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188.前日の夜…作戦会議と乙女の相談

さてさて。

お風呂から上がってマグと交代交代で晩ご飯を済ませたところで、俺はディッグさんたちと明日のことを話し合う。


なおキスマークはお風呂に入ったときにはすでに無くなっていたらしい。

あれを見るたびに朝の出来事を思い出して心に悪いので正直助かった。


「いよいよ明日だなコウスケ」

「はい」

「今日の練習はどうだった?」

「結構いい感じでした」


ケランさんに答えた通り、今日の練習はとても実のあるものとなった。

《サンダー》は手加減して痺れる程度まで威力を落としたし、《マナウォール》の使い方にも磨きがかかったし、《サンダーオーブ》に魔力を多めに注ぐことで2回まで電撃の支援攻撃を放つことが出来るようになった。


前はそのまま突撃して命中するか、雷撃を飛ばすかのどちらか片方をすれば消えてしまったが、これなら戦略の幅がグンと上がる。

雷撃→突撃。雷撃→雷撃。

コンボが繋げられるのはなかなか大きい。

しかも消費魔力も単純に2倍してみたわけでは無く、ちょっと足してみただけで出来るようになったのだ。


これはもはや進化だろう。


そして他の魔法。

《バウンディングボルト》は既に完成されているので威力を絞るだけでいいし、《タフネスカバー》は今日男性特攻を得たので攻撃面でも役に立つ。


…まぁ…痛みを知るものとして、あまり使いたくはないが……。

今日の奴らは……しょうがないね☆


尖ってる部分じゃないから大丈夫だよ。

平均台で滑って強打しただけだよ。

十分痛いな。因果応報。


雷桜(らいろう)吹雪》もどうにか威力を絞ることが出来た。

これで相手を八つ裂きにすることは無いだろう。


《サンダーアイヴィー》はよく考えたら俺の体から発動させる数少ない魔法の一つだ。

詠唱も至ってシンプルにまとめられたし、杖を使えば射程もちょっとだけ補える。

なんならその状態でぶん回せばかなりリーチのある武器と化す。


なんだこれ、めっちゃ万能じゃん。

元ゲーより万能じゃん。


《ウェポンクラフト》は数をこなそうとすると時間がかかるが、某王子のわき腹に刺さったトロンみたいにしたらめっちゃ簡単にできた。

量産も出来た。

でもこれを武器と言うのはいかがなもんか。


なのでこれは《ニードルボルト》と名付けた。

99発撃ったら雰囲気リロードを挟んでみる予定だ。

ついでにちょっとした爆発も起きる。

スピードシューターが欲しくなった。


それと今回の試合のルールでは、《ヒール》などの回復魔法も使っていいらしい。

だがノーダメクリアを目指す俺には関係ない。

一応練習はしたが使わないのが一番だ。


そしてなんといっても《D・ブルーム》。

マグとメリーを大喜びさせた、俺の最高傑作と言っていい魔法だ。


あの花畑は、《マナウォール》によって安全に歩けるようになった。

ただ、魔力の消費を抑えるのは難しい。

花一つ一つはそこまでコストがかからないのだが、広範囲かつ攻撃能力と浸食能力を持たせるとどうしてもお高くついてしまう。


浸食能力は除いてもいいとして、あとはまばらに残ってトラップとして機能しなくなった花は回収して魔力に戻すことで疑似的な回復も出来るようにはなった。

なのでとりあえずこれで…と切り上げたのだ。

つまり完全には詰められていない。


しかしこのノウハウを応用して、自分の一定範囲内に任意設置できる《サンダーマイン》を考え付いた。

まぁそこまで難しいことでもなく、罠と言えばとりあえず地雷という程度の考えだ。


しかし、威力の調整ができ、詠唱もざっくり。

発動も簡単で相手が踏むか俺が任意で発動させればいいだけ。


まさにシンプル・イズ・ベスト。


そして最後に《纏雷(てんらい)》。

これはメリーから聞いて興味を持ったメイカさんとユーリさんが、ぜひ使っているところを見てみたいとお願いしてきたので発動。

そしたら…


「「可愛いぃぃぃぃ!!!!」」

「むぎゅぅっ!?」

(ほよっ!?)


両方にガッツリ抱きしめられた。


「ねぇねぇ!これって感覚繋がってるの?」

「い、いえ……魔力で作ったものなので感覚は繋がってないです……」

「そっかぁ……」


この狐さん……繋がってたらまたイタズラするつもりだったな……?

反省してないな……まったく……。


「ユ・ウ・リ・さん?」

「うっ!?ごめんなさいごめんなさい!お耳ふ~ふ~はしないからぁ…!」

「…まったくもう……」

「なぁコウスケ。感覚が無いなら、その尻尾とかはただの飾りってことか?」

「あ~いえ…魔法で作ったものなので、俺の意志で自由に動きます」


示すように耳をピコピコ尻尾をユラユラ。


「あぁんもう!可愛すぎるぅぅ!!」

「ぐえぇぇ…!」

「わぁぁ!?メイカさん!締まってる!首締まってますぅ!」


ユーリさんが止めてくれなければ、テンションの上がりすぎたメイカさんに締め落とされていただろう……。


「げほっげほっ…!はぁ…ありがとうございます……ユーリさん……」

「だ、大丈夫……?」

「…どうにか……げほっ……」


うぅぅ……ケモミミ付与はメイカさんの前じゃ危険だな……。

前も襲われたし……。


(あぁ…ふにふにが……)

(マグはもうちょい自分の体の心配しようよ……)


なんで締め落とされそうな自分の体よりメイカさんとユーリさんのふにふにが離れることを恐れるの?


「それにしても……なんだか見たことない形の尻尾だねぇ……」

「えぇ…それに角まで生えるなんて、とても高ランクの魔物のみたいだよ……」


気を取り直したユーリさんの言葉にケランさんも頷いた。

そんな二人と他の人たちに、メリーたちにしたものと同じ説明をした。


「なるほどぉ……でも、今のマーガレットの姿はとっても可愛いよ!」

「俺はまだ見てないんですよねぇ……ちょっと見てきていいですか?」

「そうなの?うん、いいよ」

「ありがとうございます」


ユーリさんに許可をもらったので脱衣所に向かい鏡を見る。


「あっ可愛い」


分かってはいたが、厳つい角と大きな尻尾が付いているマグもとても愛らしかった。


(おぉぉ…!こんな形の角と耳だったんですねぇ…!かっこいいです!)

(でもマグ自体が愛らしいから、やっぱり可愛くなるね)

(はにゅっ!?あぅぅぅ……ありがとうございましゅ……///)


あぁもうほんと可愛いなぁマグは!


確認と再確認が終わったのでリビングに戻る。


「戻りました~」

「おかえり~」

「……コースケ」

「うん?」


ユーリさんの返事のあとに、メリーが俺に話しかけてきた。


「どうしたの?」

「…あれ見たい」

「あれ?」

「…ぷにぷに」

「ぷにぷに……あぁ、あれね」


多分肉球のことだろう。

というわけでネコハンド現界。


「むふ~♪(ぷにぷに)」


よしよし…正解のようだな。


「あっ!なにそれ~!」

「…ネコちゃん♪」

「へぇ~!ねぇコウスケぇ、私も触っていい?」

「はい、どうぞどうぞ」

「やった♪」

「あぁっいいなぁ~!」

「メイカさんも触ってみます?」

「触る~!」


(あっあっ!いいないいなぁ~!)

(マグはまたあとでね)

(うぅ~!)

(何かサービスしてあげるから)

(う?……それならいいです♪)


あっまずい。

なんかイタズラを思い付いたような感じがする。


嫌な予感がする俺には気付かず、ネコハンドをぷにぷにしてきゃっきゃっする女性陣。

しばらく触って一向にやめる気配が無いと悟った俺は3人に声をかける。


「…あの~…そろそろ……」

『えぇ~!』


駄目だこりゃ。

はぁ……まぁいいか。


仕方がないのでそのまま話を続けることに。


このネコハンドも《纏雷(てんらい)》の一部だが……なんで猫の手なんだろう?

せめて犬の手にはならなかったのだろうか?

いやある意味これはこれでピッタリかもしれないけどさ、参考作品的に。


んでまぁその《纏雷》だが、どうやら《ストラアップ》と重ね掛けが出来るようだ。

もちろんその分魔力消費は激しくなるが、それでもこれはかなり有用だ。

ここぞというときに必ず力になってくれるだろう。


それにこの付属品たちも役に立つことが分かった。

角は硬く、これで頭突きをしたら勢いによっては突き刺さりかねないほど。

尻尾もしなやかに動く割には頑丈で、これなら本家のように尻尾ぶん回し打ち上げ攻撃が出来るかもと試した結果、本当にできてめちゃくちゃ興奮した。


耳は感覚が無いため、この間のネズ耳のように音が聞こえるわけでは無いが、ピコピコ可愛らしく動く耳がマグに生えていると考えるだけでテンションが上がる。

暇を見て鏡の前で付けた姿を眺めていたい。


まぁそんなわけで魔法の出来は上々。

あとは作戦を考えてゆっくりと体を休めて明日に備える。


「作戦か…そうだなぁ……何はともあれ強化はしておかないとじゃないか?嬢ちゃんの体は戦闘向きじゃないからな」

「そうですね……僕もそう思います。そのあと相手が詰めてきたら壁を貼って逃げてから反撃を始めるべきかと」

「ん…向かってきた時点で反撃は駄目なんですか?」

「攻撃に対して攻撃で対応するには、相手の挙動を読んで、かつ速さで上回らないと避けられて終わりだからね。一見このトラップ系は有効に見えるけど、一足で飛び越えられれば意味が無いし、そもそもトラップ系はひっそりバレないように仕掛けておくものだから、1対1の今回の試合じゃあそうそう出番は無いかもね」

「むぅ……」


確かに《D・ブルーム》は複数相手の方が効果を発揮できるだろうし、《サンダーマイン》も自分が踏み抜かないように少しだけ魔力を漏らす必要があるから、不意を突かなければまずバレるだろう。


迎撃に関しては《サンダーアイヴィー》なら外れてもぶん回すという二次攻撃が出来るのでいけそうなもんだが、実戦経験豊富な先輩冒険者の忠告はしっかりと聞いておくべきだろう。


となれば…


「なら、壁を作って初動を見たあとはどうしましょう?俺は手数を増やすためにオーブか盾を呼び出しときたいんですけど……」

「そうだね……始めは準備に費やした方がいいかもね」

「だな。だが、魔力の多さを利用して、一撃で叩き伏せるってのもありだろう。こっちが重い一撃を持っているってだけでも、相手は足が鈍るはずだ」

「なるほど……」


要は威嚇(いかく)か。

その一撃に注意を向かせて、他の攻撃で翻弄する……よさそうだなぁ。


でもケランさんの作戦も良さげだ。

バフを盛りまくってから万全の状態で戦う……初動は相手に譲ることになるが、そのあと圧倒すればいいだけだ。

肉を切らせて骨を断つ…というやつだな。


「ま、なんにせよ近づかせないように立ち回るのが大切だ。向こうの強化具合が分からないなら尚更な」

「そうね。距離が空いてれば心にも余裕ができるわ。コウスケもマーガレットちゃんも、しっかりとした試合は初めてなんだし、まずは冷静に。緊張したり焦ったりしたら、それだけ自分を危険に晒すことになるからね」


ディッグさんがそう話を締めると、メイカさんが真面目にアドバイスをくれた。


緊張……緊張かぁ……。


「俺そういうの弱いんだよなぁ……」

「あらら……まぁそれはマーガレットがいるから大丈夫じゃないかな?ほら、試合前にマーガレットと話してれば緊張も無くなるって!」

「………あり得る……」

「でしょ?」


ユーリさん天才かな?


(任せてください!コウスケさんが緊張したら、いっぱいお話して緊張を無くしちゃいますね!)

(ふふふ…うん、よろしく、マグ♪)


そうしてみんなに相談しつついくつかの作戦を考えたところで、明日に備えて早めに寝ることを勧められたのでお礼を言って部屋に戻った。


猫の手を出してマグが満足するまで触らせたのだが、マグはもう一つお願いを出してきた。

俺が言った「サービス」分だ。

その内容は…


(コウスケさんの可愛いと思うポーズを鏡の前でして私に見せてください♪)


というものだった。


(って待て待て待て待て?それが追加サービス?)

(はい♪あっ、猫の手はしまっても大丈夫ですよ)

(いやそういうことじゃなくて……)


なんでそんなことを?


(ふふん♪コウスケさんが思う可愛いポーズを覚えて、コウスケさんにそれでおねだりしちゃうんです♪そうすればコウスケさんは喜ぶ、私はコウスケさんにおねだりしやすくなる。どっちにも美味しいことだと思いませんか?)


どうしよう……ちょっと良いなって思ってしまった……。


(まぁわかったよ。そういうことならマグの魅力を引き立てるポーズをいっぱいしようじゃないの)

(えへ〜♪お願いしま〜す♪)


マグに可愛くおねだりされて、俺は鏡の前に立った。


さて……まずはそうだな……ちょっとした動きから始めていこうかな。


というわけで腰に手を当てたり、ピースしてみたりと小さな動きからやり始めた。

そして段々と大きくポーズを取っていく。


(おぉ〜!なるほどぉ…!わぁぁ!可愛いですぅ!)


1ポーズごとにマグが喜んでくれるので、調子に乗ってロビーアクションもいろいろやり始めた結果、気が付いたらいつも寝る時間になってしまっていた。


(ってマグ!もうこんな時間だよ!?)

(うわぁほんとだ!?それじゃあ寝ましょうコウスケさん!)

(うん!)


やべぇやべぇ。

ポーズ取ってて寝不足ですとか、優しいモニカちゃんすら呆れてしまいそうだ。


(コウスケさんコウスケさん)

(どったん?)

(いろんなポーズ、ありがとうございます♪)

(いいよぉ、俺も楽しかったし♪)

(ノリノリでしたもんね♪)

(マグが可愛いからなぁ♪むしろマグに好きなポーズをとってもらってるみたいで役得だったよ♪)

(えへ〜♪そうですか〜♪……コウスケさん)

(うん?)

(…楽しみにしててくださいね♡)

(っ!)

(うふふふふ♡)


…なんか毎日ドキドキさせられてる気がする……。

いや別にいいんだけどさ……なんか年上なのに負けっぱなしって感じがするなぁ……。

まぁそれも役得ではあるんだけど。


マグと話しつつ手早く寝支度を済ませ、日記を書いて明かりを消してベッドに入…ろうとしたところで扉がノックされた。


「は〜い」

「……コースケ……」

「メリー」


扉を開けると、メリーがもじもじしながらそこに立っていた。


「どうしたの?」

「………えっと……今日も…一緒に……!」

「一緒に寝る?」

「……(こくり)」

「うん、いいよ。おいで」

「…!……うん♪」


俺が招くと、メリーはとても嬉しそうに笑って入ってきた。


「メリーはもう寝る準備は出来てるの?」

「……うん」

「それじゃあもう布団に入ろっか」

「………うん…///」


メリーと共に布団に潜り込む。

向かい合って横になったのだが、メリーは顔を赤くして顔を俯かせ、ときおりチラッとこちらの顔を見やってはすぐにまた俯かせるのを繰り返している。


俺はそんなメリーの頭に手を置く。

ピクッと反応を返したメリーの頭をそのまま撫で、おやすみの挨拶をする。


「…おやすみ、メリー」

「………うん…おやすみ…///」


顔をさらに赤くしながらも挨拶を返してくれたメリーに微笑みながら、俺は目を閉じて思考を始める。


…メリーにもちゃんと答えてあげないとな……。


メリー……やっぱりどうしても妹として見てしまう……。

メリーのことが好きかどうか……それはもちろん好きだ。

だがそれはやはり妹としてじゃないかと思って仕方がないのだ。


……このままメリーが何も言わないのをいいことに、ずるずるとこの関係を続けて行くのか……?

メリーの気持ちを知っているのに?


…それは俺の方が耐えられないだろう……。

だが…まだ……答えが出ていない……。


結局考えがまとまらないまま、俺はマグが待つ夢の中へと旅立っていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「こんばんは、コウ・スケ・さぁ…ん〜♡」

「っ!」


開幕上目使いで首を傾げて、最後の「ん〜」でキスをねだってくるという盛り盛りセットで出迎えてくれたマグ。


そんなものを見せられてしまえば、俺が耐えられるわけもなく……


「マグー!」

「んふぅ!んふっ…♡」


俺はマグを抱きしめ唇を奪う。


しばらくむしゃぶりついたあと口を離すと、お互いの口が唾液の糸で繋がったままだった。

その糸は重力に従って下に落ち、マグの口から垂れるようにして顔に付いた。


「あっ…もったいない…♡」


その垂れた唾液を、マグは指で(すく)って自分の口に運んだ。


「んっ…ちゅぱ…♡れろ…♡んふ……♡」


…ゴクリ……


マグが愛おしそうに指を加えたり舐め回したりする光景に思わず唾を飲んでしまった。


…やばい…エロい……!


「マグぅ……」

「ん…ちゅぽん…♡…んふふ♡なんですか、コウスケさん♡」

「っ!」


今まで咥えていた指を唇に当て、妖艶な笑みを浮かべて答えるマグに、俺は本格的に我慢が出来なくなってきた。


我慢…我慢…!

ここで襲うわけには……!


「…♡メロメロですね、コウスケさん♡」

「うっ…!」

「そんなにドキドキしちゃいますか?」

「…う…うん……」

「…♡そうですかぁ…♡」


やばいやばいやばいやばい……!

負ける負ける負ける負ける…!


「じゃあここまでですね♪」

「…………へっ…?」


欲望に負けかけたところで、それを見透かしたようにマグは誘惑をやめた。


助かった…と頭では思っているのに…


「な、なんで……?」


と、口が勝手に動いてしまった。


もうほぼ欲に負けている……。


「うふふ♡可愛いコウスケさんの姿をた〜っぷり見させてもらいましたし……それに…必死に我慢してましたよね…?」

「…!…………」

「コウスケさんが我慢してくれてるのは私のためだと思うので、これ以上はコウスケさんが後悔しちゃうかなって……だから今日はここでおしまいです♪」

「そ…そっか……」


完全にマグの手のひらの上で踊らされたってことか……。

昨日我慢するって決意を固めたのに、こんなあっさり放棄するなんて……はぁ……。


落ち込む俺にそっと近づいてくるマグ。

彼女は俺の頭を優しく撫でながら慰めてくれる。


「コウスケさん……いつも私のために頑張ってくれてありがとうございます…♡いじわるしちゃってごめんなさい……でも…私はコウスケさんがどんなことをしても受け入れますからね…♡」

「…マグ……」

「だってあなたは…私の大好きな人なんですから♡」

「っ!〜〜〜っ!マグゥッ!」

「んふ〜♡」


マグを強く抱きしめ返すと、彼女もまた強く抱きしめてくれる。


しばらく抱きしめ合い、いつものように彼女を抱いて座る。

するとマグが唐突に切り出してきた。


「コウスケさん」

「うん?」

「メリーのこと、まだ踏ん切りがつきませんか?」

「っ!……うん…ごめん……」


マグには俺が悩んでいることもお見通しか……。


「…コウスケさんは、メリーのことをどう思ってるんですか?」

「それは…やっぱり妹として……」

「妹としてではなく、女の子として、どういう子だと思いますか?」

「っ!」


珍しく強い口調で尋ねてくるマグ。


女の子として……それはもちろん……


「素敵な子だよ。とても……」

「…コウスケさん。私たちがお付き合いしたときのこと、覚えてますか?」

「覚えてるよ。忘れるはずがない」


突然の問いかけに驚いたが、それでも即答した俺にマグは嬉しそうな顔を浮かべて話を続ける。


「あのときはマグが俺の言葉を愛の告白と勘違いして、そのあと改めて俺が告白したんだよね」

「はい……それはコウスケさんと出会ってから2日目のことでしたよね」

「うん」

「まだほとんどお互いを知らないのに、それでも私はコウスケさんが好きになって、それにコウスケさんは答えてくれましたよね?」

「うん……」


そうだね…思えば出会ってそんなに経ってない幼女の告白を受け入れたんだね……。

しかも俺の方から告白し直すっていうね……。


この時点で紛うことなきダメ大人な気がするよ……。


密かにダメージを受ける俺に、マグは話を続ける。


「それで…コウスケさんは私と恋人になって、後悔したことはあり…」

「そんなことない。考えたこともない」


マグがとんでもないことを言おうとしたので食い気味に否定した。


「…♡えへへ…♡私もです♡」


マグの答えに胸がじ〜んと熱くなる。

思わず抱きしめる力を強める俺の手を、彼女は愛おしそうに自分の胸に抱え込んで続きを話す。


「それでですね…何が言いたいかと言うと、お付き合いすることを、そんなに難しく考えなくてもいいということなんです」

「えっ?どういうこと?」


恋人のことなんだから、そんな簡単なことじゃないんじゃない?


「コウスケさんは私と今日までお付き合いして、私の新しい面を見つけましたか?」

「うん。思ったよりいたずらっ子なところとか、それでいて俺に責められるのが好きに見えるところとか、大きなお胸に男の俺以上にメロメロなところとか」

「あ、あはははは……えっとですね…1つ言わせてもらいますと……責められるのが好きそうなんじゃなくて、実際大好きなんですよ」

「あっそうなんだ…ってか言うとこそこ?」


お胸に関するお言葉は無しですかそうですか。


「…こほん……そ、それでコウスケさん。コウスケさんはそんな私の一面を見てどう思いましたか?」

「とても可愛いと思いました」

「…えへへ…ありがとうございます♪」

「でも豊かなお胸を前にすると秒で理性が消えるのはちょっと困るかな」

「…………」


こら。こっちを見なさい。


「ま、まぁとにかく!コウスケさんはより私にメロメロになったということですよね!?」

「うん…そうだね」

「それはつまり、コウスケさんがお付き合いするときに既に持ってた「好きだなぁ」って気持ちが、より強くなったってことですよね!?」

「そう…だね。うん、確かに」


あの時点でマグに惹かれていたのは事実だから、その考えは正しいな。


「だから…コウスケさん。少しでもメリーのことを女の子として「好きだなぁ」って思う部分があったら……メリーのことを意識して見てみてください」

「えっ…?」

「それで、その間にまた「好きだなぁ」って思って、それが胸にいっぱいになったら…メリーのことを受け入れてくれればいいなって……」


…メリーの「好き」って思うところ……。

…それならいっぱいある。


物静かなところ…それでいて感情表現が豊かなところ…自分も大変な目にあったのに、それでも他人を思いやれる優しいところ…見た目もそうだけど、言動もとても可愛らしいところ……。


何より…俺はあの子の笑顔が好きで……幸せそうな顔をもっと見たいんだ……。


…それは…家族として……?

それとも……?


「…………」

「……難しいですか……?」

「…いや…わかった。マグの言うように、メリーのことをもっと意識して見てみるよ」

「っ!…はい…お願いします!」


メリーのことを兄として幸せにしたいのか、恋人としてそばに寄り添いたいのか……それはまだ分からない。

だから…マグの助言に従ってみよう。


そうして…メリーの気持ちに、真摯に向き合おう。


「ありがとうマグ。おかげで前に進めそうだよ」

「んふふ…婚約者で恋人なコウスケさんが困っていたら助けるのは当たり前じゃないですか〜♪」


も〜…ほんとによく出来た子だよぉ〜!

こんな良い子を恋人に出来てほんとに幸せだ……!


「でもぉ……」

「?」

「…頑張った恋人に…ご褒美をくれたりはしませんか……?」

「っ!」


そ、そんな可愛くおねだりされたら……!


「もちろんあげるに決まってるよ!」

「きゃっ♡んむ……んちゅ…♡じゅる…♡んふ〜…♡…ぷぁ…♡コウスケさぁん…♡ここにも〜…♡」

「ここ…?」


ご褒美にキスをプレゼントした俺に、マグは自分の首元を指してキスをねだってきた。


何故首に……?


「…あっ…もしかして……」

「はい♡ユーリさんの付けたようなキスマーク…♡私のここにコウスケさんに付けてほしいです♡」

「〜〜〜〜っ!も〜!しょうがないなぁ♡ん…♡」

「んっ…♡あぁ…♡コウスケさんが私の首をちゅーちゅーしてくれてるぅ…♡んぅ♡んふふ…もっとぉ…♡」


なんて可愛くてえっちな子なんだろうか……♡

お望み通りもっとしてあげたくなるじゃないか!


「んぁ♡強くなったぁ♡んふ〜…♡おねだり聞いてくれたぁ♡えへへ…♡もっとぉ♡他のところもちゅっちゅしてくだしゃい〜♡」


この後俺はマグのおねだり通り、顔や手足にもキスをしまくり、結局ゆっくりすることはなかった。


しかし俺たちは、それはもう幸せな時間を過ごして深い満足感を得て、気力は万全どころか有り余るほどとなって、試合当日を迎えたのだった。

先達に知恵を貸してもらうの回。

そしてコウスケの理性が確実に減ってます。

頑張れ。


さて、次回の更新は8/5(木)の予定です。

次回もお楽しみに。

ではでは。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 少年戦では使う必要性は無いに等しいけど、今後の事を考えると罠としては十分過ぎる成果を発揮しません?魔法で具現化した撒菱等の罠設置(悪い笑顔) [一言] まぁ何時かは答えを出す時も来るで…
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