241.お悩み相談室…甘やかし付き
〔リオ〕
「はぁ……」
とぼとぼと歩きながら、オレはため息を吐いた。
結局今日も金槌に触ることは出来なかったからだ。
こんな調子で本当に大丈夫なのかな……。
って、いかんいかん……!
こんな弱気になっちゃダメだ……!
…と、この流れを何回も繰り返して疲れてしまって、このままじゃまた潰れると思いマーガレットたちに会いにいくことにしたんだが……。
「はぁ……」
オレはもう何度目かもわからないため息を吐く。
せっかくマーガレットたちも全力でサポートしてくれてるのにこの調子じゃあ……。
……またなんか突拍子もないことを提案してくるかもしれない……。
いや…理に適ってはいるんだけど…説明の仕方が悪いというか……1回オレたちを驚かしてから入ろうとするんだよなアイツ……。
あぁいや…もしかしたらそういう話術なのか……?
そういうことやりそうだからな…マーガレット……。
ギルド員「リ、リオちゃん?前、前!」
リオ「えっ…うおっ!?」
声に従って前を見ると、そこには目前にまで迫っている事務室の扉があった。
危うくぶつかるとこだった……。
ギルド員「大丈夫リオちゃん?」
リオ「ど、どうにか……ありがとうございます……」
ギルド員「うん、どういたしまして。……」
教えてくれた方にお礼を言うと普通に返事をしてくれたが…そのあととても心配そうな目をされたので、次に何か言われる前に早く事務室に入ることにした。
リオ「え、えっと…じゃあオレはこれで……」
ギルド員「あっ…うん……」
なおも心配そうにしながらも、追及はしてこなかった相手にありがたさと申し訳なさを感じつつ、オレは逃げるように事務室へと入った。
チェルシー「あっ!リオちゃん、いらっしゃ〜い!」
マグ「ん?あぁリオ、お疲れさま。ほら、こっちおいで」
リオ「お、おう……」
入るなりチェルシーが気付き、それで気付いたマーガレットが隣のイスを引いてポンポンと叩きオレを呼ぶ。
元からマーガレットに用があったので別にいいはずなのだが、なんだか少し恥ずかしさを感じた。
多分これ…子ども扱いされてるからかもなぁ……。
でもオレの1つ下なのに凄いしっかりしてるし、こういう動作が不思議としっくりくるというか……。
でもたまに年相応というか、下手したらそれよりも幼く感じるときもあるから、ほんとよくわかんないやつだ……。
マグ「はい、いらっしゃ〜い♪」
なんて考えてる間に座ってた。
オレ…今日はずっと上の空な気がする。
マグ「それで?どうしたのリオ。寂しくなっちゃった?」
リオ「いや…そうじゃない……」
まぁほんとはちょっと……ごほんごほん……。
リオ「…やっぱり、そう簡単にはいかないなって……」
チェルシー「リオちゃん……」
グラズ「あまり焦ってもしょうがないよリオちゃん。気長に一歩一歩進んでこう?」
リオ「それは…そうなんですけど……」
やっぱりどうしても焦っちまうんだよな……。
マグ「ふむ……そういえばさ」
リオ「ん…?」
マグ「握れないのって金槌だけなの?」
リオ「え?」
マグ「ほら、道具は他にもあるわけだしさ。他の道具が使えるなら、そっちの方から慣らしていくってのもアリなんじゃないかな〜って思って」
リオ「……なるほど……」
そういえば確かめてないな……。
金槌が握れないってことばかり考えてたけど、他の道具が握れれば確かに少しはリハビリになるかも……。
リオ「うん…ありがとうマーガレット。ちょっと試してくるよ」
マグ「そりゃよかった…けど…」
リオ「?」
早速試してみようと立ち上がったオレに、マーガレットは何か言いたげだ。
何か気になることがあるのか?
マグ「まだ撫でてないんだけど、もう行っちゃうの?」
ガクッ
リオ「そんなことかよ……オレはてっきり何かあるのかと思ったんだが……」
マグ「そんなことじゃないよ〜。大事なことだよ〜?」
リオ「いやいや……」
そんなわけないし……。
マーガレットがやりたいだけだろ……?
…うん……マーガレットがやりたいだけだし……。
まぁ…友だちの頼みを聞くのも友だちとしての務めだし……。
決してオレがしてもらいたいわけじゃないし……うん……。
リオ「………えっと……じゃあ…ちょっとだけ……」
マグ「うん♪じゃ、おいで♪」
リオ「…おう……」
マーガレットの隣のイスに座り直すと、マーガレットは体を寄せてきて、オレの頭と右手にそれぞれ手を乗せ同時に撫でてきた。
マグ「頑張ったねリオ。お疲れさま♪」
リオ「えっと…で、でもオレ…何も……」
マグ「言ったでしょう?何もしてないのと何も出来なかったのは違うって。それとも、本当に何もしなかったの?」
リオ「いや…えと……金槌とずっと睨み合ってた……」
つまりまったく進歩していない。
だけどもマーガレットは微笑み、優しく撫でながらオレを褒めてくれる。
マグ「でしょ?怖いのに頑張って克服しようとしただよね?」
リオ「……(こくり)」
マグ「ほら、頑張ってる。それで、頑張ったら褒めるのは当たり前だもの。だからこれは普通のことなの」
リオ「そ、そうか……」
マグ「そうだよ♪なので…ね♪頑張ったね…偉いよ、リオ♪」
リオ「あぅぅ……///」
やばい……!
今までマーガレットが甘やかしてるところを見ててなんとなくわかってたけど……これ、ダメになるやつだ……!
リオ「あっ…マ、マーガレット……!」
マグ「ん〜?なぁに?どうしたの?」
リオ「え、えと…えと……!も、もう大丈夫だから……!十分元気出たから……!」
マグ「そう?もう少しこのままでも一向に構わないよ?」
リオ「あぅ……」
そ、そう言うなら……って、ダメだダメだ!
ここでさらに甘えたら戻れなくなりそうな気がする!
リオ「だ、大丈夫…大丈夫!うん!めっちゃ元気出たから!」
マグ「そう?」
リオ「おう!ほら!」
オレはマーガレットから離れて「凄く元気ですよ」とアピールする。
リオ「な!?」
マグ「くすくす♪そうだね、とっても元気そう♪」
リオ「うぅ……」
対してマーガレットはニコニコと微笑む。
それは完全にやんちゃな子どもを相手にしてるような穏やかな笑みだ。
これ絶対バレてる。
リオ「と、とにかく!オレもう行くから!」
もの凄い恥ずかしさに襲われたオレはそれだけ言ってさっさと事務室から出ようとした。
が、オレがドアノブに触れる前にガチャッとドアノブが回された。
ん、誰か入ってくるな。
スッとドアの前から退くと、ちょうどドアが開いて…
ハルキ「こんにちは…って、おっとリオちゃん。もしかして出るところだった?」
ハルキさんが入ってきた。
リオ「えっと…はい、そうですけど…ゆっくり開けてくれたんでぶつかりはしませんでしたよ」
ハルキ「そりゃあ他所様のとこの扉をそんな勢いよく開けないよ」
いや、鍛治ギルドの人たちは割と強めに開けるからな。
しかも本人たち的にはゆっくり開けてると思ってるから余計タチが悪いんだ。
まぁそれをハルキさんに愚痴るようなことはさすがにしないけど。
マグ「それでハルキさん。今日はどうされたんですか?」
あぁそうだ。
ハルキさんが来ること自体はそこまで珍しくないけど、今日はどんな要件なのかは気になるな。
そう思ったのだが、ハルキさんは「う〜ん…」と少し悩み始めた。
ハルキ「…まぁ…すぐに知られることだし、むしろちょうどいいかな……」
…なんだろう…嫌な予感がする……。
オレがそう思ったとき、ぽふっと頭に何かが乗せられたのでそちらを見ると、マーガレットがオレの頭に手を乗せていた。
リオ「……なんだよ……?」
マグ「なんとなく」
リオ「…………」
まさか…オレがちょっと不安になったのを感じ取ったのか……?
……あり得る……。
でもそうなると……本当にずっとオレのことを気にかけてくれてるってことだよな……。
申し訳ないけど……でも、ちょっと……うん……///
マグ「…それで、何がちょうどいいんです?(なでなで)」
ハルキ「あぁうん……すぅ…ふぅ…………鍛治コンテストのことなんだけど……(なでなで)」
リオ「っ……!」
鍛治コンテスト……。
この流れはもしかして……って、マーガレット……いつまで撫で続けるんだ……?
というか、いつの間にかチェルシーもハルキさんに撫でてもらってるし……。
なんだろう……いまいち緊張感がないな……。
ハルキさんはめちゃくちゃ真剣なんだけどな……。
…真剣なのにチェルシーの頭撫でてるのか……?
ハルキ「…予定していた鍛治コンテストは延期することになった」
リオ「っ……」
グラズ「…そう…ですか……」
あぁ…やっぱりそうか……。
延期の理由ってやっぱり……。
チェルシー「リ、リオちゃんは悪くないよ!事故なんだからしょうがないよ……!」
グラズ「うん。あれは鍛治職人なら誰にでも起きうることだから、リオちゃんだけが気にかけることじゃないよ」
俯いてしまったオレをチェルシーとグラズさんが慰める。
でも、そう言われてもオレは……!
マグ「…まぁ…そうさねぇ……(なでなで)」
リオ「…マーガレット……?」
マグ「事故とはいえ、リオが原因ではあるよねぇ……(なでなで)」
リオ「っ……」
…だよなぁ……。
チェルシー「マギーちゃん!」
グラズ「マーガレットちゃん…それはさすがに……」
ハルキ「まぁ待ってください。それでマーガレットちゃん。続きは?」
2人がマーガレットに非難の声を上げるが、ハルキさんがそれを諌めてマーガレットに続きを聞いた。
それにマーガレットはフッと笑う。
そしてオレの頭から手を離して話を始めた。
むしろなんで撫でながらオレにああ言えたのだろう?
撫でながら言うセリフじゃない気がするんだけど……。
マグ「いい?リオ。確かに不足の事態で発生するものだから事故は仕方ないけど、それが原因なのは変わらない。だからどうしたって気にする。そうでしょ?」
リオ「……(こくり)」
マグ「で?どうするの?」
リオ「え……?」
どうする…って……?
マグ「そのまま落ち込む?それとも……時間が出来たと喜ぶ?」
リオ「時間……」
マグ「そう、時間。ねぇリオ。仮に鍛治コンテストが予定通り出来たとして、これからリハビリして最速で克服したとしても、それから特訓してコンテストに出せるようなモノを作れる自信はある?」
リオ「うっ…それは……」
マーガレットの言う通りだ。
例え今日奇跡的に克服出来たとしても、これまでのブランクを埋めなければいけないことに変わりはなく、それはこれまでの経験上とてつもなく大変なことだというのはわかっている。
そんな甘い世界じゃないことは身に染みている。
マグ「でも今回は延期する。つまり、準備期間が延びた。ということは?」
リオ「ということは……?」
マグ「焦る要因が1つ減ったってこと」
リオ「……あっ……」
マーガレットに言われて今さら気付いた。
早く治したいと焦っていた原因の中に、鍛治コンテストのことが入っていたんだと。
マグ「そして次。そもそも鍛治コンテストは季節を問わない行事だから、やろうと思えばいつだって出来ること。だからまぁ…毎月は無理としても、3〜4ヶ月に1度とかなら開けるんじゃないかな?どうでしょう?」
グラズ「えっ!?う、う〜ん……」
突然の指名に驚いたグラズさんだったが、考えている間に仕事の顔になった。
グラズ「…うん、そのぐらいがギリギリかな。コンテスト用の武器ばっか作るってわけにもいかないし、そんなホイホイ新しいアイデアが出てくるってわけでもない。でも迷宮がすぐ近くにあるこの街なら素材に困ることもそうないし、何より冒険者の数が多いからいろんなモノの製作を頼まれる。それでひらめくこともあることを考えて、試行錯誤したりなんだりする時間を考えると……むしろ半年とか欲しくなるかも……」
マグ「やべ延びた」
は、半年……。
グラズさんの言いたいことはわかるけど、オレの責任で半年も遅らせるなんてのはさすがに……。
ハルキ「まぁそれは次の開催がって話だから、初回である今回は来月再来月でもいいんだけどね」
リオ「あっ…そ、そっか……」
そうだな…そういえばそうだった……。
マーガレットも「あぶねぇ〜…」って顔してるし、忘れてたんだろうな。
いやお前は把握しとけよ。
マグ「ま、まぁとにかく、こんなふうに時間はたっぷりあるわけだし、あんまり焦んなくてもいいでしょ?」
リオ「あぁ…そうだなぁ……」
オレ…自分が思ってた以上に焦ってたんだなぁ……。
マグ「ふふっ♪それで?リオはこのあとどうするの?」
リオ「このあとは……」
…フッ…決まってる。
リオ「リハビリの続きをする。さっき言われたことも確認しないとだしな!」
マグ「そっか♪」
リオ「あぁ!あんがとなマーガレット!じゃあ行ってくる!」
よぅし、やるぞぉ!
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〔コウスケ〕
テンションアゲアゲで去っていったリオを見送ったあと、俺は静かに立ち上がる。
そしてリオが開けっ放しにした扉をそっと閉じる。
そんな俺にハルキが話しかけてきた。
ハルキ「元気になったみたいだね」
コウスケ「そうですね。ここまでやる気が爆発するとは思いませんでしたが……」
グラズ「それだけ悩んでたってことだろうね。ありがとうマーガレットちゃん。リオちゃんを支えてくれて」
コウスケ「これぐらい当然ですよ」
マグ(友だちですから、ね♪)
コウスケ(そういうこと♪)
それに、あんなに落ち込んでるのを知ってちゃねぇ……。
助けたいって思っちゃうでしょうよ。
ちょっと過保護すぎるかな…とも思うけど……そこは他の人たちと相談してくかな。
コウスケ「それでハルキさん。次の鍛治コンテストはいつの予定なんですか?」
ハルキ「う〜ん…それなんだけど、リオちゃんにはあぁ言ったけど、鍛治コンテストの後にもイベントを企画してたからすぐに埋め合わせるっていうのは実はちょっと難しいんだよねぇ……」
コウスケ「ありゃ。具体的には?」
ハルキ「来月には商業ギルド主体のオークション。再来月は魔術ギルド主体の魔法コンクールかな」
コウスケ・マグ「(魔法コンクール?)」
チェルシー「って、なぁにお兄ちゃん?」
ん、チェルシーも知らないのか。
ハルキ「簡単に言えば、自分の魔法を見せつけられるお祭りかな。魔鉄鉱のカカシに自分の自慢の魔法をぶつけて、観客に披露するのさ。それをグリムさんや他のプロフェッショナルが採点するんだよ」
コウスケ「なるほどぉ……」
真っ先にポ○モンのやつが出てきたけど、あれのワザ採点で合ってるかな?
チェルシー「あっ!ねぇねぇ、それならマギーちゃん優勝できるんじゃない!?」
コウスケ「えっ」
マグ(ハッ!確かに!)
チェルシー「だってマギーちゃんの魔法とってもすごいじゃん!だから優勝できるよ!」
マグ(そうですよ!コウスケさんなら出来ますよ!)
コウスケ「いやいや…そんな簡単なことじゃないでしょ……」
俺の魔法は前の世界のゲームやアニメを参考にしたから、こっちの世界じゃ確かに目新しいかもだけどさぁ……。
こっちの世界の人はその分、既存のモノを極めようと日々努力してるんだよ?
メラがメラゾーマ級になるほどやってるかもしんないんだよ?
そうなると目新しさだけじゃ絶対に勝てない。
大体、いくら斬新なモノでも、使い勝手が悪けりゃブームにすらならずに忘れ去られる可能性もあるんだ……。
新しいものってのは大体見る目が厳しくなるものなんだ……。
そんな気がするんだ……俺……。
チェルシー「そうかな〜。マギーちゃんならみんなをあっ!と驚かせるような魔法をまたやってくれそうなんだけどな〜」
グラズ「前のに見た、闘技場を埋め尽くすほど花が咲く魔法とか凄かったもんね」
チェルシー「そうそう!あれすっごくキレイだったよ!」
マグ(はい!また見たいです!)
コウスケ「ははっ、ありがと♪」
純粋にそう言ってくれるチェルシーたちの気持ちはとても嬉しいので、俺はありがたく賛辞を受け取った。
まぁそれはそれとして出る気はないが。
さっきのも理由の一つだが、それに加えてあまりにも目立つのはよろしくないと思うからだ。
出る杭は打たれる。
誰かの活躍は、必ず誰かの恨みを買う。
ただでさえマグは目立つというのに、魔法コンクールで優勝…まではいかずとも、目立った活躍をしてしまえば、そういう方面の人の妬み嫉みを買うかもしれない。
……だいぶ今さらかもしれないが……。
まぁそういった理由であまり出たくないのだ。
あと単純にみんなと一緒に見て楽しむ側に回りたい。
みんなとはしゃぎたいし、みんながはしゃぐ姿を見たいし、みんなとはしゃぐマグを見たい。
だから出とうないでござる。
なのでちょっと強引に話を終わらせるでござる。
コウスケ「あっ、それでもうひとつの方…オークションの方はどんな感じの予定なんですか?」
ハルキ「うん?あぁ、そっちは単純だよ。参加者がこれぞっていう品を持ち寄ってその場で売るだけ」
カロッテ村かな?
ハルキ「値段とかは自分で決めてもらって、落札金は本人のもの。1番高い落札額を叩き出した人が優勝で、優勝者には豪華な景品を…と思ってるんだけど……」
コウスケ・マグ・チェルシー「(「けど?」)」
ハルキ「その景品が問題でね。最初にこれって発表して参加者を募るか、秘密にしといて優勝後にいくつかの候補の中から好きなものを選ばせるか……いっそのこと景品を無くしちゃうか、とかね」
チェルシー「えぇ〜!賞品はあった方がいいんじゃない?」
コウスケ「う〜ん…でも確かに難しいですね……」
マグ(人によって欲しいものは違いますからねぇ……)
まったくもってその通り。
ハルキ「う〜ん…ここでも意見が分かれちゃうかぁ……やっぱりもうちょっと考えてみないとだねぇ……」
すまんな、力になれんくて。
相談には乗るよ。相談には。
ハルキ「うん、ありがとう。それじゃあそろそろ僕は帰るよ」
コウスケ「はい」
チェルシー「え〜、もう〜?」
ハルキ「ははは、やることがあるからね。チェルシーも仕事頑張ってね」
チェルシー「は〜い♪」
ハルキ「それじゃあグラズさん。僕はこれで」
グラズ「えぇ。お疲れ様です」
ハルキ「お疲れ様です。失礼します」
挨拶を済ませて帰って行くハルキ。
チェルシー「またね、お兄ちゃ〜ん♪」
それを見送るチェルシー。
マグ(…いいなぁ……)
それを羨むマグ…って、
コウスケ(どしたのマグ?)
マグ(あっいえ…私もコウスケさんとああいうことしたいな〜って……)
コウスケ(あぁ……)
同じ体に入ってるから、そういうのは出来ないもんな……。
マグ(いってらっしゃいってちゅーしたり、おかえりなさいってぎゅーしたりしたいです……)
コウスケ(……それ特に理由なくてもやってるやん)
マグ(そうですけどぉ…そういうのもしたいな〜って♡)
深刻かと思ったら色ボケだった。
…しかし…ふむ……そういう感じだと、俺たちは同棲してるわけで……そうなると恋人…もしくは夫婦とかなわけで……。
夫婦……妻…嫁……マグが奥さん…か……ふむ……。
幼妻と甘い生活……悪くない……むしろいい……最高だ……!
パシーンッ!
チェルシー「ひぇっ!?マ、マギーちゃん!?」
グラズ「ど、どうしたのマーガレットちゃん?急に自分の頬を叩いたりして……」
コウスケ「なんていうか……けじめ?」
チェルシー・グラズ「「けじめっ!??」」
いやだって……いつも煩悩退散煩悩退散邪念淫念お困りザウルスなのに、幼妻を思い浮かべてテンション上がるとか……ダメじゃん?
マグ(コウスケさん……?)
コウスケ(ごめんマグ…痛かった?)
マグ(いえ…でも……)
コウスケ(でも?)
マグ(…………ふ〜ん?)
コウスケ(マグさん?)
マグ(…私との生活…想像しちゃいましたか?あ・な・た♡)
心臓にダイレクトアタック!
チェルシー「マママ、マギーちゃん?どうしたの?急に胸抑えて……痛いの?」
コウスケ「ハッピーライフにハートが爆☆殺されるところだったぜ……」
チェルシー「どういうことなの!?」
グラズ「マーガレットちゃん……ちょっと休んだ方がいいんじゃない……?」
コウスケ「いえ。むしろ今私絶好調なので。もう最高だぜ〜!ウォ〜!なので」
グラズ「元気すぎるからこそ休んで落ち着いた方がいいと思うな……」
解せぬ。
ちょっとマグにハートに一撃もらって担架で運ばれる寸前になっただけなのに。
マグ(うふふ♡今日はこれで決まりですね♡)
俺に大打撃を与えたマグは、どうやら今夜夫婦ごっこをするつもりのようだ。
おいおい……死んじゃうぜ……?俺……。
あっ、もう死んでたわ。
今後のイベントもちょろっと紹介。
作者本人が忘れなければこれらも開催する予定です。
ちゃんとメモっときますので多分きっと忘れないと思われますよ恐らく。
まぁそれはともかくまた来週。
ではでは!




