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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
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307.秘密の終了…と説得

翌朝。

目が覚めるとメリーにバッチリ抱きしめられていた。


バカな……昨日抜け出したというのに……再び抱きしめられたというのか……!?


まぁ昨日戻るときに自分からメリーの腕の中に入ったんですけどね。


朝っぱらから遊べる程度に元気なことがわかったところで、昨夜同様起こさないように抜け出して布団から出る。


向かいのベッドを見ると、サフィールちゃんはもう目覚めているようでベッドはもぬけの殻だった。


あれ触って温かかったら、「まだ温かい…近くにいるぞ!」って言えるなぁ。

オトナ帝国…良作だよなぁ……。


…あれももう見れないって思うと気分が落ち込んできたな……。

いかんいかん……。


昨日サフィールちゃんを元気付けたのに俺がめちゃくちゃ個人的な理由で落ち込んでどうすんだよっと。


とりあえず顔洗うか……。


気分を変えるのも兼ねて、昨日入ったお風呂方面へ。


サフィール「あっ」

リオ「おっ?」

コウスケ「あやっ。サフィールちゃん、リオ。おはよ。さすがに早いね」

リオ「おはようさん。まぁ違う布団で寝るのも初めてじゃないしな」

サフィール「おはようございます。私に至ってはいつも通りですからね。寝坊するわけにはいきません」


ちょうど脱衣所の入り口でサフィールちゃんとリオのふたりに遭遇したので挨拶を交わす。


その後ふたりと別れて脱衣所の洗面台で洗顔、うがいを済ませたのち、自分も部屋に戻ろうと脱衣所を出ると、そこにはさっきのふたりが待っていた。


コウスケ「あれ?先行っててもよかったのに」

リオ「どうせ顔洗うだけだと思ってな」

サフィール「それくらいでしたら、マーガレットさんを待って一緒に戻った方が楽しいかと思いまして」

コウスケ「朝から嬉しいことを言ってくれるねぇ」


せっかくだからゆっくりと…というのも追加して、俺たちは別に長いわけではない部屋までの帰り道をまったり歩く。


その道中、ちょっと気になったのでサフィールちゃんに尋ねてみた。


コウスケ「そういえば、サフィールちゃんは朝のお祈りとかするの?」

サフィール「ん〜…まぁしないこともないですが……ひとりのときに率先してやったことはないですね」

リオ「サフィール、神様のことあんま信じてないもんな」

コウスケ「そういえばそう言ってたっけ」

サフィール「ふふふ、他の人には内緒ですよ?といっても、医療ギルドの方々も結構信じていない方が多いのですけどね」

コウスケ「そういうのってやっぱり教会とかの人の方が信じるんかな?」

リオ「やっぱ人によるんじゃないか?」

サフィール「神様自体もたくさんいますからね。信仰する神様ごとに方針も違いますから」

コウスケ「属性ごとだから…9宗教はあるのか」


そりゃあ方向性も違うだろうなぁ。


ハッ!

もしかして9人の神様は方向性の違いで個々の道を歩み出しただけで、実は元々同じ釜の飯を食う仲間なのでは!?


いやバンドかよと。


バカなことを考えている俺を置いて、リオとサフィールちゃんは話を続ける。


リオ「サフィールは何神様に祈ってんだっけ?」

サフィール「光の神、セインディア様ですね」

コウスケ「ん、ならナバロさんたちと同じか」

サフィール「はい。なので口が滑らないように気をつけてます」

リオ「ナバロさんはそこらへん厳しいからな……」

サフィール「えぇ。ですからナバロさんたちの前ではキチンとシスターをさせてもらってます」

リオ「…なんか……今日のサフィールはいろいろぶっちゃけるなぁ……」

サフィール「おふたりもそこまで神様のことにこだわらない方だと分かったから…かもしれませんね」


ふむ……まぁ確かに。

ショコラちゃん辺りなら「神様ありがと~!」とかそんな感じで祈ったりしそうだし、モニカちゃんもちゃんとお祈りをささげてそうなタイプだと思うけど、他の子たちはそこまでじゃない…というかあんまり興味なさそう。


一応ちょっと聞いてみて、大丈夫そうならカミングアウト、ってしてもいいかもな~。


まぁそもそもこの話題をそこまで膨らませるかどうかもだいぶ怪しいけどな。

みんな多分「そうなんだ~」くらいで済ませそう。


と、考える俺とは違い、リオは何かを疑っている様子。


リオ「う~ん……それだけじゃないような気がするんだよなぁ……なんかこう…良いことでもあったような感じっつーか……」

サフィール「そ、そうですか?考えすぎとかではないですか?」


サフィールちゃん……分かりやすく動揺するね……。


っても、サフィールちゃんがここまでテンションぶちあがるようなことって……。

……昨晩のことくらいしか無いなぁ……。


リオは寝る前と起きたあとで違いに気付いたわけだし、そうなると何かあったタイミングは自分たちが眠っている間くらいしかないわけだし……。


サフィールちゃんは律義に俺との「内緒のお話」を守ろうとしてくれているみたいだけど……。


実はリオとも「内緒のお話」してるんだよなぁ……。

そもそもノリで言っただけだからバレても別に…って感じだし。


まぁでも…本人が隠し通したいようだし、俺も誤魔化す路線で…


リオ「マーガレットに話を聞いてもらったとか?」

サフィール「ふぇっ!?そそそんなことは……!」


あ、もうダメそう。


リオ「大丈夫だ。オレも相談したことあるからな」

サフィール「えっ?」

リオ「事故って、鍛冶が出来なくなって……このままリハビリを続けるかどうか悩んでたときに、偶然ふたりして夜中に起きてな……そんときにちょっと…いや、かなり背中を押してもらったんだ」

サフィール「そうだったんですね……そこまで思い悩んでいたのに、私は…」

リオ「あーいやいや!サフィールも十分支えになってたよ!実際、みんながいなかったらそもそもリハビリをしようとも考えなかったかもしれないしな……」


そうかなぁ?

リオだったら、無理してでもリハビリしようとして…また他の事故起こしたりしそう……。


コウスケ「うん……みんながいてよかったよほんと……」

サフィール「マ、マーガレット?」

リオ「そ、そんな思い詰めるほどオレやばかったのか……?」

コウスケ「いや…やばかったけど……まぁ、他のことだから気にせんといて……」

リオ・サフィール「「…?」」


ふたりに不思議な顔をされたが、追及はしてこなかった。


何かを感じ取ったのだろうか……なんにせよありがたい。

本人たちにわざわざ言うようなことでもないしな。


リオ「まぁとにかく。オレとサフィールは夜中にマーガレットに相談して元気付けてもらったもん同士ってわけだ」

サフィール「ふふ、なるほど。さすがはマーガレットさんですね♪」

コウスケ「あはは……///」


サフィールちゃんにそんなまっすぐな目でお礼を言われると照れるんだよなぁ……。


サフィール「でも……」


ん?


サフィール「リオさんともしていたのに、私に「内緒のお話」なんて言ったんですね…?」

コウスケ「えっ。いやだって、みんなに内緒なのは変わりないし……」

サフィール「ふ~ん…?」


な、なんだろう……?

なんか、悪いことして言い訳してる感じになってる気が……!?


リオ「ん、なんだ。内緒だったのか?それは悪いことしたな」

サフィール「いえ。私も隠すのが下手でしたし……」

リオ「あぁ…自覚あるんだな……」

サフィール「自分でもダメだと分かるほど慌ててしまいましたから……」


あれは…なぁ……。

サフィールちゃんの真面目な所がよく出てたとも言えるが……。


サフィール「ですがそれもこれもマーガレットさんが意味深なことを言ったせいです」

コウスケ「え」


そこで俺に来んの?


サフィール「マーガレットさんが内緒なんて言い出さなけばあんなに慌てることも無かったんですから」

リオ「ん~それはそうだなぁ」

コウスケ「リオさん?」


そっちに付いちゃうの?

なかなか理不尽なこと言ってると思うんだけど?


リオ「これは何か詫びが必要じゃないかマーガレット?」

コウスケ「ウソやん」

サフィール「うふふ♪逃しませんよ、マーガレットさん♪」

コウスケ「わぁ楽しそう……」


サフィールちゃんが元気になったのはいいけど、ちょっと元気になりすぎちゃったかな〜?


コウスケ「え〜と…それで私に何を要求すると?」

サフィール「う〜ん、そうですね〜♪やっぱり1日一緒にいてほしい、ですかね♪」

コウスケ「ん…それでいいの?」


それくらいなら別に…というか1日中一緒にいることなんてしょっちゅうあるし。


サフィール「はい♪それがいいんです♪」


それでもサフィールちゃんは凄く良い笑顔で肯定した。


それなら別に断る理由もないな。


コウスケ「ん、わかった。それで許してくれるなら安いもんよ」

リオ「いいのかサフィール?もっと攻めたお願いでも聞いてくれたかも知んないぞ?」


そこ、余計なこと言わないの。


サフィール「いいんです。それに…うふふ♪」

コウスケ「っ…!?」


なんだ……?

なんだか今…俺のエチチセンサーに何か反応したぞ……?


えっ…?

一緒にいるだけだよね……?

なんか変なことしないよね……?


サフィール「楽しみですね、マーガレットさん♪」

コウスケ「な、なんだかよくわからんけど…お手柔らかに……」

サフィール「うふふ♪」


ご陽気に歩いていくサフィールちゃんの後ろ姿を見ながら、俺は今日理性を必ず保たせるという覚悟を決めることになった。


リオ「ほんっと、変わったな〜サフィール。前まではあんなイタズラするような感じじゃなかったのに。これもマーガレットのおかげだな」

コウスケ「いいこと…なの?」

リオ「少なくとも、前よりも楽しそうにしてるからいいことではあるな。……その分マーガレットは大変かもだけど……」

コウスケ「……何されるんだろう……」

リオ「サフィールのことだから、マーガレットが嫌がるようなことはしないと思うけどな」

コウスケ「まぁ…そこは心配してないんだけど……」


だからこそ他のイタズラの内容が怖いというかなんというか……。


サフィール「おふたりとも。置いていってしまいますよ?」

リオ「あぁ、今行く」

コウスケ「…まぁなるようになれだ」


頑張ろうな、理性。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


サフィール「マスター、お願いします」

ジル「……」


(チェルシー以外の)みんなの朝支度が終わった頃にジルさんがやってきた。


そこでサフィールちゃんは…


サフィール「私、どうしてもミハクさんという方に会いたいのです」

ジル「……」


ジルさんに聖歌隊メンバーのミハクちゃんと会いたいと懇願し始めた。


対してジルさんはずっと難しい顔をして黙っている。


そりゃそうだ。

昨日その聖歌隊の聖歌に苦しめられたのに、その次の日に元凶と接触して、あまつさえその一員と仲良くなりたいと言っているのだから。


いくら防音魔法を使える俺やジルさんがいるからといって、100%安全だという保証はないわけだし、元気になったからといっておいそれと許可を出すとは思えない。


ジル「…サフィール」

サフィール「はい」

ジル「元気になったのはなによりだ。だが昨日の今日で聖歌隊と会うのはやはり不安なんだ」

サフィール「…そうですね。せめてもう1日置いてもいいのかもしれません」

ジル「なら…」

サフィール「ですが、正直に申しまして私…今が今までで1番やる気に満ち溢れているんです」

ジル「……は?」


ジルさんがポカーンとしている。


わかるよジルさん。

俺たちもポカーンとしているもの。


もうちょっと他に説得力のあるやつは無かったの?サフィールちゃん……。


サフィール「なのでお願いします、マスター」

ジル「いや、そんな理由で許すとでも?」


ごもっともです。


サフィール「ですがマスター。また明日としても、明日にはさらにまた明日にしとこうなんて言ったりしませんか?」

ジル「……」


あっ、目が泳いだ。

やる気だったのか……。


サフィール「マスター。それではなんの解決もしません。それに、明日明後日の私が今日みたいに元気であるという保証もないんです」

ジル「しかしだな……」

サフィール「それに今ならマスターもマーガレットさんもいるんです。これ以上は…グリムさんを呼ぶなどしない限りないと思います!」

ジル「う、うぅむ……」


ジルさんが押されている。


危ないは危ないが、ジルさんだってサフィールちゃんをもっと自由に動けるようにしてあげたいし友だちだって増やしてほしいと願っているんだろう。

保護者として、サフィールちゃんの幸福を祈っているはずだ。


だから苦手克服&友だちが出来る可能性があるこの状況はチャンスである。


だから悩んでしまう。

解決しなければ今後聖歌隊が来るたびにサフィールちゃんに不自由を与えてしまう。


しかし少しでも危険があるならば許可を出したくない……。


どうする、ジルさん。


ジル「……わかった」

サフィール「マスター…!」

ジル「ただし!アタシかマーガレットの側を絶対に離れないこと!少しでも異常を感じたら速やかに撤収すること!わかったな!」

サフィール「はい!」


マグ(許してくれましたね、ジルさん)

コウスケ(サフィールちゃんの今後のことを考えて、早めに克服した方が良いって判断したんだろうね)

マグ(ですね。でもこれでサフィールちゃんにもミハクちゃんを紹介出来ますね♪)

コウスケ(うん。ショコラちゃんとパメラちゃんとも会えるしな♪)


俺氏。

実はふたりに会えなくてだいぶ寂しかったりする。


たった1日会わなかっただけなのに、あのふたりの元気さが恋しくて恋しくて……。


リオ「よかったなサフィール」

モニカ「ミハクちゃんはふわふわってしてるけどとってもいい子だからきっとお友だちになれるよ!」

サフィール「ありがとうございます。楽しみですねぇ♪」

シエル「楽しみはいいけど、ジルさんの言いつけはちゃんと守るのよ?…アタシたちだって心配なんだから……」

メリー「……(こくこく)」

サフィール「はい、もちろんです。なので…その…シエルさんとメリーさんにも助けていただけると、もっと勇気が出るのですが……」

シエル「言われなくても助けるわよ!ねぇ?」

メリー「……うん!」

サフィール「ありがとうございます♪」


ショコラちゃんとパメラちゃんに会いたいな〜と考えていた俺の意識は、盛り上がる子どもたちの姿によって引き戻された。


いいね〜、YU-JOだね〜。


ジル「はぁ……聖歌隊は昨日と同じくらい…あぁ、追い返した時の方の時間な。その辺りにまた来るらしい」

サフィール「それではそのときに…」

シエル「ミハクと会えるわね。昨日会った感じ、モニカの言う通りの子だったから仲良くなるのは簡単だと思うわよ?アタシもいつの間にか友だちになってたし」

リオ「そうだな。さて、それじゃあそれまで時間があるし…」


ぐぅ〜


みんな『……』

リオ「……とりあえず朝ご飯で……///」


そうな。

朝支度が終わっただけだからな、俺ら。


というわけで医療ギルドで朝ご飯をご馳走してもらった。

消化に良いものを中心に作られた、いわゆる病院食のような朝ご飯だった。


ちなみにチェルシーは昼前に起きた。


朝のことを話したら、


チェルシー「アタシそんな大事な場面でぐーぐー寝てたの……?」


とショックを受けたのでなでなでして慰めた。


仕方ないよ。

朝弱いんだもの。


…まぁ、太陽光そのものが天敵な種族の方は普通に起きてるけど。


メリー「……?」

また少し積極的になったサフィールちゃん。

コウスケは苦労しますが、見てる我々はニヤニヤするような文が書けるよう頑張ります。


ではまた来週。

ではでは〜

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