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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
326/435

321.人形製作…限度がある

次の日。

冒険者ギルドのハルキとの通信部屋に来た俺は開幕土下座を敢行した。


1番の懸念であったマグにもう知られているので怖いものはあんまりないから出来たことである。


コウスケ「申し訳ありませんでした」

ハルキ『急にされてもなんのことだかわからないんだけど!?』


困惑させました。

まぁなんも言わずに最初に土下座したからね。

仕方ないね。


仕方ないので説明しようね。


コウスケ「実はかくかくしかじかで、チェルシーと流れでチョメりました」

ハルキ『まぁ知ってるけどね』

コウスケ・マグ「(え"っ!?)」

ハルキ『お泊まり会帰りにチェルシーが教えてくれたよ。コウスケがめちゃくちゃ気にしてたってことも含めてね』

コウスケ「そ、そうなんだ……」

マグ(言えちゃうことなんですねぇ……)


俺だったら内緒にしようとして…途中で罪悪感に押しつぶされて自白するな……。

今だって自分からこの話に持ち込んだわけだし。


コウスケ「というか…それを知ってよく平然といられるね……?自分の幼妻なんだよ……?」

ハルキ『そりゃまぁ聞いたときは飲み物吹き出したけど……チェルシーが楽しそうに話してたから、とりあえず事件性は無さそうだし問題ないかなって』

コウスケ「問題だらけだよ?」


むしろ問題しかないよ?


ハルキ『言いたいことは分かる。分かるけど……モニカちゃんのための医療行為の一環で、ほんとはチェルシーとそういうことをする予定はなかったんだろう?』

フォーマルハウト『チェルシーも自分から輪に加わったと話してましたし、コウスケさんが罪悪感を感じることではありませんよ』

コウスケ「そ、そうは言ってもなぁ……」


ハルキだけでなく、彼のダンジョン管理のサポートをしているナビ妖精のフォーマルハウト…通称マル子(本人に言うと怒る)にもフォローされるが、さすがにそれでも割り切るのは難しい。


しかし本人たちが気にしていない以上、これ以上ウタウダしていても逆に迷惑をかけてしまうだろう……。

ここは腹を括って開き直ってしまう方がいいか。


コウスケ「う〜ん……まぁ、わかった。でももちろん今後はこんなことが起きないようにはするからな!」

ハルキ『チェルシーはまた来月も参加する気満々だけど?』

コウスケ「んっ!?」

マル子『またモニカちゃんのために一緒に頑張るんだ〜♪と張り切ってましたね』

コウスケ「…………」


マグ(…あ〜…コウスケさん……)

ハルキ『コウスケ』

マル子『コウスケさん……』


マグ(『『がんばれ…!』』)

コウスケ「そんなことあるっ!??」


どうやら今後も何故かふたり分相手する羽目になりそうだ……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夫としてどうなの?という答えをもらった俺は、その答えへの疑問5、今後の《発散》行為への不安3、怒られなかったことへの安堵2という複雑な心境の中再び商業ギルドへと向かっていた。


朝、ショコラちゃんとパメラちゃんがミハクちゃんが描いてくれた分を見せてくれたので、上手いこと言って預かったのちにララさんとリンゼさんの根回しの元、商業ギルドへ書類を届けるという仕事をもらった。


ミュイファさんのあの様子からして、恐らくもう人形製作に着手していると思うので、手土産もこの道のりでしっかり買った。


何人掛かりで作業しているかは分からないのでとりあえずクッキーを大量に購入。

これで足りないなんてことはそうそうないだろう。


先に試しで食べてみた感じ味もよかったので喜んでくれるはずだ。


コウスケ(それにしても、ミハクちゃんの絵、思ったより出来上がりが早かったねぇ)

マグ(そうですねぇ。それに可愛い服でしたねぇ♪)

コウスケ(ねっ)


ミハクちゃんは急な話だったろうにも関わらず、なかなかの完成度のものを描きあげてくれていた。


それはいわゆるシスター衣装…なのだが、正直この服にはちょっと見覚えがある。


コウスケ(でもやっぱあれってサフィールちゃんの制服だよね?)

マグ(ですねぇ。少しアレンジされてましたけど、あれはサフィールちゃんのお洋服が元になってますね。描かれてた女の子もお胸が大きかったですし)

コウスケ(だよねぇ)


サフィールちゃんの改造制服をモチーフに、動きやすさや可愛さを増やした感じだったミハクちゃんのデザイン。


代償に露出度が上がっていたが、元がほぼ肌を見せない作りなので露出といっても普通の服と同じくらいになっただけ。


しかもぶかぶか帽子や胸を小さく見せるための工夫が施してあるなど、サフィールちゃんが気にしているところへの配慮も欠かさないイケメンっぷり。


サフィールちゃんのインパクトが強かったのか、それかミハクちゃんはサフィールちゃんと仲良くなれたことがよっぽど嬉しかったのか。


どっちもな気がする。

そんな気はするが、なんにせよ彼女がサフィールちゃんへの配慮をしっかりするめっちゃ良い子なのは変わらない。


マグ(ふふふ♪素敵な服になるといいですね〜♪)

コウスケ(だね。今から完成が楽しみだよ)


みんなが描いてくれた素敵なデザインを持ち、俺たちは期待に胸を膨らませて商業ギルドへと急いだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


商業ギルドに着いた俺たちは早速受付へ向かった。


コウスケ「こんにちは〜!」

受付のお姉さん「あら、マーガレットちゃん、いらっしゃい。もしかして例の件かしら?」

コウスケ「はい」


マグ(多分お人形のことですよね?)

コウスケ(それ以外はちょっと思いつかないねぇ)


答えはしたものの、多分あれじゃね?程度にしか思い当たってない俺たちであった。


主語って大事だね。


受付のお姉さん「それなら今マスターは玩具制作班の部屋で一緒に作業してるはずだよ」

コウスケ「ありがとうございます」


まぁ計画を出来る限り秘密にしてくれているのだろうことはなんとなくわかったので、何も言わずとりあえず教えてもらった部屋まで行くことに。


マグ(あっ、あれですかね?)

コウスケ(あれっぽいね)


マグと話しながら歩いていると、先ほど言っていた「玩具製作班」と書かれた看板が扉の上ににょっきり付いている部屋を見つけた。


早速ノック。


コンコン


コウスケ「すみませ〜ん。ここにミュイファさんがいると…」


聞いて…と続く前に中からガタンッ!と音がした…と思ったら…


ドタドタドタ…バンッ!


ミュイファ「マーガレットちゃん!良いところに来てくれたね!」

製作班のお兄さん「ちょうど今早く君に見せたいと話していたところだよ!」

製作班のお姉さん「さぁさぁ!早く入って入って!」

コウスケ・マグ「(えっ?えっ?)」


慌ただしく出てきたミュイファさんたちに部屋の中に連れ込まれ、近くのイスに座らされた。


コウスケ「あ、あの……?」

ミュイファ「マーガレットちゃん…キミは本当に良いタイミングで来てくれたよ……!」

コウスケ「え、え〜っと……?」

お姉さん「運命的…と言っても過言じゃないわね……!」

お兄さん「むしろ必然…かもしれないな……!」

コウスケ・マグ「(???)」


まったくもって何を言っているのか分からない俺たちがキョトンとする中、なおも興奮冷めやらぬ様子のミュイファさんたち。


周りを見ると、他の製作班スタッフさんたちもかなり自信ありげな様子でこちらを見つめている。


ミュイファ「マーガレットちゃん。キミに見せたいものがあるんだ…!」

コウスケ「み、見せたいものですか……?」

お姉さん「そう!私たちの努力の結晶!」

お兄さん「徹夜して作った最高傑作!」


コウスケ・マグ((あぁ…だからテンション高いのか……))


ミュイファ・お兄さん・お姉さん「「「それがこれさっ!!!」」」

コウスケ・マグ「(っ!)」


徹夜ハイテンションの3人が自信満々に見せてくれたのは、俺が昨日思い描いていた着せ替え人形……の素体。


見た目は大人の女性というよりは少女…ちょうどマグやシエルたちと同じくらいの年頃の女の子の体格をしており、昨日の俺の要望がしっかりと踏襲されている。


顔のパーツや服などは何もついていないが、だからこそ各部位の作りがよくわかる。

肩や肘、膝などには球体関節が採用され、動く範囲もしっかり常識の範囲内になるように形作られている。


そして手や足に関しては指先までしっかり再現されており、しかも指をちゃんと動かせるようになっている。


コウスケ・マグ「(すっっっご……!)」

ミュイファ・お兄さん・お姉さん「「「ふふ〜ん♪♪♪」」」


俺たちが思ったままのことを口にすると、ミュイファさんたちは超絶渾身のドヤ顔をした。


いやこれはドヤ顔するのも無理ないよ。

俺の世界のフィギュアたちと張り合える精巧さだよこれは……。


そう、張り合える。

そしてそんな前世のフィギュアたちは、精巧な作りに見合った対価を要求してくる……。

つまりこれも…


コウスケ「あの…これ……いくらぐらいになりそうですか……?」

ミュイファ「ん?そうだねぇ……素材は上質な木材だけではあるが、それを多数加工して形を整え、綿密な計算のもと作られた設計図を頼りに人形を形づくり、耐久性向上や劣化防止にコーティングを施してだから……あぁ、うん。ごめん。もの凄く高くなっちゃった……」

コウスケ「でしょうね……」


精巧なのを依頼したのは俺だし、この出来上がりに満足もしている。

多分値段を聞いても納得するだろう。


だが、それとこれとは別問題なのだ。


コウスケ「これを誕生日プレゼントに送ったら、喜ぶどころか萎縮させちゃいますよ……」

ミュイファ「ぬあぁぁ…しまったぁぁ…!完全に失念してたぁぁ…!」

お兄さん「凝りすぎたか……」

お姉さん「作ってたら楽しくなっちゃって……」


製作班に配属されるだけあって、こういう細密な作業が得意&好きなのだろう。


みんな夢中になって作っていたんだろうなぁ。

こんだけメンバーがいて誰も指摘しないほどに。


コウスケ「出来上がりはそれはもうとんでもないですよ。想像していたものをはるかに超えてます。ですが超えすぎです……これじゃあシエルはもちろん、他の一般の子どもたちの手にも馴染みませんよ……」

ミュイファ「そうだよなぁ……これに服とかも必要になると考えると……ダメだね。コストが嵩みすぎる」

お姉さん「お貴族様ご用達の玩具にまっしぐらですね……」

お兄さん「それなら採算は取れるが……」

ミュイファ「本来の目的が達成できてない。それじゃあダメだ。残念だけど、作り直しだねぇ……」

お兄さん・お姉さん「「はい……」」


ミュイファさんの言葉に落胆する製作班の面々。


頑張ってくれたのはよく分かるけど、もそっと簡単な作りでお願いします……。


ミュイファ「ふぅ〜……一旦休憩を挟むべきだね……それからもう一度会議を開いて詰めていこう」

製作班一同『はい!』

ミュイファ「よし、各自昼休憩終了後にここに集合。それまで解散!」

製作班一同『はい!』


コウスケ(…ギルドマスターって感じだねぇ)

マグ(ですねぇ)


昨日は商人味を大いに感じたが、こうして人をまとめている姿はやはりギルドマスター味を強く感じる。


そんなことを考えている俺に、ミュイファさんが話しかけてきた。


ミュイファ「ごめんねマーガレットちゃん。こっちがただはしゃいでる姿を見せただけになっちゃったね」

コウスケ「いえいえそんな……あんな凄い作品を見れて嬉しかったですよ?」

ミュイファ「そう言ってもらえると助かるよ。っと、そうだ。何か用があって来たんだろう?」

コウスケ「あっ、そうですそうです」


精巧な人形に気を取られて若干忘れていたが、俺は本来の目的であるデザインの納品をしに来たんだった。


コウスケ「みんなの描いた絵を持って来ました。今朝ミハクちゃんの分ももらったので全員分ありますよ」

ミュイファ「おぉー!助かるよ、ありがとう!それじゃあ早速転写士に依頼を……あっそうか。マーガレットちゃん、キミは本当に良いタイミングで来たよ」

コウスケ・マグ「(えっ?)」


ミュイファさんの言葉の意図がまた分からずに首を傾げたところで、部屋の扉がノックされた。


男性の声「マスター、いらっしゃいますか?」

ミュイファ「いるよ。どうしたんだい?」

男性の声「約束されていたお客様がご到着されました」

ミュイファ「わかった。すぐ行くよ」


そこで区切ったミュイファさんがこちらを見て続けた。


ミュイファ「マーガレットちゃんと一緒にね」

コウスケ・マグ「(えっ)」

男性の声「かしこまりました」


いやかしこまりましたってあーた。


男性と思わしき人が扉から離れた気配を感じたところでミュイファに慌てて尋ねる。


コウスケ「いやいやいやいやミュイファさん?ミュイファさんへのお客さんに私が会っていいんですか?」

ミュイファ「大丈夫。キミも知っている相手だからね。それも、今の状況に相応しい…ね」

コウスケ・マグ「(?)」


今の状況に相応しい俺の知り合い?


…っていうと……知り合いの転写士ったら、すぐに思いつく人がいるな。


コウスケ「もしかしてピコットさん?」

ミュイファ「正解♪まぁ今日はもう1人呼んでるんだけどね♪」

コウスケ「えっ?」

ミュイファ「さっ、行こう。あんまり待たせちゃ悪いからね♪」

コウスケ「あっ、はい」


もう1人…誰だろう?

誰だかはわからない…わからないはずなんだけど……。


…多分よく知ってる人…な気がするのは何故だろう……?


謎の予感を持ちながら、俺はミュイファさんの後に着いて行った。

フィギュアって高いですよね。

でもリ○ちゃん人形もだいぶ精巧だと聞いた気がするんですけど、あまり高級さとは無縁というイメージ……。


まぁ調べてないからかもしれませんが。


それはそれとしてまた来週。

ではでは

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