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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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27.マグとの第2夜…マーガレット先生と仮説

「マーガレット先生!そもそも俺たちのいる国が分かりません!」

「ギルドでチラホラと見かけたはずですが……」

「国の名前以外にも色々知らないので分かりませんでした!」

「な、なるほど…わかりました。じゃあ次はこの国のお話をしましょう」


マグにこの世界の…というよりはこの国の人間の階級を教えてもらった俺。


次に、そもそもこの国なんぞや?という今更な疑問を、先生モードのマグにしてみた。


「まずは今いるこの国の名前ですね。ここはハルキさんが作った街ではありますが、領土で言えばここは私の村があった国と同じ領土、そしてこの国の名前は「ワァズ王国」といいます」

「ワァズ王国…」


覚えやすい名前だ、ありがたい。


「ワァズ王国は世界で一番の広い領土を持っていて、北に「クシャリオス帝国」が、西には「ミューロット共和国」があります。他にも何カ国かありますが、この三カ国がこの世界の主な国です」

「クシャリオス帝国にミューロット共和国か……」


大国が三つ…これならそうそう戦争は起きないはずだ。

どこか二つが戦争をすれば、残った国がどう動くかでどちらかの国は大損害を被るだろうし、戦火を逃れた平民がそっちに流れて国力も低下する。


そんな状態じゃ仮に戦争に勝ったとしても、得るものよりも失うもののほうが多いしリスクも高い。


つまり旨味が少ないのだ。


どこか二つが同盟を結んで一つの国を潰したとしても、そのあとも結局は残った国同士の睨み合いが始まるだけだろう。


人間なんてそんなものだ。


「ワァズ王国の王都は「ニル」、クシャリオス帝国の中心は「コフィー」、ミューロット共和国の中心は「マウラー」といいます。私のいた村から王都までは馬車で8日ほどかかるので、迷宮都市からだと多分9日10日ぐらいだと思います」

「そうだね。あの村から馬車で半日かそこらで着いたみたいだし、そのぐらいかな」


確か夕方に襲われて、昼近くに起きてから着いたから…うん、やっぱ半日あたりかな。


「王国で王都の次に栄えているのは、王都から北に2日ほど行ったところにある「ナージエ」って街ですね。なんと言っても《ナージエ騎士・魔法学園》があるので、騎士になりたい人や魔法を学びたい人が集まって、その人たちのための武器や道具を売るために商人が集まるので、人がいっぱいいるらしいですよ」

「へぇ〜!学園かぁ〜!」


異世界の学園ってどうしてこうもワクワクするんだろう?

どうせ中身はウチの世界と同じようなグズグズっぷりだろうにな。


あーでもマグの制服姿見たいなぁ……。

きっとかわいいんだろうなぁ……。


「コウスケさ…くんの世界には学園ってあったんですか?」

「あったね。学園じゃなくて学校って言う方が多いけど、小学校、中学校、高校、大学、専門学校って色々あったよ」

「そんなにあるんですか!?」

「うん。6歳ぐらいから12歳までが小学校、12から15までが中学校って感じで小さい頃から学校に通って、そこで色々学ぶんだよ」

「へぇー!?」


マグが先生モードを忘れて俺の話を楽しそうに聞いている。


めっっちゃおめめキラキラしてる。

本やお話が好きって言ってたし、知らないことを知るのが楽しくて仕方がないんだろうな。


…そういえば俺の世界の話ってそんなにしてないな。


今度いろいろ教えてあげよう。

きっとワクワクしてくれること間違い無しだろう。


「ま、この話はまた今度で、マグ先生」

「えー!……ハッ!?こ、こほん……そ、そうですね…先生としたことが……」


俺の言葉に文句ありげな様子だったが、すぐに「先生」という役職を思い出し、咳払いをしてなんとか誤魔化そうとしている。


その様子をじっくり見るのも良いのだが、ヘソを曲げられると困るので話を切り替えてあげる。


「せーんせ!俺独学で雷の魔法がちょびっと出来てたじゃないですかぁ」

「う、うん、そうですね!」

「もしかしてマグ先生、実は俺が来る前に独学で魔法の練習とかしてましたか?」

「え?うーん…魔導書とか読んだことはあるけど…内容は分からなかったし、私が試した時はどれだけやっても何も起きなくて、途中で諦めちゃったからなぁ……」


ん、そうなのか。

もしかしたらマグが魔法の練習をしていて、そのノウハウがこの体に染み付いてたから俺が試した時にポンッと出来たのかと思ったんだけど……。


「そっかぁ…そういえば魔法って何属性あるの?9?」

「えっ!よく分かりましたね!?」

「えっ?…てことは、無属性と火、水、風、土、氷、雷、光、闇?」

「すごいっ!?なんで分かるんですか!?」


マジか!?


「なんとなく…かなぁ……」

「うぅ〜…私が先生なのに……」


いかん、俺がサクサク正解するからマグ先生が拗ねている!

かわいい!


いやそうじゃねぇや。

そうだけどそうじゃねぇや!


「マーガレットせーんせ!俺今日の朝に無詠唱は人に見せるなって言われたんですけど、もし他にこれやったら怒られそうだなってのがあったら教えてもらえないでしょうか?」

「ん…そうですね、確かにあれは私も驚きました。まさかいきなり雷を出せるなんて思いませんでしたよ」

「あれなー、なんとなく頭の中に思い浮かべてたらポンッと出来たんだよねぇ」

「思い浮かべたって…それをやって出来るならみんなやるはずですよ?」

「それが分かんないんだよなぁ……」


なんで俺は出来て他の人は出来ないのか。


「何か俺と他の人で違う点がある……?」

「うーん…すぐに思いつくのはやっぱり…」


「「異世界出身」」


「だよなぁ……」

「ですねぇ……」


だけどそれじゃないはずだ。

なぜなら無詠唱を使える人が他にいることはケランさんが言っていたからだ。


まさかその全員が俺やハルキと同じ異世界人な訳は…無いよな?


ま、まあともかく、そういうわけだから他の共通点なりなんなりがあると俺は踏んでいる。


「とはいえ他の要素っていうと……」

「うーん……あ、そういえばコウスケさんの世界では魔法ってどういうものなんですか?」


呼び名が元に戻っているから、先生モードを忘れるほど考えてくれてたのか。

かわいいやつめ。


それはともかく、


「俺の世界では魔法は架空の存在で、実際に使えるって人は見たことないなぁ」

「え?魔法がないんですか?じゃあ魔道具は?」

「魔道具は無いけど、科学っていうのがある」

「カガク?」

「なんかこう…ややこしい文字やら配列やらプログラミングやらやって、正しい設置の仕方をして、電気繋げたりWi-Fi飛ばしたり……」

「プ、プログラ……?ワイファイ……?」


まあ分からんよな。俺も分からんもん。


「とにかく、めちゃくちゃややこしい技術の結晶たちを使って生活してたんだよ」

「そ、そうなんですか……」


そうなのだ。

あれだけすごい技術はあるが、魔力なんてものは……いや、待てよ?


「もしかして…考え方が違うのか?」

「考え方…ですか?」

「そう。…うーん、例えば…そうだな……人は空気が無ければ生きていけない」

「当然ですね」

「じゃあなんで生きていけない?」

「え?なんでって……なんでだろう……?」

「マグは酸素は分かる?」

「サンソ?」


ん、ビンゴだ。

科学が浸透してない世界だからもしかして、と思ったけど、多分この辺に謎解明の糸口がある。


「空気の中にある気体の一つだよ。人が空気を吸って生きるのは、主にこの酸素が必要だからなんだ」

「空気の中に……?えっと、すみません…《キタイ》ってなんですか?」

「あっそっか、それもか。えーっと、気体っていうのは、目に見えないけどそこにある、まぁ空気みたいなもんだな」

「えっとつまり…空気の中に違う空気が入ってるってことですか?」

「うん、その考え方でいいと思うよ」


この辺りはまた難しいからな。

俺も授業中に寝そうになったことが多々あった。


「今はこの話は深く掘り下げないでおくけど、とりあえず日頃俺たちが吸っている空気にはいろんなものが混ざってる、って覚えてくれ」

「はい」

「んでだ。魔力って使ってもいつのまにか回復してるだろ?」

「はい…あ、もしかして、さっきの空気の中にはいろんなものがあるって言ってたのは、その()()()()の部分に魔力も入ってるかもってことですか?」

「おぉ!大正解!マグは頭がいいなぁ」

「えへへへへ…」


ポンポンとマグの頭を撫でると、マグは嬉しそうに笑った。


本当にマグは話が早い。

向こうが知らないことはこちらが教えてあげて、あとはいくつかヒントを出せば答えに辿り着いてくれる。


優秀な教え子だ。


「そう、空気の中に入っているなら、魔力が自然回復する理由も分かる。んで、そこからいろいろ考えたんだが……」

「だが?」

「多分だけど、この世界の人はその辺の知識が足りないから想像力が乏しいんじゃないか?」

「想像力…確かに、私もコウスケさんのお話を聞くまで空気のことなんて考えたことありませんでした」

「だろ?この世界の魔法は《位置》、《威力・規模》、《種類》を詠唱して発動するってケランさんが言ってた。でもそれだけをなんとなく考えるだけじゃ駄目なんだ。位置は《どうやってこの位置に》を考えて、威力と規模は《なんでこの威力や規模になるのか》を考えて、種類は《どうしたらそれが出来るのか》、使いたい物の発生する過程を知ってるかどうかが重要なんじゃないか?」


もしこの仮説が正しければ、俺は雷以外の魔法も無詠唱で使えるし、原理を教えればマグや他の人も使えるようになるはずだ。


とはいえそんな新説をいきなり唱えたところで相手にされないのは分かっているし、そもそも無詠唱が出来ることを知られるリスクを教えてもらったばかりだ。


「とりあえずは明日、この仮説が正しいか調べてみよう。正しければそれで良いし、違かったらまた他のアプローチを試してみるだけだ」

「コウスケさん!なんだか私、すごくワクワクしてきました!」

「いいね!そのワクワクが研究には一番大切だと俺は思うぞ!」


あれやこれや考えてる時ってすごく楽しいよな!


文化祭とか準備してるときが一番ワクワクしてて、いざ始まったら妙に落ち着いちゃうんだよね。


同志おるかな?


「コウスケさん、私も実は試してみたいことがあるんです」

「試したいこと?」


マグが楽しそうに言う。

この子も俺と同じようなタイプっぽいな。

見てるこっちにもワクワクが伝わるもの。


「私、もっとコウスケさんと話せたらなって思うんです。ここだと時間が来たらまた一人になってしまって寂しいですし……」


さっきまでのワクワク感が後半のセリフの時には消えてしまった。


本当に寂しいんだろう。

それなのに俺は寝不足を警戒して、早めに切り上げようとか思ってたのか。


というかそうじゃん!

早めに切り上げるつもりだったのに思いっきり話し込んじゃったじゃん!

普通に忘れてたわ!


「それでですね、外でもコウスケさんとお話出来そうな方法をちょっと思いついたんですよ」

「マジでっ!?」

「マジですっ!!とはいえ…まだ仮説なので出来るかは分かりませんが…」

「いやいや!十分十分!!方法を思いついただけでも進歩だよ!で?その方法って?」

「はい!それはですね…」


マグがめちゃくちゃ楽しそうにプランを話そうとしてくれた、その絶妙なタイミングで……


「…………」


俺は目が覚めてしまった。


もう少しであんなワクワクプランが聞けそうだったのに……。

間が悪すぎる……。


「…あのタイミングで目ぇ覚めるとか無いわー……」


二度寝を本気で考えたが、もしマグのプランが上手くいけばこっちでも俺と話せるようだし、何よりまた夜になれば会えるのだ。


ならば俺もやることをやらねば。


「とりあえずは身支度を整えないとな」


そうして俺はマグへの土産話のために頑張ろうと、意気込むのだった。

いろいろ妄想してる時ほど楽しいことはそうそう無いですよねぇ。


ゲームやアニメ、マンガや小説なんかも良いんですが、そこから自分の世界を広げるのがとても楽しいんですよ。


まぁ2次創作なのでここには書けませんが。

お叱りを受けない程度にネタは入れていきたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 科学の説明、実は他作品も含めて異世界ものの作品の中で1つの楽しみです。 ただ、何度読んでもコウスケの科学の説明に、wi-fiが出てくるとかろは笑ってしまいます。毎度読む度違うやんってツッ…
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