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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
333/436

328.聖歌隊との別れ…魔術コンクールへ

シエルの誕生日会から数日後。


元々一週間から十日ほどの滞在予定だったとかなんとか聞いたような気がする聖歌隊が。

ミハクちゃんが所属しているあの聖歌隊がとうとう街から去る時が来てしまった。


来る前はサフィールちゃんが心配で「来んなよ……」とか思ってたくらいなのに……。


サフィールちゃんは(なんとか)大丈夫。

ミハクちゃんという友だちが出来た。

聖歌隊の人たちも良い人ばかりで街にも馴染んでいた。


こうなった今となっては「お別れは寂しい……」というマインドになっている。


やっぱり直接会うのが一番確実に相手を知る方法だよなぁ……。

しかしハードルが高いのも事実。

難しいねぇ。


まぁそれはさておき。

聖歌隊が街を離れることを知った住人たちは大々的に送迎会をすることに決めた。

事前準備をぬかりなく行った住人たちは聖歌隊の出立当日、代表であるカダノさんに花束をプレゼント。


だが当然旅には持っていけないので贈呈という形で街が受け取り、この街の中心である建物、冒険者ギルド友好の証として飾ることになった。


ちなみに管理は職員の仕事になるらしい。


いや、うん…いいけどさ?

なんだろうねこのやるせない感じね?


これ子どもがペット飼いたいって言って、結局お世話するのはお父さんお母さん、って感じに近い気がする。

「花を贈ろう!」って言いだした奴が責任もって育てろよって思ってしまうのはイケナイ事でしょうか?


まぁ少なくとも…たった今贈呈しているこの場面で言うのはあまりにもKYだということは分かるので言いませんけどね?

でも数日経った頃くらいに他の職員たちと一緒に愚痴らせてもらいますけどね?


さて。

花束の代わりに食料や医療品等の実用品をもらい、それを馬車に載せている聖歌隊の面々を尻目に、俺は子どもたちと共にミハクちゃんのもとへ向かう。


コウスケ「ミハクちゃ~ん!」

ミハク「あっ、マーガレットちゃん。みんなも~♪」

ショコラ「わーん!ミハクぅぅ!!」

チェルシー「ミハクちゃーん!」

ミハク「あわわわわっ…!」


ミハクちゃんを発見して話しかけた…矢先に、俺の後ろからショコラちゃんとチェルシーがミハクちゃんに泣きながら抱きつきめっちゃ困らせた。


止めなきゃなんだけど、寂しいという気持ちはよく分かるしな~、と二の足を踏んでいると、パメラちゃんとメリーがミハクちゃんの裾をつまみ、モニカちゃんとシエルちゃんが半泣きで近づいていく。

それを見守る俺とリオとサフィールちゃん。


ショコラ「お別れやだー!」

チェルシー「ミハクちゃんともっと遊びたいー!」

ミハク「あわわ……わ、私も遊びたいけど~……けどぉ……!うぅぅ……あーん…!」


ショコラちゃんとチェルシーの泣き落としにミハクちゃんも泣き始めてしまった。


リオ「…止めなくていいのか?」

コウスケ「どうすれば止まると思う?」

リオ「それはちょっと分からん」

サフィール「あの……ひとまず落ち着かせましょう?物凄く見られてますし……」

コウスケ「ギャン泣きだもんねぇ」

マグ(しかもあんなに固まってれば目立ちますよねぇ……)


サフィールちゃんの言う通り、ミハクちゃんを中心にしたお団子は周囲の目をとても集めていた。


う~ん…どうしたもんか。


コウスケ「…とりあえずお離れなさい。ちょっと後ろにつんのめってて見てて危ないから」

チェルシー「あーん!ミハクちゃぁん…!」

ショコラ「マグのいじわるぅ…!」

コウスケ「いじわるじゃありません~」

ミハク「くすん……いじわる~……」

コウスケ「ぐふっ…!いいいいじわるじゃないですし……」

リオ「めっちゃ効いてる」

サフィール「致命の一撃ですね……」

マグ(コウスケさんしっかり!)


みんなとは違う意味で涙目になりながらも、なんとかミハクちゃんから引きはがした俺はパメラちゃんとメリーと同じように、ショコラちゃんとチェルシーにミハクちゃんの服の裾をつまませた。


リオ「つまませるんか」

コウスケ「抱きついてるよりはマシかなって……」

サフィール「たしかに倒れる心配はなくなりましたね」


そうそう。

とりあえず身の危険を取り除くのが大事だからね。

決して「いじわる」って言われて日和ったわけじゃないからね。

ほんとだからね。


サフィールちゃんがさりげなく俺の涙をハンカチで拭ってくれている間に、パメラちゃんがミハクちゃんに話しかけた。


パメラ「また来るよね……?」

ミハク「うん、絶対来るよ~……!」

メリー「……やくそく……」

ミハク「うん、約束~……!」

モニカ「私も指切りする~…!」

サフィール「あっ、指切りなら私も」

ミハク「うん~、みんなでしよ~…!」


というわけで握手会ならぬ指切り会が開幕。

みんなで順番にミハクちゃんと「また会おうね」等のひと言を添えて指切りげんまんしていく。


そして最後、俺の番…


ミハク「マーガレットちゃんはいじわるしたからダメ~」

コウスケ・マグ「(えぇっ!?)」

ミハク「ウ~ソ~♪ぎゅ~♪」

マグ(びっくりしたぁ……)

コウスケ「心臓止まったぁ……」

ミハク「えへへ~、ごめんね~♪」


くっ…可愛いから許す……!


ショコラ「あー!マグはぎゅってしていいのー!?」

チェルシー「マギーちゃんずるーい!」


あっ、やばっ……


サフィール「ではマーガレットさんごとぎゅっと包み込んじゃいましょう♪」


サフィールちゃん!?


マグ(ふにふにチャンス!?)


マグさん???


パメラ「かかれー!」

みんな『わぁー!』

コウスケ「ちょっ…」


ぎゅっ♪


ミハク「逃げちゃダメ~♪」

コウスケ「あぁ~……(諦め)」


これは逃げられないわ。


チェルシー「はい、ぎゅ~♪」

モニカ「ぎゅ~♪」


ぎゅむぎゅむ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


しばらくして。


カダノ「ミハクさん?そろそろ出発…って、あら~」

コウスケ「助けてください」

カダノ「とても微笑ましいですね♪」

コウスケ「聞いて?」


救援要請をあっさり無視されたが、そもそも出発の時間だということで仕方なく団子状態を解除する子どもたち。


…………。


コウスケ「ねぇ?」

みんな『?』

コウスケ「私のことも解放して?」

みんな『???』


なんでそんなキレイに揃って首傾げるの可愛いなぁもう。


まぁそれはともかく、割とガチで解放してほしいんだが……


…震えてるんよなぁ……。


引き留めたいのを必死で堪えるために俺にしがみついてるって思うと、あんまし強くは言えない……。

ふぅ……しょうがないねぇ……。


そうしてる間にもミハクちゃんの準備も整っていき、刻一刻とお別れが近づいてくる。

荷物を載せて馬車に乗り込むだけだからその時間もかなり短いものだが。


馬車に乗ったミハクちゃんがこちらを向いた。

その顔はとても寂しげで、目じりには涙が見えた。


それを見た子どもたちも悲しみが再発したようで、次々と涙を流し始めた。


かくいう俺も、どうにか堪えているだけで気を抜くと思いっきり泣きだしてしまいそうだ。


ミハク「…それじゃあ…またね……?」

ショコラ「うん……!またねぇ……!」

パメラ「うぅ……また来てね……!」

シエル「ぐすっ……またファッションショーしましょうね……!」

モニカ「ご飯ちゃんと食べてね…」

メリー「……またね……」

リオ「ケガには気をつけろよ」

サフィール「どうか、また会う日まで平穏な日々でありますよう、祈っております」

チェルシー「次もいっぱい遊ぼうね…!」

ミハク「うん……!」


子どもたちが言い終わると、今度はここまでじっと黙って見守ってくれていた、実はずっといたディッグさんたちも声をかけ始めた。


ディッグ「元気でな」

ケラン「今度来たときはまたお話しましょうね」

フルール「また泊りにいらっしゃい」

メイカ「そのときはまた一緒にお風呂に入りましょ♪」

ユーリ「ご飯とかもね♪」

ミハク「はい…!」


ディッグさんたちとも言葉を交わしたミハクちゃんは、最後に俺と目があった。


ミハク「マーガレットちゃんも、ありがとうね~。楽しかったよ~」

コウスケ「こちらこそ。とっても楽しい時間だったよ」

ミハク「えへへ、よかった~♪」


お互いに笑い合い、会話が途切れる。


…もうお別れの時間か……。


マグ(コウスケさんコウスケさん!)

コウスケ(ん…そうだね。マグもお別れの挨拶を…)

マグ(それもしたいですけどそうじゃなくて…)

コウスケ(?)

マグ(エリーゼとフレデリカのときみたいに何かあげませんか?)

コウスケ「あっ、そっか!」

ミハク「?」

コウスケ「ちょっと待ってね……」


俺はマジックバッグに手を突っ込み、以前この街を訪れ友だちになった、貴族っぽい子どもたち…エリーゼとフレデリカにあげたアレを取り出した。


コウスケ「ミハクちゃん、これ」

ミハク「?これは……?」

コウスケ「《救壁の護符》。元は私のためにって用意してくれたものなんだけど……私には他にもあるからさ」


ハルキからもらった完全上位互換の防犯ブザー…もとい、アクセサリーがね。


コウスケ「だからってわけじゃないけど、旅には危険が付き物だからね。これを使わないのが一番ではあるんだけど、安全性を上げられるに越したことは無いしね」

ミハク「そうだね~。でももったいなくて使いたくないな~」

コウスケ「まぁそうなるよねぇ……」


じゃあアレだ。

護符を取り出すときに思い出したアレもあげちゃおう。


コウスケ「じゃあこれもプレゼントです!」

ミハク「あっ、それ…!」


みんなと服の絵を描いた際、実はみんなでひとつの紙に思い思いに描いたものもあったのだ。

それがこれ。


まぁ服ばっか描いてると飽きるからね。


で、この合作イラストは実は別にもう1枚あるのだが、そっちはよく集まる俺の部屋に飾っている。

で、このもう1枚はどこにしようかなぁ…と考えてずっと持っていたやつなのだ。


ミハクちゃんに人からもらったお安いお守りだけ渡すのはアレだし、せっかくの思い出の品なのだ。

渡して大事にしてもらうのも良いだろう。


というわけで譲渡。


ミハク「わぁ…!わぁぁ……!ほんとにいいの〜!?」

コウスケ「もちろん!ねっ?」

チェルシー「うん!」

シエル「大事にしてよね!」

ミハク「うん!大事にするよ〜!」


満面の笑みを浮かべるミハクちゃんの姿に、俺たちも自然と笑みが溢れた。


コウスケ(うん。やっぱり、こういうお別れの方がいいね)

マグ(ですね♪ふふふ♪…っと、そうだ。コウスケさん、私にもお別れの挨拶させてください)

コウスケ(ん、もちろん)


というわけでマグと交代。


マグ「ミハクちゃん、元気でね♪」

ミハク「うん!マーガレットちゃんも…みんなもね!」

マグ「うん!」

ショコラ「ショコラ元気なのは得意だよ!」

チェルシー「アタシもー!」

メリー「……♪(ふんす)」


コウスケ・マグ((メリーが得意げだ……!))


あなた元気に自信があったのね……。

まぁ物静かなだけでいつもみんなとはしゃいでるもんな……。


じゃあ自信あるか。


カダノ「ミハクさん。そろそろ行きますよ」

ミハク「あっ、はい〜。それじゃあ…またね〜!」

マグ「うん!」

みんな『またね!』


ついに馬車が走り出し、俺たちも、ミハクちゃんも、お互いに相手が見えなくなるまでずっと手を振り続けた。


チェルシー「ぐすっ……行っちゃったね……」

サフィール「そうですね……やはり、寂しいです……」

パメラ「また会えるよね……?」

マグ「会えるよ、必ず。約束したんだから」

モニカ「…うん…!」

シエル「…そうね…!」

ショコラ「うぅぅ……ぐすぐす……」

メイカ「ほらほら!そんな辛気臭い顔しないの!ミハクちゃんが心配しちゃうでしょ!」

ディッグ「元気なのは得意なんだろ?」

ショコラ「うぅぅぅ……!がんばるぅ……!」

ケラン「うん、偉い!」


泣いてる子どもたちを大人たちが慰める。


ユーリ「うぅ……ミハクちゃぁん……!」

フルール「まったく……子どもたちが頑張ってるんだからあなたもしっかりしなさい」

ユーリ「はぁい……」


……例外もいるけど……。


まぁユーリさんも情が深い人だからなぁ……。

予想通りっちゃ予想通りではある。


ナバロ「大丈夫ですよ。兄上はあれで腕の立つ人ですから」

マグ・コウスケ「(ナバロさん)」


そんな俺たちの輪に、カダノさんの弟であるナバロさんが話しかけてきた。


マグ「カダノさんって強いんですか?」

ナバロ「一応、そこら辺の魔物に負けるような鍛え方はしていませんでしたよ。それを続けているのなら、ではありますけど…ここ数日の感じだと問題なさそうでしたしね」

マグ・コウスケ「(へぇ〜)」

ディッグ「確かに、しっかりした体付きではあったな」

ケラン「そうですね。それに他の護衛の方々も腕の立ちそうな方ばかりでした」

メイカ「そうねぇ。ここに来る時に魔物に手こずってたみたいだけど、それを全部退けられる実績もあるわけだし、気休め抜きで本当に大丈夫だと思うわよ?」

みんな『おぉ〜…!』


Aランク冒険者パーティのディッグさんたちの太鼓判が押されたのなら、本当に心配するだけ無駄なのかもしれないな。


リオ「そういや、聖歌隊の護衛の人たちの装備の修理依頼とか来てたな」

フルール「新調してる人もいるでしょうし、この街の物なら他の街のモノよりも強いでしょうね」

ユーリ「それなら確かに大丈夫そう……というか、街の外でのお仕事が無くなりそう……」

ディッグ「魔物が襲い掛かればそうなるだろうが……まぁ大丈夫だろう。そもそもこの前ギルドの依頼で街の外を軽く掃除しただろ?」

ユーリ「あっ、そういえば……」


えっ、いつの間に。


あ〜、そっか。

俺ら最近鍛治ギルドか医療ギルドでしか仕事してないからよく知らないんだった。


予想以上に安全が確保されててちょっと拍子抜けというかなんというか……。

安全なのはいいんだけど……なんだろうね、この…ねぇ?


コウスケ(まぁでもそういうことなら……)

マグ(安心ですね)

コウスケ(せやね)

マグ(それじゃあコウスケさん。お願いします)

コウスケ(ん)


ミハクちゃんを見送って満足したマグと交代して俺が表に戻る。


で、さっきの続きなんだが……唯一の気掛かりが、ミハクちゃんの不運なんだかなんなんだかの体質なんだけど……なんだかんだ良い方向に働いてるし…多分大丈夫だろう。きっと、うん、きっと。


若干不安になったが、ここから出来ることは祈ることくらいなので、旅の安全を祈っておく。


……。


サフィール「…?マーガレットさん?どうされたんですか?」

コウスケ「いや……」


サフィールちゃんが自発的に祈るのってかなり珍しいなって。

まぁこんな人の多い場所では言わないけどね。


サフィール「なんでしょう……?なんだか失礼なことを言われたような……?」


エスパーかな?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


コウスケ「で、そのあとバレてちょっと怒られたってわけ」

マグ「何やってんですかコウスケさん」

コウスケ「ほんとにね」


その日の夜。

マグといつものようにお話。

話題は当然ミハクちゃんたち聖歌隊のお見送り時のこと。


そして聖歌隊を見送ったあとのサフィールちゃんのやり取りのきっかけを話したらこう言われた。

ぐぅのねも出ない。


しかも怒られ方が怖いというより困る感じで……。


プンプンとなんか大げさに怒るなって思っていたら距離を詰めてきて胸をわざと押しつけるようにしてきたのだ。

至近距離で見るサフィールちゃんの顔は少し恥ずかしそうではあったものの、それよりも楽しそう…いや、愉しそうな感じが強かった気がした。


いやぁ俺のことをよく分かってらっしゃる。


マグ「まぁ私も役得だったんで強くは言いませんけどね」


おかげでマグからもひと言言われただけで済みました。

まさかここまで狙って……?

まぁそうだとしたら大問題なんじゃが。


マグ「でも、サフィールちゃんが元気でよかったです」

コウスケ「そうだね。聖歌対策が出来るまでは本当に元気がなかったし…なんなら実害出ちゃってたし……」

マグ「あれは本当に心臓に悪かったです……」


ほんと……もう起きないでほしいよ……。

心臓に悪いと言えば……モニカちゃんも心臓に悪かったなぁ……。


心臓と…あとこk


パァン!


マグ「わっ!?ど、どうしたんですか!?」

コウスケ「ちょっと自分を律しただけだよ気にしないで」

マグ「な、なるほど……?」

コウスケ「それよりも、俺はシエルの時も心臓に悪かったな……」

マグ「えっ?あ、あぁ~……あれもびっくりしましたね……」


すんごい無理やりだったけど、マグが乗ってくれたので話題を変えることが出来た。


モニカちゃんのことはマグにも教えてはいるけど、今のはそれ以前の問題だからね。

セルフビンタもやむなしだね。


……ただ…来月以降もやる必要があるっぽいのはなぁ……。

毎月決まった時期が怖くなるなんて…辛いわ……。

モニカちゃんの方が辛い思いするから断るわけにはいかないし……。


それにメリーのこともなぁ……。

まだ当分先だとは思うけど……いや、そもそもメリーの気持ちに答えを出すことも考えないとだし……。


マグ「あの着せ替え人形、そろそろ発売するんでしたっけ?」

コウスケ「えっ…?あ~……いつって言ってたっけかなぁ……」

マグ「も~、コウスケさん。ふたりきりなんですから、考え込まないでくださいよ~!」

コウスケ「あい…すいません……」


当然のお叱りを受けたので素直に謝罪。


で、人形の発売時期は……


コウスケ「たしか…魔術コンクールに合わせる的なこと言ってなかった?」

マグ「あっそっか。先に宣伝だけしといて、コンクールが終わった後に…って話でしたね」

コウスケ「そうだそうだ。コンクール前はそっちで話題が持ちきりだろうからってね」


魔術コンクール。

ざっくり言うと魔法の腕を競う大会なわけだが、着せ替え人形もなかなかの革命なため、大会と同じタイミングで発表すると互いに話題が分散してしまう…というのを恐れた故の配慮だろう。


そしてその魔術コンクールには、俺も出場する予定である。


コウスケ「魔術コンクールか〜。いざ近づいてるんだと思うと、緊張してくるなぁ」

マグ「コウスケさん、最初のころよりは慣れてきましたけど、大勢の人の前は苦手ですもんね……まぁ、私もなんですけど……」

コウスケ「いやぁ、マグもだいぶ表で活動できるようになってるよ。今日だって聖歌隊を見送る人たちの前でミハクちゃんにお別れが言えたし」

マグ「あれはミハクちゃんとどうしてもお話したかったからで……でも…自分でも良くなってると実感してます」

コウスケ「いいね。この調子で……1日寮内で過ごせるようになろうね」

マグ「多分ですけどそれ、今の私でも出来ると思いますよ?」

コウスケ「目標低すぎたかな?」

マグ「そうですね。もう超えられそうですもん」

コウスケ「じゃあ……白兎亭にいるときずっと表に出れるくらい?」

マグ「それもいけそうな気が……食べるときは大体みんなと一緒ですし……」

コウスケ「う〜ん……じゃあほぼ完治じゃない?」

マグ「判定甘すぎません?」


だって正直身内と話せて他の人と営業スマイル出来れば生活に支障出ないよ?


コウスケ「まぁでも、話せるに越したことはないから、上を目指せるなら目指したいかぁ」

マグ「あはは、そんな大したことでもないですけどね」

コウスケ「いやいや、人と話すのって大変なことなんだから。大したもんだよマグは」

マグ「えへへ…そうですか?」

コウスケ「うん。天才、秀才、大喝采!」

マグ「最後違くないですか?でもありがとうございます♪」


はい可愛い笑顔いただきました。

こんなに天才で秀才なのにさらにめちゃ可愛いとかもう無敵でしょ。


マグ「でもそれを言うならコウスケさんもですよね?」

コウスケ「そんなことないよ」

マグ「否定が早いなぁ……でもコウスケさんもすごいですからね?そこは絶対に譲りませんから」

コウスケ「なんて強い意思だ……」

マグ「…………ふふ♪」

コウスケ「ふふふ♪」


どちらからともなく吹き出してしまい、しばらく互いにクスクスと笑い続けた。


マグ「ふふふふ……はぁ〜……ねぇ、コウスケさん」

コウスケ「ん〜?」


笑い終え深く息を吐いたマグが顔を上げて俺を見上げてきた。


マグ「また明日からもよろしくお願いしますね♪」


そしてそんなことを言った。

俺はそれに笑みを浮かべて、


コウスケ「うん。こちらこそよろしく♪」


そう返した。

その後、夢から覚めるまでふたりでちょいちょいいちゃつきながらまったり過ごした。

これにて第4章閉幕です。

終わってみればなんとも行き当たりばったりだったな感が凄いですが、それでも当初想定していた本筋からはそこまで離れてないしまぁいいかなぁと思ったり。


次の章はもちろん魔術コンクールのお話になる予定ですが、その前に外伝として、やり忘れたチェルシーの誕生日のお話をあげようと考えております。


現在作品内では6月半ば辺り。

チェルシーの誕生日は5月。


過ぎとる。


というわけです。


なので来週もお楽しみに!(強引)

ではでは!

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