162.回復魔法の使いかた…心の回復の仕方
「それでは、案内にいってきます」
「あぁ。あとは頼んだぞ」
「はい。行きましょう、マーガレットさん、チェルシーさん」
「「うん!」」
くすぐりが落ち着いたところで服を着た俺は、サフィールちゃんに医療ギルドを案内してもらう。
ジルさんはまだまだ仕事があるので執務室に残った。
そしてサフィールちゃんは帽子と目の色を元に戻して案内をした。
正直もったいないが、俺1人のために他の人に嫌悪の目を向けられる可能性を作るのは申し訳ない。
だが、戻す前にサフィールちゃんは、俺やチェルシーと一緒にいるときは元の姿でいると言ってくれた。
俺のことを信頼してくれて凄く嬉しかった。
そんなこんなでサフィールちゃんの両手を俺とチェルシーがそれぞれ握りながら医療ギルドを見て回った。
その様子を、他の人たちは驚きつつも微笑ましく眺めていた。
(あの人たちはサフィールちゃんのこと知ってるのかな……?)
(どうなんでしょう……?あとでジルさんに聞くのが1番かもですね)
(そうだねぇ……でもあの人忙しそうだからなぁ……聞く機会があればいいけど……)
(あんまりサフィールちゃんに気を遣わせたくないですし、強行するのは難しいかもですね……)
(…ま、今はとりあえず……)
「「♪〜〜」」
(楽しそうなこの子らと一緒に楽しんじゃお)
(くすっ…そうですね♪)
そうして2人のことを見守りながらの見学が終わり、俺たちは執務室の隣にある応接室でお茶を入れてもらっている。
「どうぞ」
「ありがと、サフィールちゃん」
「ありがとう〜!えへへ〜♪サフィールちゃんの入れるお茶は美味しいんだよ!」
「へぇ、そりゃ楽しみだ」
「そんな…私は普通に入れてるだけですよ。美味しいのはお茶の方です」
「そんなことないよ〜!」
ふむ……どれどれ。
俺はカップを受け皿と共に手に取り口に運ぶ。
「ふ〜…ふ〜…ふ〜…ふ〜…………ん……」
サフィールちゃんが入れてくれた紅茶は湯気が多少出るほど熱々だが、俺は頑張って冷ましてから飲む。
それでも少し熱かったが、そこは我慢。
「…ん…美味しい……!」
「よかった……でも、マーガレットさんはもしかして熱いのは苦手ですか?」
「あはは…どうにも猫舌みたいでね……」
「猫舌なマギーちゃんも可愛いよ♪」
「チェルシーはちょくちょく私を褒めるノルマでも課せられてるの?」
(ふーふーするコウスケさんも可愛いですよ♡)
(やめぃ。恥ずい)
「ふふふ…♪」
俺とチェルシーのやり取りを、サフィールちゃんが微笑ましく見てくる。
そんなまったりした時間を過ごしたところで、サフィールちゃんが俺に聞いてきた。
「マーガレットさん。医療ギルドはどうでしたか?」
「凄いね。ギルドというより病院みたいだったよ」
「はい。ここは病院のベッドの空きがなくなった時などの非常事態に、臨時の病院になるようにもなっていますから」
「なるほど。それで地下に大量の部屋があったんだ」
このギルドは1階、2階は冒険者ギルドと同じような構造だが、地下へと続く階段を降りるとそこにはまた別の受け付けホール。
その先には大量の扉が並んだ通路。
冗談抜きで病院だと思った。
まだまだ地下へと続く階段はあったが、そこから先は関係者以外立ち入り禁止。
2階へは客人として入れた俺たちだったが、こっちはギルドメンバーでもBランク以上でないと入れないというシークレット具合。
まぁそういうことなら仕方がないと諦め、俺たちは別のところをぐるぐる見て回りここへと来た。
「それと、立ち入り禁止エリアの先には、実は魔術ギルドの出張所もあるんですよ」
「えっ?そうなの?」
「はい。なので、患者様にあったお薬をその場で調合することも出来るんです。普段は傷薬などを作っておりますね」
「(へぇ〜!)」
それなら緊急時でもある程度なら即席で用意できて便利かも。
ってか、あそこはBランク以上限定だから、魔術ギルドの人もBランク以上だけしか入れない……。
うわぁ……プロだけが許される仕事場かぁ……。
プレッシャー凄そうだなぁ……。
「ときにマーガレットさん」
「はいはいなんでしょうサフィールさん」
「マーガレットさんは治癒魔法を覚えたいと聞きしました。これは本当ですか?」
「うん。怪我することが多いから覚えておいた方がいいかなって」
「そんなに怪我するんですか…?」
「しちゃうんだなこれが……」
隣で顔を背けてるチェルシーとかにタックルハグされるからな。
傷は少なくても痛みは多いぞ。
「それなら確かに覚えておけば便利でしょうね……マーガレットさんは雷属性が適性だと聞きましたが…」
「うん、そうだよ。あとは無属性が使えるかな」
「なるほど。それでしたらおそらく簡単に覚えることが出来るかもしれませんよ?」
「(ほんと?)」
「はい。身体強化魔法を使うことは出来ますか?」
「出来るよ」
「無属性の治癒魔法は、身体強化と近い感覚なんです。怪我をしたとき、しばらくそっとしておいたら傷は無くなっていますよね?」
「(うん)」
「それを《自然治癒力》…または《再生力》と呼んでいるのですが、それを魔法で強化することによって、傷が治る力を強め、早く治すことが出来る。それが無属性の治癒魔法です」
「(おぉぉ〜!)」
それなら今すぐにでも出来そうだなぁ!
ん……待てよ?
「《無属性の》ってわざわざ付けるってことは、もしかして属性ごとに直し方が違うの?」
「はい。無属性の治癒魔法は、強化魔法の応用が効いて覚えやすい代わりに、自分の体しか治せないことが多いんです」
「なんで……って、そうか。強化魔法から来た人たちは、自分を強化する使い方なら知ってても、他人を強化する方法を知ってる人が少ないからだ」
「その通りです。無属性は誰もが扱える分、1番奥が深い属性だと言われています。ですが、今回の場合は自分を治すことができれば良いので、他人の治し方はまた今度…ですね」
「うん、わかった」
そうさな。
まずは必要なことをコツコツと済ましていって、その後に自主練であれやこれややっていこう。
「それじゃあ雷属性は?」
「雷属性もかなり難しいんです。雷属性は元々の威力が高い属性。それを回復に使うのは難しく、覚えてもあまり苦労に見合わないので、使える人はほとんどいません……」
「あらら……」
まぁ雷だもんな……。
本来当たったら死ぬもんだし、静電気みたいなちっちゃいものでも痛いって感じるぐらいなんだから、それを回復に使うのは中々出来ないだろう。
う〜む……どっちかというと蘇生の方が多い気がする。
ショック療法っつって。
あれは下手に使うと逆に殺しかねないもんだからな……。
おいそれと練習は出来ないだろうなぁ……。
……他の属性で簡単なものなら出来るように練習しとくか……?
せっかく使えるんだし、有効活用しないともったいないよな。
でも人前だと使えないんだよなぁ……。
使える属性が多いことがバレると面倒なことになるらしいし……。
…無詠唱ならバレないかな……?
「それで、よろしければ少しここで治癒魔法を練習してみてはいかがでしょう?何かあればすぐにお教えできますので」
「ん……そうだね。早速試してみようかな」
というわけで無属性の治癒魔法を練習することに。
とはいえ、治癒魔法というのは痛みを和らげたり、怪我や病気や毒麻痺などの状態異常を治したりするもの。
俺は現在健康そのもの。
かといってマグの体にわざわざ傷を付けたくないし、どうしたものか……。
そう悩む俺に隣に座っているチェルシーがひと言。
「しっぺとかちょっとつねるぐらいでいいんじゃない?」
「そうじゃん」
別にわかりやすい重傷を負えというわけでもなし、なんとなくでも治ったと分かれば良いんだから、軽いものでいいんじゃん。
「というわけであっち向いてホイで勝負だよ、マギーちゃん!」
「(いや、なんで?)」
何が「というわけで」なの?
「こういうのは普通に練習してもつまらないでしょ?だから遊びながら覚えれば、楽しいし練習も出来るしでお得でしょ?」
「う〜ん…まぁ言いたいことはわかった。それで、負けた方が何を受けるの?」
「相手のほっぺたをつねる!」
「おおぅ…それは痛い……いいだろう、受けて立つ」
「へへ〜ん♪負けないからね!」
「では私が審判と魔法の判定をしますね」
「うん、お願い」
「よ〜し…じゃあいくよ、マギーちゃん!」
「あいよ」
チェルシーと向き合い、返事を返す。
よ〜し、真剣勝負だ。
「最初はグー!」
「「ジャンケンポン!」」
「やった!」
「むむっ……」
「あっち向いて〜…ほい!」
「あっ!?」
「勝者、チェルシーさん」
くそ〜…!負けたぁ〜!
「じゃあマギーちゃん。いくよ〜♪」
「うぅ〜…よしこい…」
「ぷに〜♪」
「ん〜……」
「マギーちゃんのほっぺ柔らか〜い♪みょ〜んみょ〜ん♪」
「ふにゅ〜……!」
俺の頬をみょんみょん伸び縮みさせるチェルシー。
しばらくそうした後ようやく解放された俺は、本来の目的たる治癒魔法を試みる。
ララさんがいつもかけてくれるやつは確か……。
「《【我が身】の[痛み]を【和らげよ】…[ヒール]》」
頬に手を当て、オーブを出すときと同じ要領で手から魔力を放出させる。
ん……ほんのりあったかい……。
段々痛みが和らいでいくのを感じる……。
…まぁ、チェルシーが加減してくれたのか、元々そんな痛くなかったけど。
「わぁ…!1回目で成功するなんて凄いです…!」
「おぉ!さすがマギーちゃん!」
サフィールちゃんとチェルシーがそれぞれ褒めてくれた。
いつもかけてくれるのは他者に対してのものなので、その部分を変えて唱えたのだが、どうやらこれで良いみたいだ。
よかった。
「じゃあもう一回やろ!」
「えっ?」
「…いいだろう……今度は負けないぞ……!」
「えっ?あ、あの〜……魔法は無事に出来たのですし、わざわざ勝負を続ける意味は無いのでは……?」
再戦する気満々の俺とチェルシーを、サフィールが止めようとする。
「サフィールちゃん……確かにそれはそうだ。でも繰り返しやることで練習になる。そうでしょう?」
「は、はい……ですから、魔法の練習だけで良いのでは……?」
「いやいや。それじゃあ駄目だよ」
「な、何故ですか……?」
何故かって?
それはね……
「悔しいじゃない」
「えっ」
「単純に悔しいじゃない。だからやるのだ」
「な、なるほど……」
「…サフィールちゃんも入る?」
「えっ?…………は、入ります!」
「よっし、チェルシー。三つ巴だ」
「負けないよ、サフィーちゃん!」
「私も、やるからには負けませんよ!」
「よぉしいくぞぉ!最初はグー!」
「「「ジャンケンポン!!!」」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おかしい……どうして勝てない……!?」
「マギーちゃんジャンケンよわぁ〜い♪」
「で、でも何回か勝ちましたから……!」
「それでもマギーちゃん、1番負けてるよ?回復魔法をかけてなかったら、今ごろほっぺた真っ赤だよ?」
「そ、それは……まぁ……」
サフィールちゃんのフォローが追撃として俺に刺さりまくりである。
何故か俺はジャンケンに負け続け、2人に頬をむにむにみょんみょんされまくった。
サフィールちゃんが言うように、まったく勝っていないわけではないのだが、そのほとんどはマグがチャレンジしたときで、結局俺自身はめちゃくちゃ負けまくっている。
ていうかマグ強っ。
「あっ…マーガレットさん、チェルシーさん。そろそろお戻りになる時間では?」
「えっ?あっほんとだ……」
「えぇ〜!?まだ遊びたいのに〜!」
サフィールちゃんに促され時計を見ると、もうそろそろ戻らないとメイカさんたちを待たせてしまうぐらいの時間になっていた。
今日はこのあと、ルークの兄と話し合いをすることになっているから、早めに戻っておいた方がいいだろう。
「まぁまぁチェルシーさん。また今度遊びにいらしてくださればいいですから」
「そうだけどぉ〜……!」
「もぉ〜、チェルシー。あんまり遅くなると心配されちゃうよ?」
「昨日のマギーちゃんみたいに?」
「何故知っている……?」
「あっやっぱり誰か迎えに来たんだ」
「あっ嵌められた」
「くすくすくす…♪」
俺とチェルシーのやり取りをまた微笑ましく見守るサフィールちゃん。
なんだろう……こうしてるとサフィールちゃんが天使に見えてくるわ……。
モニカちゃんも天使だけど、モニカちゃんの方は妹系天使。
守りたくなるぴょこぴょこ可愛い天使だ。
対してサフィールちゃんはお姉ちゃん系天使。
こちらを優しく包み込んでくれるようなおっとりふわふわ可愛い天使だ。
総評。
どちらも良い。
さて、結論が出たところで冒険者ギルドに戻らねばならない。
「ほらほらチェルシー、帰るよ」
「むぅ〜!マギーちゃんはサフィーちゃんともっと遊びたくないの!?」
「遊びたいよ。でもこのあと私は約束があるから戻らないとなの。チェルシーは…まぁ連絡を入れておけばまだ居れるかもよ?」
「やだぁ〜!マギーちゃんも一緒が良い〜!」
「わがまま言わないの〜」
まったく……俺だってもっとサフィールちゃんとお話ししたり遊んだりしたいのに……。
駄々をこねるチェルシーに、サフィールちゃんからも言葉がかけられる。
「チェルシーさん。前に来たときに帰るのが遅いとララさんに怒られていたでしょう?」
「ギクッ!」
「(もう怒られてんじゃん)」
「えへへ……」
何故照れる。
「そういうことならチェルシーも帰るよ」
「うぅ〜……は〜い……」
「ふふふっ。では、お見送りしますね」
そういうことで、サフィールちゃんと医療ギルドの入り口まで一緒に来た俺たち。
入り口でサフィールちゃんと別れの挨拶を交わす。
「今日はありがとうサフィールちゃん。いろいろ勉強になったし楽しかったよ」
「それは私もですよ、マーガレットさん。…あの、マーガレットさん……」
「うん?どうしたの?」
もじもじと伏し目がちにこちらを見やるサフィールちゃん。
(…これは何かお願い事がある感じだな……)
(ですね。モニカちゃんやユーリさんと同じ感じです)
マグとそんな話をしている間に、覚悟が決まった様子のサフィールちゃんが口を開く。
「えっと……も、もう1度だけでいいので……また撫でてくれませんか……?」
((可愛い))
こんなの断るわけないんだよなぁ。
でも…
「外だからちょっとあれかも」
「あ……そうですね……」
「うん、だから…」
「ひゃっ…!」
一瞬しょんぼりしたサフィールちゃんを抱きしめる。
「代わりにこれで……ね?」
「……♪ありがとうございますマーガレットさん……♪」
「うん。またこうしてほしいときは遠慮なく言っていいからね」
「…!…でも…ご迷惑ではないでしょうか……?」
「大丈夫だよ。私に聞かずに飛びついてくる人がいっぱいいるから、サフィールちゃんが気にすることじゃないよ。むしろちゃんと許可を取ろうとしてくれてありがとうだよ……」
ほらそこのチェルシー。
そっぽ向くんじゃない。
「…では……また次もお願いしていいんですか……?」
「どうぞどうぞご自由に。よっぽど手が離せないような状態じゃなければ応じるよ」
「…では…その……お願いします……♪」
「うん。喜んで」
俺も美少女を抱きしめれるのは役得だからな。
…まぁサフィールちゃんの場合は理性が他の子よりもちょっと多めに削られるけど……。
(ふにふに……)
あとマグがふにふにに囚われるけど。
なんで俺よりマグの方が理性無くなるんだよ。
「…マーガレットさんは温かいですね……凄くホッとします……」
「そう?」
「はい…………マーガレットさん……」
「ん?」
「今日はありがとうございました……私のことを受け入れてくれてこと…凄く嬉しかった……」
「私の思うがままに言っただけだよ」
思うがまますぎて思いっきり素で話してた気がするけど、まぁ追求されてないからセーフで。
「だからこそ、本当に嬉しかったんです……マーガレットさん、また遊びに来てくださいね」
「うん、もちろんだよ。サフィールちゃんもよかったらウチにおいで。私の友だちも紹介したいし、チェルシーだって喜ぶでしょ?」
「うん!もちろん!」
「ふふふ…♪はい、ぜひ遊びに行かせていただきます♪」
そう約束すると、サフィールちゃんは名残惜しそうに俺から離れる。
「では…お気をつけて」
「うん。またね♪」
「またね!サフィーちゃん♪」
「!…はい…また!」
手を振り合ってサフィールちゃんと別れ帰路に着く俺たち。
「ねぇ、マギーちゃん」
「うん?」
「ありがとう」
「えっ何が?」
「…あたしね……?サフィーちゃんのことを初めて知ったとき、怯えちゃったの……」
「えっ?」
…それであのとき気まずそうな顔をしてたのか……。
「サフィーちゃんがせっかく信じてくれたのに…あたしは裏切っちゃった……すぐにハッとなったけど、そのときにはもう遅くて…サフィーちゃんを傷付けちゃった……」
「……」
…なんて声をかければいいのだろう……。
仕方がなかった?
今仲良しならそれでいい?
…そんなことを言って欲しいんじゃないと思う……。
でもどうすれば……。
(…コウスケさん。私と代わってくれませんか?)
(マグ……)
(異世界人のコウスケさんより、この世界の住人である私の言葉の方が、チェルシーに届くと思うんです)
…それは確かに……。
(…じゃあ…お願いできる?)
(はい)
マグと代わり、見守ることに徹する。
「…チェルシー」
「…うん」
「それ、ちゃんと謝ったんでしょ?」
「……うん」
「…だったら大丈夫だよ。チェルシーはもう、サフィールちゃんとちゃんとお友だちになれてるよ」
「でも……サフィーちゃんは優しいから、きっと言わないだけで本当は……!」
「…サフィールちゃんの今日の顔…ちゃんと見てた?」
「えっ……?」
サフィールちゃんの顔……。
…可愛いお顔でしたね……?
……違わないけどこれではないか……。
「私と話してるときとチェルシーと話してるとき……私にはどっちも同じくらい嬉しそうに見えたよ?」
「それは……マギーちゃんがいるから……」
「いい?チェルシー。私は、どっちと話してるときも幸せに見えたの」
「…!マギーちゃん…?」
チェルシーは俺とマグが入れ替わっていることに気が付いたようだ。
それにマグは頷いて返す。
「だから、大丈夫。…やっぱり…私の言葉じゃ信用できないかな……?」
「っ!うぅんっ!信じる!あたし、マギーちゃんのこと信じるよ!」
「…ありがとう、チェルシー♪いつも見てるけど、チェルシーは明るくて…人懐っこくて…優しくて…ちょっといじわるなところとかも含めて、好きだよ」
「っ!…ふえぇぇ……!マギーちゃ〜ん……!」
っておいおい!?
チェルシーが泣き出しちゃったぞ!?
どうしたんだ!?
「ごめんね……!マギーちゃん……!あたし、あのとき……!」
「大丈夫、怒ってないよ。私の方こそ、取り乱してごめんね?」
あのとき……取り乱して………あ……。
初めてこの街に来たときのことかな……?
「うぅん…!あたしが悪いんだもん……!ひっく…!あたし…ずっと謝りたくて……!でも…でもぉ……!」
「…うん…知ってる……チェルシーは優しい子だもんね。ごめんね。私も今まで言わなくて……チェルシーのこと、友だちだって思ってるよ」
「ぐすっ…!よかった…!ありがとう…マギーちゃん…!」
「うん。…よしよし……いい子いい子……♪」
……そっか……。
思えば、マグとチェルシーはあれ以来話してないのか……。
マグもその話を言わないし、チェルシーに対しても普通にお友だちとして見てるような言い方だったから気付かなかった……。
…チェルシーはずっとあのことを気にしてたんだな……。
参ったなぁ……もっと早く気づけばよかった……。
「ふふ…♪それじゃあ行こ?チェルシー♪」
「うん♪……えへへ…♪」
俺が後悔してる間に、マグとチェルシーはぎゅっと手を繋いで冒険者ギルドへと帰っていく。
チェルシーは握られている手を見て嬉しそうに笑っている。
…何はともあれ…よかったね、チェルシー♪
作者はとりあえず初手でチョキ出す派です。
初手チョキはなんたらな人が多いと聞いたことがありますけど……みんなそんなもんじゃないかな。
知らんけど。
というわけで次回は5/19(水)更新予定です!
お楽しみに〜!




