289.お狐さんのお箸講座…と油揚げへの布石
誤字報告ありがとうございます!
お風呂を上がってまったりと夕飯を待つ俺たち。
ディッグさんたちもお風呂を上がったところでご飯が出来上がったそうなので、食器の用意を手伝いにいく。
コウスケ「お手伝いマーン」
フルール「あら、ちょうどいいわ。この辺持ってってくれる?」
コウスケ「は〜い」
フルールさんの指示に従ってお皿の乗ったお盆と食器入れを持っていこうとする。
その視界の端に、豆腐をウッキウキで盛り付けるユーリさんを確認したのでついでに話しかける。
コウスケ「ユーリさん、お豆腐もう出来たんですか?」
ユーリ「うん♪」
それは楽しみ。
楽しみなんだけど……
コウスケ「……多すぎません?」
ユーリ「お揚げを作るからね!」
コウスケ「多すぎません?」
なんかもう凄い量の薄切り豆腐があるんですけど?
キッチンの一角埋めてるんですけど?
フルールさんが諦めの表情を浮かべちゃってるんですけどぉ?
ユーリ「えへへ〜♪お揚げをお腹いっぱいになるまで食べるの、夢だったんだよね〜♪村にいた頃は好きなように食べられなかったからさ〜」
コウスケ「あぁ〜……」
ひとり暮らし始めたてみたいな感じだな。
多分1回やったら満足するだろうからほっとこう。
コウスケ「あっ、ユーリさん。出来上がったらちょっとだけ分けてくれたりとか……」
ユーリ「えっ!?」
コウスケ・マグ「(えっ!?)」
マグ(全部食べるつもりだ!)
コウスケ(熱意やべぇ!)
ユーリ「な〜んてウソウソ♪出来たらみんなを呼んで一緒に食べよ〜ね♪」
コウスケ・マグ「(わ〜い、やった〜♪)」
ユーリ「ふふふ♪」
本気か冗談かわかんなかったぜ☆
まったくユーリさんは〜。
コウスケ「って、お腹いっぱい食べたいって言ってたのにいいんですか?」
ユーリ「ん〜…それはそうだけど……でも、私、みんなで食べるご飯が好きなの。美味しいだけじゃなくて、楽しくてあったかい時間になるのが好きなの。だから、そんな大好きな時間に、大好きなお揚げを食べたら、もっとうんと美味しくなるんじゃないかなって思ったんだ♪」
コウスケ・マグ「(ユーリさん……)」
ユーリ「えへ…だから、みんなで食べたいんだ♪」
も〜!そんなこと言われたら何も言えないじゃないですか!
コウスケ(マグ!)
マグ(はい!)
チェーンジ!
マグ「ユーリさん!(ぎゅっ!)」
ユーリ「わっ!マーガレット!」
マグ「ユーリさん!ずっと一緒ですからね!」
ユーリ「っ!…えへへ♪うん!」
ぎゅ〜っと抱き合うマグとユーリさん。
さすがに俺が抱きつくのはアレだからな。
マグも意図を組んでくれたし、もしかしたら同じようなことを感じたのかもしれないなぁ。
フルール「…いい雰囲気のところ悪いのだけど、抱き合ってないで早く準備しないと。みんなお腹を空かせて待ってるわよ?」
コウスケ・マグ・ユーリ「(「ハッ!」)」
素で忘れてた!
フルールさんに迷惑をかけながら良い話をしたところで、本来の目的であるお手伝いに戻り配膳を始める。
その途中でユーリさんが並べていた豆腐に気付いたメリーがリオに話しかけていた。
メリー「……これがおとーふ?」
リオ「あぁ」
メリー「……しろいね」
リオ「そうだろ?」
メリー「……ぷるぷるしてる」
リオ「あぁ、凄く柔らかいぞ」
リオの言葉を聞いてお皿を持ち上げ軽く揺すってみるメリー。
豆腐は揺れに応じてふるふると小さく揺れた。
メリー「……おぉ〜」
リオ「な?柔らかいだろ?」
メリー「……うん♪」
どうやらこの柔らかさがお気に召したようだ。
この調子で味の方も気に入ってくれるといいのだが、どうだろう?
ディッグ「へぇ、これがとーふか」
ケラン「ユーリさんの手作りなら、味は間違いないのでしょうけど…どんな味がするのか想像が付きませんね」
メイカ「ふんわりお豆のいい匂いがしてていいわね〜♪」
ユーリ「ささっ♪出来立てですからお早めにどうぞどうぞ♪」
メイカ「そうね。それじゃあ…」
みんな『いただきます!』
ってなわけでさっそく全員豆腐にパクつく。
ケラン「んっ!やっぱり柔らかいですね!」
ディッグ「あぁ、すぐに崩れちまうな。だがそれでいてしっかり存在感は示してくる」
メイカ「ん〜♡いい味ね!気に入ったわ♪」
フルール「そうね。それに、これならいろんな味付けに合いそうだわ」
ユーリ「そうなんですよ!甘いものにも辛いものにも、おかずに汁物になんでもござれですよ〜♪」
なかなかの高評価をもらうお豆腐。
かくいう俺も、ハルキの家で食べたときは豆の味に意識を持ってかれたが…一度食べて少し慣れたからか、それとも前世の豆腐の記憶が蘇ったのか、ユーリさんお手製豆腐がとても美味しく感じられるようになった。
まぁ比較対象が1パックか3パックセットの豆腐、どちらも大体100円のやつだからな……。
そりゃそれより美味いに決まってんだよなぁ……。
そうでないと困るわ……。
と、そんな大絶賛を受ける隣で若干渋い顔をしている少女が1人。
メリー「……ん〜……」
メリーである。
リオ「どした?合わなかったか?」
メリー「……ん…ちょっとにがて……」
リオ「あぁ〜…まぁ気持ちは分からんでもないな〜」
マグ(確かに。お豆の力が想像より強いですからね)
コウスケ(うん。まぁ仕方なし)
俺もそうだったしな。
慣れればイケるんだけど、その慣れるのが結構大変だからな。
まぁ嫌いにならないだけでもよしとしよう。
マグ(ところでコウスケさん。私もそれ、使ってみてもいいですか?)
コウスケ(おっ。チャレンジしてみる?)
マグ(はい!)
好奇心旺盛な子。マーガレットさんです。
とっても可愛いですね♪
コウスケ(じゃあ代わるよ〜)
マグ(は〜い♪)
合図を送ってからマグと交代…するや否や、
マグ(あ、あれ?)
途端に困惑の声を上げるマグ。
その様子に気付いたメイカさんがこっちを見て…
メイカ「あら?どうしたのマーガレットちゃん……ん?」
さらに何かに気付いて動きを止めたかと思いきや、ユーリさんの手元をバッと見て、そして再びこちらにシュバっと向き直った。
ちなみにその行動にユーリさんもマグも、なんなら他のみんなもビクッとした。
俺もしっかりビビったわ。
無言でバッ!バッ!て動かないで欲しい。
怖い。
メイカ「マーガレットちゃんがユーリちゃんとお揃いのやつ使ってるぅぅ!?」
そしてうるさい。
う〜ん、しかし…これがあると家だな〜って感じがして妙に落ち着くようになってしまっている自分がいる。
果たしてこれは良い傾向なのだろうか?
ユーリ「えっ!?今気付いたんですか!?」
メイカ「ウキウキしてるユーリちゃんを眺めてたから気付かなかったわ!」
ユーリ「そ、そんなにウキウキしてました…?」
メイカ「うんっ!」
ユーリ「そ、それはちょっと恥ずかしいなぁ……///」
コウスケ(確かに今日のユーリさんはウキウキウォッチンだったなぁ)
マグ(帰り道でも割と目立ってましたもんねぇ)
コウスケ(道ゆく人が振り向いて……いつも通りか)
マグ(ユーリさんは目立ちますからねぇ)
メイカ「それはそれとして!」
コウスケ・マグ「(あっはい)」
メイカさんが戻ってきたので俺たちも意識を戻す。
で、なんだっけ?
メイカ「マーガレットちゃん!その手に持ってる棒は何!?」
マグ・コウスケ「(おはしです)」
メイカ「おはしってなにっ!?」
ほんと元気だなこの人。
ユーリ「お箸っていうのはヤマトの食器ですよ〜」
メイカ「そうなのね……」
ユーリ「あとマーガレットとは柄が違うのでお揃いとはちょっと違いますよ?」
メイカ「同じ棒だからお揃いなのはそうだと思うの!」
フルール「定義が広すぎるわね」
激しく同意。
マグ「それだと知らない人ともみんなお揃いってことになっちゃいますよ?」
メイカ「私がお揃いだと思う子とだけだから大丈夫!」
リオ「無茶苦茶だ……」
コウスケ・マグ((ほんとね))
まぁ今に始まったことじゃないけど。
ディッグ「なぁ、とりあえず食べ終わってからにしようぜ?」
メイカ「ハッ!そ、そうね……我を失ってたわ……」
ケラン「いや、それはいつも通りなのでもういいんですけど、せっかくのご飯が冷めてしまうのはもったいないですから」
メイカ「それはそうなんだけど……なんか引っかかるわね……」
そう言いながらも大人しく席に着き直すメイカさんを見届けたところで食事再開。
マグ「んっ…ん〜……!」
ケラン「大変そうだね、マーガレットちゃん」
マグ「うぅ〜……!難しいですぅ……!」
マグはまだまだ箸の使い方に慣れない様子。
まぁむずいよなぁ……。
だがそこはそれ。
この場にはプロがいるのだ。
ユーリ「ふふふ♪落ち着いてマーガレット。教えてあげるから頑張ろ?」
マグ「ユーリさん…!ありがとうございます!」
食事を中断してマグの元に来てくれたユーリさんは、隣で使い方をレクチャーし始めた。
ユーリ「はい。これが正しい持ち方だよ。とりあえずこう持ってみよっか」
マグ「えっと……こ、こうですか?」
ユーリ「うん♪そしたら、指をこうやって……」
マグ「ん……あっ…ちょっと…ツりそう……」
ユーリ「えっ!?あぁ〜…じゃあ余計な力が入ってるのかも。ほら、肩の力を抜いて〜……」
マグ「ふぅ〜……」
ユーリ「そしたら同じように持って〜…」
マグ「はい……」
ユーリ「また緊張してきちゃってるから、ここでもう一度…吸って〜…吐いて〜……」
マグ「すぅ〜…ふぅ〜……」
ユーリ「そしたらそのまま、こう〜」
マグ「こう〜……あっ!出来た!」
ユーリ「うん♪こんな感じで、あとは少しずつ慣れていけば上手に使えるようになるよ♪」
マグ「わ〜い♪ありがとうございます、ユーリさん!」
ユーリ「うん♪どういたしまして♪」
す、すごい……!
あっという間にマグにコツを教えてしまった……!
マグが愚図らず意欲的で模範的な生徒だからなのもあるけど、ユーリさんの教え方も優しくも要点を抑えたしっかりしたものだったからなのだろう……。
…俺もあとで正しい持ち方教えてもらお!
長年のクセが抜けないときはどうすればいいかも教えてもらお!
メイカ「おぉ〜!ユーリちゃん教えるの上手〜!」
ユーリ「えへへ♪そうですか?」
メイカ「うん!私も教えてもらおっかな〜?」
ユーリ「ぜひぜひ!しっかり教えさせていただきますよ〜!」
マグ(ユーリさん、ほんとに教えるの上手でしたね!)
コウスケ(うん。いいな〜…ユーリさんみたいな先生欲しかったな〜……)
まぁ優しい先生はいたけどね〜。
単純にユーリさんが先生に来て欲しかったなっていう呟きかなこれは。
マグ(…コウスケさんコウスケさん)
コウスケ(ん〜?)
マグ(わ、私も先生、できますよ?)
コウスケ(ハッ!)
いつ以来の登場、マグ先生……!
コウスケ(いや、ダメだ……!)
マグ(えっ…!?な、なんでですか…!?)
コウスケ(授業そっちのけでイチャつきそう……!)
マグ(それは…………確かに!)
授業にならねぇ。
マグ(…でも私はそれでも構いませんよ…?)
コウスケ(ん"っ"!!)
特別授業♡とか、思い浮かんだので理性を総動員するハメになった……。
いかん……!
やはりマグ先生は (愛らしさがカンストして)危険だ……!
リオ「ん〜……」
ハッ!
コウスケ(リオがなんか悩んでる!聞いてあげよう!)
マグ(あっ…も〜!)
ぷく〜っと頬を膨らませて怒るマグの姿が見て取れるが、うっかり表に出したら恥ずい&リオに誤魔化し入れないといけなくなるので、ここは強引に交代!
そしてすかさず問う!
コウスケ「どしたんリオ?」
リオ「あぁいや……マーガレット、最初普通に使ってなかったか?って思って……」
コウスケ・マグ((あっ))
やべぇ!
コウスケ「キノセイダヨ!」
リオ「そうか?ん〜…まぁあんまり見てなかったし、そうかもな〜」
コウスケ(あ、あぶねぇ〜……!)
マグ(コウスケさん、普通に使ってましたもんね……)
コウスケ(完っ全に油断してた……!)
お風呂に入ったばかりだというのに、なんだか汗をかいた気がするぜ……!
見れば他のみんなもホッと胸を撫で下ろしたあとのような、そんな感じの苦笑いを浮かべていた。
ごめんね皆さん。
寿命縮ませちゃったかもしれないね。
俺も縮んだよ。
まぁもう死んでんだけどね☆アハハ☆
コウスケ(感性が老化してる気がする……)
マグ(えぇぇ!?どうしましたコウスケさん!?)
なんかいわゆる「道化師」的な話し方というかなんというか……。
道化師を「演じている」人的な話し方というか……。
う〜ん……。
まぁそういうキャラ割と好きだからいっか☆
コウスケ「あっそうだ、ユーリさん」
ユーリ「ん?なぁに〜?」
コウスケ「お醤油も作るんですよね?」
ユーリ「うん、そうだよ」
コウスケ「漬けるための容器ってありましたっけ?」
ユーリ「…………しまった!?」
マグ(あぁ、これは……)
コウスケ(翌日お買い物コースだね〜)
コウスケ「そうだ。あとお味噌も出来れば作っていただけると……」
ユーリ「あっ!忘れてた!」
マグ(追加ですね〜)
コウスケ(明日も忙しそうだね〜)
とはいえ、醤油と味噌はやっぱり欲しいところだし、俺ももちろん手伝わせてもらうとしようじゃないか。
この豆腐だって、味噌汁に入れたらまた違った美味しさが……ふふふ…♪
今からもう楽しみだなぁ♪
……まぁ、出来上がるのにかな〜り時間がかかるけど……。
ともかく、未来に楽しみが出来たところで、現在の幸せである食事をマグと交代交代で楽しむのだった。
油揚げがようやく見えてきました……!
お醤油とお味噌も片鱗が出て、また食事に彩りが加わりそうですね。
さて、というわけでまた次週!
投稿が若干(?)遅くなってしまい申し訳ございません!
ではでは!




