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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
22/434

21.異世界で家電の説明は難しい…新たなお名前

「というわけなんです」


大通りから裏道に入りまくり、ハルキ一押しの小さくて静かだが、とてもいい感じのカフェに入った俺たち。


どうやらここもハルキの協力者が開いてるお店らしく、防音に視覚遮断と外からは何も分からない状態になっているらしい。


そこでお昼ごはんを食べつつ、俺とマグのことをお二人に話した結果、開いた方が塞がらなくなってしまったようだ。


その様子を俺とハルキはそれぞれ食後のミルクマシマシカフェオレ(俺)とブラックコーヒー(ハルキ)を飲みながら、まぁそうなるよねぇと眺めていた。


「ま、そんなわけなのでハルキとどうこうなることは無いですよ。…本人(マグ)が望まなければ」

「その子と夢の中で話した内容から察するに、それは大丈夫だと思うけどね」


そう、俺は今までの成り行きにプラスして、昨夜マグと出会った事を話した。

やはり協力者たるハルキにはあまり隠し事はしたくなかったのと、単純に知られても別に困らないから。


そしてハルキの言いたいことは分かる。

あれほど分かりやすければ、彼女いない歴=年齢の俺でも分かる。

そういう両片思いなマンガなどを見るのも好きだったし。


でも…


「そうは言ってもねぇ……俺は霊体なわけで、仮に魂をマグに返すことが出来た時どうなるかも分からんような儚い存在だぜ?」

「それは分かってるよ。だから僕たちも全力を尽くすつもりさ。せっかく出来た男友達を逃したく無いしね」

「ははは、確かに異世界で向こうの話が出来る相手は貴重だけど、そこまで入れ込んでくれるとはね」

「ホントの事言っちゃえば、最初は警戒してたんだよ。ダンジョンマスターなんて職業だから、同じ世界出身者でも召喚された環境によっては敵になるからね」


それがあるのが一番なネックだよなぁ……。


「ふぅむ…勇者ならまぁ敵、魔王だったら交渉次第か?あとは国家権力の圧力だよなぁ…」

「正直、それが一番厄介だよね…自分の利権のためだけに人を動かすような奴が召喚魔法を知ったら……」

「呼んで尖兵にして、死んだらまた呼んで、だろうなぁ……まぁ勇者も同じようなもんだが」

「だから、コウスケみたいに巻き込まれた感じでこっちに来た人は出来る限り引き入れたいんだよね。基本的に中立の立場が多いからさ」


ホント異世界だってのに、元の世界より国家の力をよく感じるよ……。


「夢がないねぇ……」

「ないねぇ……」

「あ、あの…マーガレットちゃん…じゃなくて……」

「ん…どうしました?ララさん」


異世界の夢の無さを感じてたところで、今までずっとボーッとしていたララさんが帰ってきた。

リンゼさんもハッとしたな。


「えっと…今はコウスケさん…なんだよね……?」

「そうですよ」

「てことはずっとマーガレットちゃんを演じてたってことだよね……?」

「そうですね」

「…あんまり違和感が無かったんだけど、本当に男の人なの……?」


そこ疑われるかぁ〜。

リンゼさんもコクコクと頷いてるし。


「あー、それは確かに。僕と話したあと他のみんなと合流した時、ものすごく自然にマーガレットちゃんモードに入ってたよね。演劇部とかに入ってたの?」


ハルキにも言われた。

俺の演技力捨てたもんじゃないな?

演技したって程でもない気がするけど。


「うーん…なんていうかなぁ…ハルキにしか分かんないと思うけど、俺ゲーマーなのよ」

「うん、それはなんとなく分かる」

「ゲーマー…?」


うーん…説明が難しいなぁ……。


「なんていうかなぁ……うーん…簡単に言うと…ゲームが好きな人、ですかね?」

「ゲーム…というと賭け事ですか?」

「それはギャンブラーですね。そうじゃなくて……あー…ハルキぃ…テレビってなんて言ったら伝わると思う?」

「んーそうだなぁ…四角い箱に映像を映し出す魔道具…とか…?」

「そちらの世界にも魔道具があるのですか!?」

「「そうなるよねぇ」」


その後、ハルキと相談しつつ、《ロールプレイ》という意味をなんとか伝えていたら、昼休みの時間がかなりギリギリなことに気付き、急いで店を後にした。


ララさんとリンゼさんはまだ納得していないが細かいことはハルキに全部任せた。

会計も任せた。

ごちそうさまでした。


あと制服のことも頼んだ。

ちょっと笑いながら引き受けてくれた。

このやろうって思った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ねぇ、コウスケさん」

「えっと…どうしました?ララさん」


ギルドに戻り、またララさんの隣でメモしながら仕事を学んでいると、ララさんが俺の名前を呼んだ。


周りに誰か聞き耳を立ててる人はいないかをざっくり確認してから返事をする。


「コウスケさんはもう大人の男性なんだよね?」

「はい、今年で二十歳になりました」

「もしかして、さ…私に指図されるのとか嫌だったりする……?」

「え?そんなこと無いですよ。あっちでも女性の上司とかいましたし。どうしてそんなことを?」

「えっと…たまに女性よりも男性の方が偉いんだから口答えするなって人がいて…」

「あぁ…どこにでもいるんですね、そんなの」

「うん、だからもしかしたらって思っちゃって……」


確かにああいう人怖いもんな。

関わりたく無い人類の一人だよ。


「まあそれなら問題無いですよ。さっき言ったみたいに女性の上司とかいましたし、それに俺もそういう人苦手なので」

「そうなの?良かったぁ…私もああいう人本当に苦手なの」

「怖いですよねぇ、そのくせ勝てるって思った相手にしか噛み付かないから余計腹立たしくて…」

「そうそう。だから他の人がその人に注意して、バツが悪そうに帰っていった時は本当にスッとしたんだよ」

「ふふふ、それは良いですね。あ、でもそのあと逆恨みとかされませんでした?」

「されたけど、事前に誰かが連絡してたのか、隠密ギルドの人がすぐに助けてくれてね。だから怪我とかも無く無事に終わったの」

「おぉ、それは良かった」


ああいう手合いは逆恨みして殺しにくるとかするらしいからな……。

よくニュースでやってたが、向こうよりこっちの方がそういうのに対してしっかりした対策されてるのかもしれないな。


ん?


「隠密ギルド?騎士団とかでは無く?」

「ん?うん、そうだよ。あ、そっか。知らないか」

「はい、聞いてないですね」

「じゃあ簡単に説明…」

「マガマガちゃーんっ!!」

「ゔっ!!危ねっ!」


俺を呼ぶ声と共に背中に衝撃が走り、机に突っ伏しそうになるがどうにか両手で受け身を取れた。


ペンもメモもギリギリセーフだった。

俺の両方の拳が痛くなっただけで済んだ。


「こら!チェルシーちゃん!急に飛びついたら危ないでしょ!?」

「うっ…ララ姉…ごめんなさい……」

「まったくもう…コウ…マーガレットちゃん大丈夫?」

「背中痛いけど大丈夫です……(サムズアップ)」

「大丈夫じゃないよそれ……ほら、回復してあげる。《【彼の者の】[痛みを和らげよ]…ヒール》」


俺に飛びついた犯人…チェルシーちゃんにメッ!してからララさんは俺に回復魔法をかけてくれた。


あぁぁ〜…あったかいのぅ〜…


回復魔法とかも覚えておけば便利だよなぁ…薬代を浮かせられるから、節約にもなるし……。


「ごめんねマガマガちゃん……」


チェルシーちゃんが謝ってくれる。

回復魔法を体験できたわけだし、そこまで気にしてはいないが…


「回復してもらったし大丈夫だよ。それより、《マガマガちゃん》って?」

「んふ〜、マガマガちゃんはマーガレットちゃんの名前だよ!かわいいでしょ?」

「すごく禍々しい気がする」

「えぇー!?」


マーガレットだからマガマガちゃん…なのはまぁいいとして、マガマガってのはどうしてもなぁ……。


闇のオーラとか出してみちゃう?


「そうだねぇ…私もマガマガは違うと思うなぁ……」

「えぇ〜…じゃあなんて呼べばいいのぉ……?」


う〜ん…そうだなぁ……。

やっぱり《マグ》かな。本人も言ってたし。


「それじゃあ…」

「あ!じゃあ《マギーちゃん》はどう?」

「おぉ!かわいいと思うよ!」

「でしょ!どうどう?マギーちゃん!」

「可愛い」

「やった!じゃあマギーちゃんはマギーちゃんね!」


俺にこの笑顔を曇らせることは出来ない……。

ちょっとマジシャンがチラついたとしてもそんなことは言えない。


あ、そうだ。


「そういえば、チェルシーちゃん。チェルシーちゃんの予備の予備の服貸してもらってるよ」

「そうなの?どう?サイズは大丈夫?」

「うん、すこぶるスースーするけど、問題無いよ」

「そう?良かった」


スルーされた!?


「う、うん。でもチェルシーちゃんは大丈夫なの?」

「何が?」

「昨日私のことでハルキさんと話したんじゃないの?それでほら、私が俺である…みたいな……」

「え?あぁ〜…うん、そうだね、知ってるよ?コウスケさんだっけ」

「うん。それで…」

「あたしがその服のこととか気にしてないかってこと?」


俺はコクリと頷く。


体はマグのものだが、中身は男なのだ。

男に女性更衣室に入られたり、自分のロッカーを漁られるなど、俺が考えてもヤバいことだとは分かっている。


「うーん…別に良いかな」

「なんで?」

「昨日あたしのことを友達だって言ってくれたでしょ?」

「うん」

「あれね、本当に嬉しかったの。それに、あなたがマギーちゃんのことを大事にしてるってよく分かるの。だから大丈夫」

「チェルシーちゃん……」


俺を信用してるってことか……。

嬉しいことを言われてしまったなぁ……。


…でも、なんも解決して無くない?

信じてるから大丈夫って、良い言葉っぽく使われてたけど……。


若干我慢入ってない?

本当に大丈夫??


「あとマギーちゃんもあたしのこと違う名前で呼んでよ〜」

「えっ?チェルシーちゃんじゃダメ?」

「だって長いでしょ?」


まぁ…少し思ったけど……。


「だから何か他の名前な〜い?」

「う〜ん……」


チェルシーちゃんの名前…あだ名かぁ……。

何か良さげなやつ、良さげなやつ……。


さっきのマガマガみたいにくり返すとか…やめよう、なんか、怒られそう。


うーん…チェルシーかぁ……うーん…ダメだ…思いつかん。


「ごめん…思いつかない……」

「えぇ〜…なんにも?」

「う〜ん…すごく単純なやつだと…」

「やつだと?」

「チェルシー、チェル、チェル子、チェルにゃんぐらいしか思いつかない」

「チェルにゃん!?」

「ふっふふ…チェルにゃん…ふふふ…」

「ララ姉!?」


俺の提案した呼び名が、またララさんのツボに入ってしまったようだ。

やっぱ笑い上戸ですよ、あなた。


しかし俺も、なんでチェルにゃんが出てきたのかは分からない。

なんかパッと出てきた。

さすが俺の頭だ、意味が分からん。


「この中だと無難なのはちゃん無しかチェルかだと思うんだけど…」

「うーん…そうだね…じゃあ、ちゃん付けなくてもいいよ。…さすがににゃんは恥ずかしいから……」


そんなわけでチェルシーと呼ぶことになった。


「ねぇチェルシーちゃん」

「なぁに?ララ姉」

「私はチェルにゃんって呼んで良い?」

「ぜ、絶対駄目!!」

「えー?」


…ララさんどんだけ気に入ったの?

チェルシーは親しい人と話すときは少し幼くなります。

甘えん坊です。

かわいい。


追記

ララさんの《ヒール》に関してですが、種類…というか属性が無いやん。と思ったかもしれませんが、作者も思いました。

でも種類で言えば《癒し》という言葉で補完されてるんじゃね?とも思ったのでそのままにしました。

という報告でした。

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