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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
3.5章…それぞれの日常
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275.とある日の冒険者ギルドの日常…癒し枠のあの子たち

〔ナタリア〕


私はナタリア。

冒険者ギルドで働く従業員で、何かと有名なあのマーガレットちゃんの、ほんの2週間前くらいに入ったばかりの新人スタッフだ。


はて…なんで私は自己紹介してるんだろう?

なんとなく久しぶりの出番な気がするからだろうか?

まぁ心の中で言ってるだけだから変な人扱いはされないし、大丈夫でしょう。


…いきなり自己紹介する精神面はかなり不安だけど……。


まぁそれはさておき。


今私が働いている冒険者ギルドのある街、通称「迷宮都市」は、3ヶ月ほど前に突然出来た街で、名前の通り街の中に迷宮…正確には迷宮への入り口があるのが特徴だ。


特徴を上げればもっといろいろあるんだけど……それはまた機会があるときにするとして、ともかく迷宮が売りのこの街には地方を問わず冒険者たちが迷宮探索のために訪れる。


そんな冒険者たちをサポートするための施設がこの冒険者ギルド。


この冒険者ギルドに最近、期待の新人たちが入った。


さっきもう言っちゃったマーガレットちゃんと、彼女の友だちであるショコラちゃんとパメラちゃんだ。


この子たちはみんなとっても良い子たちで、すぐに職員たちと仲良くなった。

特にチェルシーちゃんと仲が良く、同年代の子と働けるようになったチェルシーちゃんが今までよりもさらに楽しそうに働く姿に、ララさんやリンゼさんはとても喜んでいた。


そんなマーガレットちゃんたちは冒険者や依頼を出しに来た人たちからも人気があり、彼女たちとお話するために訪れる者も少なくない。


マーガレットちゃんは最近、リオちゃんのお手伝いに鍛治ギルドへ行っているためほとんどおらず、チェルシーちゃんたちの中から1人が日替わりで2人について行くので、冒険者ギルドには2人しか残らない。


その2人もお昼に白兎亭へお昼ごはんを食べたのちマーガレットちゃんたちと鍛治ギルドへ行ってしまうので、午後の冒険者ギルドは少し静かになってしまう。


ちょっと…いや、かなり寂しい。


鍛治ギルドに行けばいるのでそこで会えるのだが、そこには恐〜いギルドマスターがいるので、そっちまでわざわざ会いに行く人は少ない。


それにマーガレットちゃんたちが抜けた分、こっちの仕事ももちろん大変になる。


彼女たちがしてくれていたのは簡単な事務仕事やギルド内の清掃等、簡単ながら重要なお仕事ばかり。

それを私たちがやらなければいけないのだけど、問題はそこじゃない。

少し業務が増えるだけで、そこまで大変になるわけではないからだ。


真に大変なのは冒険者と依頼を出しに来る依頼人の応対。


冒険者ギルドの受付カウンターはそこそこの数があるけれど、訪れる人たちはそれだけでは捌き切れないほどやってくる。


そうすると、必ず待つことになる人が現れ、それが列を成すことで待機列となる。

それが各カウンターに出来る。


それを見てげんなりするのはもう慣れたけど、実はここで重要になるのがマーガレットちゃんたちなのだ。


さっきも言った通り、マーガレットちゃんたちは冒険者を含む街の人たちに人気だ。

そんなマーガレットちゃんたちはある程度列が混んでくると、列整理をしにカウンターから出て行くのだが、そのときに並んでいる人たちと軽く談笑していくのだ。


他愛のない挨拶や簡単な世間話。

また、マーガレットちゃんは冒険譚、パメラちゃんは恋バナと、それぞれ好きなジャンルのお話をすると夢中になって聞いてくれる。


それが嬉しくてついつい喋りすぎる人が続出しており、そういう他人の話から得られる情報などもバカにできない職業である冒険者たちも、おのずと聞き耳を立てたり、話に参加したり、マウントを取り合ったりと、騒がしくしていたのだが……。


それは「ただ列が進むのを待つ」という退屈な時間を無くしていたのだ。


つまり…話し相手、話の起点となるマーガレットちゃんたちがいなくなったことで退屈な時間が長くなるようになり、それがストレスを溜め…


「おい、早くしろよ!」

「うるっさいな…今やってもらってんだろ!」


こうしてケンカになったりする。

怖い。


まぁつまり、あの子たちがいないことで1番困るのは、冒険者ギルドの治安が若干悪くなるというわけだ。


そういうわけで、最近はまだ2人残っている時間帯である午前中がお客さんが1番多い。


今日はチェルシーちゃんの番のようで、マーガレットちゃんとリオちゃんと仲良く手を繋いで出て行った。


なお、チェルシーちゃんはとても朝に弱く、それでも一緒にいたいから頑張って早起きしているそう。

その影響で午前中のチェルシーちゃんはとてつもなく眠たそうにしており、居残りのときは大体ララさんのところで力尽きて眠っている。


さっき仲良く手を繋いでと言ったが、これはそんなチェルシーちゃんをマーガレットちゃんとリオちゃんが誘導するという意味合いが強い。


鍛治ギルドに無事に着いているのかどうかは分からないが、この間マーガレットちゃんがチェルシーちゃんを背負っているところを見たという話が聞こえたので、そういうことだろう。


見たかったなぁ……。


さて、チェルシーちゃんが行ったということで、今日ここに残ったのは…


パメラ「ショコラ〜!人増えてきたから列の整理行くよ〜!」

ショコラ「あっ、待って〜!これ書いてから行く〜!」


そう、ショコラちゃんとパメラちゃんの2人である。


ショコラちゃんが書類を書き終えて別のスタッフに渡し、2人はカウンターを出て、さっき話した列整理へ向かう。


冒険者A「ショコラちゃんパメラちゃんおはよう〜!」

ショコラ・パメラ「「おはようございま〜す!」」

冒険者B「今日も元気そうだね」

ショコラ「はい、元気です!」

冒険者C「この間商業ギルドに行ったらしいね。何をしてきたの?」

パメラ「それはまだ秘密です♪」


2人が出て行くや否や、いろんな人に声をかけられている。

それを2人は全部キチンと返し…


ショコラ「あっ!ここのカウンターの人はこの列で〜す!」

パメラ「余裕のある人は、もう少しだけ詰めてくださ〜い!」


しっかり列整理も行う。

偉すぎる。


依頼人A「2人とも今日も頑張ってるわね〜!えらいわ〜!」

ショコラ「えへ〜♪」

パメラ「ありがとうございます♪」

依頼人A「今日もちょっと撫でていいかしら?」

ショコラ「いいですよ〜♪」

パメラ「どうぞ〜♪」


さらにこれだ。

あの2人は頼めば簡単に頭を撫でさせてくれる。

そして…


ショコラ「んふ〜♪」

パメラ「えへへ♪」


ああやって物凄く喜んでくれる。

これもあの2人の人気の1つ。

そりゃあ、あんなに喜んでくれたら誰だって頭を撫でたくなるというものだ。


ただ、もちろんお客さんの全員が全員優しくしてくれるというわけではない。


それでも最低限の会話だけはする人がほとんどなのだが、過去に1度、ショコラちゃんの頭を撫でるふりをしてはたいた畜生がいた。


ショコラちゃんはショックを受けて涙を浮かべ、そいつは仲間と一緒にゲラゲラ笑った。


もちろんファンが多いこの冒険者ギルド内でそんなことをすればただでは済まない。

周りにいた人たちはそいつらに敵意を向けた。


が、結果的に誰も手が出せなかった。

理由はマーガレットちゃんがいたからである。


友だちであるショコラちゃんを傷付け、あまつさえ下卑た笑みを浮かべる畜生たちの前に現れたマーガレットちゃんは、まずショコラちゃんを抱きしめて落ち着かせ、心配そうに見守るパメラちゃんとチェルシーちゃんの方へ向かわせると、そいつらの方を向いて…


マーガレット「こいつら麻痺らせちゃえサンダー♡」

畜生共『はっ?(ピシャーン!)あばばばばば!!?』


容赦なく雷を撃った。


唖然とする私たちを尻目に、マーガレットちゃんは若干焦げた匂いのする痺れて動けないそいつらに近づいてボソボソっと何かを言った。

するとやつらの顔が青ざめた。

いったい何を言ったんだと、私たちも戦慄した。


その後、立ち上がったマーガレットちゃんは「動けるだろ?行け」と言わんばかりに親指で迷宮への入り口を指し、彼らを現場から追い出した。


そして、「これでとりあえずは終わりで。釘は刺したので私的な嫌がらせとかはしないでくださいね」と周りに言い、ショコラちゃんの元へと向かっていった……という事件。


あれから彼らは人が変わったように真面目に冒険家稼業をするようになり、私たちはさらにマーガレットちゃんに戦慄した。


ただ、ショコラちゃんがあのときのショックから立ち直って、再び頭を撫でさせてくれるようになったのは良いことなので、それでよしとしてあまり深く考えないように…というのが暗黙の了解になっている。


思い出したらちょっと怖くなったのでこのくらいにして、今働いているショコラちゃんとパメラちゃんに戻ろう。


2人は列整理があらかた終わってもお客さんたちとお話を続け、退屈しないようにしている。


さらには、並んでいる人たちはカウンターで用が済むと、そんな2人に軽く挨拶をしてから迷宮に行くなり帰路に着くなりするのだが、そのときに2人は「いってらっしゃ〜い♪」か「また来てくださ〜い♪」と見送ってくれ、最後まで良い気分でいさせてくれるのだ。


そのおかげもあって、2人が出ただけで場の雰囲気が明るくなり、接客時に変にごねられることなくスムーズに業務が進められる。


私たち冒険者ギルドのスタッフは、最も新しく入った彼女たちに頭が上がらないくらいお世話になっていると言っても過言ではない。


そのお礼も兼ねておやつなどをあげたり、困っていたらすぐに助けに入ったりするのだが、そうすると彼女たちは二パッと満面の笑みで…


ショコラ・パメラ「「ありがとうございます、〇〇さん!」」


と言ってくれる。

それが可愛くてついつい頭を撫でると…


ショコラ・パメラ「「んふ〜♪」」


と嬉しそうにする。

それが可愛くて…と無限ループしそうになるのを我慢するのが、我々冒険者ギルドスタッフの目下の目標である。


今のところ誰かに止められない限り自力でやめられた人はいない。


ちなみにここまで話したことはショコラちゃんとパメラちゃんに限ったことで、マーガレットちゃんとチェルシーちゃんは撫でてくれるなら誰でも良いというわけではないようで、恥ずかしいから…と断ることが多い。


しかし頼み込めば少しだけならと撫でさせてくれる。


このときショコラちゃんたちのような嬉しそうな顔ではなく、恥ずかしくて落ち着かないといったようにソワソワするのだが、それがまた可愛くてついついなでなでを続行してしまい、「もう終わりです!」と強制終了させられてしまうことがほとんど。

というか毎回そう。


これもまた、自分からやめられた者はいないのである。


さて、そんなこんなしている間に、そろそろお昼ごはんの時間になってしまった。


この時間になったら、ララさんかリンゼさんが2人のことを呼びにくる。


リンゼ「ショコラ様、パメラ様。そろそろお昼ごはんの時間ですよ」

ショコラ「あっ、は〜い!」

パメラ「ありがとうございますリンゼさん」

リンゼ「いえ」

パメラ「それじゃあ準備しないと。行こ、ショコラ」

ショコラ「うん!えへへ〜♪今日もマグに褒めてもらうんだ〜♪」

パメラ「毎日似たようなことで褒められて嬉しいの?」

ショコラ「嬉しい!」

パメラ「そっかぁ」

ショコラ「でもパメラだって同じでしょ?」

パメラ「まぁね〜♪」


なんて楽しそうにお話しながらお出かけの準備をする2人。

お仕事のための書類と筆記用具をバッグに入れる。


ショコラ・パメラ「「それじゃあいってきま〜す!」」


そして私たちにそう言うので、私たちも、タイミングを合わせたわけではないのだけど一斉に…


スタッフたち『いってらっしゃい!』


と見送る。


そうして彼女たちとの今日のお仕事タイムは終了。


ここからは癒しがガクンと無くなった状態でお仕事をしなければいけないのだが、あの子たちの笑顔を思い出すと頑張ろうという気になれる。


ナタリア「よし、やるぞー!」

ララ「ナタリアさん」

ナタリア「あっ、ララさん!どうしたんですか?」

ララ「やる気になってるところ水を刺しちゃって悪いんだけど……ナタリアさんもお昼休憩よ?」

ナタリア「……ハッ!そうだった!」


…頑張るのはもう少し後になった。

ようやくSSらしいお話をあげた気がします。


今回は第三者視点でマーガレットたちの仕事っぷりを…と思っていたら、ショコラとパメラがいかに良い子で癒し枠かを詰め込んだだけになりました。

おかしいね。


そしてこんな話書きたいな〜と考えてようやく書いたお話なのに、書き始めたら思ったより内容量が……。

おかしいねぇ。


まぁこれも人生ということで。(反省なし)

そんな適当な逃げを打ったところで今週はこの辺で。


また来週。

ではでは。

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