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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
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303.本格的に聖歌対策…とお昼ご飯

恥ずかしそうに顔を赤くするチェルシーとサフィールちゃんを撫でつつ、俺は本題を切り出す。


コウスケ「さっ。落ち着いたところで、聖歌対策会議をはじめまっしょい」

シエル「そうね……結局そこをどうにかしないとなんにもならないからね……」

リオ「つっても、対策なんて歌を聞かないようにするくらいしか無くないか?」

コウスケ「そこが難しいんだよねぇ……」


耳栓をしたって完全に音を遮断できるか怪しいし、何より耳が聞こえないと生活に支障が出るし……。


コウスケ「それにそもそも、弱ってる原因が本当に聖歌なのかがねぇ……」

チェルシー「えっ?どういうこと?」

コウスケ「聖歌を歌うことによってなんか神聖なフィールドが発動する…とかも考えられるかなって」

リオ「結界みたいな感じか……?シエル、どうだ?」

シエル「う~ん……そういう魔法もあるし、絶対に違うなんて言いきれないわねぇ……」

モニカ「そ、それじゃあ…お歌を歌ってたら聞こえてなくても近くにいるだけでサフィールちゃんは弱っちゃうってこと……?」

コウスケ「そうなるねぇ……」

モニカ「そんなぁ……」


しょんぼりウサギのモニカちゃんを、その背中をぽむぽむと叩いて宥めるリオに任せて俺は何か他の可能性が無いか思考を巡らせる。


他のみんなも黙り込んで静かになったところで、ジルさんが口を開いた。


ジル「…いや、その可能性は無いらしい」

みんな『(えっ?)』


俺の仮説を否定したジルさんに、みんなの視線が向かう。


リオ「らしいってどういうことですか?」

ジル「ちょっと知り合いに、あいつらに《鑑定》をかけてもらってな」

みんな『(えっ)』


みんなして驚くのも無理はない。


《鑑定》。

この世界では魔法として存在するそれは、言わずと知れた異世界転生の万能スキル。

それを使えば対象のあれやこれやが丸わかりな超便利スキルである。


これがあれば野菜や果物、家電なんかの品質もわかるからお得に買い物ができるし詐欺商品も回避しやすくなる。

また、職質などで相手がアルコールやブツを決め込んでいるのかもわかるので、素面だと偽る相手も容赦なく捕まえられる。

主婦から警察まで誰もが欲しがる万能スキルだ。


…まぁ問題があるとすれば、その情報を見れるのがスキル持ちの人だけなので証拠不十分として扱われそうだったり、逆にそれを利用して都合の悪い相手をひっ捕らえるようなディストピアが出来上がったりすることだろう。

何事も使う人次第ってことですな。


ストーカーとか特定厨が喜びそう……いや、ワンチャン自分の力だけでやりたい!っていうこだわりを持ってるかもしれないか……?


まぁ今はそんなこたぁどうでもいい。


そんな《鑑定》を使って調べてもらったと言ったが、今言った通り万能であるがゆえに使い方次第で悪事にも転用できるコイツは、この街では無断で使用したのがバレると重い罰が与えられるような代物となっている。

他の地域は知らん。


使うなら…

1.人に(必要な時以外は)使わない

2.使うときはその所有者にひと言断ってから使う。

3.その結果を無闇に言いふらさない。(相手が詐欺を働いていたなどの例外は認める)

4.上記の内容の抜け道を見つけ悪用した場合、さらなる重罪とみなし手段を択ばず無力化を図るものとする。


という決まりを守らなくてはならない。


見て分かる通りめっちゃ重いのだが……もしうっかりそれをやられた場合、俺のこともサフィールちゃんのことも、なんならハルキの正体だってバレる可能性がある。

そうなったらヤバいので、俺としてはこれくらい重くてもまぁ…どころか、ありがたいと思うほどである。


実際、許可を取って鑑定してみたらガラクタだった…というイチャモンをつけて物を安く買いたたこうとしたやつがいたという話を聞いたことがある。

そこのドワーフっ娘(リオ)に。


そのときの相手は親方さんで、案の定ブちギレた親方さんに武器を投げられ慌てて逃げていったらしい。


鍛冶ギルドだけでなく、他のギルドにも鑑定魔法を使えるスタッフが数名在籍しているらしく、そういうイチャモンはほぼ無意味であるらしいのだが……。

さっきも言った通り、その情報を見れるのが本人たちだけなので、割と不毛な争いになるらしい。


アウェーなのは客側なので基本負けるのは客らしいが……。


…店側が詐欺働き出したりどうしようもなくない……?

あ~でも、誰も行かなくなって潰れるのがオチかな~。

それ以外にも方法ありそうだけど。


はいまた脱線修正。


とにかく、サフィールちゃんのためとはいえ、他人に黙って鑑定かけたジルさんはなかなかの大罪なのだが、そこはそれ。

ここにいるのはそのサフィールちゃんの良き友人のみ。

それにジルさんだってギルドマスターな上に、諜報などが得意な隠密ギルドとのコネもある。


さらに言えば、この街の長であるダンジョンマスター…ハルキは、多分説明すれば許してくれる。

というかハルキもしれっと鑑定かけてたし。俺に。


だからまぁ大丈夫だろう。


……これが権力か……。

いつの間にか、行使することに抵抗が無くなっている自分が怖いわ……。

……抵抗…したっけ……?


まぁいいか。


しかし、鑑定ってこういう魔力フィールド的なものも調べられるんだなぁ……。


なんてすぐ割り切って感心していたのは俺だけで…


リオ「そ、それって犯罪じゃ……」

モニカ「ジルさん捕まっちゃうよ……!?」

ジル「バレなきゃいいんだよ」

シエル「ギルドマスターがそれでいいの……?」


もっともな感想である。


と、そんな困惑するリオたちとは裏腹に、驚きはしたものの「まぁ仕方なし…」受け入れた子たちもちらほらといた。


チェルシー「でもおかげで対策が取りやすくなったし、良いことだよ!うん!」

メリー「……つかえるものはぜんぶつかう。あたりまえ」

サフィール「メリーさん冒険者さんみたいなこと言いますね…って、実際に一緒に暮らしているんでものね」

マグ(サフィールちゃんのためですからね。うん、仕方ない仕方ない)


ここで口論にならないのはこの子たちの善性の証だよなぁ。

人によっちゃ怒ることだからな。

教えはどうなってんだ教えは、ってね。


……当時やってた頃はこれがこんなにネタにされるなんて想像も付かなかったなぁ……。

真っ先に出てくんの雷避け何だけど、これどっちかというとトラウマの類だと思うの。

あれほんと辛かった……。


ジル「まぁそういうわけで、鑑定の結果、聖歌を歌っているあいつらの周りには特に何か干渉するような力はなかったそうだ。まぁ…本当はサフィールが鉢合わせる前に聞きたかったんだがな……」

リオ「こっそり聖歌隊のこと調べてたんですね」

ジル「あぁ、まぁな」

チェルシー「サフィーちゃんのことが心配でしょうがないですもんね♪」

ジル「あぁ…って、何言わせんだコラ!」

サフィール「マスター……」

ジル「っ!んっん゛ん゛!とにかく!これで問題があるのは歌だけってことになった。聖歌隊の連中も特に変わったものを持ってるやつはいなかったようだしな」


メンバーの方もぬかりなく見てきたようだ。


ってかミハクちゃん何もなかったの?

聞いた感じ《悪霊の加護》と《超幸運》みたいなもの持ってそうなんだけど?

あれ本当にあの子の体質ってことになるよ?

すごくね?


モニカ「う~ん……そうなるとやっぱり、どうやってお歌を聞かないようにするかだよね……」

シエル「耳に何か詰めて聞こえないようにするとか?」

リオ「それじゃあ俺たちとも話せなくなるぞ?」

チェルシー「お話しできなくなるのはやだなぁ……あっ、それじゃあ魔法で音を遮るように結界を張るのはどう?」

ジル「まぁそんなところだろうな。それでも日常生活には少し影響するが……まるっきり聞こえないよりははるかにマシだろう。それに、歌っている時だけ遮断していればいいわけだから、仮に聖歌隊と話すことになったとしても問題ないだろうしな」

メリー「……あいてをえらべればもっといい」

ジル「あぁ、それが出来れば聖歌中でも他の歌を聞いているやつと話せるだろうしな。問題は、その魔法を使えるかどうかだが……」


防音の魔法か……。


コウスケ(マグは聞いたことある?)

マグ(う~ん……そういう魔法があるとは聞いたことがありますけど…詠唱文はわからないですね……)

コウスケ(そっかぁ……)


なら聞くっきゃないか。

と、その前に他の子は?


リオ「シエルは?」

シエル「わかんない……」

モニカ「そんな魔法があるってことを今知って……」

メリー「……(こくこく)」

チェルシー「う~ん……一応使えるけど…他の人とお話できるようにはかけられないかも……」

サフィール「私も防音魔法はまだ覚えてなくて……」

ジル「マーガレットはどうだ?」


ジルさんの問いにみんなも俺の方を見る。


しかし残念ながら知らないんだよなぁ……。


コウスケ「いえ…そういう魔法があるって聞いたことがあるぐらいです」

ジル「そうか」


俺の答えに子どもたちがしょんぼりする。


うぅ…期待に応えられなくて申し訳ない……。


ジル「だがマーガレットは使ったことが無いだけだろう?」

コウスケ「ん…えぇ、そうですね?」

ジル「ならちょっと試してみるか?お前は魔法の扱いが上手いし、もしかしたらすぐにコツを掴めるかもしれないからな」

チェルシー「確かに!マギーちゃん治癒魔法もすぐに使えてたし、防音魔法もスパッと使えるようになるかも!」

シエル「そうね。魔法も細かく調整できてるし、案外詠唱文を覚えたらもう使いこなせるようになったりしてね?」

リオ「無いって言いきれないからな~マーガレットは」

モニカ「うん。マーガレットちゃんはすごいもんね♪」

メリー「……ん♪(こくこく)」

コウスケ「プレッシャーのかけ方がエグいんじゃが!?」


失敗したらものすっごい落ち込まれる未来が見えるんじゃが!?


マグ(コウスケさんなら大丈夫ですよ!)

コウスケ(マグまでぇ…!)

マグ(それに、コウスケさんも使えるようになりたいって思ってるでしょう?)

コウスケ(それはまぁ…ねぇ……)


使えればサフィールちゃんがだいぶ楽になるわけだし、覚えないって選択肢は無いからな。


コウスケ(でもそれはそれとして凄く緊張するんよ!)

マグ(大丈夫です!もし失敗しても私がめいっぱい慰めてあげますから!)

コウスケ(いやそういう問題じゃなくてね!?)


しかもそれはそれで別の意味で緊張するんですけど!?

少女(サフィールちゃん)のための魔法を失敗して少女(マグ)にめいっぱい慰めてもらう青年……。

絵面が地獄よ?


しかしこれで引くに引けなくなった……。

いや、それは元からだけど…余計に引けなくなってしまった……。


コウスケ「えぇいやったりますよ!ジルさん、詠唱文は!」


ちょっとやけ気味にジルさんに聞きながら立ち上がり準備する。


ジル「我らを囲め」

コウスケ「我らを囲め…」

ジル「音を遮る魔法の壁」

コウスケ「音を遮る魔法の壁…」

ジル「シャットエコー」

コウスケ「シャットエコー」


ふぅむ……なんとなくわかった。


ん~…見えない魔法の壁をドーム状に……。

音だけ塞いで人や物は通す壁…う~ん……シールドベアr…


よし。

大体イメージできた。


コウスケ「《我らを囲め音を遮る魔法の壁。シャットエコー!》」


俺が呪文を唱えると、俺から魔力が広がりドームを形成。

今回はお試しなので小さめに。

いつだか見た、雨に絶対濡れない傘、みたいな感じで…下はちゃんと閉じるように……。


ん~…こんなもんか?


コウスケ「どう?声聞こえる?」

チェルシー「--------」


ん、聞こえない。


リオ「--------」

モニカ「----------」

マグ(まったく聞こえませんね)

コウスケ「だね」


この魔法使っとけばうっかりマグとの会話中に口に出しちゃっても周りに聞かれることが無くなるな。

その分弊害が多そうだけど。

というかそんなうっかりした瞬間に発動とか、どういう瞬発力してたら出来るんだよってレベルだから…結局無理だな、うん。


とりあえず魔法解除っと。


コウスケ「成功っぽい?」

チェルシー「マギーちゃんすご~い!天才!」

サフィール「さすがです!」

シエル「ほんっと、あっさりやっちゃうわよねぇ……」

リオ「センスいいよなぁ、マーガレット」

モニカ「これでサフィールちゃんも大丈夫だね♪」

メリー「……♪(ふんす)」


魔法を解くと子どもたちから口々に賞賛を受けた。


う~む…この子らの賛辞はいつまで経っても照れくさいな……。


少しむず痒い思いをしている俺に、ジルさんも話しかけてきた。


ジル「成功したな」

コウスケ「はい、ジルさんのおかげです」

ジル「お前が上手いからだよ」

コウスケ「……///」


ジルさんにも褒められて再び照れる。


ジル「おかげで、サフィールを自由にしてやれるよ。アタシはずっと一緒にいるわけにはいかないからな」

シエル「マスターですもんねぇ……」

リオ「まぁ仕事量が普通の職員とは違うからなぁ……」

コウスケ「組織の長だからねぇ」


むしろ忙しくないとって感じよな。


ジル「だが、マーガレット、サフィール。何かあったらアタシを頼れよ。その時は仕事をほっぽり出してでも駆けつけるからな」

サフィール「マスター……ありがとうございます♪」


マグ(ふふふ♪今のジルさんなら本当にお仕事を放ってでも駆けつけてくれそうですね♪)

コウスケ(だね)


頼りになるのは間違いないが、そうなったら医療ギルドの他の人が割りを食うことになるだろう……。

ギルドマスターの仕事を急に頼まれる部下……う〜ん、控えめに言って超困るよね。


そもそもそんな事態にならないのが1番なんだけどね。

まぁでもいざという時に力になってくれるっていうのはやっぱりありがたい。


くぅ〜…


サフィール「あっ……///」

チェルシー「ありゃ、サフィーちゃんのお腹が鳴っちゃった」

リオ「そういやオレら、飯食ってないもんな……」

シエル「今何時?…うわ、もうお昼休憩終わっちゃうくらいじゃないの!」

メリー「……わたしもお腹すいた……」

ジル「よし、それなら飯食いに行くか。マーガレット。基本はアタシがなんとかするが、いざという時はサフィールのこと頼んだぞ」

コウスケ「はい、おまかせを」

サフィール「マーガレットさん、ありがとうございます」

コウスケ「いいってことよ。それに、サフィールちゃんがいないと寂しいからね」

サフィール「……///」


これくらいは当然さね。


ジル「モニカのとこでいいよな?」

シエル「はい」

モニカ「えへへ、いらっしゃいませ〜♪」

チェルシー「今日は何にしよっかな〜?」

メリー「……めだまやきハンバーグ」

リオ「あぁ、いいなぁ…釣られるなぁ……」

メリー「……それにバターのパンとたまねぎスープ」

ジル「めちゃくちゃ美味いやつじゃん……」

サフィール「私もハンバーグが食べたくなってきました……」


ぐぅ〜

くるる…


ハンバーグの話をしていたら誰からともなくお腹の虫が鳴った。


ジル「よし、行こう。早く行こう」

リオ「そうですね」

シエル「うぅ…想像したらもっとお腹すいてきた……」

チェルシー「今日はアタシもそれにしよっかな……」

メリー「……できたてあつあつ、あぶらジュワァ♪」

サフィール「ダメです……完全にハンバーグの口になってしまいました……」

コウスケ「これは仕方ない」


かくいう俺もその口です。


マグ(私もハンバーグがすごい食べたくなりました……)

コウスケ(俺もだよ。一緒に食べよう)

マグ(はい!)


というわけで、俺たちは準備をなる早で済ませて白兎亭へと向かった。


出発までみんなずっとハンバーグのことで頭がいっぱいだったが、外に出たらさすがに、聖歌が聞こえてしれないという緊張感が出て少し身を引き締めた。


それでもハンバーグが頭から離れることはなかったが。


恐るべし食欲。

恐るべし、ハンバーグ。

ロイヤ〇〇ストのト○プルグ◯ルが好きです。


それはそれとしてまた来週。

ではでは

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