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15.恥ずか死ぬ…あとこれからの予定

頑張って自分の心を奮い立たせてまで俺と話したかったと笑顔で言ってくれたマーガレットちゃん。


そんな彼女に両頬を手で押さえられ、顔を背けられない俺。


彼女はとてもいい笑顔が見れたのは良いことだが、さっきからちょいちょい恥ずかしいことを言われてる俺はそれどころではなかった。


あなたと話したかったから頑張った、なんて真っ向から言われたら誰だって照れるわい!!

でもそんな彼女の手を振り払うのも躊躇われるし……。


ど、どうしよう……?


「…?……!」


俺が恥ずかしさでソワソワしていると、どうやら向こうも今の状態を理解したようで、顔を真っ赤にして慌てて両手を離し距離を取った。


…すごく気まずい空気が流れる……。


なんか告白みたいなこと言われたし、どう反応を返せば……。


お互いにもじもじしてしまいせっかく話せるようになったと言うのに、無言の時間が流れてしまう。


さすがにこのままではいかん…!

えーっと…なんか話題を……


「あ、あー…そういえばさ…」

「う、うん!どうしたの…?」

「えーーーとぉそのーさ、俺のこと見てたって言ってたでしょ?」

「う、うん」

「てことは…その…お風呂とかも見てた…よね…?」

「…う、うん……」

「あー…のね?…うん…不可抗力とはいえ君の裸見ちゃったこととかって怒ってないのかな〜とか、思ってたんだけど……」

「あ、あ〜…なるほど……」


うあぁぁぁ!!??

もっと他にあるだろ俺ぇぇぇぃ!??


ほら見ろ!マーガレットちゃん顔真っ赤だったのがさらに赤くなっちゃったよ!?


今日の俺そんなんばっかっ!!


「そ、その見られたのは恥ずかしいけど…ちゃんと優しく洗ってたし嫌じゃなかったと言うか……えと…と、とにかく気にしてないから!!」


ウソだっ!!!


そう思ったのに俺の口から咄嗟(とっさ)に出た言葉は、


「そ、そう……」


ばかやろうっ!!

口下手!!コミュ症!!


そうじゃなくて何か話題!

あんなに話したかったのに話題が出てこない!!

クソがっ!!!


「あ、あの…」

「う、うんどうしたの!?」


マーガレットちゃんからアクションがっ!

何が聞きたいの?どんな質問もどんとこいよ!


「わ、私の体に傷が無いか見てたじゃないですか…」


ぐふっ!

まぁ見られてるよなぁ……。


「お、おう……」

「そ、それでその…傷は無かったんですよね…?」

「あ、あぁそれは、うん。ケランさんが直してくれたのかもしれないけど、目立った怪我は特に無かったよ」

「う、うん、ありがとう…そ、それでね?」


なんだろう?

もしかしてどこか見逃してがあった?


「わ、私の…」

「うん」

「私の…体…どうでしたか……?」

「……………………へあっ!!?」


言葉の意味が分からず少し考えた後、俺は素っ頓狂(すっとんきょう)な声をあげてしまった。


け、怪我はしてないって今言ったし、どうってどういう…あ!分かった!使い心地はどうかってことか!

使い心地はどうって言い方ヤバイなって思うのは俺の心が汚れてるからだな多分!!


「と、特に異常は感じないよっ!!」

「そ、それは良かったですけどそうじゃなくて…うぅ〜……」


そうじゃなくて!??

え、じゃあなんだろ分からん!?


そうしてる間にも彼女はチラチラとこちらを何かを期待しているように見てくる。


えーっとえーっと……ハッ!

もしかして…褒めてもらいたいのか…?


だが何を?今の話の流れなら……体?

え?体褒めるって恥ずかしすぎるぞ??


しかもこれ…ハズレだった場合……。

………ヤバイ。


で、でもこれしか出てこない…!

えぇい!もうなるようになれ!


「えっと…すごく…綺麗……でした……」

「……な、何がですか……?」


恥ずかしすぎて敬語になってしまった俺に非情にも細かく聞き出そうとしてくるマーガレットちゃん。

鬼かな?


「それは………………君の体が……」

「!そ、そうですか…ありがとうございます……」


……。

恥ずか死ぬ。


だがどうやら正解を当てたみたいで、マーガレットちゃんは恥ずかしそうではあるものの、同時に嬉しそうな顔をしていた。


あー…とんでもない羞恥責めを喰らった……。

はー……もう、恥ずかしかった……。


チラッとマーガレットちゃんの方を見ると、彼女も恥ずかしかったのだろう、真っ赤な顔をめっちゃ手で仰いでいた。


…そりゃあ、初めて会った人とするような会話じゃないもんなぁ。


そう考えて、そもそも異世界に飛ばされたことが普通じゃないと気付き、思わずクスッとしてしまった。


それに反応したマーガレットちゃんと目が合う。


「…マーガレットちゃん」

「は、はい…!」

「改めてよろしく」

「!…はい!よろしくお願いします!」


そうして色々ありはしたが、俺たちはそう言って握手を交わした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そうだ、コウスケさん。私のことは《マグ》って呼んでください」

「マグ?」

「はい!村にいたときの友達が呼んでたんです。マーガレットって呼ぶのは長いからって」

「へぇ〜、いいの?」

「あだ名の方が近い気がして好きなんです」

「ん、分かった。んじゃあ…マグちゃん」

「うーん…」

「?どうしたの?」

「いえ…コウスケさんの方が年上ですし、ちゃん付けしなくても良いですよ?」

「これは年上だからこそ付けるもののような…」

「うーん、でもぉ…」


うーん、そんなに変わんないと思うけどなぁ。


「んーと、じゃあ…マグ」

「!は、はい!」

「いやなんで緊張してんの?」

「えっ!?そんなことないですよ?」

「えー?やっぱりちゃん付けのが…」

「いえ!そのままで!呼び捨てでお願いします!」

「う、うん…そこまで言うなら……」


そんなに必死になることかな?


「あー…それなら俺もなんか違う方がいいかなぁ……?でもいつもコウスケって呼ばれてたから、あだ名なんて特にないしなぁ……」

「うーん…コウスケさんはそのままでも呼びやすいですし、無理に変えなくても良いのでは?」

「だよなぁ〜……あ、一個あった」

「え?なんですか?」

「すけこ」

「え?」

「すけこ」

「すけこ」

「そう、すけこ」

「…コウ《スケ》だからですか?」

「うん。まぁその友達しかそう呼んで無かったけど…」

「でしょうね」


その全国のスケさんにつけられそうなあだ名を考えた友人を思い出す。


あいつ元気にしてるかなぁ……。

まぁいつも元気だったし大丈夫だろ。


思い出し終了。


「…コウスケさん、その友達って女の人ですか?」

「んにゃ、男だよ。なんで?」

「いえ、なんとなく」

「ふ〜ん」


なんか気になることでもあったのかな?

まぁいいや。真面目な話をしよう。


「さてと、マグ」

「はい」

「俺がアイツを落とすって言っただろ?」

「アイツ…あの龍ですね?」

「そうそう」

「落とすって言ったからには何か作戦があると思っていたのですが、もしかして…」

「話が早いね、その通り。せっかく会えたんだし、この機会に俺のプランを共有しとこうかなって」

「なるほど、確かに……。こうして話してはいますけど、お互いの心の声が聞こえているわけではありませんからね」

「そゆこと」


そう、今いるここは夢の中…というよりはマグの心の中、と言った方が正しいだろう。


だがここにいるからってマグの心の声が俺に筒抜けているわけではないし、俺の心の声も相手には聞こえていなさそうだ。


まぁマグと出会ってからの俺の心の声といえば、大半が羞恥による意味不明な叫び声なので聞かれても俺の心にダメージが入るだけで大して問題では無い。


いやまぁ問題ではあるけど、マグに聞かれてまずい内容ではないから問題ない。


それはさておき…


「ほいじゃさっそく作戦発表です」

「はーい」


いい返事で。


「まず、考えたプランは大きく分けて2つ」


マグに向かってピース。

あ、返してくれた。かわいい。


「自分で殺るか、他人が殺るか、だ」

「…自殺と他殺?」

「うん、それどっちもこっちがやられてるよね?そうじゃなくて、俺とマグが直接殺るか、他の強い人や殺れる人に任せるかってこと」

「それは…自分で出来るならもうしてますよね……」

「ま、そうなんだよね……」


俺も最初…本当に最初だけ、冒険者になって復讐するという王道パターンも考えた。

だがそれだと…


「自分でやるには修行が必要だし、あれに対抗できる装備を見つけないといけないし、何より時間がかかり過ぎる」

「その間に他の村や街が襲われたら申し訳ないですね……」


そういうことだ。


仮に腕の立つ師匠に修行をつけてもらったとしても、一年や二年で落とせるようになるかはかなり怪しい。


チート能力などがあれば…とも考えたが、そんなもの博打と同じだ。


ダンジョンマスターであるハルキと出会えたから、もしかしたらパワーレベリングやチート能力の在り処などがあったかもしれないが、この世界にレベルの概念は無さそうだし、出会ったばかりでハルキがチートをくれるとは思えない。


つまり、どうしたってアホほど時間がかかるのだ。


それなら腕の立つ冒険者なり、どこかの軍隊なりに任せた方が早いし強い。


「でも他人に任せるのも…」

「…まぁな……」


確かに他人に任せれば自分で殺るよりも早いし確実性も上がる。

だがそれは、その人達を龍狩りというとんでもなく危険なことをやらせるということだ。


一応、村を襲った危険な龍として討伐依頼は出せるだろうが、今の俺たちは一文無し。しかも結局は自分達の為の復讐なのだ。


…そんなものに命をかけてくれる、腕の立つ大馬鹿野郎はゲームとかならいざ知らず、この世界にいるとは思えない。


「じゃあどうするんですか?」

「何はともあれまずは金と情報だ」

「お金は分かりますけど…情報…?龍のですか?」

「それもそうだけどそれだけじゃない。冒険者や各国の情報も集める」

「各国の?」

「そ、軍隊はもちろん、その国の特徴とかの観光的な事から、物価やどんな事件が起こったとかの細かいとこまで」

「軍隊だけじゃないんですか?」

「その国の特徴が分かれば、いざ交渉するときのカードになるし、物価や事件みたいな細かい事でも、結構色々分かるんだよ。例えば、この街は小麦の物価が高いなって思って調べたら、凶作なんじゃなくて魔物に襲われたからっとかだったら、それを理由に誰かを派遣して助けてあげる事で、その国の国民との繋がりが出来る」

「なるほど…国民が助けられたとなれば、国も知らぬ存ぜぬじゃいられませんものね」


おぉ、ほんとに頭いいなぁ。


「ホント話が早くて楽できていいよ。何か勉強してたの?」

「あはは、貴族なら当然ですよ」

「そうなのかー……貴族?」

「?はい、そうですよ?知りませんでしたか?」

「初耳だよ…。そっかぁ貴族かぁ…どうりで礼儀正しいし、頭の回転も早いわけだ」

「えへへ…」


俺の素直な感想を述べると、マグは照れ臭そうに笑った。


「しかもかわいい」

「……ふえっ!?」

「おっと…」


心の声が漏れてしまった。


「それはさておき…」

「それはさておき!?」

「お金と情報の次は…って、ありゃ…?」

「コウスケさん?」

「いや…なんか急に眠気が……」

「!もしかして、もう起きる時間なんじゃないですか?」


あぁ…なるほど……いや待てや。


「俺と話せるぐらいのところにいるならマグも外に戻れるんじゃないか……?」

「そう…ですね……多分出来ると思います。でも…まだちょっとだけ考えさせてください…」

「…ん……分かった……」

「はい…コウスケさん」

「ん……?」


眠気が凄すぎて、意識がぼんやりする中マグは俺の手を握って…


「これから一緒に…頑張りましょうね」


と言った。


それに返事を返す前に俺は眠ってしまった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺が目を開けるとそこには昨日俺が寝た部屋の天井が見えた。


閉ざしたカーテンからは陽の光が溢れており、時計を見ると針が6時の少し前を指していた。


俺は体を起こし、


「うん、頑張ろうね、マグ」


今は話せない彼女に返事を返した。

ようやくプロローグが終わりました…。

まさかこんなに長くなるとは……。


まあとにかく!

次回から新章突入です!

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