248.あの人の正体…でちょいと一波乱
ユーリ「大豆をあるだけ全部ください!」
モーリッツ「ぜ、全部ですかっ!?」
ユーリ「はいっ!」
マグ(す、すごい熱意ですね……)
コウスケ(ね……大豆買い占める気かユーリさん……)
そんなに買って使い切れるのか……?
……使い切るんだろうなぁ……。
でもこのこと話したらとりあえずフルールさんには呆れられると思うなぁ……。
ハルキ「いなり寿司が作れるんですか?」
ユーリ「はい!ちょっと道具を揃えないとですけど……あっ、《にがり》はありますか?」
モーリッツ「に、にがり……?」
ユーリ「えっ…無いんですか……?」
マグ(にがり?)
コウスケ(え〜っと…なんだっけ……?豆腐に関わる何かなんだけど……)
マグ(とうふ……)
コウスケ(あ〜……すり潰した豆の集合体)
マグ(へぇ〜……)
ハルキ「にがり……って、どう作るんでしたっけ?」
ユーリ「あっ…えっと、確か……海の水からお塩を作って…それで出来た残り汁がにがり…だったかな……?」
ハルキ「あぁ〜…なるほど……海の水かぁ……」
マグ(海ですかぁ……確かとても大きなしょっぱい水たまりでしたっけ?)
コウスケ(えっ?え〜っとぉ……あ〜…まぁ、大体合ってる)
って、そうか。
マグは海をよく知らないのか。
…まぁ俺もほぼ知らないようなもんだが。
都会暮らしでインドア派だとほぼ知らずに過ごせるからなぁ……。
テレビで見た海が俺の知ってるほとんどの海です。
マグ(あれ?でも確か、海では無いですけど、似たような性質の水辺…ダンジョンにありませんでしたっけ?)
コウスケ(ん……あぁ!そういやそうじゃん!)
ダンジョンには食用の魚が生息している水辺なんかもある。
そこから獲ってきた魚がこの街の至る所に出回って、美味しい魚料理を楽しめるのだ。
そして魚は水の性質によっても暮らせる暮らせないが別れる生き物……。
そんな魚たちに合った水辺も…用意されている。
ということは…
ハルキ「…もしかしたら、似たような水なら用意できるかも……」
ユーリ「えっ!?ほんとですかっ!?」
どうやらハルキもそれに思い当たったようだ。
そしてハルキなら多分、そのうち海も用意しそう。
少なくとも海の水くらいなら作れるんじゃないか?
それだけでも豆腐作りは出来るわけで…そこから派生していろんな料理が出回れる……。
コウスケ「ふふふ…♪また美味しい料理が増える予感……♪」
リオ「ははは……ユーリさんのあの気迫なら、少なくとも何かしらは出来そうだよな……」
おっと。
マグとの会話からの感想だったから、リオの返しとちょっと合わない感じになっちゃった。
だがまぁ確かに、仮にダメだったとしても、ユーリさんがあの情熱を燻らせたまんまに出来る気がしないし、それはそれで美味しい思いが出来るかも……♪
むふふ♪
モニカ「う〜ん…いいなぁ……私のとこも何か新しいものを作れないかなぁ……?」
チェルシー「新メニューってこと〜?いいねぇ〜♪」
パメラ「あっ!それこそユーリさんに教えてもらえばいいんじゃない?今ある素材でも作れそうなものとかあるかもしれないよ?」
シエル「フルールさんにも聞いてみるのはどう?フルールさんもこの辺りの人じゃ無さそうだし、もしかしたら新しい発見があるかもしれないわよ?」
ショコラ「それにフルールさんの料理、すっごい美味しいしね♪」
メリー「……むふん♪(得意げに胸を張る)」
モニカ「そうだね!うん、聞いてみる♪」
おっ。
モニカちゃんのとこの新商品ですと?
しかもユーリさんとフルールさんに意見を聞くですと?
こっちも美味しそうなものが出来そうな予感……!
コウスケ「いいねぇ〜♪美味しいものは大歓迎だよぉ〜♪」
サフィール「ふふふ♪そうですねぇ♪マーガレットさんは、ご自身では作らないんでしたっけ?」
コウスケ「そうだねぇ。ウチはもっぱらフルールさんがメインで、ユーリさんが何品か受け持って、私はそれらのお手伝い…って感じだし、それに作るにしても時間があんまり取れないってのもあるからなぁ……」
サフィール「あぁ、そうですね。マーガレットさん、毎日お忙しそうですもんね」
パメラ「むぅ〜…ダメだよマグ〜?」
コウスケ・マグ・サフィール「(「えっ?」)」
サフィールちゃんと話していたら、モニカちゃんとこの新メニューのお話で盛り上がっていたはずのパメラちゃんが反応してきた。
コウスケ「ダメって、何がダメなの?」
パメラ「忙しいのは分かるけど、お料理は出来るようになった方がいいよってこと!」
コウスケ・マグ「(はぁ……?)」
コウスケ(そりゃまぁ出来たほうがいいのはそうだろうけど……)
マグ(なんでパメラがこんなに熱く語るんでしょうねぇ……?)
その理由は秒で分かった。
パメラ「マグ…好きな人に自分の手料理を美味しいって食べてもらいたいとか思わないの……?」
マグ(えっ?あっ!)
コウスケ「あぁ〜…なるほど……」
そういうことね。
ん〜…まぁ確かに、マグに自分で作った料理を食べてもらって美味しいって言われたいなんて、考えたこと………………ないな……?
現状食べれるもので俺もマグも満足しちゃってるからか、そもそも料理男子では無いからか、そんなことを考えたことはあんま無いな……。
でも……
コウスケ(マグに手料理を食べてもらって…)
マグ(コウスケさんに手料理を食べてもらって…)
コウスケ(美味しいです〜って満面の笑顔で言われたら…)
マグ(美味しいよって喜んでもらえたら…)
コウスケ・マグ((……へへへへ…♪))
いいな、凄くいい。
料理勉強しよっかな!
パメラ「んふふふふ〜♪どう?どう〜?」
コウスケ・マグ「(すごくいい。めっちゃ頑張る)」
パメラ「でしょ〜♪」
体を共有してるからそういうのはちょっと思いつかなかったなぁ。
コウスケ(う〜ん…片方が作って、その間もう片方は奥で待つ…かな?)
マグ(出来るまで内緒ってことですね?いいですね〜♪あっでもでも、一緒に頑張って作るのもいいな〜♪)
コウスケ(2人でワチャワチャしながら頑張るのかぁ。それもいいな〜♪)
コウスケ・マグ((むふふ…♪))
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〔リオ〕
パメラ「ふふふ…♪想像してすごくニヤニヤしてるねぇ♪」
ショコラ「マグ楽しそ〜♪」
チェルシー「マーガレットちゃんってば、おっとめ〜♪」
完全にあっち側に行ったマーガレットを見ながら、呑気にそんなことを言う3人。
対してオレは、少し複雑な心境にあった。
アイツも女なんだし、男を好きになるのは普通のことだし、ましてや助けてくれた人なんだったらなおさらだよな……。
でも…なんだろ……楽しそうなマーガレットの姿が…なんかちょっと……う〜ん……?
得体の知れない感覚にソワソワするオレに、サフィールが心配そうに尋ねてきた。
サフィール「リオさん?どうしたんですか?」
リオ「いや…う〜ん……なんだろ……よくわかんないんだけど……なんかこう……モヤモヤする…かも……?」
サフィール「モヤモヤ…ですか?」
モニカ「えっ…リオちゃんも…?」
リオ「えっ。もしかしてモニカも?」
モニカ「うん…なんだか落ち着かなくなっちゃって……」
なんと。
ここに仲間がいた。
メリー「……」
リオ「ん…もしかしてメリーも?」
メリー「……(こくり)」
こっちにもいた。
シエル「…その答え…多分アタシ…わかるわ……!」
リオ「えっ!?」
モニカ「ほんと!?シエルちゃん!」
メリー「っ……(そわそわ)」
シエル「えぇ…少し考えればわかることだもの……今までなんで気づかなかったのか不思議なくらいよ……」
なん…だと……!?
そんな簡単なことだったのか……!?
サフィール「そ、それで、その答えとは?」
シエル「それはね……」
リオ・モニカ・サフィール『それは……?』
シエル「……マーガレット……その人といつ会ってるのかってことよ……!」
リオ・モニカ・サフィール『っ!!?』
メリー「……!(ギクッ!)」
た、確かに……!
言われてみればアイツ……休みの日はいつもみんなと遊んでたし、あの寮にはフルールさんとメリーと《イシオン》の皆さん以外には他に誰もいない感じだった……。
そうか!
これがモヤモヤの正体か!
サフィール「そ、そういえば……マーガレットさん…いつお会いしているんでしょうね……?」
モニカ「ウチのお店に一緒に来た人の中には、そんな関係の人はいなかったと思うけど……」
シエル「ということは、職場の同僚とかではないわね……」
パメラ「なになに〜?」
ショコラ「なんの話〜?」
サフィール「あっ、実はですね…かくかくしかじか」
ショコラ・パメラ「「ハッ!確かに!」」
チェルシー「っ!!(ギクギクッ!)」
むぅ…ショコラとパメラも知らないみたいだな……。
リオ「なぁ、チェルシーは何か知らないか?」
チェルシー「し、しら、知らないかな〜?」
みんな『…………』
……なんてわかりやすいやつなんだ。
ショコラ「えっ…チェルシーは知ってるってことは……」
パメラ「…ハルキさんが絡んでる……?」
チェルシー「え〜っと…そ、そだね〜……」
シエル「違うみたいね……」
チェルシー「っ!?」
だからバレバレなんだってば。
なんでそんな「バレたっ!?」って顔出来るの?
モニカ「う〜ん……でも、やっぱり時間が無いよね……?」
パメラ「そうだねぇ……基本的にお仕事中はずっと一緒にいるようなもんだし……」
ショコラ「ちょこっと離れるときはあるけど、それだけじゃ無いはずだよね……」
シエル「ふむ……やっぱり知ってる人に聞くのが1番早いんじゃない?」
リオ「まぁそうだな。よし、チェルシー。キリキリ吐け」
チェルシー「し、ししし知らないってば〜……!」
パメラ「ショコラ」
ショコラ「うん。ほらほらチェルシー。言わないと……♪(おててわきわき)」
パメラ「くすぐっちゃうぞ〜?(わきわき)」
チェルシー「あわわわわわ……!」
やっぱこれが1番手っ取り早いな。
とはいえだ。
リオ「さすがに店の中で暴れるのはマズイだろ」
サフィール「はい。それに私たちはマーガレットさんやハルキさんに便乗しているようなものですし、あんまり騒がしくするのも……」
モニカ「迷惑かかっちゃうね……」
シエル「……今さらな気はするけどね……」
リオ「シエル…言うな……何も言うな……」
それはみんな分かってるから。
シエル「って、それよりも問題なことがあるでしょ!」
リオ「問題?」
シエル「マーガレットとその相手の人が会える時間がめちゃくちゃ少ないってことよ!」
リオ「えっ?」
サフィール「…あっ、そうですね……!お仕事して私たちと遊んで、お家も一緒じゃないとなると……」
ショコラ「そっか!全然会えないじゃん!」
パメラ・モニカ「「た、確かに……!」」
リオ「言われてみれば……」
チェルシー・メリー「「……あ〜……(互いに目を合わせる)」」
いったいいつ会ってるんだか…と考えていたが、そもそも忙しさのあまり時間が無さすぎて、会う機会が少なすぎるのか……。
だから余計に会ってるところを知らない人が多い…と……。
あ〜……これはちょっと……。
パメラ「…私たちのせいかなぁ……?」
リオ「いや、それを言うならオレが1番悪いだろうよ……今1番時間を取ってんのはオレなんだし……」
今日はちょっと離れたけど、外に出るときはずっとくっついてるようなもんなのは変わらないし……。
モニカ「でも、今までだってお休みの日とかもずっと私たちと遊んでたし……」
シエル「えっ…それじゃあ……遊ぶ時間…というか、マーガレットと会う時間…減らすの……?」
ショコラ「えぇっ!?やだぁーっ!」
シエル「でもそうしないとマーガレットが好きな人とゆっくり出来ないし……」
…好きな人……。
ショコラ「うぅ〜…そうだけどぉ……!シエルはマグと遊びたくないのぉ!?」
シエル「遊びたいけど……マーガレットの時間を取っちゃってるのは変わらないし……」
パメラ「ショコラ……寂しいけど、マグも私たちとばかりじゃなくて、その人ともお話したいって思ってるはずだよ……だから…ね……?」
ショコラ「うぅぅぅ〜……!」
そう…だよな……。
ずっとアイツに甘えてきてたけど、いつかこういうことになるのは決まってることだし……。
リオ「オレも…早く仕事に戻れるようにならないと……!」
モニカ「うぅ……しょうがないもんね……」
オレが決意を固めると、モニカも涙ぐみながらもどうにか受け入れたようだ。
チェルシー「…えっと……ど、どうしたらいいかな……?」
メリー「……あんまり変なこと言うともっとややこしくなりそうだから、なにも言わないほうがいいかも……?」
チェルシー「うっ…だ、だよね……でも…これはちょっとあんまりにも……」
メリー「…………(こくり)」
チェルシーとメリーは何やらコソコソと話しているが、ふたりともマーガレットにベッタリだし、チェルシーに至ってはすでに相手がいるわけだから、マーガレットの恋路を応援したい気持ちとまだまだ遊んでいたい気持ちが混ざってしまって大変だろうしで、いろいろ思うところがあるんだろう……。
サフィール「……う〜ん……」
しかし、一様に暗くなっているオレたちをよそにサフィールは何やら難しい顔で考え込んでいた。
リオ「サフィール?どうしたんだよ?」
サフィール「あっ…いえ……ちょっと……う〜ん……」
みんな『…?』
ほんとにどうしたんだろう?
オレたちがジッと見つめていると、サフィールは観念したようにオレたちに考えていたことを話し始めた。
サフィール「その……とても失礼…といいますか、マーガレットさんに聞かれたら怒られそう…と言いますか……最悪の場合、嫌われてしまうかもしれないのですが……」
シエル「えぇ……?」
パメラ「そんなに……?」
ショコラ「それはないんじゃないかなぁ……?」
モニカ「うん……マーガレットちゃん…サフィールちゃんのことも大好きだし……」
チェルシー「そんな心配するなんて……サフィーちゃん何を考えてたの……?」
サフィール「……えっと……マーガレットさんが…その…お相手の方といつ会っているのか…というお話をしていたじゃないですか……」
メリー「……うん(こくり)」
リオ「してたな」
サフィール「その方は、自分のことを助けてくれた人だと、マーガレットさんも言ってましたよね……?」
ショコラ「言ってたねぇ」
パメラ「うん。なんか…すごい……うん……」
あぁ……あのときのかな……?
あれは凄かったな……。
お相手の人マジ頑張れって感じだった……。
サフィール「それで…ですね……実は…ちょっと思い当たってしまったことがありまして……」
シエル「思い当たったこと?」
サフィール「はい……心に重度の負担を負った人によく見られる症状で、そこに無いものやこの世に存在しないものなどが見えたり聞こえたりする…と主張し始めるという心の病気があることを思い出しまして……」
みんな『っ!!』
おいおいそれって……!?
パメラ「ま、まさかサフィールは、マグがその病気になってるって言いたいの……!?マグの相手の人が…マグの妄想でしかないって言いたいの!?」
サフィール「……(こくり)」
パメラ「っ!そんな…そんなことない!マ、マグは……!ほんとに……!」
マグ「ちょっとちょっと!?なんか私の名前が出ながら大ゲンカしてるのが聞こえるんだけど!?」
みんな『っ!!』
パメラがサフィールに食ってかかったところで、マーガレットがこっちの異変に気付いて駆け寄ってきた。
ハルキさんたちも、遠目で何事かと見守っていた。
パメラ「マグ!マグの好きな人、ちゃんといるよね!?」
マグ「へっ?ちゃんといる…ってのは……?」
サフィール「パメラさん!本人に直接聞くのは……!」
パメラ「いるんでしょ!マグの想像とかじゃなくて、ちゃんといる人なんでしょ!?答えてよマグゥ!!」
サフィールが止めるのも聞かずに、パメラは泣きながらマーガレットに詰め寄る。
対してマーガレットは……
マグ「…………(ダラダラ)」
目を逸らしてめっちゃ冷や汗をかいてた。
…………うん?
あれ?おかしくね?
サフィールの言った病気なんだったら、あんな聞かれかたしたら「いる」ってなんでもないように答えるか、「なんでそんなことを聞くの!?」とかなんとか言って取り乱しそうな気がするんだけど……。
モニカ「マーガレットちゃん……?」
マグ「いや…うん…ちょっと待ってね……?」
パメラ「やぁだぁ!ちゃんといるんでしょぉ!?いるって言うだけでしょぉ!!」
マグ「あ〜…とりあえず落ち着いて〜パメラ〜」
パメラ「やぁぁ…んむ……むぅぅぅぅ……!(ぐりぐり)」
マーガレットはとりあえずでパメラを自分の胸に抱き寄せ背中をなでなで頭をぽむぽむ……。
…そしてパメラの頭ぐりぐりに軽くダメージを受けている。
パメラが落ち着かされたのを見計らって、今度はサフィールがマーガレットに話しかけた。
サフィール「あの…マーガレットさん……」
マグ「ん…サフィールちゃん。もしかして、私が心ヤッちゃったんじゃないかって思ったのを言っちゃった感じ?」
サフィール「は、はい……」
マグ「ん〜……そっかぁ……う〜ん……そっかぁ……」
サフィール「…あ、あの……!」
マグ「うん?」
サフィール「お、怒ったりしないんですか……?私…マーガレットさんの恋人さんのことを……」
マグ「あ〜…まぁ…普通は怒られるだろうねぇ……」
サフィール「じゃ、じゃあどうしてそんなに落ち着かれているのですか……?」
マグ「いやいや焦ってるよぉ〜?まぁみんなが考えてるのとは別の理由で焦ってるんだけどねぇ〜」
サフィール「…?」
別の理由?
ショコラ「マグぅ……ほんとに怒ってない……?」
マグ「うん、怒ってないよ」
ショコラ「ほんと……?」
マグ「ほんとほんと」
ショコラ「じゃあマグと遊ぶ時間減らさなくてもいい……?」
マグ「うん、いいよいいよ。ってかそんな話出てたの?」
ショコラ「やったぁ♪えへへ〜♪(ぽふっ)」
マグ「おっと」
ショコラはショコラで心配の種が無くなって安心したようで、パメラごと包むようにマーガレットに抱きついた。
うん、それはいいとして。
リオ「で?」
マグ「で?」
リオ「マーガレットの妄想じゃないのはわかったけど、それならどうしてオレたちに紹介できないんだ?いや、まぁ「恋人です」って紹介されても「あっどうも」くらいしか言えないけど……せめて理由だけは教えてくれよ。またこんなことになるのは嫌だろ?」
ちょっとズルい言い方だけど、これぐらいしないとまたのらりくらりとかわされるかもしれないからな。
マグ「あ〜…まぁ…そうだけど……う〜ん……」
でもマーガレットは悩みに悩んでいる。
むぅ……オレたちにはどうしても言えないことなのかよ……?
パメラ「教えてよマグぅ……」
シエル「なんでダメなのかぐらいは言えるでしょ?」
マグ「ん〜…わかった……でも割とややこしいから掻い摘んで説明させてもらうよ?」
リオ「あぁ、わかった」
難しいから話さなかっただけ…っぽい?かな?
マグ「あ〜…こほん。それじゃあ簡単に説明すると…その人と会うには、ある条件があるからなの」
リオ「条件?」
マグ「そう。だから元々簡単には会えないんだよ。でもそういうことだから、みんなが私とその人の逢瀬の時間を削ってるってことはないから安心していいよ」
パメラ「そうなんだ……」
サフィール「それはよかったのですが……その条件とは?」
マグ「…結構複雑でさ……ハルキ…さんに手伝って他にもいろいろ整えてようやくって感じだから、私もよくはわかってないの。ごめんね」
みんな『……』
……軽率に聞くんじゃなかった。
いや、軽率ってわけでもなかったけど、あんな卑怯な聞き方で聞くんじゃなかったなって、ちょっと後悔してしまった……。
だが、そうなるとどうしても気になることがある。
それだけは聞いておこう。
リオ「なぁ……そこまでしないと会えない相手って……人間…なんだよな……?」
マグ「まぁ…一応……類人猿の端くれだと思われます……」
みんな『……』
なんか一気に怪しくなったんだけど?
シエル「マーガレット……信じて良いのよね?愛着が湧いたその辺の野良猫とかじゃないのよね?」
マグ「さすがにその子らを恋人と言い張るようなことはしないよ!?」
サフィール「マーガレットさん……ゴブリンやオークの中には確かに人に近しい個体もおりますが……」
マグ「違うよ!?というかそれだったらさすがに気付くでしょ!?」
サフィール「巧妙に隠せば或いは…と……」
マグ「そんな可能性はカケラも無いよ!」
う、う〜ん……なんか結局うやむやになってる気がするけど……まぁ、いいか。
コイツが心の病なわけでも、オレたちに言いたくなかったわけでもなくて。
…ってかこれって……
リオ「…もしかしなくても、聞かなかったから言わなかっただけ…か?」
マグ「え?まぁ、自分から言うことじゃないしねぇ」
リオ「それはわかるけど……」
なんか…ドッと疲れた気がした……。
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〔コウスケ〕
チェルシー「危なかったねコウスケさん、マギーちゃん……」
メリー「……(こくこく)」
コウスケ「ははは……まぁ、いつかは言われるだろうことだったから、ここで消化できたのはよかったことだよ…うん……」
まぁそれを予測してなかったからはちゃめちゃ焦ったけどな……。
どうにか誤魔化した……。
油断するとすぐ重い話になる……。
まぁすぐに軌道修正かませる人材がいるのでまだいいけどね!
そんなところでまた来週です。
ではでは〜




