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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第4章…ウサギと姫と聖歌隊
289/434

284.布団での攻防戦…余計なひと手間を添えて

休日。

いつもなら寮に集まって遊ぶ俺たちなのだが、今日いるのはとある民家。

そこにいつものメンバー…ではなく、チェルシーがおらず、代わりにユーリさんがいるという状態。


そしてここはモニカちゃんの家でもリオの家でも、他の子たちの家でもない。

ここの家主は…


エスト「いらっしゃーい!」

ユーリ「エスト、こんにちは」

子どもたち『こんにちは!』

エスト「うん、こんにちは♪あがってあがって♪」

みんな『おじゃましま〜す!』


そう、エストさんの家。

より正確に言えば…ハルキの家である。


なんてことない住宅街の、これまたなんてことない…というにはちょっと大きい一軒家。

ダンジョンが本拠ではあるものの、商人として…ひいてはエストさんやララさんたちの恋人としてのハルキの拠点。

いわば、かりそめの自宅である。


まぁ、自宅は自宅なので、かりそめと言うのは少し違うかもしれないが……。


う〜ん…別荘?

まっ、この街自体がダンジョンなわけだし、言っちゃえばこの街全てがハルキの家、その庭とでも言えちゃうわけだから、全部当たりのようなもんでしょ。

多分。


シャール「ん、いらっしゃい」

ハルキ「待ってましたよユーリさん。みんなも、ゆっくりしていってね」

みんな『はい!』


さて、廊下を抜けた先で家主(ハルキ)とその奥さんである白猫(シャール)さんが出迎えてくれた。


さてさて、今回なぜハルキの家にお呼ばれしたのか。

それはユーリさんが大きく関わっているのだが…


ハルキ「あ〜…よかったらチェルシーのことを起こしてきてくれるかな?あの子も楽しみにしてたんだけど、なにぶん朝に弱い子だからね」

ショコラ「わかりました!」

パメラ「ハルキさんが起こしてあげなかったんですか?」

ハルキ「ギリギリまで…って思ってたら来ちゃったから、じゃあもう任せちゃおうかなって。ユーリさんと確認することもあるしね」

パメラ「そうですか……」


なぜか残念そうなパメラ。

俺の直感があんまりロクな理由ではなさそうだと告げているが…気になる……。

後で聞いてみよう。


ハルキ「エスト。みんなをチェルシーの部屋に案内してあげて」

エスト「は〜い♪それじゃあついてきて〜♪」

みんな『は〜い♪』


それにしても…俺と模擬戦した時や、そのあとユーリさんと戦ったときは少し怖がっていたはずだけど、今はユーリさんと接するときのような気楽な感じになってる。


あのあとも何度か会う機会はあって、その度にちょいちょい交流を深めたからだろうけど……よかった、ほんと。

エストさん自身の明るい人柄も貢献してるだろうけどね。


なんにせよ、チェルシーのお姉さんみたいな人とギクシャクしてるってのは回避できたみたいでよかったよかった。


トラウマ植え付けられたメンバーの中で1番深く抉られたのは、実際に対峙した俺だろうけど、そこはそれ。

さっき言った通り、エストさんの人懐っこい性格のおかげでね。


で、俺と同じ視点で圧を受けたマグに至っては…


マグ(う〜ん…今日もゆさゆさばるんばるんですね〜。眼福ですけど、あれだけ動いてると取れちゃわないか心配ですねぇ……)


と、胸の心配をしている。


うん…まぁね?

ブラしてないんじゃないかってくらい弾んでるけどね?

クーパー靭帯 (胸を支える神経的なやつ)切れやしないかと若干ヒヤヒヤしてるけども……うん…まぁ…いいや。もう、なんでも。


それにマグに呆れながらも視界にちょっと入るようにしてる俺も同罪だし。

ただ…うん……。


やっぱりクーパー靭帯切れそうで怖い、が強すぎる。

俺はいつから女性の胸にトキメキよりも恐怖を持つようになったんだろうか……。


パメラ「むむむむむむ……!」


そんなことよりパメラちゃんが、その弾む胸をどえらい睨みつけてるのでどうにか落ち着かせなければならない。


う〜ん、どうしようか……。

もういっそのこと、俺と同じように心配路線に走らせてみるか?


とはいえ俺から胸の話を間接的にでも切り出すのはさすがに勇気がいるし……。

誰か…誰かなんか言わないか……?


サフィール「あ、あの…エストさん……」


はっ!サフィールちゃん!

行くのか!?言っちゃうのか!?


エスト「うん、なぁに〜?」

サフィール「えっと……も、もしかしてですけど…ブラとかは……」

エスト「あ〜…あれ苦しいからあんまり着けたくないの。着けないと外に出さない!ってシャールが言うからいつもは着けてるけど、今はお家の中だからね〜♪」

サフィール「そ、そうなんですね……」


エストさん……俺の正体知ってるよね?

俺男よ?

もうちょっと自覚持ってよ人妻ァ……。


エスト「でもユーリが着てたやつは楽そうでいいかも。いっぱい動いて暑くなってもすぐ冷やせそうだし……」

リオ「あ、あれはやめておいた方が……」

シエル「そ、そうですよ……!エストさんがあんな服着たら……!」

エスト「着たら?」

シエル「…な、なんかすごいことになっちゃいます……!」

パメラ・モニカ・リオ・サフィール『…!(こくこく)』

エスト「すごいこと?」


コテンっと首を傾げるエストさん。


うん、まったくわかってないね……。


コウスケ(あ〜……ユーリさんと似てるわぁ……)

マグ(ですね……エストさんもふにふにですから、もし着たらものすんごく人目を集めちゃうでしょうね……)

コウスケ(まぁ…それ以前にあの服を着てる人いたら思わず見ちゃうよね。いろんな意味で……)

マグ(なにあれって見ちゃいますよね……キレイな人ならなおさら……)

コウスケ(うん……)


ユーリさんのときもえらい人目を集めて……今思えば、その姿を一目見ようとしてかやたら人が多かったような……。

普段昼過ぎとか別の時間帯に見かけるような人がいた気が……。


あのときはまだ仕事始めたてだから気付かなかったけど、思い返せば……うん、いたわ。


やっぱりみんな見たいんだね。


エスト「着いたよ〜!ここがチェルシーの部屋です!」


とかなんとかやってる間にチェルシーの部屋の前に到着した。


しまった。

クーパー靭帯のことを言い損ねた……。


…あとでハルキに伝えておいてもらおう。


エスト「チェルシ〜!みんな来たよ〜!」


……。


ショコラ「お返事ないねぇ」

エスト「(ガチャ)入るよ〜?」

コウスケ「せめて言ってからにしません?」


速攻で入る決断をしたエストさんに続いて俺たちも入室。


パメラ「へぇ〜…これがチェルシーの部屋か〜」

リオ「思ってたよりも普通だな」

シエル「そうねぇ…それに、なんとなく散らかってるイメージだったんだけど、そんなこともないわね……」

モニカ「キレイに片付けられてるね」


そんな感想を述べるみんなをよそに、エストさんはベッドに近づいていった。


エスト「ほら、チェルシー?みんなが来たよ〜?起きなきゃでしょ〜?」

チェルシー「んんぅ〜……みんなぁ……?」

ショコラ「ショコラだよ〜?」

パメラ「パメラだよ〜?」

チェルシー「んぅ…ショコラちゃんとパメラちゃ……ぐぅ……」

ショコラ・パメラ「「なんで!?」」


コウスケ「…相変わらず強敵だねぇ……」

サフィール「そうですね……」


ショコラ「起きてよチェルシ〜!」

パメラ「一緒に見るんでしょチェルシ〜!」

エスト「あとでずるいって言うんだからチェルシ〜!」


すげぇや。

エストさん、ショコラたちと同じテンションだ。

声だけ聞いたらみんな子どもだと言ってもバレないんじゃないかな?


そんな失礼なことを考えながら見守る俺に、モニカちゃんが話しかけてきた。


モニカ「う〜ん…やっぱりマーガレットちゃんじゃないとダメなんじゃないかな…?」

シエル「そうね…マーガレットなら割と素直に起きるものね……」

コウスケ「たまに引きずり込もうとするから怖いんだけどね……」

リオ「そうだな。今みたいにな」


エスト「あ〜!待ってチェルシー!ダメェ!」

チェルシー「んにゅ…エストねぇもねよぉ…?」

エスト「ダメだよぉ!起きなきゃ…あっ…!あっ…!お布団あったかいよぉ…!」

ショコラ「エストさーん!」

パメラ「負けないでエストさーん!」


コウスケ「ダメだろうなぁ……」

マグ・サフィール「(ダメそうですね……)」


エスト「あっ…ダメ……寝る……」


その言葉を残して、エストさんは半ば自主的に布団の中へと消えていった。


ショコラ・パメラ「「エストさぁぁん!!」」


コウスケ「まぁ、そろそろ起こさないとだし…やっか」

リオ「頼んだ…」

サフィール「はい、お願いします…」

シエル「よろしく…」

モニカ「あはは…がんばって、マーガレットちゃん…」


エストさんが負けたところで、時間の都合上俺が出陣。

早速チェルシーの足がある方の布団の端を掴み、思いっきり引っ剥がした。


顔側はガードされてると思ったからだ。


これは当たりのようで、抵抗もなくチェルシーの下半身と丸まってぬくぬくしてる黒猫(エスト)さんが出てきた。


完全に寝る体制に入ってるじゃんこの人……。


チェルシー「やぁぁ…マギーちゃんのいじわるぅ……!」

エスト「あーん!あったかいのが逃げる〜!」

コウスケ「起きなきゃなんだからそういうもんです!ほら、早くしないとハルキさんたちだけで作業始めちゃいますよ!」

チェルシー・エスト「「やだ〜…!」」

コウスケ「じゃあ起きる!ほらチェルシー、体起こして。エストさんは布団に手を突っ込まない!」

エスト「この温もりがクセに……」

コウスケ「往生際が悪い!(すぽーん)」

エスト「あーん!」


強化魔法をかけてからエストさんの手を布団から抜いて、体を起こしてコックリコックリまた眠りそうなチェルシーの両脇に手を差し込んで抱き上げる。


今さらパジャマ姿を見てもだらしないなんて思わない仲であるわけだし、このまま下に降りちゃおう。


コウスケ「ショコラ、パメラ。エストさんよろしく」

ショコラ・パメラ「「は〜い!」」


ショコラ「エストさん、めっ!」

パメラ「起きましょ〜!」

エスト「うぅ〜…おふと〜ん……!」


リオ「おつかれさん、マーガレット」

シエル「完全に仕事増えてたわね……」

モニカ「そうだね……あっ、チェルシーちゃん、起きて〜 (おててぎゅっ)」

チェルシー「んぅ…んへ〜…♪」


モニカちゃんが手を繋いでくれたので少し上機嫌になったチェルシーを抱えて、俺たちは下へと戻ることにした。


エスト「お布団……」

ショコラ「あったかいよね〜……」

パメラ「なかなか出れないよね〜……」


はいそこ。

布団見つめないの。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


チェルシー「ん〜…シャールねぇ〜……」

シャール「ん。ふたりがごめんね」

コウスケ「ははは…大丈夫です……それで、そっちの方は?」

シャール「問題ないらしい。今ユーリが作ってて、ご主人が教えてもらってる」

コウスケ「そうなんですね。それじゃあアレが出来るのをあとは待つだけですね♪」


チェルシーをシャールさんに預けてから今日訪問した理由の進捗を問うと好返事が返ってきた。


淑女の嗜みだとか言っていたユーリさんが大丈夫と言っていたなら、否応なしに期待が高まるぞぉ♪


モニカ「楽しみだなぁ♪どんなお料理なのかなぁ?」

シエル「前の日から仕込みが必要なんですよね?」

シャール「ん。数時間水につけとかないとらしい。だからご主人は夜にやってた」

サフィール「そんな準備が必要なんですね……」

ショコラ「それなら絶対おいしいよね!」

エスト「うん!美味しいに決まってるよ!」


リオ「確か、ユーリさんはそれをさらに揚げたものが好きなんだったよな?」

コウスケ「うん。どれだけ好きかを延々語ってくれるよ」

パメラ「それだけ美味しいんだぁ……そっちも食べられるかなぁ?」

シャール「油も準備してるらしいけど…作るのに時間がかかりそうだったし、わからないかな」

パメラ「そうですかぁ……」


俺も調理工程を知りたいけど、それはまたユーリさんがウチで作るときにでもいいからな。

俺が行くと何人か着いてきちゃうかもだし……。

キッチンの広さは知らないけど、あんまり何人も入るとこじゃないしな。

ここで大人しくみんなと待っていよう。


さて、大体の人は察しがついたかもしれないが、今回作っているもの。

それは【豆腐】だ。

ちなみに絹か木綿かは知らない。


ニガリを作るのに海水が必要だが、この街の付近には海なんてない……。

でも迷宮内に似たような品質の水があった気が……。


そんなハルキに案内され、無事にその水を手に入れられたらしいユーリさん。


覚えてるものとおんなじだって喜んでたけど……まぁその水、多分バッチリ海水だろうからね。

だってハルキが生み出したんだし。


一応誤魔化しを入れときつつ…ってやつだろうね。

ふわふわな方が後で言い逃れしやすいもんね。


ともかく、海水をゲットして大喜びの狐さん。

交換条件として、完成してからでいいから豆腐と油揚げの作り方を教えてほしいと持ちかけられていたユーリさんはその約束をしっかり守るため。

そして自分が早く食べたいがためにさっそく調理を…と思ったが、ウチにはそんな余裕がない。


だって調理器具全部しっかり使うもの。

だから長時間使い込むことになるやつを作ることなんて出来ません。


じゃあ新しい調理器具を…と思ったら、大豆を買いすぎてお金がないことに気付いた狐さん。


依頼をこなしてお金を貯め、豆腐…ひいては油揚げを作るための道具を買おう!と意気込んだものの、ここでさらに気付く。


油、ご飯どころに優先して売られてるから入手が困難だ…と。


そんな状態だからもちろん値も張っちゃう……でもでも、ぐずぐずしてると大豆が悪くなっちゃう……!


そんなとき、ハルキに話しかけられた。

豆腐は作れましたか?と。


ユーリさんは素直に答えた。

豆腐作っても油揚げが作れないじゃんどうしようって悩んでて作れてない、と。


それを聞いたハルキは、それならウチで作りますか?

これでも商人なので、油もある程度は仕入れられますし。

代わりに、出来立てを食べさせてもらってもいいですか?と提案。


ユーリさんは悩む素振りもなくそれを承諾して今に至った…というのが、今回ハルキの家を訪問した理由だ。


俺たちはチェルシーを呼ぶがてら御相伴に預かりな、と誘われてノコノコやってきました。


朝ごはんを食べてから少しくらいしか経っていないという時間帯なのでチェルシーはまったく寝足りないわけだが、ハルキたちの言う通り、起こさないとあとで愚図るので容赦なく起こした。


まぁ今シャールさんに抱き抱えられてまた眠ってるけど。


とりあえず友だちが来ましたよ〜ってことを伝えとかないとってだけだったので、あとは食べるときに起こしゃいい。

というわけで今は寝かしとく。


さて、待っている間ただ黙って待つ…なんてことは当然無い。


コウスケ「あの、おふたりの冒険のお話を聞いてもいいですか?」

エスト「ん?いいよ!」

シャール「ん…それじゃあ、この間出会ったお酒を飲むほど力が上がるって人の話をしようかな」

コウスケ「開幕クセが強い!」

マグ(ただの酔っ払いの人じゃないんですね……)


せっかく冒険者として活躍しているエストさんとシャールさんがいるのだ。

この機会にたっぷりお話を聞かせてもらおう。

布団での攻防戦が思ったより長引いたので、大豆調理編は次回へと続きます。


大豆から作れるものといったらあとはお味噌とか?

しょうゆもそうですね。

調味料が出来たらまた迷宮都市の食に革命が起きそうです。


まぁとりあえずまた次週。

お楽しみに〜。

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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ!遂に豆腐もとい…油揚げが! そして、冒険話が!! エスト達はすっごい久しぶり。 一瞬わたしも…あれ?って思いましたが…ハルキの名前でわかりました。 意外とキャッキャふふふで、バトル…
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