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177.今日のこと…両親のこと

「こんばんは、マグ」

「こんばんは、コウスケさん♪ん〜……♡」

「ん……ちゅ…」

「…んふふ〜……♡」


開幕早々キスをねだってきたマグに苦笑しながらも軽く口づけを交わす。


そのあとはいつも通りリア充座り…ではなく、俺にあぐらをかかせ、そこにころんと寝転がった。

これならお互いの顔がよく見えるというわけだ。


ふにゃぁ…と愛らしい笑みを浮かべる少女の頭を半ば照れ隠し気味に撫でつつ、俺は話を始めた。


「今日もいろいろあったねぇ……」

「ありましたねぇ……エストさんの気迫…すごかったですね……今思い出しても鳥肌が立ちます……」

「あれはすごかったねぇ……」


俺もあまりの怖さにやらかしちゃったわけだし……。

一応一回死んで、こっちに来てからも何回か命の危機を感じたというのに、自分よりも幼い子たちと一緒に…ね……。


「…ははは……今思い出しても情けないなぁ…俺……」

「そんなことないですよ。むしろ、あんなすごい圧を受けてるのに武器を下ろさずにいられるなんてすごいです!」

「あれは怖くて動かなかっただけだよ〜……思考がぐるぐるして、結局何も出来なかったわけだし……」

「私は何も考えられませんでした……ただ、怖い…怖い…って言葉が頭の中を埋め尽くしちゃって……だからコウスケさんはすごいんです……!」

「あはは……でも最後にはマグに助けを求めちゃったし……」

「それは私もですよ〜♪…えへへ……怖かったけど……コウスケさんに頼ってもらえたのはすごく嬉しかったです♪」


…………。


「…マグってさ……」

「はい?」

「俺を褒めるの上手いよね……」

「だって…好きですから……♡」

「……そっか……」


ほんとこの子はこういうことを恥ずかしげもなく言うよね……!


「コウスケさんはどうですか?」

「……知ってるでしょ?」

「コウスケさんに言ってほしいんですよぅ!」


あ〜…もう……甘えるの上手すぎるよも〜……!


「…………好きだよ……」

「…もっと大きな声でお願いします♪」

「うぇっ!?」


こんのドS娘……!


「…好きだよ…好き…!マグのことが大好きっ!」

「〜〜♡私も大好きですよ〜♡」


ニマニマしやがって……可愛いなも〜……!


…はぁ……これは俺が不利だな…話題変えよう……。


「こほん……まぁでも…魔法の使い方はかなり学べたよな」

「んふふ…♡そうですねぇ…♡」


…これは「照れて話を逸らした〜…可愛い〜♡」って思ってる顔だ……。

ええいクソ……!

この体勢じゃすぐにバレる……!

このままゴリ押して有耶無耶にしてやる……!


「それで…!…今後の練習もある程度決まったかな……」

「強化状態での動き方と、その状態での魔法の使用…ですね」

「うん。強化魔法は日常でも使えるし、ちょいちょい鍛えていくとして……」

「攻撃魔法…ですよね、問題は……」

「そう……もうあと残った2日間は仕事があるし……ララさんやリンゼさんに断って練習をしてもいいんだけど……」

「お仕事忙しいですからねぇ……」


ショコラちゃんとパメラちゃんが加わったことで多少は仕事量も減るかと思われたが、むしろ可愛い従業員の追加に活気付いている気がする……。


チェルシーも、「前よりギルドホールにいる冒険者の数が多い気がする」って言ってたし……。


ララさんたち他のギルドスタッフだって綺麗で可愛い人が多いだろうに……やっぱり美少女同士が仲良く話をしているところを見れるようになったのが大きいんだろうか……?


ショコラちゃんたちが入るまで、同年代の子はチェルシーしかいなかったしな。

つまり俺が入るまで、チェルシーは近い歳の子がいなかったわけだ。


そんな子が今、友達と楽しそうにお話をして、笑い合いながら仕事をしている……。

あっうん、これ見守るわ。

見守り隊出来てるわ。

俺も入りたいわ。


でもそのせいで俺たちの仕事が忙しくなってるのは頂けないなぁ……。


「というかあの人らホールにいるだけだよなぁ……?」

「う〜ん……多分、お話の時間が増えたからだと思います。コウスケさんもショコラたちも、冒険者の方たちとしっかり挨拶を交わしますし、軽い雑談にも応えますから……」

「あっ……」


そっかぁ……。

言われてみればカウンターから出て掃除やら依頼書の張り替えやらをしてるだけのはずなのに、いろんな冒険者とずっと話をしてる気がする……。


それに、あんまり遅いとさすがにララさんに怒られる…というか(たしな)められるけど、基本的に俺たちが冒険者の人たちと仲良くするのを止めようとはしないからなぁ……。


それで仕事の速度が落ちて、その分急いで書類整理とかをする羽目になってるのか……。

自業自得じゃん。


「でも冒険者の人たちの話って面白いんだよなぁ……」

「はい!聞いてるだけでワクワクしたり、ハラハラしたり……私も冒険がしたくなってきちゃいます!」

「俺もだよ。でもメイカさんたちに止められてるし、俺もあんまりマグを危ないところに連れて行きたくないからなぁ……」

「分かってますよぉ。大事にしてくれてありがとうございます!……でもやっぱり…憧れますねぇ……!」

「そうだねぇ……!」


実は…もし、ルーク相手に優秀な成績を収めたら、メイカさんたちにお願いして迷宮に連れていってもらおうかなぁ…なんて、考えたことがある。


メイカさんたちがいれば危ないことからも守ってくれるし、浅い階層ならトラップも少ないとギルドの情報にもあるし、冒険者たちの話からも知っている。


…それでも、今までのトラブルっぷりを体験してきた身としては、やっぱり慎重になってしまう……。

というかやっぱり街で死にかけるっておかしくない?

治安悪くない?


「「はぁ……」」


マグも何か思うところがあるのか、俺とため息が被ってしまった。


お互いに苦笑いを浮かべて、とりあえず話を進める。


「…まぁ、なんにせよまずはルークだな」

「ですね。シエルが作ってくれたマナポーションもありますし、これで少しは練習時間が増やせます」

「うん。このぐらいの量なら中毒にもならないって言ってたしね」


ポーションは薬だ。

そして薬にはもちろん副作用がある。


ポーションを1度に大量に摂取してしまうと、体がその回復力を持て余し、傷が治った後も体の中がむずむずして落ち着かなくなる。


その状態で新たな傷を作れば、残っていた薬の作用がそこに向かい楽になるそうだが、そのむずむずを何かの病気かと思ってポーションや他の薬を摂取してしまうと、そこからはループに入ってしまい、なかなか抜け出せなくなってしまうらしい。


毒と薬は紙一重…ということだな。


今回もらった薬は、効力は低いがその分中毒性はほぼ無いらしく、万全の状態でガブ飲みしてもまぁ大丈夫だろうと言っていた。


俺はそんな勿体無いことはしないので、大丈夫ということだ。


…なんかフラグを建てた気がする。


まぁそれはともかく……


「グリムさんにも感謝しないとね」

「はい。何か感謝を伝えられる良い方法があればいいんですけど……」

「う〜ん……難しいね……」


悪いことはすぐにでも思いつくのに、良いこととなるとポンと出て来なくなるのは本当に困った物だ。


「それに、グリムさんにだけだとシエルが拗ねちゃうかもしれませんから、ちゃんとシエルにも用意しないとですね」

「ははは、それは確かに!」


「なんであたしには無いのよ〜!」って抗議するシエルの姿が目に浮かぶわ。


と、そこで一緒に笑っていたマグが急に深妙な顔つきになった。


「…グリムさんとシエル…か……」

「どうしたの?マグ」

「いえ……親子みたいだったなって…思い出して……」

「あぁ…そうだね……凄く仲が良かったよね……」

「はい……」


薬を作っているときの2人は、師弟というよりは親子のようだった。

それを見て俺たちは、もう会うことの出来ない家族のことを思い出してしんみりしていた。


「…ねぇ…マグ……」

「はい……」

「マグのご両親ってどんな人だったの?」


今まで聞かなかった……怖くて聞けなかったこと。

目の前であんな死に方をしてしまったことを、なるべく思い出させたくなかったからだ。


それを、俺は思い切って聞いてみた。


そしてマグは、それに答えてくれた。


「…私のお父さんとお母さんは、元冒険者なんだって聞きました」

「へぇ……じゃあマグの冒険好きって……」

「はい。大好きな両親のお仕事がどんなものだったのか気になったのが始まりで、村に来た冒険者の方の話を聞いたり、冒険譚(ぼうけんたん)や童話なんかの書物を読んだりして、どんどん冒険のことが好きになっていって、いつかは私も!って思ったこともありました」

「ふふふ…物心ついた時から、マグはそのまま育ったんだね」

「えへへ…そうなりますね」


マグは体を起こして、俺に背中を預けて座る体勢に移行した。


「それで、お父さんは昔腕利きの冒険者で、剣の扱いだけでBランクに上がるほどの実力を持っていたそうです」

「Bランク…!それは凄いね…」

「はい。私も同じことを言ったら、お父さんは照れてました」


そりゃ可愛い娘に「お父さんすご〜い!」なんて言われてデレデレしない父親はいないだろう。


「それで、お母さんは当時魔法の使い方を覚えたばかりの新人冒険者で、他の新人冒険者4人パーティを組んでいたんですけど、その中の1人が魔物を殺すことが怖くなって逃げ出して、お母さんや他の冒険者の方たちもパニックになって、あわやこれまで!ってところに、通りがかったお父さんがその魔物を全部やっつけちゃって……」

「うわぁぉ…凄い王道な出会い方じゃん」


主人公力が高いお義父さんだなぁ……。


「そのあと、依頼の報酬をお母さんたちに譲ってくれたらしいんですけど、お母さんはそれを断って、お父さんにパーティを組んでほしいってお願いしたそうなんです。最初は断ってたお父さんも、お母さんの毎日のお願いに音をあげて……それがお父さんとお母さんの出会いだって、ディッグさんに聞きました」

「ディッグさんに?」


突然出てきた知ってる名前に反応すると、マグは待ってましたとばかりに得意げな顔をチラッと向けてきた。


「ふふん♪なんと、そのときの新人冒険者の1人がディッグさんらしいのです!」

「えぇっ!?そこ繋がってたのか!」

「ふふふ〜♪そうですよねそうですよね〜♪驚きますよね〜♪」

「うん…驚いた……」


でもマグの「いたずら大成功!」って感じの笑顔と声とぴょこぴょこ動きが可愛すぎて、すぐにそっちに意識が行っちゃったぜ。


「それでですね〜。お母さんは全く魔法が使えないお父さんを助けるために、元々得意だった土魔法のことを猛勉強して、ちょっとしたところでも役に立とうとしたそうなんです。お父さんもそんな頑張ってるお母さんのことが気になってきて……2人はめでたく結婚したそうですぅ♡」


マグが両頬に手を当てていやんいやんとしながらハートマークを撒き散らす。


マグも女の子だなぁ……恋バナ大好きな乙女なんだなぁ……。


「それでそれでぇ〜♪そのまま頑張って冒険者をしてるお父さんたちに目をつけた貴族の人が、自分の領地の1つを管理してみないかって声をかけたんですって!」

「それがファルクラフト領か……」

「そうなんですが……実はその申し出は断ってるそうです」

「えっ?」

「なんでも、自分は人をまとめる器じゃない…って言ったらしくて……」

「武人かな?」


名乗るほどの者じゃない…とかも言ってそう。


「でも、その貴族の人も必死にお願いしてきて、それでしょうがなく、手伝いぐらいならってことで、ファルクラフト領に来たんですって」

「へぇ……ん…でも、まだ領主にはなってないんだね?」


そう俺が言うと、マグは再び「してやったり」な顔を浮かべる。

可愛い。


「ふっふっふっ…♪実はですねぇ……なんと!その貴族の人の領地はファルクラフト領しか無くて、お父さんに領地を任せて平民として暮らそうとロッサ村で隠居しようとしたらしいんですよ!」

「な、なんだってぇ!?」


それ一種の詐欺じゃない!?


「お父さんもそんな話聞いてないって言ったらしいんですけど、その貴族の人はもう書類もまとめちゃったらしくて、今更無かったことにしたら自分の首が体と別れちゃうから〜ってお願いしたそうです」

「とんでもねぇやつだな……」


というかそんな物騒な話を、今よりも幼いマグに話すなや。

もっとマイルドに表現して話せや。


「それでなし崩し的に貴族になったお父さんを、お母さんは一生懸命支えて、どうにか貴族としてやっていけるようになったときに、私が生まれたそうです」

「忙しさがたたみかけてるね」

「私もそう思います。まるで今の私とコウスケさんみたいですね♡」

「ん"っ!」


不意打ちはずるいと思うんじゃが!?


「んへへ〜♪」


あぁもうドSっ娘!


「それで、お父さんもお母さんも、忙しいはずなのに私のことを大事に育ててくれたんです。それで、お父さんたちの教えの中に、獣人やエルフは友達…っていうのがあって、そのあとに初めて家の外に出て、ショコラやパメラたちと友達になったんです」

「…良いご両親だね♪」

「はい!…でも……」


そこまで元気に楽しそうに話していたマグが、表情を暗くして俯いてしまった。


「…私に婚約者がいたことを覚えてますか?」

「うん…覚えてる……」


会ったことないけど…悪いとは思ってるけど……実は一方的に敵視してます。

許さんぞその婚約者。(まだ何もしてない)


「その婚約者の話をしてから…お父さんと話すことが少なくなって……お母さんとも話す機会が無くなってきて……最初の頃はお仕事の合間を見てお父さんと話そうとしたり、お母さんの気を引くためにお母さんの魔導書に落書きをしてみたりしたんですけど……お父さんは私を見るなりまた別の仕事だっていってお話ししてくれないし、お母さんは今までに無いくらいものすごく怒らせちゃって……その内容も「貴族として」とかそんなことばかりで……私もそんな両親といるのが辛くて距離を置き始めて……本当はこのままじゃダメだって分かってるのに……いつか謝らなきゃって思ってたのに……その前に…」

「…ん……」


その後のことは知っている。

俺は震えるマグの体を後ろから優しく抱きしめる。


「…ぐすっ……ありがとうございます……!」


マグは俺に顔を見せないように顔を俯かせたまま俺の方に体ごと向いて、正面から俺に抱きついた。


「うぅ…!ぐすっ…!」

「……」


俺は無言で彼女の頭と背中を撫でたりポンポンとしたりする。


しばらくの間、夢の中のこの世界には、少女のすすり泣く声だけが響いた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ぐすっ……コウスケさぁん……もっとぉ……」

「うん、いいよ。いっぱい甘えなさい」

「んぅ……すんっ…!…ふにゅぅ……♡」


落ち着いてきたのか、悲しい気持ちと甘えたい気持ちが半々になってきた様子のマグに、俺はホッと胸を撫で下ろし、彼女の好きなように甘えさせる。


「ん〜……えへへ……♡コウスケさぁん…ありがとうございます…♡」

「ん…落ち着いた?」

「はい…♪……コウスケさん…」

「うん?」

「コウスケさんのご両親のこと…聞いてもいいですか……?」

「うん。といっても、マグのご両親みたいな波乱万丈な物語じゃないけどね……」


そう前置きをしてから、俺は両親のことを話し始める。


「俺の両親は共働きでね。どっちも普通のサラリーマン…あ〜っと……お店の従業員かな?」

「へぇ〜、お店ってなんのお店ですか?」

「う〜ん……なんて言えばいいかなぁ……?」


IT(アイティー)とか言っても分かんないだろうし、俺も詳しく知らないし……。

パソコンとかのことも説明する必要があるしなぁ……。


「んー……こっちで言う…魔道具…的なやつを使って……他の魔道具をどうにかする…みたいな……?」

「な、なるほど……?えっと……お二人とも同じところで働いてるんですか?」


気を遣われた気がする……。


「いや、そこで働いてるのは父さんだけで、母さんはまた別のところで働いてるんだ」

「へぇ〜。どうやって知り合ったんですか?」

「確か…父さんが仕事で母さんの仕事場にお邪魔したときに対応してくれたのが母さんで、それから何回か仕事で会ううちに共通の話題が出来て、そこからお付き合いして結婚までいった…って感じだったかな?」

「わぁぁ!お仕事で生まれた縁が愛情に…ですかぁ……!素敵ですねぇ!」


素敵なのは乙女モード全開な今のマグだよ。

いつも素敵だけどな!

恥ずかしいし脈絡も無いから言わんがな!


「それでそれで?コウスケさんにとってお父様方はどんな方だったんですか!」

「良い両親だったよ。どっちもゲームが好きでさ。よく一緒に遊んでもらったよ」

「わっ!じゃあコウスケさんがゲーム好きになったのは、お父様方の影響なんですね?」

「うん、そうだよ」


父さんとは一緒に一狩り行ったこともあるし、母さんとは延々連鎖を繰り返しておじゃまぷよと太陽を送りつけてたっけ。


「そのおかげでこうしてマグの手助けが出来たり、メリーやショコラちゃんたち異種族を見ても「ファンタジー☆」としか思わなくて差別しなかったり出来てるんだから、何が役に立つか分からないものだよね〜」


というかウチの国に獣人嫌いとかいるんだろうか?

アニメやマンガでしか見たことない獣人やエルフがいたら、無断で写真撮りはするんだろうけど、実害は……一部のヤベェ奴しか出さない気がする。


ぶっちゃけ人間同士の方が醜い争い多いし……。

命大事にとか言ってる割には、他人の命に興味無さすぎると思うの。


まぁ言い出したらそれだけで明日になるから言わないけどさ。


「コウスケさんのお父様とお母様はとても優しい方なんですね♪」

「そうだねぇ。俺が1人っ子だからってのもあるかもだけど、凄く可愛がってくれたよ」


おかげで反抗期とかはもしかしてあれかな?ぐらいのものだし、友人の話に仲悪すぎない…?ってちょっと引いたりもした。

みんな親と仲悪すぎる気がするの。


「…コウスケさんのご両親に一度お会いしたかったなぁ……」

「俺も、マグのご両親に会ってみたかったなぁ……それで「娘さんを僕にください!」って言って、「お前のような何処の馬の骨とも分からんやつに大事な娘はやらん!」ってやり取りしてみたかった……」

「ものすごい具体的な願望ですね……」

「まぁでも実際に怒鳴られるのは嫌だから、やっぱりスムーズに行きたいけどね」

「う〜ん…大丈夫だと思いますよ?何処の馬の骨とも分からない人を婚約者に決めたんですから、コウスケさんが文句を言われる筋合いは無いと思います」


辛辣だわマグさん。

さっき謝りたいって言って泣いてたオトン大好き娘はどこに行ったのかしら?


「それにお母さんだって、やれマナーはこうだ、言葉遣いはこうだ…って怒ってばっかりでしたし、コウスケさんが予想外すぎる失礼なことをしなければ大丈夫ですよ。コウスケさんは礼儀正しいですし。そもそも相手のマナーの良さを知ってか知らずか曖昧な状態であれこれ(しつけ)をしたお母さんにも文句を言われる筋合いはありませんし」


めっちゃ辛辣だわマグさん。

さっきまでのご両親大好き娘はどこに行ったのかしら?


「ま、まぁ…貴族はいろいろしがらみが多いんだよきっと……それより、マグが俺の両親に会ったらなんて言うの?」


さすがに不憫に思えたのでフォローに入り、話題を逸らす俺。


この子本当は両親を良く思ってないとかじゃないよね?

さっきの涙は嘘じゃないよね?

純粋なやつだよね?


「う〜ん…コウスケさんのご両親に会えたら……私も、「コウスケさんを私にください!」って言おうかなぁ……?」

「多分マグが良い子だった分かったら秒で寄越してくれるよ」

「えっ。ウチの息子に相応しくない!とかは……?」

「よっぽどなら言うと思うけど、マグなら絶対大丈夫だよ。むしろマグみたいな可愛い子にお父様、お母様って言われたら、すぐに受け入れてくれる気がするよ」

「そ、そうですかねぇ……?それなら嬉しいんですけど……♪」


うん、こんなピュアピュアにもじもじする様子を見たら、むしろあの2人は俺よりマグのことを可愛がると思う。

でも俺もマグのこと可愛がるから寂しくない。

むしろめっちゃ嬉しい。


「えへへ…♪コウスケさん」

「うん?」

「今日シャワーを浴びてるとき、楽しく生きれば親孝行になるって言ってたじゃないですか」

「うん、言ったね」

「それでそのときも言いましたけど、やっぱり私…今こうしてコウスケさんと一緒にいて…みんなといっぱいお話できて…すごく楽しくて、幸せです♪」

「……ふふ…♪俺もだよ、マグ♪」

「えへへ…♪」

「……♪」

「ねぇ…コウスケさぁん♪」

「ん〜?」

「…ん〜……♡」

「ふふっ…♪もう………ちゅ…♡」

「ん…♡…んふふふふふ……♡コウスケさぁん…♡」

「なぁに?」

「ぎゅ〜となでなでもしてくださ〜い♡」


まったく……ほんと、甘え上手な可愛い彼女だこと♪


「くすっ…♪仰せのままに…♪」


そうして俺たちはいつも通りイチャイチャして朝を迎えるのだった。

最近「男が少ない貞操逆転世界モノ」のストーリー(R-18版・掲載予定、今のところ無し)ばっかり考えちゃって……。

一応対ルーク戦まではストックあるので大丈夫っちゃ大丈夫なんですけど……どうしてもマグたちのストーリーの進みが……。


…とりあえずメモだけしていつか…っていうね……。

連載中の小説があるのに他のお話考えちゃう……小説家あるあるだと思います。


まぁそんなことより次回予告。

次回は7/3(土)更新予定です。


関係ない話をしてしまってすみませんでした。

次回をお楽しみに〜。

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉というかウチの国に獣人嫌いとかいるんだろうか? 意外にいますよ?動物嫌いって 獣との交配で誕生したのか、獣が進化過程で人型を保ちつつってのが獣人族なら嫌悪感を抱く人はいる筈ですよ? 流…
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