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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
303/436

298.怖いものは怖い…けれども頼れる彼女たち

パメラ「へぇ〜、そんなことがあったんだぁ……」


聖歌隊が去り、落ち着きを取り戻しつつある冒険者ギルド。

そこに入れ替わるようにやってきたショコラちゃんとパメラちゃんに先ほどの出来事を話した。


ショコラ「へぇ~、優しい人だったんだ」

モニカ「うん。聖歌隊の人たちも、獣人の人とかいっぱいいたよ」

リオ「結構いろんな種族の人がいたよな」

メリー「……うん(こくり)」

ショコラ・パメラ「「へぇ〜!」」


2人は驚きながらもどこかホッとした表情を浮かべている。


カダノさんたち聖歌隊はショコラちゃんたちが今住んでいる教会に泊まるらしいし、もし差別するようなやつらだったら…と思うと気が気じゃなかったんだろう。


しかし俺に言わせれば、まだまだ油断は出来ないぞ?


何故なら、そういう表向きは善行団体な組織ほど実は裏で…なんていうのは常套手段なのだ。

そういう作品、いっぱいあった。


まぁ、マンガやゲームだけの話じゃないのはそうなんだけどね。

善行積んどきゃ何かと便利ってのは、小学生…早けりゃ園児でも気付けることだから。


明らかに態度が違えば誰だって気付くやぁなぁ。

これが俗に言う、「日ごろの行い」ってやつだな。うん。


対処法が「気を付ける」しかないってのが辛いところやな。

相手の言動には注意しといた方がいいってわけだ。


というわけで睨みきかせとこ。

隠密ギルドもどうせ見張ってるだろうから、ある程度してから聞きに行くってのもアリだね。


ショコラ「それならサフィールも安心するかな?」

モニカ「うん。まったく知らないよりは安心すると思うよ」

ショコラ「それじゃあ早く教えてあげよっ!」


そう言って駆け出そうとするショコラちゃんをリオが止める。


リオ「まてまて。お前ら来たばっかだろうが。ララさんたちにちゃんと挨拶してこい」

ショコラ「ハッ!そうだった!」

パメラ「じゃあちょっとまってて!すぐ戻るから!」

コウスケ「置いてかないからゆっくりでいいよ~」


と言ったものの、どうしても急ぎたいのか、聞こえなかっただけなのか。

ふたりは小走りでララさんたちのもとへ向かっていった。


コウスケ「やれやれ……」

マグ(元気ですね~)

コウスケ(元気すぎてケガしないかいつも心配だよ……)

マグ(あはは。よくわかりますよ~)


さすが幼馴染。

慣れてらっしゃる。


俺もあの子らとの付き合いに慣れてきたけど、さすがにここまでどっしりと構えることはできないなぁ……。

どうしても心配って感情が勝っちゃう。


みんなより年上だから余計そうなのかもしれないけどね。


とかなんとか考えてる間にふたりが帰ってきた。


パメラ「ただいま~!」

ショコラ「早くいこっ!いこっ!」

コウスケ「はいはい落ち着いて」


やはり元気なショコラちゃんを落ち着かせながら、俺たちはサフィールちゃんがいる医療ギルドへ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


医療ギルドに着き、さっそく受付の人にサフィールちゃんの居場所を聞くと、どうやら今はジルさんのところにいるらしい。


連絡を入れてもらったところ、ぜひ来てほしいとのことなので、俺たちは「ギルド内を散策していいよ」の証である許可証をもらう。


医療ギルドには、ギルドスタッフはもちろんとして、他にも病人だったりそのお見舞いだったりといろんな人がいる。


そもそもギルド内を好き放題うろつくのはダメなのだが、この医療ギルドはさらに気に掛ける要素があるというわけだ。


そりゃそうだ。

(ほぼ)病院だもの。


というわけでこの許可証の出番。

こいつがあれば医療ギルドの人から許可もらって入ってます~、とやかく言われる筋合いはありません~、という証明になるのだ。

そんなん名前で分かるか。そうか。


ただまぁもちろん、全部に入って良くなるわけではないので要注意。

今回は問題ないから良いんだけどね。


ってかこれからもそんな秘境に行く予定無いし、入りたいとも思ってないけどさ。


そんなわけで目的地に到着。

レッツ・ノック。


コンコンコン。


コウスケ「ジルさん。マーガレットです」

ジル「来たか、入れ」

コウスケ「失礼します」


返事をいただいてからドアを開けると…


シエル「あっ!ほら!マーガレットたちが来たわよ!」

サフィール「うぅぅ……マーガレットさん……?」


凄く元気が無いサフィールちゃんと、それを勇気づけていたっぽいシエル。

そして少し離れたところで腕を組んで何か困っている様子のジルさんの姿があった。


コウスケ「え~と……なにごと?」

ジル「さっき聖歌隊が到着したっていう連絡を受けてな。それを伝えたら見るからに怯え始めたんで、とりあえずアタシの手伝いってことでこの部屋にいさせてたんだ」

シエル「そこにアタシが来て、サフィールを落ち着かせられるように側にいてほしいってジルさんに頼まれてここにいたの」

コウスケ「なるほど……」


サフィールちゃん…やっぱり怖いか……。


ショコラ「あっそうだ!さっきね。マグたちがせーかたいに会ったって!」

サフィール「っ!」

シエル「えっ、そうなの?」

リオ「あぁ。と言っても話したのはマーガレットだけだけどな」

メリー「……うしろからみまもってた」

モニカ「でも、優しい人たちだったよ。ね?」

コウスケ「うん。聖歌隊の中にはいろんな種族の人がいたし、多分差別意識もあまりないんじゃないかな」

シエル「だってよ!よかったじゃないサフィール!」

サフィール「そ、そうですね……」


言葉とは裏腹に、まったくホッとしていない様子のサフィールちゃん。


パメラ「どうしたのサフィール?マグが直接お話して、大丈夫って思ってるから大丈夫だよ?」


その思考はちょっと危なくないパメラちゃん?

俺だってミスるんだからね?

むしろうっかりミスは得意技のひとつだからね?


サフィール「その……そこは…はい…信頼しているのですが……」


やめとけって。

そう言いたいが、弱ってるところで正論説教してもマイナスにしかならないので言わない。


世の、「んなこと分かってんじゃだぁっとれボケナスがよぉ!」って目で見られたor言われたことのある皆さん。

待つって、大事ですよ。


サフィール「……歌が……どうしても怖くて……」

モニカ「サフィールちゃん……」


歌ねぇ……。

まぁ、聖歌っていうくらいだしね。

そんな効果があるかどうかわからない!って強がってはいたけど、いざ実際にその歌を聞く時が近づいたら怖さがぶり返しちゃったんだな。


サフィール「もし……もしも、私に聞いてしまったらどうしようって……そればっかり考えてしまうんです……」

ジル「昨夜はぐっすり寝たらしいからよかったんだが、もしこの状態が続くとなると睡眠にも支障が出そうでなぁ……」

リオ「……そうですね……」


この中で不眠の恐ろしさを誰よりも分かっているであろうリオに重苦しくそう答えられると、もう誰も何も言えなくなるんですがそれは……。


パメラ「というかジルさん、サフィールと一緒に寝てないんですか?」

ジル「えっ?あ、あぁ…そうだが……」

ショコラ「えっ!?サフィール、ちゃんとジルさんに話した?」

サフィール「は、はい…そしたら勇気づけていただきまして…おかげで夕べはぐっすりと……」

ショコラ「一緒に寝てないのに!?」

コウスケ「そん~な驚く?」


ショコラちゃんにとって一緒に寝るのってそんなに元気になることなの?


ショコラ「だって、ぎゅってしてもらうと安心するもん!それで寝たら楽しい夢を見れたりするし!」

パメラ「そうだよ!サフィール!もっと押して、ジルさんと一緒に寝ないと!」

サフィール「え、えぇ…!?」

パメラ「ジルさんもですよ!」

ショコラ「怖がってるって分かってるんだから、ぎゅ~ってして寝てあげないと!」

ジル「いや、そういうのはそいつ(マーガレット)の方が適任だろう……?」

パメラ「マグは一番だけど、医療ギルドにずっとはいれないじゃないですか!」

ショコラ「その間はジルさんがサフィールを助けてあげないと!」

ジル「う、う~ん…そりゃ助けはするが、それとこれとは……」

ショコラ・パメラ「「えぇ~!?」」

ジル「~~えぇい!うっさいうっさい!そういうのはお前らだけでやってろ!アタシにはアタシのやり方があんだよ!サフィール!」

サフィール「は、はい!」

ジル「こいつらがいるなら大丈夫だろ!他のところで仲良くやってろ!お前ら仕事の邪魔だから出ていけ!」


ショコラちゃんとパメラちゃんに責められて、ジルさんがついに耐え切れずに切れ散らかし、俺たちは部屋から追い出されてしまった。


ショコラ・パメラ「「ぶぅ~!」」

コウスケ「…シエル。素直になれずに大人になるとあぁなるよ」

シエル「なんでアタシに言うのよ!?」


あなたがうちらの中でのツンデレの代表者だからだよ。


リオ「まぁまぁ…とにかく落ち着ける場所にいこうぜ?サフィール、どっかあるか?」

サフィール「え?リオさんはリハビリをするのですし、鍛冶ギルドに向かうのではないのですか?」

リオ「まぁそれも大事だけどさ……やっぱ、友だちの方が大切だからな」

サフィール「リオさん……」


う〜む…やはりリオはどちらかというと姉御肌なのかな。

他の子への気配りが上手い。

俺も見習いたいところだ。


そんなリオが甘えられるのが俺だけって考えるとちょっとニヤケそう。


いかんいかん。

今はサフィールちゃんを元気にするのが優先ですよっと。


コウスケ「聖歌隊は今休んでるから、多分今日1日は会わないと思うよ」

サフィール「えっ、そうなのですか?」

モニカ「あっ、そうそうそうなの。今朝到着したばかりでみんなへとへとだからまずは休みなさいって、マーガレットちゃんが言ったんだよ」

サフィール「えっ」

シエル「マーガレット…あんた初対面の相手にお説教したの?」

コウスケ「休息を促しただけです〜。それに、誰が見ても休めって言う状況でした〜」


そもそも初対面で魔法ブッパしてきた子に言われたくないです〜って言ったら泣くかな?

怖いからやめておこう。


メリー「……うん、ずだぼろ」

シエル「そ、そんなに……?」

リオ「魔物に襲われて、車輪が壊れて、直してたらもう片方も外れて…ってやってたら朝になったらしい……」

サフィール「わ、わぁ……」


さすがのサフィールちゃんも同情を禁じ得ないようだ。


うん、まぁ…そうなるよね。


パメラ「犠牲は出なかったみたいだからよかったけどねぇ……」

シエル「そんな大変な目にあってなんだかんだ無事なのはすごいわね……」

モニカ「うん……」

リオ「ははは……と、とりあえずサフィール。どっか集まっても大丈夫そうなとこはないか?」

サフィール「あ、そうですね。えっと…それでしたら、私が借りている部屋でどうですか?」

ショコラ「サフィールの部屋?いきた〜い!」

コウスケ「この人数入れる?」

サフィール「はい。部屋といういいますか、空いている病室を借りているだけなので」

リオ「あぁ〜、そういやそうだっけ?」

サフィール「えぇ。入院者に対して病室は山ほど空いておりますから、軍隊の皆さんがケガをした…なんてことがない限り大丈夫ですよ」

コウスケ「それ起きたら大惨事よ」


軍隊総入院とか何やったら起きるんだ……?

戦争か……?


サフィール「なので大丈夫ですよ」

モニカ「そうなんだ〜。それじゃあおじゃましようかな♪」

サフィール「はい、ぜひいらっしゃってください♪」


わぁ、なんだこのふわふわ空間は。

いるだけで浄化されそう。


そんな癒しの片割れであるサフィールちゃんの案内で、俺たちはサフィールちゃんが間借りしているという病室へと足を運んだ。


サフィール「こちらです。どうぞお入りください」

コウスケ「うん、お邪魔します」

みんな『(おじゃましま〜す)』


我、病室初入室。

まさか記憶してる中で初めて病室に入ったのが異世界の病室だなんてなぁ。

これはなかなかレアではないか?


…異世界転生自体がレアか。

2次元じゃもはや十八番レベルなんだがなぁ。


というか仮に誰か行ってたとしても、帰ってきてるか怪しいし、帰ってきてても「俺異世界行ったことある」なんて言わないか。


もしかしたらレアじゃない可能性が湧いてきたところで、物件チェックのお時間です。


ん〜…………病室だねぇ。

ベッドに仕切りのカーテンに医療品が置かれた棚やら何やら……。


コウスケ「もしかして、いつでも使えるようにしてる?」

サフィール「はい。借りている身ですから」

ショコラ「なんでサフィールはお部屋持ってないの?ジルさんと一緒とかじゃダメなの?」

サフィール「マスターも忙しいですし、それに…その……あまり人目のないところの方が良くて……」

コウスケ「…なーるほど……」


確かに奥まったところにある部屋だな。


モニカ「でもそれじゃあ、お掃除とかしに誰か来たりとかしたら……」

サフィール「あっ、それも大丈夫ですよ。この辺りは私がお掃除当番ですので」

リオ「来るとしてもチェックのときくらいってことか」

サフィール「はい、その通りです」


なるほど。

上手いこと出来てるんだな。


もしかしたらジルさんが根回ししてくれてたり?

あの人ならありえるなぁ。


ショコラ「サフィールはいつもどこで寝てるの?」

サフィール「1番端のあのベッドですよ」

モニカ「サフィールちゃん、いつもここでひとりで寝てるの…?」

サフィール「はい、そうですよ?」

モニカ「…そっか……」


マグ(この広い病室でひとりだなんて…寂しいですね……)

コウスケ(だね……)


ほとんど誰も来ないような場所じゃないと安心出来ない…か……。

それをこの子は、当然のことだと受け入れてるんだな……。


コウスケ(……せめて俺たちといるときは、楽しい思い出でいっぱいにしてあげよう)

マグ(…はい!)


ふたりで決意を固め、顔をあげると…


ショコラ「ふかふか!すご〜い!」

シエル「こらショコラ!一応ギルドのものなんだからそんなに遊んじゃダメ!」

メリー「……ぴっちり、きれい」

モニカ「ね。お布団もそうだし、お部屋の中のものもみんなキレイに置かれてるよ…」

リオ「これもサフィールがやってるのか?」

サフィール「はい。といっても、お洗濯はいつもチェックしに来てくれる方に任せっきりなのですが…せめてキレイに出来るようにと練習したんです」

パメラ「すごいねぇ…私こんなにピシッとさせたことないよ?」

モニカ「コツとかあるの?」

サフィール「はい。まずここをこう持って…」

パメラ・モニカ・リオ『ふむふむ……』

メリー「…おぉ…ぴっしり」

シエル「あっ!アタシもそれ気になる!」

ショコラ「ショコラも見るー!」


コウスケ・マグ((…………))


コウスケ(そんな意気込まなくても大丈夫かもしれんね)

マグ(そうですね。ふふふっ♪)


考えてみたら、そもそもこの子らと一緒にいる時点で楽しい時間が約束されてるようなもんだったわ。


ショコラ「マグは〜?マグも見よ〜?」

コウスケ「うん。見る見る〜」


というわけで、俺たちも変に気負うのはやめて純粋に楽しもう。


まずはサフィールちゃんのベッドメイク講座からだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〔サフィール〕


その日の夜、私はまたマスターの元へと向かっていた。

昨日勇気付けてくれたことに味を占めた…と言われれば、否定は出来ませんが……。


やはり、明日こそ会うかも…と思うと、不安な気持ちでいっぱいになってしまうから……。


それに今日は、自分がいる部屋にみんなを招待して一緒に遊ん…お仕事しましたし。


だからでしょう。

今まで何も感じなかったはずの部屋が、今日はやたらと広く感じたんです。


みんなと会いたいな……。

早く明日にならないかなぁ……。


でも明日になったら聖歌隊の方々もいらっしゃるでしょうし…そうなれば当然聖歌も……。

もし…それで私の体に何か変化が起きてしまったら……私は…本当に本物の悪魔…


ジル「来たか、サフィール」

サフィール「えっ!?マ、マスター!?」

ジル「しー。夜なんだから静かにしろ」

サフィール「あっ…す、すみません……」


咄嗟に口元を手で押さえながら謝る。


よく見たら、いつの間にかマスターの部屋の前まで来ていたみたい。


でも、どうしてマスターは部屋の外にいたのでしょう……?


ジル「まぁ入れ」

サフィール「は、はい…」


促されるがままに部屋の中に入る私。


ジル「そこに座ってろ」

サフィール「は、はい…」


…もしかして…昨日みたいに私が来ると思ったから……?


ジル「サフィール」

サフィール「は、はい…!」

ジル「その…なんだ……」

サフィール「……?」


…本当に昨日みたい……。

えっと…それなら…


サフィール「あ、あの……」

ジル「ん?な、なんだ?」


どうしてでしょう……?

マーガレットさんに甘えるときよりも緊張します……。

そ、それでも…


サフィール「そ、その…きょ、今日も……お願い…できますか……?」

ジル「!」


こっちから、歩み寄ってみよう。


ジル「…そ、そうか。わかった」


成功…と思ったのも束の間…


ジル「…その…だな……」


どうやらマスターは他にも何かあるみたいです。


…さすがにそこまではわからないなぁ……。


でも昨日とは違って、マスターは静かに意を決したようで、こちらを真剣な表情で見つめて尋ねてきました。


ジル「…サフィール」

サフィール「はい」

ジル「…今夜は…一緒に寝るか?」

サフィール「…………へ?」


い、今なんて言われたんでしょう……?


寝る……?一緒に……?誰と誰が……?

き、聞き間違いでしょうか……?


ジル「その…朝、アイツらが言ってただろ!?なんか…抱きついて寝たら落ち着くとかなんとか……」

サフィール「あ、あぁ…そうでしたね………えっ?もしかして……」

ジル「い、いやな!また明日もアイツらは来るだろうし、そのときにまた同じように言われたら面倒だからであってだな!あっ、いや、サフィールが心配じゃないわけじゃないぞ!ん!?あれ!?」

サフィール「……ふふ…ふふふふ♪」


マスターが見るからに大混乱しているのがおかしくてつい笑いが溢れてしまった。


ジル「サ、サフィール!?なんでそんな笑ってるんだ!?」

サフィール「だ、だって……♪ふふふ…♪あはははは♪」


だって、あんまりにもわかりやすすぎて……!

まるでシエルさんみたいな…


。○◯


マグ「…シエル。素直になれずに大人になるとあぁなるよ」

シエル「なんでアタシに言うのよ!?」


◯○。


サフィール「くふっ…!ふふふふ…!」

ジル「サフィール!?どうしてもっと笑い出したんだ!?」

サフィール「そ、それは……あははははは!」


あぁ、ダメです…!

今朝マーガレットさんがボソッと言っていたあの言葉が…あははははは!


ジル「……ふっ。お前でも、そんな風に笑えるんだな」

サフィール「ふふふ…♪…えっ…?ごめんなさい、聞こえなくて…」

ジル「いや、いい。それより、どうするんだ?一緒に寝るか?」

サフィール「ふふ……はい!お願いします!」

ジル「…♪わかった。準備を整えて先に待ってろ」

サフィール「はい!」


マスターにそう言われた私は、いそいそと準備を済ませ、仕事部屋とは違う、正真正銘ジルさんの部屋にあるベッドに入り込む。


こうやってお布団の中でワクワク待つのを、まさかマーガレットさんたち以外で体験できるなんて思いませんでした……♪


しばらくして、マスターがやってきました。

マスターはまだ少し悩んでいる様子でしたが、覚悟を決めたような顔をしてからお布団に入ってきました。


そして…


サフィール「!」


私のことを抱きしめてくれました。


ジル「…これも言われたからな。だが本当にこんなんでいいのか?」

サフィール「…えへ…♪」

ジル「…そうか…うん…それならよかった」


そう言ってマスターはもっとぎゅっとしてくれました。


あったかいなぁ……♪

あぁ……愛されてるなぁ……♪


今夜は、昨日よりももっとよく眠れそうです♪


ジル「……う〜ん……あれだな、サフィール」

サフィール「…?」

ジル「…お前やっぱりデカいな」

サフィール「っ!?」

ジル「これを押し付けられて我慢できてるって、アイツちょっとおかしく……っておい?脇腹をつまむのはやめろ」

サフィール「……(ぷく〜)」

ジル「わかった、悪かった!悪かったって!だからそんな執拗に脇腹をつまむな!引っ張るなって!お前が気にしてるのを知ってんのに言ったのは悪かったから!」


…しばらくマスターのお腹をむにむにしてから、改めて抱きついて眠らせていただき……。


……()()()って、マーガレットさんのことかな……?

…我慢…我慢かぁ……。


…マーガレットさんなら、我慢なんてしなくても……


サフィール「って…!わ、私はいったいなにを……!」

ジル「うおっ!?どうしたどうした!?」

サフィール「な、ななななんでもありません!」


まずい…ドキドキが…ドキドキが止まらない……!

どうしようどうしよ〜!


せっかくぐっすり眠れそうだったのに、マスターのひと言のせいで私は寝るどころではなくなってしまいました。


も〜!マスター!(ぎゅ〜!)


ジル「……?」

聖歌隊のお歌はおあずけ。

それよりもサフィールちゃんとジルさんの距離がグッと近づきましたね!


ひとりはなんだかんだ寂しいですよね。

人ってひとりじゃ生きていけないんだな〜って感じます。

ウサギのこと言えないよ人間。


そんな類人猿の端くれは来週も投稿します。

それではでは〜

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