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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
31/410

30.前進…信頼できる仲間たち

「嫌いだから……?」

「はい」

「「「…………」」」


俺の言葉に顔を見合わせる3人。

…そんな理由で!?て怒られないよな……?


「くっくくく……はっはっはっはっ!そうか!それならしゃーねーなっ!!」

「ディ、ディッグさん?」

「はははは…悪い悪い、バカにしてるわけじゃねぇんだ、許してくれ」

「は、はい…」


ディッグさんが盛大に笑い出した。

メイカさんとケランさんもどこかおかしそうに笑い始めてしまった。


(え?な、なんで?)

(そりゃあそうですよ。龍って伝説の存在なんですよ?名をあげたい!とか、龍の秘宝が欲しい!とかならよく聞きますけど、嫌いだから倒す、なんて言う人いませんよ?)

(そ、そうなのか……?)


あんな急に村燃やすようなやつ、絶対他にも恨み買ってると思うんだけどなぁ……。


「はあぁ〜あ、笑った笑った。そうか、嫌いかぁ」

「笑いすぎですよディッグさん。でもまぁ確かに、これ以上無いほど単純ではありますね」

「あの村の夢を見たんでしょう?なのに怖さよりも「嫌い」だなんて…ふふふ」

「え、えーっと……」


それにしたってこんなに大爆笑されるとは思わなかった……。


「なぁ…あー…そういや、あんたの名前を聞いてねぇな」

「あぁ、そうでしたね。驚くことが多すぎて忘れてましたよ」

「話し方的に男の人かしら?」

「は、はい。えと、俺は《高嶋 浩輔》…こっち風に言うと、《コウスケ タカシマ》…ですかね?」

「へぇ…コウスケ…苗字があるってことは、貴族様なの?」

「いえ、俺の世界では苗字があるのは普通なんですよ」

「へぇ〜!興味深いですね!よければ詳しく教えて頂けませんか?」

「え、えーっと…それは良いんですけど…まだお話が途中なので、続きを話してからで良いですか?」

「あ…す、すみません…どうにも熱中すると周りが見えなくなってしまい……」

「いえ、気持ちは分かりますので、気にしないでください、ケランさん」


(コウスケさんもそのタイプですものね)

(自分が一番分かってるから言わないで……)


容赦無く追撃してきたよこの子……。

Sの気があるんじゃないか?


「こ、こほん…それでですね……次はこの部屋で眠ったあと、夢の中での出来事なんですが…」

「もしかして…マーガレットちゃんに会ったの?」

「はい。落ち込んでるって話だったのですが、俺のことを興味津々の様子で見てきたのでちょっと戸惑いました…」


(そ、そんなに見つめてないですよ?)


「あー、マーガレットちゃん、気になった事は調べないと落ち着かないタイプだから…」


(メイカさんっ!?)


「あ、やっぱりそうなんですね」


(コウスケさんまでっ!?もー……)


?何か意識が引っ張られてるような……


「私そんなにお転婆じゃないですよっ!?」

「「「(!!)」」」


えっ!?


(マグッ!?)

「へっ?あ、あれ?も、戻ってる……?」


さっきのツッコミの勢いで表に出てきちゃったのか!?


「マーガレットちゃん!?」

「ほ、本物!?」

「本当に嬢ちゃんか!?」

「メイカさん…ケランさん…ディッグさん…えっ?あれ…?な、なんで…」


メイカさんたちがマグに口々に声をかけるが、マグは困惑してまともに答えられない。


これはまずい……。


「マーガレットちゃん?大丈夫なの…?」

「えっと…あの…わ、私……なんで…どうしよう……」

「マーガレットちゃん!しっかりして!?」

「大丈夫!?ほら、水飲んで!」

「お、おう!ほれ、嬢ちゃん!水だ!?」

「えと…えと…えと……」


まだトラウマを克服したわけではないマーガレットにとって、メイカさんたちの心配は逆効果になってしまっている。


(マグ!戻れ!まだ無理すんなっ!!)

「ご…ごめんなさい……ごめんなさい…皆さん………ーーー!」

「マーガレットちゃん!?」

「……ふぅ…すみません…もう俺です……」


俺の言葉に少し我を取り戻したマグは、彼らに謝るとギュッと目を瞑る。

そのタイミングで俺も意識を集中して、どうにかマグの体に再び戻ってきた。


「ご覧の通り、マグは皆さんの話を聞いてツッコミを入れる程度には回復しましたが、まだトラウマを克服したわけではないんです……」

「ど、どういうこと……?」

「…この子の両親は、この子の目の前で殺されました。それが原因でこの子は人と関わるのを怖がっています」

「怖がってる?なんで人と話すのが怖いんだ?」

「また親しい人が死ぬのを見たくないからです」

「……そうか…悪い、軽率だった……」


マグの今の状態を説明すると、メイカさんたちは一様に顔を伏せてしまった。


「いえ、俺の話し方も悪かったので……こほん…えーっと…あぁそうそう、夢でマグと会ってからですね。夢の中で出会ったマグは何故か俺に好意的でした。何故かと聞くと、彼女は俺のことを夢の中で見たと言ったんです」

「夢の中で……?」

「ギルドで俺とマグが入れ替わった時、夢を見ている俺の様子をマグは見てたみたいで、そこから俺が誰なのか気になって考えて、そうしているうちに少し回復したみたいで、俺とハルキさんが話している時ぐらいには、外の様子を見られるようになったそうです」


要は俺のおかげでマグは回復した、というわけなのだが…さすがにそれを言うのは(はばか)られると言うか、ぶっちゃけ恥ずい。そして痛い。


なので俺はそこら辺が拾われないようにサクサク話を進める。


「それで…その…その時の俺のセリフが気に入ったみたいで……」

「なんて言ったの?」

「龍が気に食わないから落とすって言っただけですよ」

「あぁ…なるほど」


すぐ納得するぅ……。

説明が楽で良いけどさ。


あんなん見せられたら誰だって憎悪抱くと思うけどなぁ……。


「んで、まぁそのあとお互いに自己紹介をして、俺の翡翠龍サヨナラバイバイ計画を軽く話したところで目が覚めました」

「ふ、ふふ…なるほどね……」

「翡翠龍サヨナラバイバイ計画…って…ふふふ…」

「もうちょい他に名前無かったのかよ」

「パッと思いついたのを言っただけですから……」


そんな笑う?

もはや息をするのと同義なほどの、俺のただの軽口で?


(わ、私も初耳ですよ、その名前…んふふふ……)

(あ、回復した?)

(はい、おかげさまで)

(今回に至ってはなんもしてないんじゃが……)

(ふふふふ……)


まぁなんにせよ、落ち着いたみたいで良かった良かった。


「こほん、そういうわけで俺はマグと話して、彼女の体を借りて色々と手を回すことにしたんです。それが俺とマグに起きた事です」

「なるほどな……」

「想像以上でしたね……」

「んー……聞きたいことがあるんだけど…」

「はい、なんでしょう」

「えーっと…コウスケさん…だったわね?」

「はい、あと今まで通りで良いですよ。そっちの方が気が楽ですし」


メイカさんに敬語を使われるとちょっと変な感じがして落ち着かないし。


「そう?じゃあコウスケ、単刀直入に聞くわ。あなたとマーガレットちゃんはどんな関係なの?」

「(えっ!?)」


メイカさん急に何を!?


「な、なんで急にそんな事を……?」

「だって、マーガレットちゃんの体の中に男女2人の魂が入ってるのよ!?気にならないわけないじゃない!!」

「えぇ……」


そんな人の体をシェアハウスみたいに言わんでくれ。


「で?どうなの?教えてちょうだい!?さあ!さあ!!」

「分かりました!分かりましたから落ち着いて!!」


そんな顔を寄せないでっ!

綺麗な顔なのにとても怖いっ!!


「えっと…ですね…お、俺とマグはその……」

「うんうん」

「い、一応婚約者ということでお話が成立しました……」

「婚約者っ!?もうそこまでいったの!?」

「メイカ、落ち着け。それで?なんでんなことになったんだ?」

「そ、それは……」

「もうそこまで言っちまったんだし、この際全部言っちまえよぉ」


ディッグさん……メイカさんを止めたと思ったら、自分が聞きたいだけだったのか……!

おのれそのニヤニヤ顔をやめぃ!!


「えーっと…ですね……。これは昨日の夢の中の話なんですけど……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「なので婚約者ということになりました……」

「「「へぇ〜」」」


3人のニヤニヤ笑いに終始耐えつつ、俺とマグの婚約話を話し終えた俺。


…はっっずかしかったっっ!!!


おかげで俺もマグも顔真っ赤だよっ!!

マグの顔見えないけど!!


「そっかそっかぁ…マーガレットちゃんももうお年頃かぁ…」

「…あの、メイカさん」

「ん?どうしたの?」

「いえ、やけにあっさりしてるな、と言いますか…日頃のメイカさんのマグ好き具合からすると、こういう話はまだ早い!とか言うかと思ったのですが…」

「あぁ、そういや確かに。嬢ちゃんが婚約したってのに、やけに大人しかったなお前」


ディッグさんも思っていたのか。


俺もメイカさんなら、「マーガレットちゃんと付き合いたければ私に許可をもらってからにしなさい!!」とかぐらいは言うと思ってたのに、当の本人はずっと…いや、マグの元々の婚約者の中級貴族には嫌な顔をしてたな。


でも、俺にもそんな顔をすると思っていたのにメイカさんは俺には普通に接している。


なんでだろう?


「うーん…確かにマーガレットちゃんは私が養いたいほど可愛いし、お付き合いしたいって言い寄ってくる男から護りたいって思ってたけど……」


やっぱり。


「でもねぇ…さっき一瞬出てきただけでもなんとなく分かったの。マーガレットちゃんはあなたのことを本当に信頼してるんだって」


さっきの……あのツッコミで出てきたときのか。


「え?あれだけで?」

「あれだけと言えばそうだけど…でも、ツッコミを入れるぐらいにはあなたのことを信頼してるんだって感じたの」

「えぇ……」


さすがにそれは早計すぎませんか?


「それにどっちにしたって、今のところあなたとしか会話が出来ないんでしょう?ならそんな状態のその子と話せるあなたのことを私も信じるわ」

「そうですね。そういうことなら僕も同意見です。それに、あなたがマーガレットちゃんに危害を加えるとは思いませんし」

「ま、さっきの話を聞いちゃあなぁ?あんな初々しいやつが人を騙せるとは思えねぇ」


ディッグさんこのやろう……!

どこまでもいじってくるつもりだな!?


「それに…あなたはこの話を隠し続けることも出来た。でもそうしなかった。それだけでも十分なのよ♡」


未だ納得していない俺に、メイカさんはやんわりと笑いかけそう言った。


まぁ…信じてくれるのはありがたいし、なんだかすごくあったかい気持ちになった気がする。


そんな彼女は仕切り直しと言わんばかりに、パンっ!と手を叩き話を切り出した。


「それじゃあコウスケ、あなたに用があるとき以外は基本的に今まで通り接するってことで良いのよね?」

「え、えぇ…お願いします…」

「うん、じゃあこの話は終わり。もうこんな時間だし、そろそろ出かける準備をしましょ?」

「は、はい」


確かに時計はもう8時を過ぎている。

1時間近く話してたのか……。


「コウスケ」

「! はい!」


ぼーっと時計を眺めていた俺にメイカさんが声をかける。

ディッグさんとケランさんも一緒に俺を見つめている。


なんだろう……?

何か言い忘れたのか……?


「私たちに話してくれてありがとう。信頼してくれて嬉しかったよ」

「!」


なんて、メイカさんが突然お礼を言ってくれた。


「コウスケもマーガレットちゃんも、もっと僕たちのことを頼ってくれて良いからね」

「コウスケ、嬢ちゃんのこと、任せるからな。しっかり幸せにしろよ!」


ケランさん、ディッグさんも続けてそう言ってくれた。


…お礼を言いたいのはむしろ俺の方なんだけど…先を越されちゃったなぁ……。


だから俺は、そんな3人に…


「はい!よろしくお願いします!」


そう、改めて言うのだった。

ようやくメイカさんたちに真実を言えたコウスケたち。


人の惚気話を聞き出すのは楽しいんですけど、聞かされるのはウンザリしますよね。


対話って難しい。

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