161.見習いシスター…の正体
病院のような受付ホールを抜け階段を上がった俺たちは、医療ギルドのギルドマスターの部屋へと案内された。
「今ならこちらにいるはずです。それと……」
「?それと?」
「…その……マスターは少し…短気…といいますか…口が悪い…といいますか……でも、悪い人ではないので、何か言われてもあまり気になさらないでくださいね……!」
「えっ怖い」
こんなおっとり優しく礼儀正しい女の子がそんなことを言うなんて……。
えっまさか、出会い頭に注射器投げられたりしないよな?
鍛治ギルドの親方の姿がぼんやりと頭に浮かんでいる俺。
チェルシーにも聞いてみる。
「そんなに怖いの……?」
「うん……いい人なんだけどね……」
それって……余計にタチが悪いやつでは?
「マーガレットさん……準備はいいですか?」
「…ちょっと待ってね……」
最終確認をしてくるサフィールちゃんに一言断りを入れてからマグに話しかける。
(大丈夫?)
(はい。だって、守ってくれるんでしょう?)
(っ!…当然)
(くすっ。なら大丈夫ですよ♪)
(……マグには敵わないなぁ)
そんなこと言われたら、是が非でも守り通して見せなくちゃね。
「…サフィールちゃん、お願い」
「(こくり)…では……」
俺がお願いすると、サフィールちゃんは扉をノックする。
コンコン
「サフィールです。お客様をお連れしました」
「あぁ、入れ」
「失礼します」
「「失礼します…」」
ガチャ
扉を開け中に入るサフィールちゃんの後に続く俺とチェルシー。
部屋の中は他のギルドの執務室と同じような感じで、特に大きな変化は無い。
そしてその部屋の執務机の上の資料と苦い顔でにらめっこしている女性が、どうやらこの医療ギルドのギルドマスターのようだ。
っと…挨拶挨拶。
「は、初めまして。本日見学とお勉強をさせていただきます、マーガレットと申します」
「あぁ、知ってるよ」
「…そ、そうですか……」
「…………」
「…………」
……会話が終わった。
困惑する俺に代わって、今度はチェルシーが挨拶をする。
「こんにちはジルさん!」
「はいこんにちは」
「ジルさん、今日もお仕事いっぱいあるんですか?」
「あぁ」
「ちゃんと休んでますか?」
「あぁ」
「本当に?」
「あぁ」
「…ウソですよね?」
「あぁ」
「むぅ〜っ!また話聞いてな〜いっ!!」
会話を繋げようと質問を繰り返すチェルシーに返ってきたのは気のない返事のみ。
むくれるチェルシーの姿にも目をくれないジルさんの様子に、俺は早々に切り上げた方がいいと判断した。
「えっと…お忙しいようですし、私たちはこれで…」
「待て」
「えっ…」
「お前には用がある。もう少しで片付くから待っていろ」
「わ、わかりました……」
正直もうこの部屋から出たい俺に、ジルさんは無慈悲にも待ったをかけた。
しょうがないのでサフィールちゃんに話しかける。
「用って……?」
「いえ…私も聞いてません……」
サフィールちゃんも聞いてないか……。
(…コウスケさん……私嫌な予感がします……)
(…俺もだよ……)
(他のギルドでギルドマスターに出会うと、大抵ろくなことがありませんでしたからね……)
(はははは……ま、まぁ今回はバリバリ仕事してるところだし、あんまり無茶なことは無いと思う…よ……?)
(…そうだと…いいですね……)
(…ほんとにね……)
マグと話してる間に、ジルさんの仕事が一段楽したようだ。
「待たせたな」
「い、いえ……それで、御用というのは……」
「あぁ。服を脱げ」
「(「「……………………え?」」)」
ジルさんの突拍子の無い発言に固まる俺たち。
ジルさんはそんな俺たちを見て、若干イラついた声で再度言う。
「服を、脱げ」
「な、何故ですか……?」
「いいから脱げ!」
「追い剥ぎだぁ…!」
「あ?」
「ごめんなさい!」
言ってることが完全に賊のそれなジルさんに凄まれ、俺は渋々服を脱ぎ始める。
ごめんねマグ……!
全然守れなくてごめんね……!
情けなくてごめんねぇ……!
「ジ、ジルさん!マギーちゃんは何も悪いことしてないよ!」
「そ、そうですよマスター!せめて理由を…」
「必要なことだ。お前たちは黙ってろ」
「「ひっ…!?」」
チェルシーとサフィールちゃんが擁護してくれるが、ジルさんに睨まれ黙ってしまう。
その間に下着姿になった俺は、まさかと思いつつもジルさんに尋ねる。
「あの…下着もですか……?」
「あん?」
「ごめんなさい脱ぎます!」
「いや、下着はそのままでいい。こっちに来い」
「は、はい……」
下着まで脱がされなくてよかったと思いつつも、これから何をされるのか分からない恐怖で少しビクビクしてる俺。
そんなことは気にした様子のないジルさんは、そばにきた俺の体を隅々までしっかり見てくる。
「ふむ……綺麗に使われているな……」
そりゃそうだ。
最近は特訓で軽く怪我することもあるが、治癒魔法で治せず体に残るような傷をマグの体に作る気は無いのだ。
というかこれ、検診か?
それぐらい普通に言ってくれれば納得するのに……。
「例の試合に向けて鍛えているという話だが…ふむ…あまり筋肉が付かない体質なんだろうな。鍛えているようではあるが、そこまで筋肉質というわけでもないようだ」
ジルさんの言う通り、まだ鍛え始めて数日ではあるが、体力的には育っている感覚はあるのだが、肉体的に鍛えられているようには全く感じない。
おかしいなぁ……。
マグのやぁらかい体がそのまんまってのは嬉しい限りだが、ここまで筋肉が付かないと逆に心配になってしまう。
マグは生まれついての魔導士体質なんだなぁ……。
俺も援護の方が性に合ってるタイプだからそれは良いのだが、同時に懐に突撃して暴れるスタイルも好きなのだ。
が、そんな危険なことをマグの体でやりたくないし、このように体付きも接近戦タイプでは無い感じなので諦めた。
それはそうと、お腹あたりをさすられるとめちゃくちゃこそばゆいので勘弁してほしい。
というか近い。
ジルさんは赤いショートヘアーに、白いシャツ、その上に白い上着を羽織っている。
下は紺の長ズボン…ジーンズっぽいものを履いており、なんだか飛行機に乗り合わせた医者っぽい感じがする。[主観]
そしてジルさんはパッと見30付近だろうか?
露出の少ない、至って普通の服装だというのに、大人の色気が見える。
体はスラっとしており、ユーリさんやココさんのようなお山は無いものの、それがむしろ美しさを助長させている。
……中々失礼なことを考えている気がする。
と、そこで確認し終わったのか、ジルさんが俺から離れ向き直る。
「無理はしていないようだな。あと、聞きたいことがある。質問に答えろ」
「は、はい……」
「お前は獣人やエルフ、ドワーフなどの他の種族をどう思う?」
「えっと…どうと言われても……」
なんと答えればいいのかわからない俺に、ジルさんがもう一度口を開く。
「ふむ…なら聞き方を変えよう。お前は他の種族を下に見るか?」
「(あぁ、それは無いです)」
「即答か」
「(はい)」
「…そうか」
他の種族を下に見るなどありえない。
ユーリさんにメリーちゃんにフルールさん。
ショコラちゃんとパメラちゃんにモニカちゃん、リオ、シエルに、ここにいるチェルシー。
俺はみんなと友だちだし、これからもそうありたいと思っている。
だから下に見るなど、ありえないことだ。
「…では、竜人族は?」
「…竜人族……」
(…龍……)
ほんとにいるんだ……。
「どう思う?」
「……正直、難しいです……」
「難しいとは?」
マグの村は龍に焼かれた。
龍と竜人族はまったく別の生き物だ。
だが……
「…頭では無関係だって分かってるんです……でも、実際に会ったら…思い出すかもしれなくて……」
「……そうか……」
今だって、竜人族と聞いたマグの声が沈んだ。
俺は龍と竜は別物だと思っているのであまり思わないが、そんなマグの雰囲気を汲んで答えた。
「…では…魔族は?」
「(魔族?)」
(ってなんぞや?)
(えっと…こちらの世界の物語でよく出てくる種族です。そのほとんどが悪役として描かれています)
(へぇ……マグ自身はどう思うの?)
(う〜ん……なんとも言えないですね。物語は物語、現実とは違うなんてこと、よくありますから。実際に出会ってみない限りはなんとも……)
(ふぅむ…まぁそうだよねぇ)
俺はそのマグの言葉を答えにジルさんに伝える。
「そうか。まぁそうだろうな。よし、じゃあ会わせてやろう」
「(へっ?魔族の方がいるんですか?)」
「あぁ。お前の後ろにな」
「(えっ?)」
俺は後ろを振り向くが、そこにいるのはチェルシーとサフィールちゃんのみ。
えっまさか?
「(もしかして……)」
「…………」
「(サキュバスって魔族なの?)」
「違うよ!?」
「ぶふっ!」
後ろでジルさんが吹き出した声が聞こえたぞ。
というか正直「魔族」のボーダーが分からん。
魔族か魔族じゃないかってどう決めてんだろう?
「ん…?えっじゃあサフィールちゃんがそうなんですか?」
「くふふ…!あぁそうだ。サフィール」
「…はい……」
さっきから少し暗い顔をしていたサフィールちゃんが帽子を取る。
(あっ!)
「おぉ…!」
その中には、サフィールちゃんの綺麗な青い髪から、どの動物のものとも違う…と思われる、小さくて少し捻れているツノがちょこんと2つ飛び出ていた。
「サフィールは魔族…その中の悪魔族ってやつでな。訳あってアタシが面倒見てるんだ」
「(へぇ…)」
魔族の中の悪魔族ってことは…他にも種族があるのかな?
「…気持ち悪いですよね……」
「(えっ?)」
ツノをしげしげと眺めていると、唐突にサフィールちゃんがそんなことを言った。
えっなに見つめすぎた?
ごめんね?謝るから勘弁して?
「牛人族や鬼人族でも無いのにこんなツノが生えてて……これを見ると皆さん顔を顰めるんです……「魔族は悪」だって……「悪いやつが普通に暮らしてるんじゃない」って……」
「(あ"っ?)」
「ひぇっ……!?」
そんなことを言うやつがいんの?
マジで?
処す?
「マ、マギーちゃん…顔怖いよ……」
「だってチェルシー聞きまして?現実と物語の違いもわからんやつがいるんですってよ?」
「う、うん…それは許せないけど、とりあえずマギーちゃん…近いよ……?」
「おっと?」
いつの間にやらチェルシーに詰め寄ってたわ。
いや〜メンゴメンゴ。
チェルシーから離れた俺に、サフィールちゃんがおずおずと尋ねてくる。
「あ、あの……なんとも思わないんですか……?」
「えっ?いやいや、めちゃくちゃ腹が立ってるよ?腹の虫が戦争しようぜって誘ってきてるよ?」
(うんうん)
「えっ怖い」
なんだとチェルシーこのやろう。
「怒って…くれるんですか……?」
「そりゃそんな理不尽なの納得出来ないし。大体サフィールちゃんが物語に出てくるような悪いやつに見えるとかおかしい。絶対脳が萎縮してるんだよ」
「ボロクソ言うなお前」
そりゃね?
俺だってそれだけを知ってて、初めから魔族だって分かってたらどうなるか……う〜ん……多分テンション上がるな。
どこまでいっても俺の脳はゲーム脳だものな。
魔族とかむしろワクワクすっぞ。
(というか俺はぶっちゃけ友好的なら種族は別に気にしないかなぁ……)
(私は…どうかなぁ……見た目が怖かったらあまり関わろうとしないかも……)
(あ〜…それはまぁ確かにあるけど……でも種族はどうこう言うつもりは無いでしょ?)
(それは…はい。見た目が怖くても優しい人は沢山いますから)
(だよね)
今回はツノっ子美少女。
しかもはちゃめちゃ礼儀正しい。
そんなもんまったく怖くない。
むしろお近づきになりたいって思うだろ普通。
「で、でも…ツノとか生えてますし……!」
「可愛いじゃん。ツノ」
「か、可愛い……?」
「うん。ちょんって出てるのとか最高やん。それ伸びるの?」
「えっ…?えっと……お、大人になるにつれて伸びるらしいです……」
「(へぇ〜)」
じゃあ生まれた時は普通の赤ん坊なのかもね。
ツノあったらお母さんが致命傷になるから、当然っちゃ当然ではあるけど……。
…………ふむ。
「…ねぇ…ツノ触っていい……?」
「ふぇっ!?さ、触るんですか……!?」
「あぁいや……嫌なら無理強いはしないよ?」
「い、いえ…!嫌じゃないです!でも…その……触りたいなんて言われたのは初めてで……」
「えっ?そうなの?てっきりジルさんは触ってるもんだと思ってたよ」
「あ〜……恥ずかしながら、アタシも最初は警戒しちまってなぁ……それはきっちり謝ったし、今はそんなことないんだが……本人も隠したがってるし、アタシもあんまりそういうことは言わない方がいいかと思って言ってないんだよ」
「(あぁ〜……)」
わかるわかる。
なんか機会逃すと、今更頼むのもなんだかなぁってなっちゃうよねぇ……。
「じゃあ私がサフィールちゃんのツノに初めてお触りする生物ってことだね」
「生物って……マギーちゃん、相変わらずすごい言い回しするよね……」
「言葉遊びがちょっとした楽しみの1つなんだよ。それでサフィールちゃん。どうかな?触っていい?」
「……はい…はい…!いいですよ……!」
「うぇぇ!?サフィールちゃん!?」
急に泣き出しちゃったぞ!?
最近泣かれてばっかしだな!?
「どどどどうしたの!?ぽんぽん痛いの!?それともそんなに嫌だった!?」
「…ぐすっ……!…違います……!…私…魔族だって正体を明かして、警戒されなかったことなんて初めてで……!それにみんなが怖がってるこのツノを可愛いだなんて初めて言われて……!それが嬉しくて……!」
「(サフィールちゃん……)」
「…………」
彼女の隣でチェルシーが気まずそうな顔をしている。
…チェルシーはこっちの世界の人間だ。
俺やハルキみたいに「魔族=ファンタジーな種族」なんてざっくりした価値観ではない。
だから魔族を怖がるのは当然だと思う。
…まぁ、マグみたいに自分の目で見たものを信じるって人もいるけど……。
まぁとにかく、初めはどうあれ、今はチェルシーとサフィールちゃんの仲は良さそうなんだし、そんな気にした顔をするんじゃない。
なんだかそれを理由に仲良くしてるみたいって、俺みたいな捻くれた奴は考えちゃうぞ☆
が、それはそれ。
今は目の前で嬉し泣きしているこの子を慰めたい。
とはいえ、俺も隠し事のある身。
ここはあとで発覚しても問題の少ないマグに任せたい。
(というわけでマグ)
(いえ、コウスケさんがお願いします)
(でも……)
(言いたいことは分かります。でも、私よりもコウスケさんの方が、慰めるのは上手ですし、それに…)
(それに?)
(…私、ふにふにに負けそうで……)
(……マグ……)
(…………ごめんなさい……)
この状況でそんなことを言えるってのは、ある意味大物だと思うよ……。
はぁ……これあとで男だってバレたら、俺の方が気持ち悪がられないか心配なんだけど……。
……今更な思考かもしれんが……。
…まぁ…今は慰めるのが先決だな…うん……。
そうと決まれば……
「サフィールちゃん」
「っ!?」
俺は泣き続けるサフィールちゃんの頭を優しく撫でる。
「マーガレットさん……?」
「サフィールちゃんは怖くないよ」
「っ!」
「魔族だろうとなんだろうと、サフィールちゃんはとても優しくて礼儀正しくて可愛い女の子だもの。怖いわけないよ」
「…ぐすっ……!駄目です……!」
「何が駄目なの?」
「まだ……!私はマーガレットさんに教えてないことがあるんです……!」
「そうなの?」
「それを教えたら……マーガレットさんもきっと気持ち悪がっちゃう……!」
サフィールちゃんは俺から離れようと俺の手を押さえるが、力はまったく入っておらず、本当は離れたくないのだというのが分かる。
だから俺は、気休めにならないように言葉を選んでいく。
「大抵のことなら大丈夫だって自信があるんだけど……」
「駄目です……!絶対に気持ち悪がります……!」
「う〜ん……?そんなことあるかなぁ……?」
「あります…!」
「ふむ……言うて肌の色が変わるとか、スカートから触手が出るとかぐらいしか思いつかないんだけど?」
「っ!?」
「えっ!?マジで触手出せるの!?」
薄い本要員としてかなり高い地位に立てるぞ!?
「ち、違います!というかそれは私もちょっと怖いです!」
「違うのか……じゃあ肌の色が変わるの?」
「え、えっと……肌の色は変わらないんですけど……別のところの色は変わるんです……」
別のところ……?
じゃあもう変わりそうなの瞳しか無いんだけど。
あっそれだな多分。
「もしかして目の色?」
「…………(こくり)」
「…それのどこが気持ち悪いの……?」
「えっ……?」
(えっ?マグ……目の色変わるのって気持ち悪い……?)
(え〜っと……?それはそういう言葉遣いではなくて、本当に目の色が変わるのが、ということですよね……?)
(そやで)
(……想像つかないのでなんとも言えないです……)
(えっもったいない……)
(もったいない!?)
(瞳の色が変わるのは、俺の世界ではかっこいい表現の1つだぞ!)
(そ、そうなんですか!?)
(あぁ!)
その素晴らしさを今からマグとサフィールちゃんに教えてやるぜ!
「サフィールちゃん。瞳の色が変わるのはどんな時?」
「え、えっと……どんな時…と言いますか……いつも変えてる…と言いますか……」
「えっ?じゃあ今の色は本当の色じゃないってこと?」
「えっと……この色なのは実は片方だけなんですよ……」
「えっ!?じゃ、じゃあ…もしかして左右で色が違うの!?」
「は、はい……」
「そ、それって……!」
ツノが生えててオッドアイ……!
それ……
「……やっぱり気持ち悪い…」
「最高じゃん!」
「…………え?」
デューマンじゃん!
職業ファントムのウチの子じゃん!
「そんなの気持ち悪がらないよ!むしろ大好物だよありがとうございます!」
「だ、大好物……?」
「そうだよ!オッドアイでツノっ子で巨…ごほんっ!可愛いシスターとか、属性の宝庫じゃん!素晴らしい!」
「えっ?えっ??」
「ねぇねぇ!どうやって色変えてるの?元の色は何色なの?」
「えっあっえ〜っと……!」
「落ち着け」
テンション爆上がりでサフィールちゃんに怒涛の質問攻めをする俺を、ジルさんがサフィールちゃんから引き剥がした。
「お前……魔族だってのを気にしないのは良かったが、そんなガンガンいったら普通にサフィールが困るだろうが」
「ハッ!?しまった!?」
やっちまったぁぁ!?
ぐいぐいプライベート聞いてくるやつとか、普通に鬱陶しいじゃねーか!?
これじゃむしろ、俺の方がサフィールちゃんに嫌われちまう!!
「ごごごごめんねサフィールちゃん!今の澄んだ青い目も綺麗で好きだよ!」
「ふぇっ!?」
「…流れるように口説いたぞコイツ……」
「マギーちゃんはこういうところあるんです」
(えっ!?だって綺麗じゃん!そうでしょマグ!?)
(はい。とても綺麗ですよ)
(だよね!)
(そして慌てるコウスケさんは可愛いです♡)
(えっ!?)
「……ふ…ふふ…ふふふふ……」
俺が内でも外でもパニックになっていると、さっきまで泣いていたサフィールちゃんが笑っていた。
「…………あれだ。サフィールちゃんが笑ったからここは私の勝ちということで……」
「お前は誰と争ってたんだ」
「マギーちゃんは一旦落ち着きなよ……」
「ふふふ…ふふふふふ……!」
俺が適当なことを言って、ジルさんとチェルシーにツッコまれると、サフィールちゃんはより一層笑い出す。
…漫才だと思われたかな?
「ふふふふ…!マ、マーガレットさんって、噂よりも凄い人なんですね…!」
「えっ?そうかなぁ?」
「そうですよ…!もう……ふふふ……!不思議な人だとは聞いていましたけど、ここまでだとは思いませんでした……!」
「え〜っと……ありがとうございます…?」
「ふふふふふふ……!」
あかん。
俺が何言っても笑いそうな状態になっておる。
もうちょいふざけてみたいけど、さすがにさっきの今でふざけ倒すのは気が引けてしまうなぁ……。
「ふふふふ…!…はぁ……こんなに笑ったのなんて久しぶりです…!」
「いやぁ、とんでもないです」
「んふっ…!ふふふ……!」
すみません、秒でふざけました。
「ふぅ…ふぅ……!…こほん。えっと…なんでしたっけ?目の色を変えている方法でしたね?」
「うん」
「これは幻惑魔法…つまり幻です。それで目の色を、もう片方と同じ色にしてるんですよ」
「へぇ、幻惑魔法かぁ」
そりゃまた便利なジャンルが出てきたな。
大抵のことはそれで解決出来そうだ。
俺も使いたい。
「だからその魔法を解けば、本来の色が見えるはずですよ」
「おぉぉ……えっ?てことは、その幻惑魔法をずっと使いっぱなしってこと?」
「はい。さすがにお家で1人のときなどは別ですが」
「それでも凄いよ!だって少なくとも仕事の8時間と、休憩、移動を含んで大体9時間だとしても、かなり長い時間になるじゃん!その間ずっとなんて凄いに決まってるよ!」
「…ありがとうございます…!」
(あっ。顔を赤くしてもじもじしてる。可愛いですねぇ♪)
(可愛いねぇ♪)
さっきまでしっかりしてるところを見てたから、余計にギャップを感じるよ。
あぁ〜…このまま褒め倒して耳まで真っ赤にしたい。
(このまま褒め続けて、お耳まで真っ赤にしてるところが見てみたいですねぇ……)
(やべぇ、同士じゃん)
(コウスケさんも?)
(おうよ)
(……)
(……)
((可愛いだろうなぁ〜!))
「え、えっと…!その魔法を解きますね…?」
俺とマグのSの血が疼いている中、サフィールちゃんは照れながらも話を進めだす。
「うん、お願い」
「では……」
そう言って顔を伏せるサフィールちゃん。
(ドキドキだね)
(ドキドキですね)
俺たちはドキワクしながら待つ。
そして、顔を上げた彼女の片目は、金色に輝いていて、予想通りというかそれ以上というか、とても綺麗な瞳をしていた。
(わぁぁ…!)
「やっぱり綺麗な目をしてるじゃ〜ん♪」
「そ、そんなこと初めて言われました……!」
「えぇ〜!?みんな見る目ないなぁ〜!」
(こんなに綺麗なのにぃ……!)
「……///」
あ〜♪
また顔赤くしてもじもじしてる〜♪
「あ〜…可愛いぃ……♪浄化されそう……♪」
(ですね……♪)
「!…///」
あ〜…耳まで真っ赤になった……。
きゃわわですわ……非常にきゃわわでごぜーますわ……。
「……ははっ…予想以上だな…お前は」
「(?)」
ジルさんの言いたいことがよく分からなかったが、とりあえず好意的なコメントだということは理解した。
「…えへへ…さすがはマギーちゃん!」
「うわっ!?」
「ね!ね!マギーちゃんってすごいでしょ!?」
「…はい!凄いです!」
いきなり抱きついてきたチェルシーの言葉に、サフィールちゃんが元気に返す。
ま〜た知らないところで俺の話があったのか……。
…ま、悪い話じゃなさそうだしいいや。
サフィールちゃんが元気になってくれるんなら、些細なことだよね。
ころころ笑うチェルシーとサフィールちゃんを見ながら、俺はそう考えて……
「チェルシー」
「なぁに?」
「さりげなく私の脇腹を弄らないでくれる?」
「服を着ないマギーちゃんが悪いんだも〜ん♪え〜いっ!」
「ふわっはははは!や、やめてチェルシー…!あはははは!」
「ほらほら、サフィールちゃんも一緒にこちょこちょしよ?」
「……じゃあ、お言葉に甘えて♪」
「甘えないで!?甘えるなら別のときに…あははははは…!」
「お前ら…ここはアタシの執務室なんだが……」
その後しばらくくすぐられた俺。
その甲斐あってか、サフィールちゃんもチェルシーも、暗い顔など欠片もしておらず、2人の仲もより良好になった気がした。
……必要な犠牲…だったのだ……。
納得はできんけど。
清楚系ロリロリふにふにオッドアイ悪魔っ子シスター……良い……。
真面目で甘えるのが苦手そうなこの子も当然甘えさせまくります!
そして次回の更新は5/16(日)です!
お楽しみに〜☆




