271.ヤマトの品の試食会…米の可能性とあんこ
試食会兼俺たちモデルのお昼ご飯として、銀の蓋を被せられたお皿を載せた台車数台が俺たちの座るテーブルの前に用意された。
それにみんなは興奮を隠せない様子でお話を始めた。
パメラ「何が入ってるんだろうね?」
ショコラ「すんすん……う〜ん…?香りがしないなぁ……」
ミュイファ「蓋を開けるまで予想すら難しくなるように色々と魔法をかけてあるからねぇ。むしろこれで分かったらとても凄いことだよ」
シエル「あのフタ…魔道具なんだ……」
リオ「そういう使い方もあるんだなぁ……」
シエルとリオが銀の蓋を興味深そうに見つめる。
やはり職業柄、そういうものは気になるんだろうな。
モニカ「ヤマトの国に関係あるものかな…?」
チェルシー「だとしたら結構絞れそうだけどね〜」
サフィール「この間頂いたものもヤマトの国のモノでしたよね?」
メリー「……おむすび?」
サフィール「はい、それです」
チェルシー「あれ美味しかったよね〜!お兄ちゃんが作ってくれてから、ララ姉たちもお気に入りになったんだよ!」
リオ「へぇ〜。まぁ無理もないか」
パメラ「そうだねぇ。私もショコラもまた食べたいねって言ってたし。ね?」
ショコラ「うん!」
ぐぅ〜…
ショコラ「あぅ……思い出したらお腹鳴っちゃった……///」
シエル「大丈夫よ……アタシも油断したら鳴りそうになってるから……」
サフィール「私も……」
くるる…
メリー「……なっちゃった…///」
ユーリ「あはは♪午前中頑張ったからっていうのもあるからね」
カエデ「うむ……モデルというのは、思っていたより疲れるものでござったからなぁ……」
…なんかカエデさんがちょっと遠くを見つめている……。
まぁカエデさんはああいうのはあんまり得意じゃないだろうってのはなんとなく分かってたけどな。
見るからに苦手そうなんだもの。
ミュイファ「ふふふ♪みんな待ちきれないみたいだねぇ♪そんな子たちをあまり待たせるのも酷だし、早速始めちゃおっか♪」
みんなの様子を見たミュイファさんは楽しげにそう言うと、1つ咳払いをしてから転写士やフルールさんたちがいる方を向いて声を張り上げた。
ミュイファ「それでは皆様、お待たせしました!ヤマトの国からお譲りいただきました品物を使用して作られました、ヤマトの国のお料理をご紹介させていただきます!」
ミュイファさんがそう言うと、商業ギルドのスタッフの方々が配膳を始めた。
マグ(なんでしょうねぇ♪)
コウスケ(早く見たいねぇ♪)
マグと一緒にワクワクしながら待つ。
程なくして、配膳が終わったのを見計らってミュイファさんが再び話し始めた。
ミュイファ「行き渡ったようですね。それでは、蓋をお開けください!」
あっ、俺らが自分で開けるのか。
…何気にこの蓋開けるのってワクワクする。
これって俺だけ?
きっと分かる人はいるはずだと思いつつ、蓋に付いている取っ手を掴んで蓋を開ける。
コウスケ「おぉ…!」
ユーリ「わぁ…!久しぶりぃ…!」
マグ(わっ…なんですかこれ…?)
中に入っていたのは、小さくカットされ、餡子やきな粉がまぶされているお餅と、良い焼け目の付いた3段のお団子だった。
お餅は全てに味が付いているわけではなく、いくつか何も付いていないプレーンなものもあった。
お団子も同様で、こちらは何も付いていないものとあんこが乗ったものの2種類だ。
さらにいえば、あんこはこし餡と粒あんの2種類が用意されており、食べ比べが出来るようになっていた。
これには「どちらかと言えばこし餡派だけど粒あんも好き」な俺もニッコリである。
商業ギルドのスタッフ「こちらもどうぞ」
コウスケ「あっどうも、ありがとうございます……って、これは…!」
そう言って次に配られたのは湯呑み。
そして中からは湯気。
それを出しているのは緑色の液体。
コウスケ「緑茶……!」
ミュイファ「おっ、さすが。正解だよ〜♪」
やっぱり!
マグ(緑色の飲み物……メロンジュース…とはまた全然違うみたいですね……緑茶ということは…名前的には紅茶の方が近いんですか……?)
コウスケ(うん。紅茶と同じで、これも茶葉を使ってる飲み物だからね。ざっくり言えばお茶仲間だよ)
マグ(へぇ〜。これも紅茶のようにいろんなお茶っ葉があったりするんですか?)
コウスケ(うん。結構あった気がするけど……さすがに茶葉の種類は知らないなぁ……)
なんならいろんなお茶っ葉を混ぜて作られたお茶とかあるし。
そう考えると、紅茶にもそういうの無いのかな?
紅茶の茶葉16種類を配合したお茶とか、美容に良い感じになるやうに混ぜ合わせたお茶とか。
……どっちもペットボトルだから絶対何か違うだろうけど……。
というか、そんな感じの触れ込みだったっけ?
そんなとこまでは覚えてないからなぁ……。
今となっては調べる手段もない…ことはないけど、それを知りたいがためにわざわざハルキに貴重なDP (ダンジョンポイント)を使わせるのも悪いしなぁ……。
どうしても知りたいってほどでもないし。
あぁでも、美味しいお茶の淹れ方は知りたいな。
美味しくいただきたいし美味しいものを飲ませてあげたいし。
ユーリさん知ってるかな?
ショコラ「あ、熱い……」
サフィール「火傷しそうですね……」
リオ「確かにちょっと熱いな……」
チェルシー「ちょっとなの……?」
リオ「まぁこれくらいなら」
シエル「リオは暑いところにずっといるようなものだから慣れてるんじゃない?」
パメラ「あぁ〜、そうかも。鍛治ギルドの中って結構もわっとするよね」
リオ「そりゃあなぁ。そこらで火とか使ってるわけだしな」
メリー「……でも口の中はなれてないんじゃない?」
リオ「…まぁな」
モニカ「やけどに気をつけてね?リオちゃん」
リオ「あぁ、みんなもな」
俺が考えている横で子どもたちが熱々のお茶に警戒している。
それに対して…
ユーリ・カエデ「「ずずず……ふぅ…♪」」
こっちのヤマト出身大人組は躊躇なくお茶を飲んで一息ついていた。
パメラ「わっ…おふたりとも、熱くないんですか?」
カエデ「熱いは熱いでござるが、お茶はこれぐらいの熱さが美味しいのでござるよ♪」
ユーリ「ホッと一息つけるのがいいですよね。もちろん、少し置いてからでも十分美味しいけどね」
みんな『そうなんだ……』
既知の2人の言葉を聞いた子どもたちも飲んでみようとしたものの…真似して飲んでみようとしたショコラちゃんが舌をやけどをしたり、それをサフィールちゃんが治してあげたり、モニカちゃんとチェルシーが少しでも冷まそうと一生懸命にフーフー息を吹きかけていたり、そもそも湯呑み自体が熱くて触るのを躊躇っているシエルだったりと、なかなか苦戦している様子。
かくいう俺も、猫舌ゆえに冷めるのを待つ派です。
なのでこうしてのんびりみんなの様子を観察しているわけですね。
楽しい。
そんな中、リオがちょっと息を吹きかけてから少し飲むことに成功した。
リオ「ん……ふぅ……これは…なんか落ち着くな……」
ユーリ「でしょ〜♪」
パメラ「あっ!いいないいなぁ!ふぅ〜!ふぅ〜!」
ショコラ「ん……うにゅ!まだ熱いぃ…!」
サフィール「もう少し待ってみましょう、ショコラさん」
モニカ「そろそろいいかな…?ズズ……ん…こっちもまだ熱いよぉ…!」
チェルシー「全然冷めな〜い!」
メリー「……(警戒してる)」
コウスケ・マグ「(う〜ん…これはひどい)」
リオ以外大苦戦してるなホント。
と、ここでカエデさんからの豆知識。
カエデ「熱々のお茶を出すのは、客人にゆっくりしてくだされという思いを込めているからでござる。熱々のお茶が冷めるまでまったりお話をしたりするのが良いと思うでござるぞ」
コウスケ「それ先に言ってあげてください……」
マグ(みんなやけどして大変なことになっちゃってますから……)
知ってて止めなかった俺も悪いんだけどね?
ここはヤマトの方々が率先して注意喚起していただけると助かります。
俺が言い訳する機会が減って楽になるから。
が、ここで異論を唱える声が。
ユーリ「あれ?相手の状態に合わせて温度を調整してあげるんじゃありませんでしたっけ?」
カエデ「む?そうなのでござるか?母上にそう教わったので、てっきりそういうものだと…」
ユーリ「なるほど。う〜ん…それを言ったら私だってそう教えてもらったからとしか言えないですねぇ……」
カエデ「う〜む……まぁしかし、どちらも客人のことを思ってのことでござるし、どちらでも構わないのではないでござるか?」
ユーリ「う〜ん……そうですね。どっちが悪いとかでもないし、おもてなし出来てればどっちでも変わりませんよね!」
カエデ「うむ!」
変わると思います。
とはいえ、俺もその辺知らないからなぁ……。
戦国時代が舞台のマンガで、疲れて喉が渇いている相手にはぬるくて多めのお茶を。
おかわりに少し熱めのお茶を。
さらにそのおかわりには熱々で小さな湯呑みでお茶を出す…的なことを見た記憶があるけど……。
なんだっけ?
確か…
ミュイファ「あはは……まぁまぁ。今日の主役はお茶だけじゃないからさ。まずはお餅やお団子を食べてみておくれよ」
子どもたち『は〜い……』
と、昔の記憶を引っ張り出そうとしているところでミュイファさんの声が聞こえた。
みんながそれにすっかり元気を削がれてしまった声で答えるのも聞こえた。
マグ(完全に引きずってますね……)
コウスケ(そりゃあ、ユーリさんたちが美味しいって言ってたものを飲まずじまいだからねぇ……冷めれば飲めるとはいえ、その気分のときに飲むのとあとで飲むのとじゃ心持ちが違うだろうし……)
リオが飲めたのも逆風だねぇ。
とまぁ、それよりもこの子らのテンションを戻さねば。
コウスケ「ほらほら、気を取り直してこっちをいただこう?このお餅もお団子も、お米から出来てるんだよ?」
ショコラ「えっ?これが?」
モニカ「あのお米…?」
シエル「全然形が違うけど……」
俺の言葉にまじまじとお餅とお団子を見つめ始める子どもたち。
よしよし…気をそらせることに成功したな。
ヤマト女性A「よく知ってるねぇ!そうだよ、お餅はもち米っていうお米から作ったもの。お団子はお米を粉にしてそこから作ったものなの」
みんな『へぇ〜!』
サフィール「見ただけだと全然わかりませんね……」
リオ「色は同じ感じだけどなぁ……」
チェルシー「お米を粉にって…すごいね」
メリー「……(こくこく)」
ヤマトの方の説明にみんながザワザワ。
そうだよなぁ……。
炊いて食うで済むものをわざわざ粉にしたりするって発想も、その労力も凄いよなぁ……。
形も全然違うし、知らない人からすれば分からないのも無理がないかも。
ヤマト女性A「お餅はむにむにでくっつきやすいの。だから喉に詰まっちゃうこともあるから、食べるときはよく噛んで、小さくしてから飲み込んでね」
パメラ「えぇぇ…ちょっと怖いね……」
そうだねぇ。
元の世界でも毎年詰まらせてご臨終してる方がいるらしいからね。
そう考えるとなかなか恐ろしい食べ物だよ。
モニカ「うん……あっでも、急いで食べたら詰まらせちゃうのはどの食べ物でも同じだから、それをもう少し気をつければいいだけって考えれば……」
ショコラ「そっか!いつもよりちょっと頑張るってだけになるね」
パメラ「それなら怖くない…かも?」
なるほど…そういう考え方か……。
いいね。
怖がって食べないってのは、お餅の良さを知ってる俺からすればちょっともったいないって思うからな。
まぁでも、無理して食べなくてもいいってのが1番だけどな。
嫌なもの無理に食べても良いことなんかほぼ無いもの。
さて…そうなると次の問題は、味を気に入ってくれるかだな。
というよりは、餡子だな。
この間おむすびをパクパク美味しそうに食べてたからお餅はそこまで心配してないけど、あんこは割と好き嫌いが別れるかもしれないし。
モニカ「この上になっているモノってなんですか?」
ヤマト女性A「それは餡子って言うんだよ」
モニカ「あんこ…」
あっ、そもそも教えてもらってなかったわ。
そうだった。
緑茶の登場でそっちに意識を持ってかれてたんだった。
カエデ「簡単に言うと豆を砂糖と共に煮詰めたものでござる。小豆という豆を使うのが一般的でござるな」
みんな『へぇ〜!』
ヤマト女性A「甘くて美味しいから食べてみて!」
チェルシー「それじゃあ…」
パメラ「お言葉に甘えて…♪」
子どもたち『いただきます♪』
みんなで合わせて言うが否や、さっそくフォークでお餅を突いて口に運ぶ子どもたち。
えぇ、はい、フォークです。
お箸じゃないです。
今日初めて使うパンピーにはお箸は酷ってもんですよ。
そういう意図かどうかは知らんけど。
まぁそれはそれとして。
コウスケ(じゃあマグ。気をつけて食べてね?)
マグ(はい!)
マグとチェンジ。
初めての食べ物に感動してもらおう。
さて、そんなマグもフォークでお餅を刺し、口へと運ぶ。
パクッ
マグ「ん……んふぅ♪(もきゅもきゅ)」
どうやらお気に召したようだ。
が、しっかり噛んでという言いつけを守りしばらくもきゅもきゅ噛み続けるマグ。
それは他の子も同様で、しばらく「ん〜♪」と満足げな声だけが聞こえる静かな時間が流れた。
最初に全部飲み込んだのは、やはり慣れているカエデさんとユーリさんだった。
カエデ「うむ!良い味でござるな♪」
ユーリ「美味しい〜♪お餅も久しぶりだから嬉しいな〜♪」
2人の好意的な反応に、何人かの商業ギルドの職員が「よしっ!」とガッツポーズを決めた。
多分調理とか担当した人じゃないかな?
おめでとうございます。よかったね。
そして他の子たちも次々に飲み込み終わっていく。
ショコラ「おいし〜♪」
パメラ「あま〜い♪」
モニカ「不思議な食感だね〜」
リオ「この伸びるのがまた良いよな」
チェルシー「チーズみたいで楽しいよね〜♪」
サフィール「このあんこというのも、優しい甘さでいいですね」
シエル「甘さがしつこくなくていいわね。とっても食べやすいわ♪」
メリー「……♪(もきゅもきゅ)」
評価は好評。
みんなあんこが気に入ったようだ。
残りのあんこ餅もパクパクよく噛んで食べていった。
…マグさん。
俺も食いたかったんですけど。
美味しかったのは何よりですけどね?
はぁ……それはさておき次は…
リオ「こっちもあんこ…ですよね?」
ショコラ「お豆の皮が残ってるねぇ……」
ヤマト女性A「それは粒あんって言って、別に皮を取り忘れたとかじゃないから大丈夫よ」
チェルシー「あっ、そうなんだ」
はい。
粒あんこし餡問題ですね。
なんも言ってませんでしたが、我々が食べたのはこし餡でした。
みんな皮に警戒して避けたのかな?
まぁ、粒あんと比べて滑らかで綺麗だよね、こし餡。
とまぁ俺の意見は置いといて、ユーリさんとカエデさんがパクッと躊躇いなく食べたのを見て、子どもたちも同じように口をつけた。
再び静かな時間が流れた後、やはり最初に食べ終わったカエデさんとユーリさんが真っ先に口を開く。
カエデ「うむ。やはり粒あんでござるな!」
ユーリ「ごくん……カエデさんは粒あん派なんですか?」
カエデ「うむ!このつぶつぶ感が良いのでござるよ〜♪」
ユーリ「あぁ〜、なるほど。私はこし餡派ですね〜。滑らかな口当たりが好きなんです」
カエデ「あぁ〜、わかるでござる。あれも良いものでござるよな〜」
コウスケ(へぇ〜…ユーリさんこし餡派だったのか)
マグ(コウスケさんはどっち派なんですか?)
コウスケ(俺はこし餡派だよ。マグは?)
マグ(私もこしあんの方が好きですね。どちらも美味しかったんですけど、ちょっと皮が残っちゃったのが気になっちゃって……)
コウスケ(あぁ〜、わかるわぁ〜……薄皮がなんか口の中に残っちゃうんだよね。ん〜…ところでマグ)
マグ(はい?どうしましたか?)
コウスケ(全部食べたね?)
マグ(……あ)
こし餡だけでなく粒あんのあんころ餅も全て食べられてしまいました。
ツラみ。
仕方がないので何も付いていないお餅は私が全ていただきます。
マグにはやらんぜ、悔しかろう、ふはは。
……虚しいな。
でもお餅は美味しいかったです。
さて、お餅は食べ終わったので次はお団子だ。
まずはさっき全部食べてくれやがったマグと再び交代し、お団子を食べてもらう。
今回は3個目を食べる前に交代してもらおう。
で、肝心のお団子の味は…
マグ「美味しい!」
だそうです。
よかった。
サフィール「おもちとはまた違った感触ですね」
モニカ「うん。こっちはぷにぷにの感触で、おもちよりもしっかり噛み切れる感じだね」
シエル「こっちもあんことピッタリ合ってるわね。美味しいわ」
チェルシー「なんだか、あんこ以外の甘みを感じなかった?」
パメラ「言われてみれば…ほんのり甘い感じがしたかも」
ヤマト女性A「お米の甘みかもね。お餅に使ったのとは違う品種のお米だから、そこら辺も違ってくるんだよ」
ショコラ「へぇ〜!同じお米でも違うんだねぇ…!」
リオ「鉱石とかと同じ感じだな。同じ鉄でも純度や加工方法でまったく別のものになるところとかさ」
メリー「……なるほど(じー)」
ん?なんだいメリー?
何故見てるんです?
まるで「同じマグでも中身が違えば別人だもんね」とでも言いたそうな感じがするんだけど?
被害妄想かな?
コウスケ(あっ、マグ。交代して)
マグ(ん…わかりました。あっでも…食べにくそうですね……)
そりゃ串団子の3段目ですからねぇ。
これは横からパクッと噛み付いて、串から引き抜くように…と。
あむっ。
もぐもぐ…
コウスケ「ん〜…♪」
これこれ♪
いいわぁ…♪
美味いわぁ…♪
マグ(コウスケさん。次のお団子はコウスケさんから食べますか?)
コウスケ(ん?いや、いいよ別に気にしなくて。マグは遠慮なく1段2段を食べちゃいなよ)
マグ(そうですか?う〜ん……わかりました…)
心優しいマグだが、1番最後のお団子は食べにくいし串が割と危ないしで危険だからな。
絶対に譲らんぞ。
そうして残りのお団子も同じように食べ進めていき、最後のプレーン団子の3段目を俺が口の中に入れたところで思い出す。
コウスケ(そろそろお茶が冷めたからかな)
マグ(あっ、そうでした)
忘れてましたね。
まぁ意識から外そうとしてたわけだし無理もない。
団子を飲み込み終わったところで湯呑みをちょいっと触ってみると、湯呑みは程よいあたたかさになっていた。
ん…これなら飲めるかも。
コウスケ(マグ、代わる?)
マグ(う〜……気になるので代わります…)
まだちょっと警戒してたけど好奇心に負けたマグと交代。
交代したマグはおっかなびっくり湯呑みを手に取る。
マグ「ん…大丈夫っぽい……」
コウスケ(中は熱いかもだから、一応フーフーしといてね)
マグ(はい…)
マグ「ふー…ふー…」
俺の言う通りに軽く息を吹きかけてから口を付けるマグ。
さて、どうだ…?
ズズズ…
マグ「ほぅ……」
あっ、大丈夫そうだ。
よかった。
マグ「これは…いいですね……」
ユーリ「でしょ〜♪」
マグの感想にユーリさんが得意げに返す。
地元を褒められて嬉しいんだなぁ、ユーリさん。
はしゃいじゃって可愛いね。
と、そんなやり取りに気づいた他の子も、お茶のことを思い出していく。
パメラ「あっ、冷めた?」
モニカ「そうみたい。私たちも飲んでみよう?」
サフィール「はい。いただきます」
シエル「…一応冷ましとこうかしら……ふー、ふー…」
メリー「……ふー、ふー」
ズズズズ……
子どもたち『ふぅ……』
ホッとひと息。
この感じだと、お茶も気に入ってくれそうだな。
チェルシー「これも美味しいねぇ♪」
ショコラ「うん。熱くなかったら美味しいね」
サフィール「口の中がさっぱりしますね」
モニカ「お茶の風味とかは残るけど、その感じもいいよね…♪」
よかった。
予想通り好評のようだ。
ファーストインパクトは最悪だったけど、終わりよければ全てよしってことで。
ミュイファ「うんうん♪みんな美味しそうに食べてくれて、商業ギルドのみんなも喜んでるよ♪それじゃあそろそろ、他の方たちにも食べてもらいましょう!」
ミュイファさんがそう言うと、再び商業ギルドの職員さんたちが台車を運んできた。
そこにはさっきよりも多くのお皿が。
ミュイファ「それではこれより、皆様にもお餅とお団子の試食をしていただこうと思います!君らもおかわりが欲しかったら遠慮なく取ってっていいからね♪」
みんな『は〜い!』
ミュイファ「ではでは皆様!慌てず、落ち着いてお召し上がりくださ〜い!」
そうして、昼食を兼ねた試食会は他の見学者たちも巻き込んで続いたのだった。
俺は無事に2種類のあんこ餅を食べることが出来て満足しました。
美味しかったです、ごちそうさまでした。
今日も今日とて遅めの投稿。
危ないね。
反省して俺。
はい、すいません。
まぁそれはそれとして。
皆さまは粒あん派?こし餡派?
作者はこし餡派です。
ちなみに作者の兄弟はあんこ苦手マンなのでそもそもそんなの選べません。
それもまた…よし……。
なおショコラやリオたちがどっち派かは皆さまのご想像にお任せします。
ではまた来週お会いしましょう。
ではでは〜




