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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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23.忘れ物…ウサミミっ子再び

ララさんに仕事を教えてもらいながら、合間合間に他のギルドスタッフと挨拶をしたり、資材整理の仕方などを教えてもらっているうちに時刻は夕方。


窓からはオレンジ色の陽が差し、冒険者がチラホラとギルドを後にしていく。


「マーガレット様、失礼します」

「リンゼさん。どうされたんですか?」

「メイカ様方がお見えになっております」

「なるほど、ありがとうございます。すみません、ララさん…」

「ん?あぁ、とりあえず基本的なことは教えたし、今日はもう上がっていいよ」

「えっ、いいんですか?」

「あれ?迎えがきてるんじゃないの?」

「お話だけしてこようかと思ってたんですけど…」

「んー、まあどっちでも大丈夫。とりあえずお話ししてきてから自分で決めればいいよ」

「ありがとうございます。じゃあいってきます」


ララさんにお礼を言ってメイカさんたちのところに向かう。


「あ、マーガレットちゃ〜ん!!」

「メイカさん、ディッグさん、ケランさん、おかえりなさい」

「えへ〜、ただいまマーガレットちゃん!」

「おう嬢ちゃん、ただいま」

「マーガレットちゃん、ただいま。そっちはどうだった?」

「覚えることが多すぎて大変ですけど、でもとっても楽しいです!」

「そっか、それは良かった」

「それじゃあマーガレットちゃん、一緒に帰ろ?」

「待て待て、まだ仕事があるかもしれねぇだろうが…」

「あぁ、いえ、大丈夫ですよディッグさん。もう上がってもいいって言われたので」

「そうか?それならいいけどなぁ…」

「あはは、それじゃあ着替えてきますね」

「うん、あそこらへんで待ってるからね。ゆっくりでいいよ」

「はーい、じゃあいってきます」


そうして着替えるために更衣室に向かおうと彼らに背を向けたとき、メイカさんが悲鳴を上げた。


「きゃあああああ!!マーガレットちゃん!?なんて服着てるの!?」

「え?…あっ……」


そういえばこの服、背中がパックリ開いてるチェルシーの制服なんだった。


さすがに1日着てたら慣れちゃったみたいだ。


「なんで!?どうして!?そんな服を!?」

「ああぁぁ!メイカさん!揺れてる!!脳がっ!!私のブレインがっ!!」


なんでケランさんといいメイカさんといい、人の肩掴んで揺さぶりながら聞くかね!?

あんま揺らすと脳に悪いんだぞ!?


「ハッ!ご、ごめんねマーガレットちゃん!大丈夫!?」

「大丈夫です…」


頭が痛いけど。

そんなこと言ったらまたメイカさんがどんな奇行に走るか分からないので言わない。


「それでですね…この服は昨日のチェルシーちゃんの服を借りた物でして、あの子羽があって飛べるタイプの種族だからってことで背中が開いてるんです」

「え?そうだったの?でも昨日は普通の制服だったよね?」


……確かに。


昨日別れるとき思いっきり見送ったし、背中が開いてたら俺が忘れるわけがないから、昨日の服は普通の服のはずだ。


「んー…ああいう服は普段着ないから1着しか無いんじゃないですか?昨日着たから今は洗濯中なのでは?」

「なるほど…それはありそうだけど……ん?…洗濯……あぁ!!?」

「うおっ!?どうしたんだよケランまで!?」

「…昨日の服…洗濯してません……」

「「「あ」」」


そうじゃん。

昨日寝る前に見に行こうと思ってたのに、魔法の練習してたら忘れちゃったじゃん。

なんてこった。


「ま、まぁ…忘れちまったもんはしゃーない。とりあえず、帰るんなら帰ろうぜ」

「そ、そうですね!じゃあササッと着替えてきまーす!」

「う、うん!いってらっしゃい!」


しまったなぁ…すっかり忘れてた……。

というかそうか、セキュリティばかり気にしてたけど、誰も入れないからって全部大丈夫ってわけじゃないじゃん。


朝干して仕事出てる間に雨降ったらアウトじゃん。


やっぱり誰かいた方が良いよなぁ……。


そう考えながら俺は着替えを済ませ、チェルに「うちの洗濯機魔境だから」と言って制服を返し、俺はメイカさんたちと帰路に立った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


帰る途中で白兎亭に寄り、夜ご飯を買うことになった。


今更だが、このメンバーで料理ができる人がいないということに気が付いた。


俺は実家暮らしで、料理といえば料理の素を使ったり、インスタントラーメンだったりとそもそもこの世界に無いものでしか安定したものが作れない。


冒険者組は、血抜きは出来るが料理は出来ず、ただ焼く、煮る、炒めるといったことしかできないそうだ。


というわけで今日もお店で買う。

昼、夜はいいとして、朝もどっかで食べるというのはどうなんだろう。


今日のように露天の物を買い食いするのが朝ご飯、というのも楽しくはあるのだが、どうしても…気になる…俺である……。


「いらっしゃいませー♫」


お店に入ると、昨日のようにウサミミのお姉さんが出迎えてくれる。


「あ!君は昨日の!こんばんは♫」

「こんばんは、お姉さん。モニカちゃんいますか?」

「いるよー、モニカぁ、昨日の子だよー!」

「昨日の子……?あ、マーガレットちゃん…!」


お姉さんが呼ぶと厨房の前にいたモニカちゃんがこっちを振り返り、俺の姿を見てかわいい笑みを浮かべ、ウサミミをぴこぴこさせた。


かわいい。


とはいえさすがに仕事を邪魔するわけにはいかないので軽く手を振るぐらいに留めておく。


あ、振り返してくれた。

かわいい。


「かわいい」

「君、本当にこのミミ好きだよね〜♫」


バレて〜ら。


「それで?今日は食べて行きますか?お持ち帰りですか?」

「持ち帰りで頼む」

「は〜い♫ではこちらからお選びくださ〜い♫」


そう言ってお姉さんは持ち帰り用のメニューを渡してくれた。


昨日はハンバーガーだったから別のものがいいかな。


そうして選んだ物を注文し、店の中で待たせてもらう。


そこにひと段落着いたらしいモニカちゃんが来た。


「マーガレットちゃん…いらっしゃいませ……!」

「うん、いらっしゃいました、モニカちゃん。そうだ、私ね、冒険者ギルドで働かせてもらうことになったの」

「え?そうなの…?」

「うん、だからお給料が出たら真っ先に食べに来るね」

「…!うん…!」

「まぁお給料が出るのは来月だろうし、それまでに絶対何回かここには来ると思うから、その時も出来たらお話しよう?」

「うん…!」

「ありがとう」

「モニカー!そろそろ戻ってこーい!」

「あ…う、うん…えっと、じゃあ戻るね…?」

「うん、お疲れ様、またね!」

「うん…!またね…!」


そう言ってモニカちゃんは、お手伝いに戻っていった。


はーかわいい。あの子ホントかわいい。

見てるだけで癒されるわホント。


「ふふふ、モニカってば楽しそう…ありがとね、マーガレットちゃん?」

「お礼を言われることじゃないですよ。好きでお話ししてるんですから」

「そーゆー相手がいなかったんだよ〜。ほら、あの子引っ込み思案でしょ?」

「まぁ、あまり前に出るタイプではないですね」

「でしょ?そのせいで近所のガキ大将にちょっといじめられちゃってねぇ…」

「何ですって?」


あの子をいじめるとは許せんやろうだ……。

おのれガキ大将……。


「このミミがどうのとか、もっと声出せー!とかぐらいだったんだけど、それもあの子には辛いことみたいで…ますます引っ込み思案になっちゃって、お友達が出来るか心配だったんだよ」


そりゃそうだ。

そういうのは加害者側はこの程度だろ?で済まそうとするけど、被害者側は結構傷つくんだから。


それも分からずに的外れななだめ方をするから余計に誰にも話さなくなったりして、引きこもりとかになるんだから。


なんで暴行、恐喝、誹謗中傷が学校内なら「いじめ」の一言で済むんだろうな。


「だから君がお友達になってくれて嬉しいんだよ。改めて、あの子と仲良くしてあげてね?」


おっと、文句を並べてて少し我を忘れてしまった。

悪い癖だよホント。

まぁそんなことより、


「はい!まかせてください!」

「ふふ、ありがとう」

「アリシアー!持ち帰り4人前出来たぞー!」

「はーい!では、今持ってくるのでもう少しお待ちくださーい♫」


そう言ってお姉さん…アリシアさんは料理を取りに行く。


それにしても…ガキ大将ねぇ……。

この街で暮らすからには、どっかで出会うだろうけど……。


はぁ……面倒だなぁ……。

出来れば会いたくないもんだね。

ウサミミが好き。

立ち耳も垂れ耳もどっちも好き。

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