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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
3.5章…それぞれの日常
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276.迷宮探索…5層ボス編

ごめんなさい遅くなりました!

〔メイカ〕

セーフティエリア。

不思議な加護が込められた女神像が存在し、その力によって魔物が近寄らない場所を私たちはそう呼ぶ。


天然の迷宮にはなく、ダンジョンマスターの存在する人口の迷宮には存在するということで、ダンジョンマスターが設置しているのだろうということは分かっているが、何のために、誰を模して作られているのかなど、未だに多くのことが分かっていない女神像。


もちろん最初は警戒したようだ。

本当に近寄らないのか。

ダンジョンマスターの手によって突然撤去されやしないか。


しかし、長い歴史を辿っていってもそんな話はなく、今となってはただただありがたい存在となっている。


そんな女神像があるセーフティエリア。

第5層のその場所で、私たちはこの層のボスについての話をしていた。


ディッグ「情報じゃあ、この層のボスは幻覚を見せてくるらしい」

ユーリ「幻覚……」

メイカ「幻を見せてくるタイプかぁ……面倒ねぇ……」

ケラン「はい。事前に知っていても、幻覚によっては心が乱されるでしょう。厳しい戦いになるかもしれません」

メイカ「大丈夫よ!今が充実してるから、今さらなにを見せられても動じないわよ!」

ディッグ「嬢ちゃんたちに囲まれる夢は?」

メイカ「ぐぅっ!……耐えてみせるわ……」

ユーリ「すでに危ない……」


そ、そんなことないわよ…?

えぇ…大丈夫大丈夫……。


ケラン「……抱きつかれたりしたら?」

メイカ「んんっ!!…ま、まだまだ……!」

ディッグ・ケラン・ユーリ『おぉ〜』


ふふふ……抱きつかれるのは確かに危ないけど、本物を知ってるからね……!

やっぱり本物に勝るものなんてないのよ!


ユーリ「じゃあほっぺたちゅーとか…」

メイカ「骨は拾ってくれるかしら?」

ケラン「ダメみたいですね……」

メイカ「うぅ〜!だってぇ……!」


だってそんなの反則じゃない!

しかもあの子たち照れながらもやりかねないし!

想像がしやすいくらい距離が近いんだもの!


ディッグ「安心しろ。ぶん殴ってでも戻してやるよ」

メイカ「ディッグに殴られたらそれこそ死んじゃうわよ!」


金属マシマシの重たい盾と鎧を着込んで走れるような剛力に、重たいとはいえ布であるローブを着て疲れる程度の私が耐えられるわけないでしょ!


ディッグ「それじゃあ頑張って耐えろよ?」

メイカ「くっ…そうね……危なくなったらディッグに殴られるのを想像して意識を戻すわ……」

ディッグ「なんかやだなそれ……」


これがマーガレットちゃんとかだったら……


マグ「メイカさん!目を覚ましてください!(ぺちん)」


って感じで…んふふ…可愛いわぁ♪


あっ、でもそんな危ない状態でコウスケがマーガレットちゃんを表に出すとは思えないから……


コウスケ「メイカさん!起きてください!(パァン)」


あ〜、こっちだわ。

しっくりくる。


でも想像だからやっぱり私はマーガレットちゃんに治してもらうわ!


メイカ「むふふ…♪」

ケラン「…すでに空想の世界に囚われてるんですけど……」

ディッグ「いつものこととはいえ……この後のことを考えると不安でしかないな……」

ユーリ「あ、あはは……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ユーリちゃんに優しく起こされたあと、私たちは再びボスのいる部屋へと向かい始めた。


今いる第5層は深い森のフロアとなっていて、薄暗く足元も悪いので戦いにくく、それでいてここに住む魔物はその地の利を活かしてくるので苦戦しやすくなっている。


縦横無尽に動いて戦うスピードファイターには苦しい場所だが、私は魔法使いのためにあまり移動せずに攻撃できるし、ケランもカウンターが得意なのであまり気にならず、ディッグに関しては長年の経験から特に問題もなく戦えている。


そして私たちのパーティで唯一のスピードファイターであるユーリちゃんに至っては、魔物たちと同等かそれ以上に地の利を活かせている。


つまり、私たちは特に問題なく戦えてるというわけだ。


森というだけあって、道中出くわした魔物は虫や獣、植物型の魔物が多く、毒や麻痺などいやらしい攻撃も多かった。


別にそれらも牙や爪なら防げるが、さすがに液体を飛ばされると盾で防ぐわけにはいかない。

なのでその攻撃をしてくる敵が出たら優先的に倒す、または回避力抜群なユーリちゃんが注意を引いてその隙に叩くという戦法で切り抜けた。


そんな相手との戦いを終えたあと、周囲を警戒して新手がいないことを確認してからディッグが口を開いた。


ディッグ「やっぱユーリ嬢ちゃんが入ってから楽になったよなぁ」

ケラン「はい。以前まではあの手の魔物は先制攻撃で倒すか、当たらないよう気を張って避け続けてる間にメイカさんに片づけてもらうしかありませんでしたからね」

ディッグ「あぁ。盾で完全に防げない相手にゃ、むしろ盾が荷物になるしな。その点ユーリ嬢ちゃんは身軽だからな。ああいう手合いのときはほんとに助かってるぜ」

ユーリ「えへへ、ありがとうございます♪私も、おふたりが盾で手堅く戦ってくれるので安心して攻撃に専念できてますよ!」

ケラン「あはは、ありがとうございます♪」

ディッグ「そう言ってくれると守り甲斐があるなぁ」


ユーリちゃんに褒められて上機嫌に笑うディッグとケラン。


うんうん。

ユーリちゃん可愛いもんね。

しかもすっごく良い子。


でもあれよねぇ……。


メイカ「ユーリちゃん……ほんと、他のパーティに入ったらそこ崩壊させそうよねぇ……」

ユーリ「えっ!?なんですか突然!?」

ディッグ・ケラン「「あぁ〜」」

ユーリ「納得してる!?」


やっぱりディッグとケランも分かるみたいね。


メイカ「だってユーリちゃん、強いし、優しいし、スタイルもいいし……男なら誰でも惚れちゃうじゃない?」

ユーリ「えっ…そうですかね……?」

メイカ「そうよ!なんなら女の子も惚れさせるわ!」

ユーリ「えぇ…そうかなぁ……」

メイカ「そうよ!」

ユーリ「えぇぇ……?」


半信半疑なユーリちゃん。

そういうところも人気があるんじゃないかなぁ〜。


メイカ「まぁとにかく、少なくとも男がいるパーティはやめときなさい。絶対に滅ぶから」

ユーリ「ほ、ほろ……わ、わかりました……」


多分よくわかっていないユーリちゃんをとりあえず説得したところで、私たちは再び歩き出した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ディッグ「この先だな」

メイカ「そうみたいね。ここで最終チェックしときましょ」


苔むした石の壁に古ぼけた鉄の大きな扉という、昔に放棄された砦のような建物を見つけた私たちは、ご丁寧にその真ん前にあるセーフティエリアでボス戦の準備を始めた。


ケラン「幻覚には精神強化で惑わされないようにするのが鉄則ですが……それでも厄介なものに変わりはありません」

ディッグ「あぁ。惑わされた時の対処法はさっき言った通りだ」

ユーリ「えっと……殴る…ですか……?」

ディッグ「そうだ。抵抗はあるかもしれないが、やらなきゃやられる。だから遠慮せずやるんだ。分かったか?」

ユーリ「わ、わかりました……」

メイカ「大丈夫よユーリちゃん。ユーリちゃんが幻にかかったら私が治してあげるから♡」

ユーリ「えぇっと……ちなみに具体的には……?」

メイカ「きゃっ♡それはここでは言えないわよ〜♡」

ユーリ「えぇぇ……」

ケラン「ここで言えないようなことを実行に移そうとしないでくださいね」

メイカ「ぶーぶー!」

ユーリ「あ、あはは……」


苦笑いをされたところで、ディッグが話を続ける。


ディッグ「…まぁ、各自他のやつの状態を把握しとくように。あとは火属性が厳禁だな。まぁこれは今に始まった話じゃないが」

ユーリ「森を丸ごと焼き払われないように、火に対してカウンタートラップが森中に掛けられているから…ですね」

ディッグ「あぁ」


そう。

森の生き物ということで火属性が弱点…なのだろうが、いやらしいことにこの森には火属性の魔法、魔道具に反応するトラップが敷き詰められている…らしい。


5層に着くと目の前に看板が立てられており、そこにこのことが書かれていたのだ。

そしてその文の最後には「ダンジョンマスター」と記されており、この看板を立てたのはこの迷宮の主であることがわかった。


もしかしたら誰かのイタズラかもしれないと思い、ユーリちゃんが試しに軽く火の魔法を唱えたら、足元や近くの植物からツタが伸びてきてユーリちゃんを羽交い締めにした。


ユーリちゃんを助けようと私たちが近づこうとすると、私たちとユーリちゃんの間にイバラが飛び込んできて分断してきた。


しかし、どうするか考えた一瞬の隙にイバラは引っ込んでいき、ユーリちゃんを拘束していたツタもユーリちゃんを解放して森の中へと消えていった。


その様子を呆然と見送った私たちは、冷静になったところで1つの仮説を立てる。


今のは恐らく警告だ、と。

もし次にやれば、拘束してくるのがイバラかもしれない。

もしかしたらもっと危険な植物かもしれない、と。


ゆえに、私たちはここまで火を使わずに来た。


ただ、セーフティエリア内はその限りではないらしく、焚き火跡はあるし、なんなら最初から焚き火に火は付いているし、消そうとしても無限に火が出続けるしで…ともかく、熱の温度もちょうど良いし、暖を取れるのは良いことだと若干の諦めと共に受け入れたのだ。


そんな火属性厳禁エリアが、ボス戦では無くなっている…というのは考えにくいし、試すのも怖いので最初から選択肢には入れず、むしろ使わないようにと念を押したわけだ。


メイカ「はぁ……ほんといやらしいわよねぇ……4層のボスも時間稼ぎやろうだったし、もしかしたら、散々火を禁止にしておいて、使っちゃダメっていう先入観を持たせただけで本当はボスには使ってもよかったりしないかしら?」

ケラン「…あり得そうなのが嫌ですね……」

ディッグ「…だな……」

ユーリ「前のを体験しちゃうと、どうしても考えちゃいますよね……」


とはいえ下手なリスクは負いたくないので、やはり使わないという方向で話は決まった。


そうして、各自動きや注意事項をもう一度確認を入れてから、ボス部屋への扉を開けた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ショコラ「メイカさ〜ん♪」

パメラ「メイカさん♪」

ショコラ・パメラ「「あ〜そ〜ぼ〜♪」」

メイカ「はわ…はわわわわ……!」


ギルドの制服を着たショコラちゃんとパメラちゃんが呼んでいる。


これへ罠だ。幻覚だ。


頭ではわかっている。

わかっているのに……


メイカ「遊ぶぅぅ♡」


欲望には…勝てない……


ユーリ「メイカさん目を覚ましてください!(バチィィン!)」

メイカ「ぶふぉぁっ!?」


突然の頬の激痛で目が覚める。

が、胸ぐらを掴まれているようで吹っ飛ぶことはなかった。

おかげで衝撃が逃げなかったので余計に痛い。


なんか腫れてる気がする頬を押さえながら前を向くと、ユーリちゃんの可愛いお顔が直ぐ目の前にあった。


メイカ「あっ…ダメよユーリちゃん…こんなところでなんて……」

ユーリ「……(スッと腕を振り上げる)」

メイカ「あっごめんなさい冗談です許してくださいもう目覚めてますから」

ユーリ「なんでこの状況で遊べるんですか……」

メイカ「ご、ごめんなさいね……?」


はぁぁ……と大きなため息をするユーリちゃんにさすがに悪いと思い謝っておく。


メイカ「とにかくもう大丈夫だから、戻っていいわ。ありがとうね」

ユーリ「はい。メイカさん、お気をつけて」


それでもちゃんと身を案じてくれるユーリちゃんはやっぱり良い子だなぁ…と思いつつ、状況を整理し始める。


まず私たちは、このフロアのボスであろう大きな花の魔物と戦い始めた。

ちなみにアルラウネなどのように人型の器官はない、本当にただ大きい花の魔物だ。


まずそこでちょっと残念に思った。


そして戦い続けると魔物は花粉を撒き散らし始めた。

それを吸ったら……というところか。


整理するまでもないほど単純だったわ。


とにかく前線に戻ったユーリちゃんの援護をしないと……。

そう思って顔を上げると、なんとなく頬の腫れてるケランの後ろ姿が見えた。


メイカ「ケラン…あなたも……?」

ケラン「……ユーリさんにはたかれました……」

メイカ「…そう……」


治さないの?

と思ったけど、痛みがあった方が幻覚の対策にもなると考え直したので言わなかった。


あと幻覚を受けて叩かれた者同士、お互いに傷口に塩を塗るのはやめよう…とも思った。


ちなみにディッグはユーリちゃんに私たちを任せている間、ひとりで前線を支えていたようだ。

危なかった……。


その後、幻覚を克服した私たちは苛烈な攻撃をいなしつつ、どうにか花の魔物を倒し、辛くも勝利した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ディッグ「というわけだ」

リオ「それは…危ないところでしたね……」

メリー「……ぶじでよかった…」

メイカ「え、えぇ……」

ケラン「面目ないです……」


素材の換金を終えて寮に帰ってきた私たち。

お風呂を済ませ、みんなで一緒に食卓を囲んだ場で、今日の冒険の話を振られたので、代表してディッグが話した。


それを聞いたリオちゃんとメリーちゃんに本気で心配されたので、私たちは申し訳なくて小さくなった。


そんな私たちを見てフルールは小さくため息を吐く。


フルール「ふぅ……危なっかしいわね……メイカは…まぁ想像が付くけど…」

メイカ「ガーン!」

フルール「ケランは意外だったわね。あなた魔法耐性はこの中でも高いでしょうに」

リオ「あっ、確かに。ケランさんが惑わされるなんて、どんな幻覚を見せられてたんですか?」

ケラン「えっ!?そ、それは……」


そう言ってケランは一瞬だけフルールの方を見て、すぐに視線を机の下の自分の手に向けた。


うん、なるほど。


ケランが黙り込んだのに、不思議そうに首を傾げる面々。

そんな中で、同じく察したらしいマーガレットちゃん…今はコウスケが表に出ているからコウスケが話を変えるべく口を開いた。


コウスケ「まぁ、なんにせよ無事でよかったですよほんと」

ディッグ「まったくだ。明日明後日は反省会と対策練習だな」

ケラン「は、はい……」

メイカ「は〜い……」


むぅ〜…しょうがないじゃないねぇ?


ショコラちゃんとパメラちゃんに迫られたら誰だって断れないでしょうに……。


メイカ「あれ?そういえば2人も幻覚は見たんじゃないの?」

ディッグ「うん?あぁ、見たは見たな」

ユーリ「そうですねぇ」

メイカ「それでも惑わされないなんてさすがねぇ。どんなの見たの?」

ディッグ「俺は単純に大量の財宝だったな。あまりにも単純だったんで思わず笑っちまった」

メイカ「えぇ〜!?それだったら私も大丈夫だったのに……」

ディッグ「俺にはそれが1番だと思ったんだろうよ。無意味だったけどな。ユーリ嬢ちゃんは?」

ユーリ「私は……昔のことでしたね。気持ちの整理がついてることだったので問題ありませんでした」

メイカ「…そっかぁ……」


一瞬考えたことには触れず、私はそう相槌を打った。


ユーリちゃんも何かを抱えてるんでしょうけど…親しき仲にも礼儀あり、よね。


それに、ユーリちゃんのことは私よりも多分…


コウスケ「……」


…うん。


ま、もしもユーリちゃんから相談されたらもちろんちゃんと答えるけどね。


メリー「……メイカ」

メイカ「ん?なぁにメリーちゃん?」

メリー「……メイカの幻には誰が出てきたの?」

コウスケ「私じゃないの?」

リオ「マーガレットじゃないか?」

フルール「マーガレットでしょ?」

ディッグ「嬢ちゃんだろ」

ケラン「マーガレットちゃんでしょうね」

ユーリ「マーガレットだと思うなぁ」


みんなして!?


メイカ「失礼な!?私がマーガレットちゃんだけだと思わないで!」

コウスケ「なかなかひどいセリフだ」

フルール「浮気宣言みたいね」

メイカ「ハッ!?嵌められた!?」

みんな『いやいやいやいや』


みんな、酷い!


とかなんとかやりつつ、その日も私たちは無事に楽しく過ごしたのだった。

迷宮に関しての説明をちょこちょこいじっていたらこんな時間に……。

事前に決めとけ自分。

そしてちゃんとメモっとけ自分。


というわけでメモりました。

そんなところで今週はここまで。


また来週お会いしましょう。

ではでは。

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