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異世界で少女とまったりするために頑張る  作者: レモン彗星
第1章…迷宮都市での基盤づくり
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17.お約束…そして拉致られる

「お約束が過ぎる!!」

「何言ってんだ嬢ちゃん?」


クエストボードを見ていたら、後ろにいた男達に「子供の来る場所じゃない」と言われるという、冒険者のお約束イベントが発生し、思わず叫んだ俺でした。

ツッコミありがとう、ディッグさん。


「なんなの?あなた達」

「親切なここの先輩冒険者だよ。他でどれほど活躍してたかは知らねぇけど、迷宮都市じゃ今までのようにはいかないぜ?ましてや子供連れじゃあなぁ」


そんな俺をさておき、メイカさんの問いに向こうの冒険者の1人…大盾持ちの男が答える。


ちなみに大盾持ちの男を中心に、俺から見て右側に槍持ちの男が、左側に盗賊風の短剣使いの男、両手杖を持ったローブの男が並んでいる。


そんな男達は大盾持ちの男の言葉に同調するように笑い始める。


あー…なるほど。

確かに腹立つわ。こりゃやられても文句言えんよ。


「お生憎様(あいにくさま)。この子はギルドスタッフ志望よ。早とちりして恥ずかしいわね」


うわーメイカさんキツイなぁ。

多分、俺が子供だって笑われたのが嫌だったんだろうなぁ。


「あ〜ん?ギルドスタッフ?冒険者じゃないのか?」

「えぇ、まぁ」


突然俺に聞くなや。


「ふ〜ん…?ここの仕事はかなり大変だぞ?俺たち冒険者の相手に、このボードの依頼書の貼り付け、それ以外にも裏方の仕事が山のようにあるらしい。本当にやるつもりか?」

「はい。もう決めたことなので」

「そうかい」


槍持ちの男が俺に聞いてきたが、俺の答えはもう決まっている。


俺の答えを聞いた男達は何やら目を合わせあったあと、大盾の男がこちらを見た。


「なるほど…そういうことならすまねぇ、完全に俺たちの落ち度だ。許してくれ」

「え?」


なんと、大の男達が俺に対して頭を下げた。


「どういうことだ?」


目をぱちくりさせている俺の代わりにディッグさんが聞いた。


「いや、実はな…昨日俺たち、あんたらがギルドに来たときにこのホールに居たんだが…」

「だが?」

「そのときに…な……上で誰かが泣き叫んでる声が聞こえてきてな…」

「えっ!?」


それってマグがこっちに引っ張り出された時のこと!?

聞かれてたのか!?


「それでその前とその後にお嬢ちゃんのことを目撃してた奴がいてな…それで……な?」

「あぁ…その子に何かあったんだろうってそんときホールに居たやつはみんな心配してな……」


え?じゃああのとき感じた生暖かい視線は……


「階段から降りてきたその子がそっちの魔法使いのねぇちゃんをなだめてたからその時は誰も何も言わなかったんだが……」


俺達はメイカさんを見る。

メイカさんは目を逸らしている。


「何人かはそっちのねぇちゃんの泣き声か、一緒に降りてきたチェルシーちゃんの泣き声だと思ったらしいが……」

「えっ!?わ、私じゃないわよ!?」

「あぁ、あくまで何人かだ。俺達はその子の声だと思ってる」


急に課された冤罪に猛反発するメイカさん。これに懲りて俺にべったりくっつくのを自重してくれれば良いな。


「んで、今日見たらその子がクエストボードの前にいるから、まさかと思って声をかけちまったってわけだ」

「それならもう少しマシな言い方があったと思うんですけど…」

「だから悪かったって!ああいうのがもう癖になっちまってんだ!」


なんだ…この人達、悪い人ではないのか…良かった。

まぁケランさんの言う通りもうちょっと違う言葉があった気はするけど……。


そんな不器用さに思わず笑ってしまう。


「ふふふふ…」

「お、お嬢ちゃん…笑わないでくれよぅ…」

「んふふふ、ご、ごめんなさ、ふふっんふふふ…」


あ、駄目だ。

笑いを抑えようとしてたのに、情けない声を聞いてしまったからまた笑ってしまう。


「ふふふふふ……ふぅ〜…こほん」


あーようやく落ち着いた。


「ごめんなさい、ケンカを売られたと思ったら、ただ優しさを間違えただけだったんだって思ったらちょっとおかしくなっちゃって…」

「う、酷いぜお嬢ちゃん…」

「んふ……ふぅ、それよりも!大盾のお兄さん」

「あ、あぁ…」

「心配してくれてありがとうございます。ですが、私は冒険者にはなりません。それ以外の道で自分の目標を叶えると決めたので」


そう、マグと決めたからな。

自分でやるには時間がかかる、だから他人に任せるが…その分死人が出ないように出来る限りの事はする。

俺たちは、復讐も大事だがそれ以上に、もうこれ以上アイツの犠牲者を増やしたくないのだ。


「…そうかい。お嬢ちゃんが死に急いでるわけじゃなくて良かったよ」

「さすがに出来る事と出来ない事は分かりますよ」

「ははは、頭の良いお嬢ちゃんだ!あんたらも突っかかって悪かったな!」

「んにゃ、気にしてねぇよ。むしろ気にかけてくれてあんがとな」

「でも言葉使いはもう少し覚えた方が良いわよ?」

「うっ!…努力するよ、じゃあな!」

「またな嬢ちゃん!」

「働けるといいな!応援してるぜ!」

「頑張ってね」

「はい!ありがとうございます!」


はぁー…最初はなんてテンプレだろうと思ったけど、話してみたら気持ちの良い人達だった。


お?あのこっちに近づいてきてる人は…


「ディッグ様、メイカ様、ケラン様、そしてマーガレット様、おはようございます」

「リンゼさん、おはようございます」

「あぁあんたか、おはようさん。んで?どうしたんだ?」

「はい、何か問題が起きたのかと様子を見に来ました」

「それはすまん。別にケンカをしてた訳じゃないから問題無い」

「なるほど?それで、今は何をされているのですか?」

「あぁ…何か依頼でも受けていこうかと思ったんだが…量が多くてな、決めかねているんだよ」

「それでしたら依頼を受けずに迷宮に潜られてはいかがでしょう」

「うーん…だがそれだと、依頼のもんを取ってきたとき、依頼報酬を撥ねられたことがあってなぁ……」

「…それは本当ですか?」

「あぁ…王都にいた時、一度な…」


うへぇ…マジか……。


例えば、依頼品を4つくれって依頼の報酬を1000ゴルだとして、1つあたり250ゴルになるそれを、依頼を通さずに渡して1つあたり150ゴルで買い叩かれたとしたら、合計400ゴル分が浮いてしまう。


それを依頼者に返すならまだしも、誰かの懐に入ってしまったとしたら……


今頃そいつはほくそ笑んでるだろうな。


「なぜそれに気付いたのですか?」

「簡単なことだ。売った後に依頼書を見つけて、それの報酬金が売った金額より高かったからそれを受付に言ったら、「あなた達はそれで納得したのですから問題無いでしょう?」って言いやがったんだよ……」

「そんなことを…」


ゴミじゃん。

最っ低だなそこのギルド。

というか王都に何か良い話は無いのか?


「分かりました。ですがその点はご安心を。ここではクエストボードにある依頼書の内容は全部記録されていますので、依頼の物がありましたらその都度ご報告させていただきます」

「お、そいつぁありがたい!」

「えぇ、これでボードと長い時間にらめっこしなくて済みます」

「目が疲れるしケンカの元だしで色々大変だったのよね〜、アレ」


いろんな苦労があったんだねぇ…。

やっぱ書類とかはちゃんと管理しないとダメだよホント。


「あ、そうだ。リンゼさん、ギルドマスターって今いる?」

「はい。ございます。何か御用ですか?」

「私じゃなくてマーガレットちゃんがね」

「はい。えっと、実は私ここで働きたいんです」

「…………今なんと?」


えっ?そんな驚く?


「え、えと…私、このギルドで働きたいって言いましたけど……」

「……」


え?何?怖い、リンゼさんなんか喋って?


「マーガレット様」

「は、はい!」

「大歓迎です」

「……はい?」


だ、大歓迎?


「えっと…そんなにですか…?」

「はい。そんなにです」

「そんなに人いないんですか?」

「まっっったく足りません!」


いつも冷静だったリンゼさんがやや興奮しておられる!?


「ではマーガレット様、さっそくギルドマスターに会いにいきましょう」

「え?えっ?」

「マ、マーガレットちゃん!?」

「申し訳ございません皆さま。マーガレット様を少々お借りします!」

「ちょっ!あの!?私自分で歩けますので!抱っこしなくてもちゃんと会いますから!!リンゼさん降ろして!?」

「緊急性の高い事なのでお断りします!」

「そんなにっ!?」


そうして俺は、リンゼさんに抱き抱えられギルドマスターのいる部屋まで拉致られたのだった。

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[一言] 拉致ってそっちか!! 平和でよかった
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