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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
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319.吸血姉さんの衝動…エルフ娘へのプレゼント会議

さて、今日はギルドの仕事は休み。

ギルドの大人(保護者)たちが気を利かせてくれているので子ども組のお休みはみんな一緒になっている。


ありがとう大人たち。


ちなみに我が家の大人たちは普通にダンジョンアタックしに行きました。

なので今いる大人はフルールさんだけです。


そう、フルールさん。

昨日メリーに避けられているときに、若干ご機嫌悪げだった…ように見えたフルールさんだ。


メリーに何したの?的な、ま〜た何かあったのね…的な、怒りだか呆れだか持ちそうなフルールさんが、昨日は特にこれといった反応を示していなかったのだ。


あっ、朝ごはんはちゃんと用意してくれました。

いつも美味しいですありがとうございます。


ともかく、そんないつもお世話になってるフルールさんにもキチンと事情を説明するべきだろうと思ったので、昨日と変わらず恥ずかしがって距離を取るメリーの相手をリオに任せ、フルールさんと1対1で話に行った。


フルール「えっ?私が昨日なんとなく不機嫌に見えた?」


あんまり遠回しだと面倒くさいかなと思い、バカ正直に真っ向勝負を仕掛けてみました。


コウスケ「はい。なんとなくムスッとしてたというか、何か考え込んでるかのような感じがして…もしかしたら昨日俺とメリーが距離あったのが原因なのかなと……」

フルール「あぁ…そういうこと……大丈夫、それとは関係ないわ」

コウスケ「そうなんですか?」

フルール「えぇ。それに、昨日のモニカがまるで何かから解放されたみたいにご機嫌だったのを見るに、どうせ貴方があの子に何かしてあげて、それをメリーに見られたとかでしょ?」

コウスケ・マグ「(そ、その通りです……)」


さすがフルールさん…バッチリ当ててきた……。


フルール「ふふっ、安心なさい。それとは別の理由でちょっと考え込んでただけだから」

コウスケ「そうだったんですね」


とりあえずよかった…かな。


ホッと胸を撫で下ろした俺は、メリーたちがまだ帰ってこないことを確認してからフルールさんに再度話しかける。


コウスケ「それじゃあ、いったい何を考えていたんですか?」

フルール「ん〜……そうねぇ……」


話の流れ的には当然の疑問を投げかけただけなのだが、フルールさんは珍しく歯切れが悪く考え込んでしまった。


マグ(あんまり人に言いたくないことなんでしょうか……?)

コウスケ(そうかも……あまり深入りはしない方がいいかな……?)


秘密がいっぱい持っている身である俺はそう考えて話を変えようとしたが、先に口を開いたのはフルールさんの方だった。


フルール「まぁ…貴方には知っておいてもらいたいし、ちょうどいいわ」

コウスケ・マグ「(えっ?)」


俺に知っておいてもらいたい話?

なんだろう……?


フルール「人間たちの言うところの《亜人族》は、いろんな特徴があるの。私たち吸血鬼は血を飲むことで魔力を効率よく補給できたり、夜に活発化する代わりに太陽にめっぽう弱かったりね」

コウスケ「そうですね」


フルールさんもメリーも、直射日光はともかくとしても、カーテン越しのほのかな陽射し程度なら日光浴出来るくらいには耐性が出来てきてるっぽいけど。


ちなみに現場を目撃した俺とマグは死ぬほど焦ったけどな。

とても心臓に悪かった。


フルール「で、その種族の中には月の影響を受ける種族もいるの」

マグ(月?)

コウスケ「あ、満月の夜には元気になるとかですか?」

フルール「えぇ、そうよ」

マグ(へぇ〜)


狼男的なあれかなと思っって言ってみたら正解した。

やっぱりあるんだな、そういうの。


フルール「私たち吸血鬼がまさしくそれで、満月の日になると体が種族衝動に駆られるの」

コウスケ・マグ「(種族衝動……)」

フルール「私たちの場合は吸血ね。満月の日が近づくごとにその衝動は強くなっていってね……まぁ衝動が出てる間に1度吸っちゃえば、その期間は治るんだけどね」

コウスケ・マグ「(へぇ〜……)」


吸血衝動か……。

それはまたなんとなく厄介そうな……ん?


コウスケ「あの、それってメリーも?」

フルール「えぇ。だから最初はそのせいで避けてるんだと思ってたのだけど、見てたらどうやら違うみたいだったから……貴方が頼めば吸わせてくれる人だというのはわかっているのだけど、それでもやっぱり種族の特性が色濃く出る事柄を告白するのは少し躊躇いがあってね……あの子は初めてだから余計にそう思ったところもあったかも……」

コウスケ「あっ、もしかして昨日はそれを?」

フルール「そうよ。でも貴方の方から尋ねてくれたからちょうどよかったわ」

コウスケ「なるほど……」


マグ(怒ってるわけじゃなくてよかったですね)

コウスケ(うん。それにメリーのことも知れてよかったよ)

マグ(ですね。昨日のアレはコウスケさんのこととその吸血衝動が混ざっちゃってたんですね)

コウスケ(片方だけでも逃げそうだから全然気付かなかったよ)

マグ(た、確かに……)


でもそうか。

それなら昨日吸ったメリーは今月分はもう大丈夫なんだな。


コウスケ「と、それじゃあフルールさんももう衝動が来てる感じですか?」

フルール「そうね。一時期は抑え込んでたから吸わなくても大丈夫ではあるけれど、吸った方がいいのは事実ね」

コウスケ「ならばせっかくですしグイッといっときます?」

フルール「えっ」


話の流れ的にフルールさんもそうなのだろうと思って首を差し出したのだが、フルールさんはなぜか驚いた顔をした。


コウスケ「衝動きてるんですよね?」

フルール「それはそうだけど……いいの?昨日メリーに吸われたばかりじゃない?」

コウスケ「吸われはしましたけど、まだまだ平気ですよ」

フルール「そう?……それなら…お言葉に甘えちゃおうかしら…」


そう言ってフルールさんは俺の首元にゆっくりと顔を近づける。


改めて間近で見るとフルールさんはやはりドエライ美人で、少し心がドギマギしてしまう。


そんな俺の心を知る由もないフルールさんはそのまま俺の首にカプッとしてチューっと吸い始めた。


最初のころはなんともこそばゆい感覚だった吸血行為だが、初めてから2ヶ月経った今となっては……


うん、やっぱりくすぐったいわ。


でも下手に動くと危ないから我慢しないといけない。

う〜ん…正直血を吸われるよりもそこが1番ツラい。


だがどうにか我慢しきれたようで、俺の限界が来る前にフルールさんが首から顔を離した。


勝った…!と別に勝負でもないのに喜んだのも束の間、離れたフルールさんが自分の唇をペロッと舐めてひと言、


フルール「…ごちそうさま♪」


と言ったその瞬間がとっても妖艶で思わず…


コウスケ・マグ「(ヒョエッ…!?)」


と、マグとふたりして変な声をあげてしまった。


そして気恥ずかしくて目を逸らす俺だったが、そんな俺にフルールさんがクスッと笑った気がした。


それで余計に恥ずかしくなった俺は慌てて話題を変えることにした。


コウスケ「と、というかフルールさん。もしかしてここに来てからも我慢してたんですか?」

フルール「ん?あぁいえ、メイカには先に話してあって、衝動が出始めたところでお願いして吸わせてもらってたの。今回はメリーのことを考えてて言うのを忘れちゃってたんだけどね」

コウスケ「あっ、そうなんですね」


そうか…我慢してなかったか…よかった……。


何かと別のことにかかりきりでフルールさんたちとの時間を削りがちだったからなぁ……。


でもようやく落ち着いたことだし、近いうちに何かあるわけでもないし、この機会にフルールさんとメリーともっと触れ合おう。


……あれ?

何もなかったよな……?

何か忘れてる気がするぞ……?


え〜っと……あっ、マグにバラしたから堂々とチェルシーのことをハルキに謝れるな。

あとで行こう。


聖歌隊もまだ旅立ちの日は先だし……。

えっとあとは……何か…何か引っ掛かってるような……。


フルール「そういえば、貴方はシエルに何かプレゼントとか買ったの?」

コウスケ・マグ「(えっ?)」

フルール「あの子、お泊まり会の時にこっそり私に教えてくれたのよ?もうすぐ自分の誕生日だから、マーガレットがどんなサプライズしてくれるのか楽しみだって」

コウスケ・マグ「(誕…生…日……?)」


だってシエルの誕生日は6月の……


コウスケ・マグ「(あぁぁぁぁぁ!!?)」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


コウスケ「と、いうわけで。急募。シエルの誕生日サプライズパーリィ案」

リオ「やっぱ忘れてたのか……」

コウスケ「面目ない……」


開幕リオに呆れられた、俺の部屋で開いた会議。

参加者は俺、マグ、リオ、メリーの4人。


だってフルールさんに言われたさっきの今だし。

シエルいるところで始めるわけにはいかないし。

メリーはリオに隠れてるし。


ちなみにフルールさんは衝動を抑えていたのが地味に疲れていたようで、せっかく解放されたからと優雅なお昼寝をしに行った。

いつもお世話になっているのでこの機にぜひゆっくりしていただきたい。


さて。


コウスケ「じゃあリオは何か用意したの?」

リオ「いや…オレも気が付いたのつい最近で……」

コウスケ「リオも人のこと言えないじゃん!」

リオ「い、言われて初めて気付くよりはマシだろ!?」

メリー「……どっちもどっち」

コウスケ・リオ「「ぐはっ!」」


仕方ないんや……!

いろいろあったからすっぽ抜けちゃったんや……!


それでも忘れたことには変わらないか、そうか。


至極真っ当なツッコミを受けて傷を負ったところで、不毛な争いはやめて真面目に考えることに。


コウスケ「う〜ん…何かシエルが喜びそうなこと……」

リオ「まぁ、チェルシーのときみたくパーティーはするとして、あとはやっぱプレゼントだな」

コウスケ「プレゼントかぁ……」


コウスケ(う〜む…それも悩みどころだなぁ……)

マグ(シエルの好きなものといったら、やっぱりお洋服とかじゃないですか?)

コウスケ(そうだねぇ…おしゃれ好きだし、確かに喜びそう)


あっでも…


コウスケ(成長期真っ只中の今送っても、すぐに着られなくなりそうじゃない……?)

マグ(あっ…そうですね……私もお気に入りのお洋服が着られなくなったときは悲しかったですし……それを加工してハンカチとかにして使ってましたけど、やっぱり出来る限り長く着ていたかったですね)

コウスケ(だよなぁ……)


こっちに来てからもらったマグの服も、いつかは着れなくなるんだろうか……。


ココさんからもらったパーカーとか…あと下着もちょくちょく買い替えが必要だろうし……。


う〜む……成長は嬉しいけど、生活必需品のことを考えると大変だな……。

親は俺の時どうしてたんだっけ……?

さすがに覚えてないな……。


と、いかんいかん。

今はシエルの誕生日だ。


俺が脱線を修復していると、リオが案を出してくれた。


リオ「アクセサリーとかどうだ?あんまり派手目のもんはアレだけど、ちょこっとしたおしゃれくらいのものだったら喜びそうじゃないか?」


なるほど…それなら成長しても問題ないだろうし、高すぎるなんてこともないから受取拒否が発生しない。


メリー「……いいとおもう」


メリーもこの案に賛同してくれた。


マグ(あっでも……)


しかしマグは何か引っ掛かったようだ。


コウスケ(どうしたの?)

マグ(いえ…他の子のプレゼントを聞いていないので、もし被ったら困るな〜と……)

コウスケ(あっそっか、それもそうだね)


確かに、まだここにいる子たちとしか話していないから、万が一同じような物を送ってしまうということがあるかもしれない。


というわけでその旨をリオたちにも伝えた。


リオ「うっ…そうだな……確かに被ったらちょっと気まずいか……」

メリー「……あと、ミハクにもいったほうがいいんじゃない?」

コウスケ「あぁそっか。ん〜…聖歌隊の滞在予定日数的に……うん、いけるね」

リオ「ならミハクにも伝えてやろうぜ。シエルもミハクがいた方が喜ぶだろ」

コウスケ「だね」

メリー「……ん(こくり)」


マグ(なら、ミハクちゃんの分のプレゼントも考えないとですね)

コウスケ(えっ?ミハクちゃんにもプレゼントあげるの?)


シエルの誕生日兼ミハクちゃんのお別れパーティーにするつもり?


マグ(いえいえ、そうではなく。シエルの誕生日なんてまったく知らなくて、しかも聖歌隊所属で旅ばかりだからあまり荷物がないミハクちゃんがプレゼントを用意できるとは思えないじゃないですか)

コウスケ(そこまで言うか。まぁ確かにそうだけど……)


…ん…あぁ、なんとなく言いたいことがわかった。


コウスケ(そっか。俺らがプレゼントを用意してるのにミハクちゃんだけ用意できなかった…なんてなったらミハクちゃんにツラい思いをさせちゃうか)

マグ(ですです)


それは絶対に避けたいな。

どうするのがいいか……。


とりあえずふたりにも共有しとこう。


リオ「それは確かに問題だな……」

メリー「……うん…おいわいなのにかなしくなっちゃう……」

リオ「あっ、それならさ。オレらとミハクで何か用意して、オレたちからのプレゼントってことにしないか?」

コウスケ「おっ、なるほど」

マグ(それならミハクちゃんも贈り物ができますね)

メリー「……さんせい」

リオ「よし!それじゃあ何を送るか考えようぜ!」

コウスケ・マグ・メリー「(「うん!」)」


〜〜〜数分後〜〜〜


みんな『(う〜ん……)』


まぁそれが決まればこんな会議開いてないんですけどねと。


しかし完全に煮詰まってしまったなぁ……。

このままでは昼ごはんの時間になってしまう。


どうせ夜にはまた会議を開けるが、この調子ではそこでも良い案が出そうな気がしない……。


う〜ん……シエルの好きなファッション系がやっぱり攻め所かなぁ……?

でも服もアクセサリーも……う〜ん……。


メリー「……あっ」

リオ「ん?何か思い浮かんだのか?」

メリー「……うん」

コウスケ「えっ、なになに?」

メリー「……(サッ)」

コウスケ「あー……!」


何か思いついたらしいメリーに思わず食いついたらリオの影に隠れられた。


リオ「今のはお前が悪い」

マグ(うんうん)

コウスケ「そんな……」


悲しみの極み……。


リオ「で、何を思いついたんだ?」

メリー「……ファッションショー。シエルはほかのひとのおしゃれもすきだから」

リオ「あ〜、確かに。前やった時も大喜びしてたな」


マグ(なるほど。しかもそれならミハクちゃんも参加しやすいですね)

コウスケ(そうか、ファッションショーか……)


これは名案中の名案かもしれんぞ?

というか他に思いつかん。


リオ「でもそれだと形に残らないか……」

メリー「……そっかぁ……」

リオ「あぁいや、ファッションショー自体は喜びそうだから、他のみんなにも伝えて開催しようぜ?」

メリー「……うん(こくり)」


しょんぼりするメリーを慌ててフォローするリオを尻目に、俺はマグと相談を続ける。


コウスケ(まぁ形に残したい気持ちは分からんでもないなぁ……)

マグ(見るたびに楽しかった記憶が浮かびますからねぇ。出来るなら私も形に残したいですけど……それが思いつかないんですよねぇ……)

コウスケ(ふ〜む……)


ファッションショーという案は最の高だから、それを生かしたプレゼントを用意したいが……。


というかファッションショーの内容も考えないとか……。

まぁこっちはみんなでこっそり決めていけばいいが……。


確か最初にやったときはリオを着せ替え人形にして遊んだんだよな。

その後リオが大変だったからアレだけど……。


……ん……着せ替え人形か……。


ウチの世界で女児に人気の着せ替え人形があったよな……。

ふむ……。


…………よし。

いけるかも。


コウスケ「閃いた」

マグ・リオ・メリー(「「えっ?」」)

コウスケ「私の金とコネを使うときが来たみたいだね…♪」

マグ・リオ・メリー(「「???」」)

チェルシーの誕生月が5月だということをすっかり忘れていたため、外伝でやります。

すまん、チェルシー……。

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