に、執事が早口でそう言ってそそくさと部屋から出ていった。


ワタクシの相手をするのがめんどくさいというのを隠そうともしていないけれど、今はどうだっていいわ。

そんなことより…


フレデリカ「えっと…ディー…」


ワタクシが彼女の本当の名前を言おうとすると、彼女は人差し指を「しーっ」という仕草をしたので慌てて口を閉じる。


ディエレッツァ「詳しいことは沐浴の際に。それよりもフレデリカ様。よろしければ仕事の内容を確認させていただいてもよろしいですか?」

フレデリカ「えっ…えぇ……」

ディエレッツァ「ありがとうございます」


どういうことなのか気になってしょうがないけど、お風呂のときに教えてくれるというのならそれまで待った方がいいんでしょうね……。


そう考えたワタクシはディエレッツァ…本名はディーノであったはずの彼女に、前のメイドにしてもらっていたことを教えていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ディーノさん。

ワタクシとエリーを迷宮都市からこのナージエ学園まで護衛してくれた冒険者パーティのひとりである女性……だったはずなんだけど……どうしてメイドに?

いや、嬉しいことなのだけどね?


迷宮都市からここまでの道中、いろんなことを教えてくれた方々だったもの。

しかもとても強い。

途中で遭遇した魔物を一瞬で片づけてしまうほど強い。


ワタクシとエリーのワガママを聞いて、魔物との戦いも許してくれたわ。

結果は散々だったけど……。

授業と実戦は全然違うってことを思い知ったわ……。


と、そんな冒険者の人たちだったはずなんだけど…どうしてそのひとりがここに……?


なんて考えてながらエリーと会ったのだけど……


フレデリカ「……お名前は?」

エリーゼのメイド「お初にお目にかかります。私はエリーゼ様のお世話係になりました、ソバッソと申します。覚えていただけると幸いでございます(ニコッ)」

フレデリカ「そう……」


この人もまだ答えてくれなさそうね……。


この人…ソヨコモさんもワタクシたちを護衛していた冒険者……。

まさか2人目がいたなんて……。


というかエリーがうっかり口を滑らせそうで怖くなってきたわ。

だって今も口を手で押さえてるし。

隠し事してますって言ってるようなものだから学園に着く前にやめさせないとね……。


う〜ん……でも…この2人がここにいるってことは、もしかして他の2人も……?


なんて思ってたら玄関に2人ともいた。

門番になってた。


…みんなちょうどいいからそのまま雇われたのかしら……?

まぁでもこの人たちがいるのはとても心強いわ。

お父様が送ってくる使用人たちなんかとは比べ物にならないほど信用できるし。

エリー以外に信頼できる人がいるっていうのはありがたいことね。


そんな門番2人に見送られて学園が用意した特別寮を出たワタクシたちは、2人のメイドを連れて学園へ向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


フレデリカ・エリーゼ「「はぁ〜……」」


夕方。

授業が終わって寮に戻ってきたワタクシたちは揃って深いため息を吐いた。


エリーゼ「つかれたね……」

フレデリカ「えぇ……予想はしてたけど、ここまでだとはね……」


2人でまた深いため息を吐きつつ今日を振り返る。


まず教室に着いたら同じクラスの子たちに囲まれた。

最初に心配してたと言い、次にどこにいたのか、何をしていたのかとかの質問。

隠すことじゃない…というかもうお父様たちに話がいくのは決まっているから隠してもしょうがないというわけで、迷宮都市に行ったのだと教えると…


貴族の娘「まぁ!そんな野蛮な場所に行くなんて……お二方のお考えはやはりワタクシたちの及ばないところにあるのですね!」


なんて軽くバカにされた。

他のクラスメイトたちにも似たような感じで言われたのを適当に流していると教師が到着。


で、授業を始めたわけだけど…基本的にこの学園の教師はワタクシのお父様に頭が上がらない。


だからワタクシとその友だちのエリーゼには極端に甘いし、やたら大げさに褒めるしでちょっとうんざりするような人が多い。


そんな教員たちは今回もワタクシたちのことを大げさに心配する()()をして、しかもそれが全ての授業で起きるのでこちらはその対応だけで疲れてしまい、他の生徒も便乗して良いようなことを言ってくるからこれにもうんざりしてさらに疲れてしまった。


トドメに、今日の終礼式の際の教師からの連絡が…


教員「近いうちに奴隷の躾け方の授業をしますので、用意が間に合いそうであれば奴隷を持参すると授業と躾けが両立出来ますよ」


何を言ってるんだと。


しかしこれがここの普通。

というか、特別クラスの普通だ。


家格の高い生徒が集められた特別なクラス。

だから下の位の人間を扱う授業があるのだが……だからこそ奴隷の扱い方なんかもしっかり授業に入ってるわけで……。


元から奴隷というものに良い感情を持ってないワタクシたちはその授業をするというだけでもう苦痛。


しかも…


エリーゼ「多分マーガレット嫌がるよね……」

フレデリカ「…まぁ…そうでしょうねぇ……」


ワタクシたちは離れた所で出来た新しい友だち、マーガレットのことを考えてまたため息を吐く。


ワタクシたちに差別意識が無かったことを喜んでいたマーガレットが奴隷という存在を良く思わないであろうことは、彼女を知る者なら誰でも簡単に想像がつくこと。


「またね!」って言って別れたわけだし、ワタクシたちとしてもマーガレットとは絶対に再開したい。

したいんだけども……


その時奴隷を連れてたらどう思われるのか……。


フレデリカ「絶対良い顔はしないわよね……」

エリーゼ「うん…………ねぇフレン……」


フレンとはワタクシ、フレデリカの愛称。

親しい仲のエリーゼとお互いに愛称で呼んでいるということだ。


いやそんなことはどうでもいい。

なんで今挟んだんだろうとかも思うけどそれもどうでもいい。


だってエリーこの後絶対考えたくないことを言うもの。

止めなきゃ心が苦しくなるようなこと言いそうな雰囲気なんだもの。

言わせるわけにはいかないわ……。


フレン「エリー……何を考えついたのかは分からないけど口にしちゃダメよ……?多分誰も救われないわ……」

エリー「でもフレン…どうしても考えちゃうよ……マーガレットにいろいろ諦めた顔で「そっかぁ…」って言われちゃったらどうしようって……」

フレン「なんで言うのエリー……!」


しかもそんな絶妙にあり得そうなところを突いて……!

ディーノさん…じゃなくて、ディエレッツァ(今までメイドにさん付けをしていないならいきなり付けてたら怪しまれるからと念を押されたため頑張ってこっちで言うことになった)とソバッソも「言いそうだなぁ…」って感じで遠くを見ちゃったじゃない……!

どうしてくれるのよこの暗い空気……。


エリーゼ「…ハッ!そうだ!マーガレットに会う前に奴隷を解放して堂々と会いに行くのは?」

フレデリカ「無理よ。奴隷を扱う授業はこの先もあるから当分は解放できないわ。解放しても授業のためにまた適当な奴隷を買わされるだけよ」

エリーゼ「そっかぁ……あっ、じゃあじゃあ、マーガレットと会うときは奴隷を隠して……」

フレデリカ「マーガレットに隠し事できるの?」

エリーゼ「…………できません……」

フレデリカ「でしょう?」


エリーは素直だから隠し事に向いてない…というのもあるけど、マーガレットも鋭いから何か隠してたら多分すぐに気づかれると思う。

そして優しいから相談に乗ろうとしてくれるとも思う。


そうなったときは……申し訳なさすぎて死にたくなるわきっと……。


フレデリカ「ワタクシもうすでに辛くなってきたわ……」

エリーゼ「どうしようね……ほんと……」

ディエレッツァ「え、え〜と……お嬢なら恐らくちゃんと人として扱って…」

ソバッソ「キチンと説明をすればきっと分かってくれるかと……人の話はちゃんと聞いてから答えるタイプですし……」

フレデリカ「そうかしら……でもそれしかないわよね……」

エリーゼ「そうだね……マーガレットなら分かってくれる…かもしれないよね……」

フレデリカ「もうそれに賭けるしかないわよね……」


うん……マーガレットなら話を聞いてくれる…はず……。


フレデリカ「そうと決まれば、ワタクシたちのするべきことはひとつ!」

エリーゼ「奴隷に優しく!」

フレデリカ「決してクラスの他のやつらみたいな扱いはしない!」

エリーゼ「そうすればマーガレットに堂々と会える!」

フレデリカ「えぇ!その奴隷とマーガレットが仲良くなってくれればもっと良いわね!」

エリーゼ「だね!そうすれば褒めてもらえるかもしれないしね!」

フレデリカ「そうね!……ん?そう?」

エリーゼ「そうだよ!きっと「良いご主人様してるんだね〜」ってぎゅってしてくれるよ!」

フレデリカ「マ、マーガレット…そんなこと言うかしら……?で、でもまぁそうね!せっかくだから褒めてもらいたいわね!」

エリーゼ「よし!じゃあさっそく奴隷を買いに行こう!」

ディエレッツァ「いえ、もう暗いのでちょうど休日でもある明日にしましょう」

エリーゼ「ガーン!」


まぁそうよね……学校終わりだもん…遅い時間よね……。

というかもう日も暮れてたのね……全然気づかなかったわ……。


ソバッソ「まずはご入浴を。終わり次第お食事を用意させていただきます」

フレデリカ「わかったわ」


ふぅ…それじゃあお風呂に……って、そうだ。


フレデリカ「ねぇ、あなたたちのこと……」

ディエレッツァ「えぇ。もちろんお話させていただきます」


いろいろあって忘れてたけど、そもそもディエレッツァたちがなんでメイドとか門番になったのかをお風呂の時に教えてくれるって話だったのをギリギリで思い出せた。


はぁ……しばらく空けてたとはいえ、まさか数日でこんなにやることが溜まるなんて思ってなかったわよ……。


と…また愚痴っちゃったわ。

今はとにかくお風呂に行くことを考えないとね。


フレデリカ「それじゃあエリー、行きましょう」

エリーゼ「うん。じゃあソヨ…」

ソバッソ「……(ニコッ)」

エリーゼ「ソ、ソバッソは私たちの着替えをお願いしま…お願いね!」

ソバッソ「はい、かしこまりました」


…エリーにはまだ何度か念を押さないとダメそうね……。

学校でこぼさなかったのが奇跡だわ……。


フレデリカ「ではディエレッツァ。ワタクシたちのことをしっかり洗ってちょうだいね?」

ディエレッツァ「はい、お任せくださいませ」


親友のうっかり加減にハラハラしつつ、ワタクシたちはお風呂場へと向かった。


…少し早足気味になったのはしょうがないと思うの。

だからディエレッツァ。

そんな温かい目で見ないでちょうだい。

なんだかこそばゆいわ。

懐かしきエリーゼとフレデリカ。

その2人のナージエ学園に帰ってきたばかりくらいのお話です。


時期的にはリオがギリギリ入院する前くらいになりますかね?


まさか2章ほどほっとくことになるとは思いもしませんでしたが(作者なのに)、ようやくこの2人にも出番が回せて満足です。


そんな自己満足しながらまた来週。

ではでは。

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