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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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19.お仕事開始!…とダンジョンのお話

無事にララさんと仲良くなることが出来た俺は今、休憩室で彼女から仕事の話を聞いている。


「主な仕事は書類関係が多いの。依頼書の作成にその管理、クエストボードに貼り出したり依頼が重なってないかのチェックも必要だね。迷宮の中で出会う魔物や手に入る素材、迷宮内の道や罠、安全部屋(セーフルーム)の場所を描いた地図の作成なんかもここでやるんだよ」

「迷宮の地図って、当然冒険者の方の情報で作るんですよね?」

「ふふ、もちろん。ダンジョンマスターが用意してるのは、いわゆる初心者区の1階層の地図だけ。致死性の高い罠は無いから、その罠の対処法とかを覚えるために入る人もいて、結構賑わってるよ」

「へぇ、罠の対処法なんて教えてくれるんですね」

「うん。でも下の階層だと、そのノウハウを活かさないと突破できない罠や、逆に引っ掛けになってるような意地悪な罠もあるから、やっぱりそんなに甘くは無いよ」

「あぁ…やりそう…というかそういうの好きそう……」

「ふふふふっ、やっぱりそう思う?」

「はい、なんとなく…」

「ふふふふふ…」


ララさんは終始楽しそうに笑いながら話をしてくれる。

美人の笑顔を間近で見れるのはとても役得なのだが、いかんせんドキドキしてしまいそれを抑えるのに少し苦労する。


…知り合いの奥さんに見惚れるとか、さすがにちょっとまずいよな……。

俺はそういうのはあまり興味が無かったはずなんだが…美とは恐ろしいものよ……。


うーん、そうだ。ちょっと聞きたいことがあった。


「そういえば、ダンジョンってどこにあるんですか?」

「この下だよ」

「え?」

「ギルドに入ったときに、正面に通路があったでしょ?あそこに階段があって、そこからダンジョンに入れるんだよ」

「えっ!?直接ですか!?」

「うん、そうだよ」

「それって危なくないんですか…?」


ギルドとダンジョンが直結してるんじゃ、何かの拍子に魔物が出てくるんじゃ……。


「大丈夫だよ。あそこはいつも冒険者がいるし、第一階層の魔物なら私でも倒せるから」

「へ、へぇ〜…」


グッと腕を上げて、力こぶを作って見せるララさん。

…あかん、フラグに聞こえる。


「あの、そういえば今日はチェルシーちゃんはいないんですか?」

「チェルシーちゃんは種族的な特性もあって朝は少し苦手なの。だからお昼ぐらいに起きて、そこから支度してここに来るからまだ来ないよ」

「種族的な特性?」


フラグの危機を感じた俺は話題をチェルシーちゃんに変えたのだが、また何か気になることを言ったララさん。


種族的な特性…ってことは、チェルシーちゃんは人間ではないってこと?


「あ、そっか。知らないんだっけ。でもこれは本人から聞いてほしいから、私からは教えられないかな」

「なるほど、分かりました。会ったら聞いてみます」


そういうことなら無理に聞くわけにもいかないな。

誰にでもそういうことはあるものだ。


「うん。そうしてあげて…ってもうこんな時間かぁ。それじゃあ後のことはやりながら教えるから、そこの更衣室で制服に着替えてくれる?」

「あの、着替えるのは良いんですけど、私のサイズの服があるんですか?」

「大丈夫、チェルシーちゃんの予備の予備の制服があるから、それを着て。一番奥の下の段に名前が書いてあるから、その中に袋を開けてない新品の物があるはずだよ」

「予備の予備…分かりました」

「じゃ、私はここにいるから、何かあったら呼んでね」

「ありがとうございます、いってきます」


というわけで休憩室の中にあった二つの扉の奥の方、そちらを開け女子更衣室に入る。


…なんかちょっと甘い香りがするような……いやいや待て待てそれ以上はいけない。


しかし、前世でのバイト先でもそうだったけど、女性用更衣室って男性用よりも広いよなぁ…色々準備があるんだろうとは思うけど、そう言わずにはいられない。


まぁとにかく、はよ着替えるとしよう。

えーと?一番奥の下の段っと…あぁ、あったあった。

ではチェルシーちゃん、失礼します!

オープンセサミ!!


おぉ、綺麗に整頓されている。

あの子も、最初の小悪魔系女子の印象からずいぶん変わったよなぁ。

なんというか、努力を怠らない委員長タイプな印象だ。


俺はどちらも好きだけど、本人が楽な方でいてくれれば一番良い。


ん、これだな。それじゃあ、ごめんなさい。お借りします!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お待たせしました」

「わぁ!よく似合ってるよ!」

「ありがとうございます」


着替えを終えた俺に、ララさんの賛辞が届く。


うむ、そうでしょうそうでしょう。

だってマグの体だからね!似合わないものはそうそう無いよ!!


そもそもギルドの制服自体がいい感じのデザインなのだ。


白いブラウスに紺色でチェック模様のスカート、同じく紺色のジャケット。

静かな色の服装に、マグの黄色い綺麗な髪は良く映え、とても可愛い。


それにチェルシーちゃんの桃色の髪にも合っていた。目の前のララさんにももちろん似合っている。


前世で、制服のデザインで学校を選ぶ人の気持ちが少し分かった気がする。


ただ一つ、この服には問題がある。


「あの…ララさん、この服なんで背中がガバッと開いてるんですか?すごくスースーして落ち着かないです……」


そう、この服何故か背中がガラ空きなのだ。


一応、セーラー服の襟のような物で隠されてはいるが、ひらひらしていて少し動くだけでめくれてしまうし、そもそもその襟ですら全てを隠しているわけではない。


そのことをララさんに訴えたのだが…


「あぁ…それは……慣れてね」


できるかいっ!!

とはいえ他に代わりの服も無さそうだし、慣れるしかないか……。


「あ、そうだ、ララさん。着ていた服は上の何も入ってなかったロッカーに入れちゃいましたけど、大丈夫でしょうか?」

「うん、大丈夫。そこは誰も使ってないから気にしなくていいよ。それじゃあ下に行こうか」

「はい」

「あと、できればみんなを紹介したかったんだけど、さすがにお仕事中に邪魔をするわけにはいかないから、そこはおいおい、ということで」

「そりゃそうですよね。分かりました」


そうして下に降りてきた俺たちにリンゼさんが話しかけてくる。


「マーガレット様、よくお似合いですよ」

「ありがとうございますリンゼさん。それと一緒に働くのに様付けはちょっと…」

「申し訳ございません。癖ですのでお気になさらず」

「ララさんは“さん”なのに…」

「ふふふ…私も様が取れたのはまだ最近のことだから、気長に待ってた方がいいよ」

「うーん…そうなんですか…分かりました」

「ありがとうございます。それではララさん、私はこれから鍛治ギルドに向かいます。12時ごろには戻ります」

「はい承りました。気を付けていってらっしゃい」

「はい。いってきます」


リンゼさんはそう言うと、ギルドから出て行った。


「ララさん、鍛治ギルドとはなんですか?」

「その名の通り、鍛治専門のギルドだよ。主に装備品の作成や貴金属の加工が仕事で、オーダーメイドも受け付けてるの。鍛治職人になりたい人が入るギルドなんだよ。他にも商業ギルドや魔術ギルドなんかもあるけど、それはまだ今度ね」

「なるほど、分かりました」


いろんなギルドがあるんだな……。

鍛治ギルド…ファンタジー好きとしてはちょっと気になる。


「それじゃあ、まずはここにある書類を一緒にやって行こうか」

「あ、はい。分かりまし…た……」


ララさんに呼ばれて向いた先には、いくつかに分かれて積み上げられた書類の山があった。


「あ、あの…ララさん…これは……?」

「お仕事の書類だよ。ここは各ギルドの総本部でもあるから、こんなふうに書類がいっぱい届いちゃうの。だからさっきリンゼさんがしたみたいに、それぞれのギルドで捌けそうなものを届けてもらったりするんだよ」

「へ、へぇ…ということはこの書類の中にもまだそういうのが残ってるってことですか?」

「んー…さっきリンゼさんがまとめてたみたいだし、とりあえずはもう無いんじゃないかな?」

「そ、そうなんですか…」


てことは、これを全部やるのか……?


「私はこっちの依頼関係の書類をするから、マーガレットちゃんはそこの棚からノートを一つ持ってきて私の言ったことをメモしてくれる?」

「は、はい。分かりました」


とりあえずは補佐だけっぽい?

まぁ初日からいきなり任せるなんてブラックなことを言われなかったから良かった。


えーと、ノートは…これかな?

ん、なんも書いてない。新品。


「ララさん。ペンはどちらに?」

「こっちにあるから大丈夫」

「はーい」

「さてと、それじゃあやっていくんだけど、まずはそのノートの表紙に「お仕事帳 その1」って書いて」

「お仕事帳 その1…っと」

「次に無くしても大丈夫なように名前を書いて」

「マーガレット・ファルクラフト…はい」

「そしたら最初のページを開いて…」

「開いて…」

「そこからメモしてください♫」

「はーい♫…ってこれ私用のメモ帳になってますよ!?仕事で使うんじゃないんですか!?」

「うふっ…うふふふふ…いいね、マーガレットちゃん…すごくいいよ…ふふふふ…」


…清楚で美しい外見とは裏腹にとてもお茶目な人のようだ。

まぁ最後までノった俺も悪いんだけどね。


「じゃあはい、これ、ペン」

「はい、ありがとうございます」

「でこっちがメモ帳ね」

「あ、どうも。ポケットにちょうど入るサイズなんですねぇ、最初にくださいよ」

「ふふふふ…ごめんね…ふふ…」


ララさんそんなに俺のノリツッコミが気に入ったのか?

それは悪い気はしないけど、そろそろ話を進めてほしい。


「ふぅ〜、とっても楽しいわ。いつもは1人で仕事することが多いから」

「あー、それは…お疲れさまです」

「それじゃ、悪ふざけは程々にしてそろそろお仕事にしようか」

「はい、お願いします」


そこらへんの引き際は(わきま)えてるのか、ララさんはそう言うと書類が山盛りの机の前にある椅子に座る。

俺ももらったメモ帳を持ってララさんの隣に立つ。


そうして俺の初めてのお仕事が始まった。

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