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194.打ち上げ…お世話係

今まで以上にわちゃついてます

メイカ「それじゃあマーガレットちゃんの勝利を祝して!せーのっ…」

全員『かんぱ〜い!』


メイカさんの音頭で、声をそろえてグラスやらカップやらを掲げる。


あのあとルークたちから約束通り謝罪も受け取り、講習会も無事終了。

俺たちは今白兎亭(しろうさてい)に集まって祝勝会を開いている。

なんと、アリシアさんとリンクスさんの厚意で、今夜は白兎亭を貸し切りにしてくれた。


俺たち第三寮舎メンバーとモニカちゃんは当然として、他にも子ども組とその保護者たち全員が参加している。

ショコラちゃんとパメラちゃんの保護者たるそれぞれの両親とナバロさんにはすでに連絡を入れてもらっている。


というか実はあの場に数人村の人たちがいた。

あまり顔を覚えてない俺はともかく、マグもまったく気が付かなかったらしいが、試合終わりの俺たちに話しかけてきたときに発覚した。

ショコラちゃんとパメラちゃんは従業員枠で入れたが、他の人たちは抽選頼みだったのでみんなで応援にはこれなかったそうだ。


まぁともかく、モニカちゃんたちと一緒に応援席にいた人たちがここに参加している。

みんなの可愛く、それぞれみんならしい私服姿を見れて俺は大いに喜んだ。


本当はローズさんも誘ったのだが…


ローズ「ワタシがいると怯えちゃう子がいるから……」


と、遠慮されてしまった。

仕方がないのでその場は諦めたが、マグと相談した結果、この場でローズさんは良い人だと広めることにした。

いつかみんなでローズさんのお店でショッピングとかしたいし、こういうときにイメージを変えておこうという算段だ。


あとモーリッツさんのところの店員さん…この間ハルキとケンカしたあの人も応援に来ていたが、彼は他の飲み友の方に行ったそうだ。


商人としては人脈作りをしてほしいが、知らない人ばかりのところに入るのは落ち着かない気持ちも分かる…とモーリッツさんが言っていた。


それは俺も分かる。


それと、本当はもう一人来る予定だったということをこの場で知った。


コウスケ・マグ「(ミュイファさん?)」

ハルキ「うん。商業ギルドのギルドマスターさ。本人は仕事を放ってでも来て、君と話してみたかったらしいけど、そんな簡単に放れる量じゃなかったんだろうね」

コウスケ「ははは……商業ギルドかぁ……」


コウスケ(そういえば試合も終わったわけだし、テューレさんとリベリアさんとの約束を守らないとだなぁ……)

マグ(試合が終わったらモデルのお仕事を手伝うってあれですね)

コウスケ(そうそう)


多分明日にでも来るだろうなぁ……。

まぁ、今日来てなかったのが不思議なくらいだし、別に嫌々やらされるわけでもないからいいんだけどさ。

あとでララさんたちと予定話し合っとかないと……。


ハルキ「そうだ。商業ギルドといえば、君とユーリさんが載ってるファッション誌が明日発売予定らしいよ」

コウスケ「おっ。ほんとです…」

シエル「ほんとですかっ!?」

コウスケ・マグ((わっ!))


俺とハルキが話しているところに、シエルがファッション誌の発売を聞きつけ食いついてきた。


ハルキ「うん。かなりの人気が予想されるから、各店舗にたくさん納品するらしいよ。よっぽどじゃない限り買えるんじゃないかな?」

シエル「やった!……はっ!」


大喜びのシエルだったが、すぐそばに俺がいることを思い出すと慌てて否定の言葉を並べ始めた。


シエル「かかか勘違いしないでよねっ!あああたしは…そう、服!お洋服が気になるだけなんだから!」

マグ(この前欲しいって言ってたのに……)

コウスケ(他の子に聞かれるのが恥ずかしいんじゃないかな?)


もう俺に言ったことはシエルも理解してるはずだし。

ならば…


コウスケ「うんうん。確かに着させてもらったお洋服可愛かったし、わかるなぁ~!」

シエル「えっ?あっうんそう!やっぱり女の子はああいうの好きなのよ!うん!」

リオ「オレはそこまでじゃないけどなぁ……」

シエル「リオは黙ってて!」


あ~…確かにリオはあんまり興味無さそうだなぁ。

そういう子ほど着飾ってみたくなるんだけどな!

まぁ今はそれよりも、せっかくだからここで1つ振ってみよう。


コウスケ「あの服ね?実はローズさんのお店のものなの!」

子ども組『えっ』


どうしたみんなして。


シエル「ロ、ロ、ローズさん…って…あのフリフリの服を着たムキムキのおじ…っ!?おお、おに、お兄さん…よね……?」

コウスケ「どしたんシエル?」

シエル「い、いや…なんか寒気が突然して……」


ローズさん超感覚持ってるからなぁ……。

あの人実はSランク冒険者だったりしないかな?


コウスケ「まぁ…見た目はインパクト強いけど、とってもいい人だよ?」

シエル「それはまぁ……ユーリさんとかフルールさんの反応見てれば分かるんだけど……その…見た目がどうしても……ね……?」

モニカ「う、うん……それに…大きい人ってちょっと怖くて……」

コウスケ・マグ「(あぁ~……)」


モニカちゃんの言葉に確かに…と思ってしまった。


単純にガタイの良い人ってちょっと怖いよね。

その人が普通着ないようなフリフリの可愛らしい服を着てたらなおさらね……。


というかローズさん……あんなフリフリの服着て、店の商品とか擦らないんだろうか……?

そこそこ広くスペースを取っていたとはいえ、すれ違うときとかアクセサリーに引っ掛けて落としちゃいそうだけど……。


シエル「ま、まぁとにかく……悪い人じゃないのは分かったけど…心の準備があるから……ね……?」

コウスケ「あっうん…わかった……」


残念だけど、ここで強引にいって余計拗らせるわけにはいかないからなぁ……仕方ないか……。


ユーリ「ほらほら!せっかくの勝利祝いに暗い雰囲気出さないの!」

コウスケ「わっ!?」


後ろから声をかけられながら俺は誰かに抱きつかれ、頭部が幸せな感触で挟み込まれた。


マグ(このふにふには……ユーリさん!)

コウスケ(うんまぁ褐色肌が見えてるしね……)


ってかマグは心の中で感じるかすかな感触だけで誰のお胸か分かるの……?

なかなか極まってきたね……。


ユーリ「マーガレット!試合勝利おめでと~!」

コウスケ「ありがとうございます、ユーリさん!」

ユーリ「いやぁ~…ルークくんが暴走したときは焦ったよ~!でもそれ以上に他の子たちが大変で……」

コウスケ「えっ?何があったんですか?」

ユーリ「パメラちゃんとメリーちゃんとチェルシーちゃんが飛び出そうとして、リオちゃんがそれを止めて、モニカちゃんが呆然として、ショコラちゃんが衝撃を受け止めきれなくて、サフィールちゃんがショコラちゃんを慰めて、シエルちゃんが気絶した」

コウスケ「大惨事」


あのときそんなことになってたの?


コウスケ(集中してたから気付かなかったなぁ……)

マグ(う~ん……?その割にはみんなあんまりベッタリ来ないですね……?)

コウスケ(ん…確かに……)


いつもならちょっとしたことでもスリスリ甘えにくるのに、今はみんな普通に楽しんでいる……。

そのことをユーリさんに尋ねてみた。


ユーリ「あぁ……マーガレットが変身するまではみんな泣いたりして大変だったんだけど、変身してルークくんに勝ったら落ち着いて、ルークくんに「噛みつく」って言ったあたりからもう雑談し始めたよ」

コウスケ・マグ「(えぇ……?)」


どういうことなの……?


ユーリ「私も、「あぁ~…マーガレットだなぁ…」って感じたし、別に不思議じゃ無いかな」

コウスケ「いやいや十分不思議なんですけど?」


なんで急に安心しちゃったの?


ユーリ「もうあそこまで行ったらよく分からなすぎて逆に冷静になっちゃったんだよ……」

コウスケ・マグ「(な、なるほど……)」


それは申し訳ない……。


パメラ「マグぅ~♪」

コウスケ「おっと」


そんな話をしていた矢先に、パメラちゃんが俺に抱きついてきた。

後ろはユーリさんがいるので正面からなのだが……なんだかいつもより抱きつく力が強いような……?


パメラ「マグぅ~…♪今日のお花の魔法、すっごくキレイだったよ!」

コウスケ「そう?ありがとう」

パメラ「それとね?あの…ピンクの竜巻!あれもキレイだったよ!」

コウスケ「あぁ、あれ?ふふん♪そうでしょそうでしょ?自信作だよ!」


ちょっと身構えたが、パメラちゃんはひたすらあれが凄かった、これが綺麗だったと褒めてくれた。

それが嬉しくて調子に乗ってきた俺に、パメラちゃんはまだまだ続ける。


パメラ「あとあの変身魔法!マグすっごくかっこよかった!」

コウスケ「えへ~♪ありがと~!」

パメラ「でも……」

コウスケ「ん?」


ぎゅうっ…と抱きしめる力が強くなった。

そして今までとは打って変わって、とても沈んだ声でひと言…


パメラ「死んじゃうんじゃないかと思った……」

コウスケ・マグ「(…っ!)」


そのひと言はとても小さく、それでもはっきりとこの場の全員に聞こえた。


パメラ「マグぅ……やだよぅ……マグまでいなくなっちゃったら……私……もう……!」

コウスケ・マグ「(…パメラ……)」


どうしよう……どう慰めたら……。

そう考えているとき、ユーリさんが離れていった。

が、次の瞬間、すぐに別の誰かが抱きついてきた。


ショコラ「ぐすっ…うぅぅ…!」

コウスケ・マグ「(ショコラ……)」


ショコラちゃんが泣きながら抱きついてきたのだ。


ユーリさんは気を遣って離れたのだな……。

ってかあかん……この子らにとんでもないトラウマを植え付けるところだった……。


そしてさらに抱きついてくる子がいた。


チェルシー「うえぇぇ…!マギーちゃ~ん……!」

メリー「……マグぅ……!」

コウスケ・マグ「(チェルシー…メリー……)」

4人『うわぁぁぁぁ……!』


俺は四方から抱きつかれ泣かれることになった。

しかも見れば、モニカちゃんとシエルも泣いており、リオとサフィールちゃんも目が潤んでいる。


つまり子どもたちをみんな泣かせたことになる。


コウスケ(えーと…えーと……ど、どうしたらぁ……!?)

マグ(…誠意をもって謝りましょう…コウスケさん。それしかないと思います……)

コウスケ(…………だね……)


やっぱりそれが一番だよな……。


コウスケ「……ごめんね、みんな……心配かけちゃって……」

パメラ「…………やだ……」

ショコラ「…許さないもん……」


…これはかなり傷を負わせてしまったなぁ……。

まぁ…そう簡単に許してもらえるようなことじゃないからな……。


コウスケ「…………ごめん……」


それでも…ひたすら謝るしかない……。

…このことで一番悪いのは、みんなを心配させて、マグのことを危険に晒した俺だ。

そのことを伝えられれば、マグのことは許してもらえるのになぁ……。


パメラ「……本当に悪いと思ってる…?」

コウスケ「うん……」

パメラ「……なら……マグは今日…ずっとみんなのお世話して……」

コウスケ・マグ「(お、お世話……?)」

パメラ「みんなに心配かけたんだから、みんなに「ごめんなさい」の気持ちでお世話して!」


え~っと…つまり……


マグ(みんな不安だから、ずっと一緒にいたいんですね)

コウスケ(まぁ…そういうことなら……)


ノーダメの約束も守れなかったわけだし……。


コウスケ「それじゃあ……何からすればいいかな…?」

パメラ「…♪私、あれが食べたいな♪」

コウスケ「ん…あれね。……え〜っと……動けないんだけど……」


俺が暗に離れてほしいと言うと、4人はより強く抱きしめてくる。


こりゃ離れないな……。


コウスケ「メイカさ〜ん……!」

メイカ「う〜ん……今回はさすがに助けられないかなぁ〜……」

コウスケ「うぅ…ユーリさん…?」

ユーリ「うっ……!ダ、ダメッ!」

コウスケ「むぅ……」


ユーリさんはもうちょいだったんだけど、彼女は俺から離れていってしまった。


どうしよう……?


モニカ「マーガレットちゃん、私が取るよ…!」

コウスケ「あ、ありがとうモニカちゃん…!」

ショコラ・パメラ・チェルシー「「「あぁ〜っ!?」」」


テラ優しい子、モニカちゃんが食べ物を載せたお皿を持って渡してくれた。


ショコラ「むぅ〜!ダメだよモニカちゃ〜ん!もっとマグを困らせたかったのに〜!」


酷い。


モニカ「で、でも……私がもっとしっかりしてればよかったことだし……」

チェルシー「うっ…そ、それならあたしこそ…あそこの言い合いで負けなければ……」

モニカ「ううん…違うよ…!私が何も出来なかったから……!」

チェルシー「で、でも…あたしだって何も出来なかったし……!」


…これは止めたほうがいいな……。


コウスケ「落ち着いて2人とも。それはもう終わった話でしょ?」

モニカ・チェルシー「「で、でも……!」」

コウスケ「それに、自信満々に完全勝利するって宣言したのに、失敗したのは私の油断が原因なんだから、2人は悪くないよ」

モニカ「うぅぅ……!」

チェルシー「でもぉ……!」


まだ納得しないか……仕方がない……。


コウスケ「パメラ、ごめん。これ持っててくれる?」

パメラ「むぅ…まぁしょうがないね……」

コウスケ「ごめんね。ちゃんとあとでお世話するから」

パメラ「もちろんだよ。マグが忘れても絶対おねだりするんだから。ショコラ、メリーちゃん」

ショコラ「うん」

メリー「……うん」


ひとしきり泣いて甘えてすっきりしたのか、パメラちゃんたちは意外とあっさり離れてくれた。


俺はまだ抱きついたままのチェルシーを片手で抱きしめ、もう片方の手をモニカちゃんに向けて呼ぶ。


コウスケ「モニカちゃん、おいで」

モニカ「っ!…で、でも……」

コウスケ「言ったでしょ?約束守れなかったのは私の方なの。だからせめて、もうひとつの方はしっかり守らないとね」

モニカ「もうひとつ……?」

コウスケ「忘れたの?またいっぱい撫でるって方だよ」

モニカ「あっ…!」

コウスケ「だから、モニカちゃんは少なくとも、私に好きなように甘えていいんだよ」

モニカ「えと……ほんとに……?」

コウスケ「嫌……?」

モニカ「ううん…!嬉しいよ…!でも……ほんとにいいのかなって……」


ほんと、優しい子だよねぇ……。


コウスケ「いいよ。おいで」

モニカ「あぅぅ……!」


悩んでる悩んでる。


マグ(もう一歩ですね)

コウスケ(だね。ならば背中を押してあげよう)


コウスケ「…それに、私もモニカちゃんを甘やかしたいなぁ」

モニカ「!」

コウスケ「だから…お願い、モニカちゃん」

モニカ「あぅ…!…え、えと……じゃ、じゃあ……」


遠慮しつつもどこか嬉しそうにそっと抱きついてきたモニカちゃんを、俺も優しく包み込む。


コウスケ「モニカちゃんもチェルシーも、さっきパメラが言った通り、今日は私にガンガン甘えていいからね?」

チェルシー「やった♪」

モニカ「パメラちゃん…ごめんね……順番なのに……」

パメラ「いいよ〜。モニカちゃんの気持ちも分かるしね。私たちが泣いちゃったから、余計に自分のせいだ〜って思っちゃったんでしょ?」

モニカ「…うん……」


あぁ…なるほど……。

それでパメラちゃんはあっさり引き下がったんだ。


ショコラ「えっ…そうだったんだ……ごめんねモニカちゃん…チェルシー……」

チェルシー「大丈夫だよショコラちゃん!あたしの方こそごめんね…?」

ショコラ「ううん。…えへへ…なんだか謝ってばっかりだね……♪」

チェルシー「そうかも……ふふふ…♪」


和やかな雰囲気が場を包んでいく。


やっぱり、こういう微笑ましい光景って癒されるよなぁ……。


ショコラ「じゃあその原因のマグには、お詫びとしていっぱい甘やかしてもらわないとね!」


おや?


チェルシー「えへへ…♪マギーちゃんもいっぱい甘えていいって言ったもんね!」

パメラ「うんうん!」


まぁ言ったけど。


チェルシー「それじゃあマギーちゃん!早速あたしのことをいっぱいなでなでして〜!」

コウスケ「はいよ〜」

チェルシー「んふ〜♪」

モニカ「あっ…あっ…!マ、マーガレットちゃん…!わ、私も…!」

コウスケ「いいよ〜」

モニカ「あっ…えへへへ…♪」


ま、これくらいならお安い御用さね。


チェルシー「ありがと、マギーちゃん!」

モニカ「ありがとう、マーガレットちゃん…!」

コウスケ「どういたしまして〜。それじゃあお待たせ、パメラ」

パメラ「待ってました〜♪」


2人が満足して離れたところで、さっき2人に譲ってあげたパメラちゃんの相手に戻る。


パメラ「じゃあね〜…まずはこれ食べさせて♪」

コウスケ「あいよ〜」


パメラちゃんからお皿を受け取り、それを最寄りのテーブルに置く。

持ったまんまは危ないからね。


そして、パメラちゃんご所望のサイコロ状にカットされた何かのお肉を口に運ぶ。


コウスケ「はい、あ〜ん」

パメラ「あ〜…ん♪もっきゅもっきゅ…ん〜!美味しい〜♪」

ショコラ「いいな!いいな!ショコラもあーんして!」

コウスケ「はいよ〜。ショコラは何がいいの?」

ショコラ「ん〜とねぇ…お肉!」

コウスケ「ざっくり」


お肉だけで何種類あると……まぁいいか。


コウスケ「ならこれとか美味しそうだよ」

ショコラ「ほんとだ!マグ!」

コウスケ「ちゃんと食べさせてあげるって…ほら、あ〜ん」

ショコラ「あ〜ん♪んふふ〜♪」

コウスケ「美味しい?」

ショコラ「うん!」


そりゃアリシアさんとリンクスさんが用意してくれたんだから美味しいに決まってるよなぁ。


メリー「…………」

コウスケ「メリーは?何か食べたいものとかある?」

メリー「…………えっと……」


何かを悩んでいる様子のメリーは、てこてこと俺に近づくと、耳元に顔を寄せてきた。


なんだろう?

もしやお手洗いか?


メリー「………あ、あのね……?」

コウスケ「うん…」

メリー「…………ちゅうちゅうってさせて……?」

コウスケ・マグ「(えっ)」


ちゅうちゅうって、吸血のことだよね……?

でも…


コウスケ「……いいの?今したら……」

メリー「……大丈夫……みんななら…大丈夫…だと思うから……」

コウスケ「…そっか。わかった、いいよ」


メリーが覚悟を決めたんなら、俺は応援するだけだ。


服を少しずらし、メリーに対して首筋が良く見えるようにする。


コウスケ「はい、どうぞ」

メリー「……(こくり)」


メリーは頷くと今までは出さなかったのに、背中から羽を出した。


(…メリーって羽あったんですねぇ……)

(だね。可愛い羽……)

(はい。小さくて、綺麗な紫色の羽ですね……)


俺たちが羽を見ていると、メリーはいつも通り俺の首筋に牙を突き立てるべく顔を近づけてくる。


その様子に他の人たちは驚きを隠せないようだ。


ショコラ「えっ?えっ?も、もしかしてメリーって吸血鬼……?」

リオ「だから闘技場で吸血鬼のことを聞いてきたのか……」


周りの声を聞きつつ、チラリとメリーの顔を窺う。

メリーは口をぎゅっと閉じ、緊張した表情をしている。

よく見ると少し震えているのがわかった。


コウスケ「メリー」

メリー「……大丈夫…大丈夫……」

コウスケ「うん。だからおいで。メリーは大丈夫」

メリー「……うん…」


少し落ち着いたメリーは、俺の首筋にかぷっと噛みつく。

そんな彼女の頭と背中を撫でながら、俺は他の子に目を向ける。


コウスケ「驚いた?」

パメラ「う、うん……!」

ショコラ「メリー…吸血鬼だったんだね……!」

コウスケ「そ。どう?本物の吸血鬼は?怖い?」

ショコラ「ううん…!だってメリーだもん!」

パメラ「うん!むしろ嬉しいよ!だって吸血鬼なんてお話の中でしか知らない種族とお友だちなんだもん!」


ショコラちゃんとパメラちゃんを筆頭に、他の子たちも口々にメリーに好意的な感想を述べてくれる。


俺はそれを聞いたのち、俺の血を吸っているメリーに話しかける。


コウスケ「だってさ。よかったね、メリー」

メリー「……ちゅう♪」

コウスケ「吸って反応を返さないの」


横着するな、かわゆき者よ。


モニカ「あっ…メリーちゃんが吸血鬼さんだってことは、もしかしてフルールさんも……?」

フルール「そうよ。私も吸血鬼。ほら」

子ども組『わぁぁ…!』


モニカちゃんの疑問に答えたフルールさんは、背中から羽を広げてそれを確認させる。


その羽はメリーと同じ綺麗な紫色で、「可愛い」という感じのメリーの羽に対し、フルールさんの羽は「美しい」といった感じだ。


その美しさに、みんなが感嘆の声を上げた。


メイカ「フルールらしい綺麗な羽ねぇ…!」

ケラン「はい……凄く美しいです……!」


マグ(ケランさんがものすごいボーッと見惚れてますねぇ…♪)

コウスケ(綺麗だもんなぁ……それだけじゃないかもだけど)


まぁそれは本人の問題なのでいいとして…


メリー「…ぷぁ…♪」

コウスケ「満足した?」

メリー「…うん♪」

コウスケ「そか。ならよかった」


みんなに受け入れてもらい上機嫌のメリーの笑顔に、俺も自然と笑みを浮かべる。


マグ(よかったねメリー)

コウスケ(うん。でも、ショコラちゃんたちなら大丈夫だとは思ったけど、やっぱり怖いもんだねぇ……)

マグ(ですね……私もドキドキしました……)


ほんとほんと。

受け入れてもらえなかったらどうしようかと思ったよ……。


でも、結果はこれ。

本当によかった……。


メリー「……マグ…」

コウスケ「うん?」

メリー「……もう1個…お願い……」

コウスケ「ん、なぁに?」


いいぞメリー。

このおめでたいムードの中なら、大半のことならやってあげちゃうぞ。


メリー「………かぷかぷ…して……?」

コウスケ・マグ「(……………………え?)」


なんて?


コウスケ「か、かぷかぷ……とは……?」

メリー「……えっと……ルークにやったみたいに……マグの方から……かぷって……///」

コウスケ「え〜と……つまり魔力を吸われたいと……?」

メリー「(ふるふる)……吸わないで……かぷかぷだけしてほしい……」

コウスケ「かぷかぷだけ……」


あぁ〜……要は「甘噛み」だ。

ペットとかが親愛表現にするやつだ。多分。


それをしてほしいって……ん〜……。


コウスケ「…まぁ…それならいいか……」

メリー「……!」


傷付かないように気を付ければいいだけだしね。


コウスケ「えっと…じゃあ……首元失礼します……」

メリー「……ん……」


なんかちょっとドキドキしちゃうなぁ……。


コウスケ「…あ……む……」

メリー「ん……」


歯を当てないように唇だけでパクッといく。

多分痛くはないと思うけど……。


メリー「んぅ……♡」


顔は見えないけどメリーからは甘い声が聞こえてくるし大丈夫だろう、多分。


チェルシー「ふわぁ……」

モニカ「いいなぁ……」

ショコラ「メリー気持ちよさそう……」


周りの声も好意的だし、これであってるんだろう。きっと。


マグ(コウスケさぁん……私もかぷかぷ〜ってしてほしいです……)

コウスケ(ん……そんなに羨ましいもんなの……?)

マグ(はい……コウスケさんにかぷかぷされるって思っただけで……うへへへへへ…♡)

コウスケ(そんなに…?)


俺もメリーにかぷられるから分かるっちゃ分かるけど、そんなに羨ましいもんなのかねぇ……?


メリー「…んふ……♪」


…まぁ、喜んでるみたいだしいいか。

とりあえずこの辺り一帯を甘噛みしていこう……。


コウスケ「あむ……んむ……はぷ…はぷ……」

メリー「んぅ……んにゅ……ふぅ…うゅ……♡」

コウスケ「ん…ちゅ……ちゅぷ……ぽっ……ふぅ……」


最後の方、唾液が混じってきちゃったからちょっとベタベタにしちゃった……。

拭いとかないと……。


メリー「…マグ……」

コウスケ「ん?」

メリー「…ありがと……♪」

コウスケ「ん…どういたしまして。っても、あれでよかったの?」

メリー「…うん♪」


満足なようだ。

そっかぁ……まぁ満足なら別にいいかぁ……。


モニカ「マ、マーガレットちゃん……!」

コウスケ「ん…どしたのモニカちゃん?」


この流れだと多分あれだけど、一応聞いておこう。


モニカ「あ、あのね……!えっと……その……!」


顔を赤くして言い淀むモニカちゃん。

その可愛らしい姿とは裏腹に、次に彼女が発した言葉はとんでもない威力の爆弾だった。


モニカ「わ、私のことも、食べてくだしゃい…!」

コウスケ・マグ「(ふぁっ!!?)」

リンクス「ぶふぅっ!!」


あぁっ!

リンクスさんが吹き出してめっちゃ咳き込んだ!

すぐにいろいろ判明させとかないと!


コウスケ「え、え〜っとモニカちゃん……?それは今メリーにしたみたいに甘噛みしてほしいってことでよろしい……?」

モニカ「う、うん……!いっぱいはむはむかぷかぷしてほしい……!」

コウスケ「は、はむはむかぷかぷ……」


コウスケ(…なんか…今日のモニカちゃん積極的……?)

マグ(そうですね……コウスケさんがさっき、ガンガン甘えていいって言ったからじゃないですかね……?)

コウスケ(そ、そうかぁ……まぁ…いつもどっちかって言うと遠慮気味だし、積極的なのはいいことだな。うん)


ショコラ「はいはい!ショコラもショコラも!」

チェルシー「あっ!マギーちゃん、あたしも〜!」


どうにか自分を納得させたところに追加注文がわんさか入ってくる。


コウスケ「…はいはい、順番ね」

ショコラ・チェルシー「「やったぁ♪」」


今日の俺はお世話係だし、これくらいならまぁ問題無いし……。


ちょっと諦めが混じりつつも、とりあえず俺は最初の注文者であるモニカちゃんを呼び寄せた。

夏前半ってどの辺りまでを言うのか……。

せめてひと言何か言ってくれれば、それでとりあえずは納得できるのに……。


……あっ、ゲームの話ですw

事前に出されたアップデートの予定表がまったく機能してない結果になってるんですよね……。


コロ…流行り病とか単に間に合わなかっただけとか、なんにせよひと言欲しい……。


…まさか忘れている……?

不安だ……。


…まぁそれはともかく、次回の更新は8/23(月)の予定です。

次回もわちゃついてます!お楽しみに!




追記…ミスってる部分を教えていただきました。


ユーリのセリフにコウスケの名前を当てていたので修正致しました。


ご報告、ありがとうございます。




…さらにミスしてる部分を教えていただきました……。


コウスケがモニカちゃんに対し、「もっと自分に甘えていいんだよ」と促している部分が、コウスケの一人称がモニカちゃんと話しているにも関わらず「俺」になってましたので修正しました。


ほんとにありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] コウスケ「だから、モニカちゃんは少なくとも、俺に好きなように甘えていいんだよ」 コウスケ!俺になってる!ばれてる!
[気になる点] 〉コウスケ「あぁ……マーガレットが変身するまではみんな泣いたりして大変だったんだけど、変身してルークくんに勝ったら落ち着いて、ルークくんに「噛みつく」って言ったあたりからもう雑談し始め…
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