166.見守りたいお姉さん…趣味と実益含む
〔メイカ〕
マーガレットちゃんがつやつやしている。
いつもつややかなお肌なんだけど、今日は一層つやつやな気がする。
うふふふ…♡
これはあの二人…一線超えちゃったわね……♡
夢の中でのことは分からないし、そもそもどうやって触れ合えているのかも知らないけど、マーガレットちゃんが幸せそうな顔をしているのを見ることが出来て心から嬉しく感じる。
…やっぱり愛の力って凄いのね~…うふふ♡
「メイカさん、おはようございます」
「うん、おはようマーガレットちゃん♪」
中庭でディッグに稽古をつけてもらっていたマーガレットちゃん…コウスケがリビングに戻ってきた。
ディッグはいつも通り汗を流しに行った。
コウスケはしばらく涼みたいからって理由でいつもディッグに先を譲る。
実際しばらくの間風を感じているし嘘ではない。
私としてはマーガレットちゃんの体なんだから出来るだけ早いうちに綺麗にしてほしいけど、運動の後の風とお水は最高なのはよくわかるから何にも言わない。
それに運動後のマーガレットちゃんの姿をじっくり拝めるので役得でもある♪
「お疲れ様。はい、お水」
「ありがとうございます」
フルールが水を渡すと、お礼を言うが否や、ぐいっと一息に飲んでしまった。
その飲み方は完全に男の子のそれ。
さすがに外ではもうちょっとしっかり女の子してると思うけど、こういうところを見ると少しだけ心配になる。
でもそれはそれで可愛らしいので許す。
そんなことより……♡
「ねぇねぇコウスケ~♪」
「はい」
「昨日はマーガレットちゃんとどこまでいったの~?」
「なぁっ!?」
私がそう聞くとコウスケはすぐに顔を真っ赤にした。
はぁ~…♡可愛い~♡
「そ、そそそんなことメイカさんにわざわざ言うことではないですし……!」
「えぇ~?でもぉ…マーガレットちゃんが昨日お風呂で言ってたんだよぉ?「コウスケさんにえっちなことされたいなぁ…」って♡」
「そっ!?んなことを……!?」
照れてる照れてる……♡
「…まぁ、似たようなことは確かに言ってたわよ?あなたちゃんとあの子に伝えてる?」
「うっ……でもちゃんと毎日好きって言いあってますし…キ、キス…だって……最近は毎日してますし……」
「きゃあぁぁぁ!!甘酸っぱ~い!!」
なんて甘酸っぱいのぉ~♡
「コウスケって、こういうことには本当に弱いわよねぇ~♡」
「うぅ……それは自覚してますよ……」
「もぅ…メイカ。話が進まないでしょ」
「だってぇ~!」
「はいはい。それでコウスケ」
あっ酷い。
適当にあしらわれた。
「女の子はね?あなたみたいな奥手な男の子も好きだけど、やっぱり少し強引なのも好きなの。優しさは美徳だけど、それだけだと飽きられちゃうわよ?」
「あ、飽きられる……!」
「そうならないために、しっかり自分の気持ちを伝えなさい。でも毎日同じようなことを言ってちゃ駄目よ。それこそ飽きられたり、うんざりされたりするわよ」
「う、うんざり……」
「だから教えなさい。夕べは何をしたのか。私がいけないところを言ってあげる」
「お、お願いします!」
上手いわね~。
私が親指をひっそり立てて賞賛を送ると、フルールも同じように返してくれた。
私たちの心は一つになっている。
「え、えと……昨日は……」
そんな私たちに気付かず、コウスケは昨夜のことを話し始め…
「おはようございま~す」
「……おはよう」
「あっユーリちゃん、メリーちゃん、おはよ~」
「おはよう」
「お、おはようございます……」
良いタイミングでユーリちゃんとメリーちゃんがリビングに降りてきた。
ユーリちゃんはいつもはもっと早いんだけど…昨日は久しぶりに1日ゆっくりとしててうっかりお昼寝をしちゃってたらしいから、その分寝るのが遅くなって起きるのも遅くなったんだと思う。
…見たかったなぁ~…ユーリちゃんの寝顔……。
「今からコウスケとマーガレットが夕べ何したか聞くから、早く顔洗ってらっしゃい」
「えっ!?じゃあ早く行こメリーちゃん!」
「!(こくり)」
「うぇぇっ!?あ、あんまり大人数に聞かれるのはぁ……!」
コウスケが慌てて待ったをかけるが、そのときにはもう二人はいなかった。
「うぅぅ……!」
「まぁまぁ…それより、マーガレットは?まだ寝てるの?」
「はい……夢の中とはいえ、意識としてはずっと起きてるようなものですから……」
へぇ……じゃあ毎日会ってるってことは、それだけぐっすりしてる時間も少ないってことかしら……。
う~ん……それだと疲れが完全に抜けないんじゃないかしら。
心配だわ。
「ただいま戻りました!」
「…ただいま!」
「はいおかえり」
「うぅぅぅ……!早い……!」
そうこうしている内に二人が帰ってきた。
さてさて…それじゃあ……♪
「コウスケ、お願い♪」
「……はい……」
ユーリちゃんとメリーちゃんが席に着いたところで、私はコウスケに話を促す。
「えっと……昨日部屋に戻ったあと……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それで…そのまま起きるまで……」
「…なるほどね……」
コウスケが話し終えると、フルールが呟いた。
う~ん…そっかぁ……マーガレットちゃん知らなかったかぁ……。
貴族の人は小さいころにそういう教育も受けるって聞いたんだけど、マーガレットちゃんはまだだったのか、それともお父様方の教育方針か……。
と、考えているとユーリちゃんがコウスケに質問をした。
「…ねぇコウスケ……」
「はい…」
「赤ちゃんはコウノトリさんが連れてくるものじゃないって本当……?」
「……ユーリさんも知らなかったんですね……」
「うん……そういうお話って聞いたことなくて……」
ユ、ユーリちゃん……成人してるのに知らなかったのね……。
本当に危なっかしいわこの子……。
知り合えて本当によかったわ……。
ユーリちゃんの隣でメリーちゃんが凄い顔してるし……。
そっか……メリーちゃんは知ってるのね……。
…フルールが……ね……。
そう考えると、私はコウスケを挟んで向こうに座っているフルールを見る。
「…?どうしたの?」
「ううん。なんでもないわ」
「そう?」
こういうのはみんながいるところじゃない方がいいわよね……。
「えっじゃあコウスケ。どうやったら赤ちゃんって出来るの?」
「え~っとそれは……」
「ねぇねぇ~。私は大人なんだから言ってもいいでしょ~?教えてよ~」
そのちょっとの間で、ユーリちゃんがとんでもないことを聞いていた。
…純真すぎるのも考えものね……。
「そ、それはえっと……あんまりこういうのは異性から聞くものじゃ……」
「?じゃあフルールさん…」
「教えないわよ」
「…じゃ、じゃあメイカさん……」
うっ!?こっち来た!
「う~ん……でも男の人も関わることだし、やっぱりコウスケに聞くのがいいんじゃない?」
「そんなぁっ!?」
「へぇ…じゃあコウスケ…」
「あ…う……ユ、ユーリさんにもまだ早いと思います……!」
確かに。
「えぇ~!?なんでぇ~!?」
「…ユーリさんはもう少し男のことを知った方がいいですよ……」
「…?」
確かに。
「まぁ今はコウスケね。とりあえずはそれでいいんじゃないかしら?夢の中とはいえ、マーガレットの体にはまだ早いのは事実だし」
「ですよね……初めてが苦しかった…なんてのも嫌ですし……」
「そうね…その子には幸せになってもらいたいもの。だからしっかりしなさいよ、コウスケ」
「はい」
ユーリちゃんはほっといて、そう話を締めくくったフルール。
やっぱり自分のことを思い出していたのね……。
ふぅ……今日はお休みの予定だったし、出来るだけ一緒にいましょう。
子供たちには言えないこともあるでしょうし。
「…それにしても……」
そのフルールが私とユーリちゃんを見やって言葉を告げる。
あっ…この感じは……
「あなたたち…ユーリは知らなかったとしても、子供になにやらせようとしてるのよ……」
やっぱりお説教モードに入ってるぅ……!
「な、何って…ナニを…かな……?」
「…はぁぁぁ……」
「ゆゆゆ夢の中だって言ってたし、そういうことしても大丈夫だろうし、それにマーガレットちゃんもノリノリだったし……!」
「マーガレットが知ってたら本当にやっちゃってたかもしれないのよ?何?あなた…処女なの?」
「うぇっ!?」
「経験のある人は子どもにそんなこと軽々しく言わないもの。で、どうなの?」
そ、それはぁ……!
「可愛い女の子ばかりを追ってたもので……」
「だと思ったわ……いいこと?そういう行為は……」
そこからしばらく、私たちはフルールにそれがどういうものなのかをみっちり教え込まれた。
ま、まさかそこまで大変なことだとは……。
昔いくつかのパーティと合同で仕事をしたときに、1つのパーティにそういう関係の人がいて、夜に一度その現場を見たことがあったけど、それはフルールが言うほどキツそうには見えなかった。
けど……実際にそれを受けたフルールの言葉はやっぱり重みが違う……。
ユーリちゃん危ないなぁ…と思ってたけど、私もまだまだだってことね……。
それにしても…「想像妊娠」なんていうのもあるのね……。
コウスケはよくそんなことを知ってるわね……。
しかも分かりやすい例えまで出して……今度からゴブリンとかオークを見つけたら即殺してしまいそうだわ……。
そうしている間にディッグたちもリビングにきた。
入れ替わりでコウスケがシャワーを浴びに行ってる間に朝食の準備を済ませる。
そしてみんなで朝ご飯を食べた後に今日の予定を話し合う。
「俺たちは今日は休みだ。だから好きに過ごすとして……コウスケはどうする?」
「俺は今日も練習室に引きこもる予定です。実は昨日ララさんが、「腕の立つ冒険者に特訓のお手伝いを頼んだ」って言ってましたから、今日はその辺りも鍛えるんじゃないかと」
「へぇ~……」
誰だろう……?
私たちがいることを知っててそう言うってことは…相当な腕の持ち主よね……。
「う~ん……練習相手になろうかって思ってたんだけど…それならいらないかな?」
「そんなことないですよ。ユーリさんも来てくれるのなら、俺もマグも喜びますよ」
「そっか。じゃあ一緒に行かせて?」
「はい」
ユーリちゃんはコウスケと行くのね。
「それなら私は残ろうかしら。ララとも話したいけど、せっかくだからメイカたちとゆっくりしてるわ」
フルールは残るんだね。
じゃあ私も残ろっと。
「というかフルール、ララちゃんと仲良くなったのね」
「前に行ったときにね。ハルキにもついでにお礼を言っておきたかったのだけれど、そっちには会えなかったわ」
「そっかぁ」
マーガレットちゃんとコウスケといる方がいいだろうってウチで暮らしてるだけで、フルールたちはハルキの奴隷って扱いだからね。
まぁほとんど関係ないよね。
会ってないもんね。
でも幸せそうだからいいよね。
「……わたしはコースケと行く」
「えっ?…なら気を付けてね?ちゃんとコウスケの言うこと聞くのよ?」
「……うん」
メリーちゃんも一緒に行くみたい。
メリーちゃん…コースケと離れたくないのね、うふふ♡
「よし、んじゃあ解散だな。っと…そういやコウスケ。新聞はどうなったんだ?」
「契約することは伝えましたけど、いつからかはまだ聞いてないですね」
「じゃあ買ってくるかな。コウスケはもう行くのか?」
「はい」
「なら一緒に行くか」
「はい。ユーリさんとメリーちゃんはそれでいいですか?」
「うん、大丈夫だよ」
「………(こくり)」
「じゃあ行くか」
「はい。それじゃあいってきます」
「いってきま~す!」
「……(ふりふり)」
「うん、いってらっしゃい」
「お気を付けて」
「メリー、日傘を忘れないでね」
「……うん」
私、フルール、ケランに見送られてリビングから出ていくコウスケたち。
しかし、すぐにディッグだけが帰ってきた。
「あら?早いわね、ディッグ」
「おう。入り口のポストに入ってたわ。もう契約成立してたんだな」
「へぇ~…まぁアイツなら不思議じゃないか」
アイツ…って、ハルキのことだろうなぁ……。
なんだかんだ信用はしてるのね。
…でも多分恋愛的なものじゃないだろうから、ケラン…落ち着きなさい……。
「それで?今日の新聞にはマーガレットは載ってるの?」
「ハッ!そうよディッグ!早く見せて!」
「はいはい」
ディッグが机の上に新聞を置く。
その見出しには、やっぱりマーガレットちゃんのことが書かれていた。
「え〜っと…?【天使と小悪魔がケンカ!?】って、チェルシーちゃんが泣いてる!?」
「いったいどうしたんだ……?」
そのまま記事を読んでいくと、マーガレットちゃんと話していたチェルシーが突然泣き始めたらしい。
その内容までは書いてなかったが、そのあとマーガレットちゃんとチェルシーは仲直りし、手を繋いで笑顔で冒険者ギルドへ戻っていったらしい。
なんでケンカしたんだろう……?
でも仲直りしててよかった♪
…って…
「こっちにも可愛い子が……!」
「メイカはほんとそういうのは早いわよね……」
当たり前よ♪
私の生きがいでもあるんだから♪
「へぇ〜…サフィールちゃんかぁ〜……シスター見習いなのねぇ」
「…本当に子供なのかしらね……?」
「そうねぇ……」
フルールがそう言う理由は分かる。
このサフィールちゃん……お胸が凄く大きいのだ。
シスター服はかなりゆったりした服だと思うのだけど、それでもガッツリ主張しているその胸にどうしても目がいってしまう。
そんなサフィールちゃんをマーガレットちゃんとチェルシーちゃんが挟み込んで手を繋いでいる絵がある。
「…コウスケ…大変だったろうなぁ……」
「…そういえば、結局コウスケの欲は解消されずじまいだったし……男の子って大変ねぇ……」
「そうだねぇ……」
その大変さを理解したのは昨日のことなんだけどね……。
それまでユーリちゃんと一緒にベタベタくっついてたのよね……。
…男の人にくっつくなんてありえないけど、マーガレットちゃんの姿だし、それで違和感が無いぐらい可愛いからついねぇ……。
まさかそれがコウスケを苦しめてたとは思わなかったけど……。
「コウスケはよく我慢してる方だよなぁ……」
「えぇ……とてつもない精神力だと思います……」
ディッグとケランがそう呟く。
やっぱり男の人から見ても凄い我慢してるように見えるのね……。
「…コウスケにこれ以上刺激を与えないようにって私たちが頑張っても、外は外で何も知らない子たちにもみくちゃにされるのよね……」
「「「…………」」」
コウスケ…みんなと仲良いもんね……。
ショコラちゃんとパメラちゃんなんかは、マーガレットちゃんと元から仲がいいから物凄くくっつくしね……。
しかもみんなコウスケのことは知らないから、それがバレないようにあんまり変なことは出来ないし……。
あはは……こうして考えると地獄ね……。
私だったら我慢出来ずに抱きついちゃうわ……。
「…まぁ…帰ってきたら暖かく出迎えましょう」
「そうだな……」
「えぇ……」
「それがいいわね……」
密かにコウスケの評価が上がったところで、私たちは気を取り直して新聞を読み続けるのだった。
今回は初めてメイカさん視点で書いてみました。
可愛いものが好きすぎるお姉さん……その割にはタックルハグの常習犯ですが……。
一応加減はしてますので……えぇ……。
…こほん。次回の更新は5/31(月)の予定です。
お楽しみに!




