147.恋バナ…なのか?
とりあえず悪は滅びた。
だが色々ありすぎて、お昼ご飯もまだ食べてないのに心が疲れてしまった俺。
そんな俺を思ってなのかどうなのか、ユーリさんがずっと抱っこして慰めてくれた。
さりげなくお姫様抱っこになってたからユーリさんも善意100%では無いだろうが、癒しが欲しかったので俺はそのことを言及しなかった。
そこにショコラちゃんとパメラちゃんが来た。
「こんにちはユーリさん!ディッグさんとケランさんも!それでえ〜っと……」
「メイカさんは……どうしましょう……?」
「こんにちは、ショコラちゃん、パメラちゃん。メイカさんは起きたらで…」
「こんにちはぁ……ショコラちゃん…パメラちゃんんん……」
「「ひえっ!?」」
「…起きてるみたいだね……」
ケランさんの言葉の途中で、低音で挨拶をするメイカさんに2人が怯える。
怖っ。
「はぁ…やれやれ……まぁそんなことより、嬢ちゃんたちは昼飯はまだか?」
「はい」
「じゃあ一緒に食うか?ショコラ嬢ちゃんたちもどうだ?」
「わっ!いいんですか!」
ディッグさんの言葉に喜ぶショコラちゃん。
久しぶりにゆっくり話せる機会だもんね。
と、そんなショコラちゃんにパメラちゃんが言う。
「あっでも…ララさんに言わないとじゃない?」
「あっそっか。じゃあ言ってくる!」
「うん、おねが~い♪」
「走ったら危ないよショコラ~」
って、聞いてないな……。
まぁいいか。
「それにしても大変だったね、マグ」
「あはは……まぁいつものことだよ……」
毎日の激突ノルマとか恥じらいの無い行為とか……。
これいつものことじゃやばいよね……?
「……♪(じ~)」
「…?どうしたのパメラ?」
パメラちゃんが楽しそうにこちらをじっと見つめているのに気付いて聞いてみる。
「ん~?やっぱりマグは変わったな~って♪」
「そうかなぁ?」
「やっぱり好きな人が出来たから?」
「ソウカモネー」
「あっ!も~っ!」
答えに困る質問を華麗にスルー。
すると今度はユーリさんがパメラちゃんに質問した。
「そういうパメラちゃんは誰か好きな人いないの?」
「いや~、私は他人の恋を見守る方が楽しいので~♪」
ちょっとわかる。
「そーゆうユーリさんこそ、誰か良い人いないんですか?」
「あははっ、そういう人はいないかなぁ~。今はマーガレットをぎゅってしてる方が楽しいしね♪」
「むぅ~!もったいな~い!ユーリさん絶対モテるのにぃ~!」
「そうかなぁ?」
「そうですよ!」
パメラちゃんの言葉に不思議そうに返すユーリさん。
(俺もユーリさんはモテると思うけどなぁ……)
(はい……優しくて、気遣いが出来て、冒険者としても踊り子としても素晴らしくて、おまけにすごいふにふにしてますからね……)
最後ので台無しだなぁ……。
いや、分かるけどさ。
ユーリさんのお胸が如何にふにふになのかを一番よく知ってるけどさ。
「マグもそう思うでしょ!?」
「うん。ユーリさんは凄いモテると思う」
「ほらぁ!」
「えぇ~?」
本人にまったく自覚が無さそうだけど……。
「ただいまぁ~!何の話してたの~?」
「おかえりショコラ。ユーリさんはモテるよねってお話してたの♪」
「おぉ!確かにモテそう!」
「えぇ!?ショコラちゃんまでぇ!?」
「ほれほれ。伝え終わったんなら行くぞ?」
『は~い!』
メイカさんを担いだディッグさんに、みんなで元気な返事をして、俺たちはお昼ご飯を食べに街へと繰り出した。
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そんなこんなで辿り着いたのは《白兎亭》。
まだモニカちゃんのところの料理を食べたことが無いと言うショコラちゃんとパメラちゃんの希望を叶える形でここへ来た。
時刻はちょうどお昼時ということもあり、店内はかなりの混雑で、待機列もそこそこ長く、すぐには入れない状況だった。
とはいえ、みんなとワイワイ話していれば割とすぐで、俺たちは特に問題なく店内へと入った。
「いらっしゃいませぇ~♪って、マーガレットちゃんたちじゃない!いらっしゃい♪」
「こんにちはアリシアさん。7人でお願いします」
「は~い♪こちらへどうぞ♪」
迎えてくれたアリシアさんに案内され、席に着く俺たち。
そんな俺たちを……というか俺を、遠巻きに見てくる他のお客さんたち。
…新聞だろうなぁ……。
ここに来る間とか、ギルドでみんなと喋ってる間も結構見られてたし……。
ちょっと疲れた顔を浮かべた俺をよそに、アリシアさんがショコラちゃんたちに話しかける。
「ねねっ!もしかしてショコラちゃんとパメラちゃん?」
「はい!ショコラです!」
「パメラです♪モニカちゃんのお姉さんですよね?」
「そうだよ♪モニカから聞いたの?」
「はい。優しいお姉ちゃんとお兄ちゃんと一緒にお店をやってるって聞きました~」
「すごく美味しいって聞いてずっと気になってたのを、今日連れてきてもらったんです!」
「ありがと~!嬉しいよぉ♪私もモニカから、新しいお友達が出来たって聞いてね?嬉しそうに話してたから、どんな子たちかなぁ~って気になってたの♪そしたらモニカの話通りの良い子たちで安心したよ~♪」
「「えへへ〜♫ありがとうございます!」」
俺が周りの視線を気にしている横で、ショコラちゃんたちが和む会話をし始めた。
いいなぁ~……。
俺ももっとまったりした~い……。
「それじゃ、お水持ってくるから、そこにあるメニューを見て料理を決めてね♪」
「「は~い♪」」
そう言って去っていくアリシアさん。
早速ショコラたちはメニューを見てキャッキャッし始める。
「へぇ~!いっぱいあるんだねぇ~!」
「お肉にお魚…って、ここからだと川って遠くなかった?」
「迷宮内に川や湖があって、そこから魚や魔物が獲れるんだよ」
「「へぇ~!」」
ケランさんの言う通り、迷宮の1階層には大きな湖が、3階層には川が流れており、魚や魔物が生息しているらしい。
なんでも、魚獲りや水棲型の魔物を専門としている冒険者がいるらしく、そのおかげで毎朝新鮮な魚たちが街に出回っているのだそうだ。
マジックバッグは、保冷やら保温やらの効果が付いてる物以外は外と同じ気温になるらしく、時間の経過を遅らせる力もそういう効果を持つ物以外は付いてないため、保存として使うには難しい。
なので毎朝迷宮から獲ってくる必要があり、その手の依頼なども多く、なかなかの報酬も貰えるため、主に早起きが得意だったり、夜型の冒険者たちがこぞって参加するのだとか。
しかも、消費しきれなくてもギルドへと持っていけば無償で引き取ってくれるので、不法投棄などの心配も少ない。
まぁ多分どこに捨てても迷宮内なので勝手に消化はされるだろうが、キチンとルールを守ってくれてるお店とズルいことをしているお店ならば、よっぽど人気が無い限り前者へと人は集まるだろう。
どうせ引き取り料は取られないのだから、その分安くできる!なんてことも無いわけだし。
「みんな、こんにちは…!」
「ん、モニカちゃん。こんにちは」
考えながらもメニューを眺めていると、モニカちゃんが水を運んできてくれた。
「こんにちは、モニカ!」
「約束通り食べに来たよ♪」
「ありがとう、ショコラちゃん、パメラちゃん…!」
いつの間に約束を……と思ったが、昨日めっちゃ待たせたので、それぐらいしてるよな…っと思い直す。
そんな俺にモニカちゃんがおずおずと話しかけてきた。
「そ、そのぅ……マ、マーガレットちゃん……」
「うん?」
「え、えっと……今日の新聞……見た……?」
「……見たよ……」
「そ、そっか……」
「「…………」」
…凄く……気まずいです……。
ほんと、この新聞作ってる商業ギルドの人たちに文句が言いたい。
テューレさんやリベリアさんが関わっていないことを祈るよホント。
「ゔっうんっ!…え~っととりあえず注文良いかな?」
「あ、う、うん…!そうだね…!ご注文をお聞きします…!」
咳払いで誤魔化し、一旦会話を切る。
「…またあとでね」
「…!うん…♪」
とはいえショコラちゃんたちはもっと話したいだろうし、俺ももうちょい癒されたいので、あとでまたお話する約束を取り付けておく。
ウサ耳をぴこぴこさせながら去っていくモニカちゃんを見送った後、俺たちは再びお話しながら料理を待った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ごちそうさまでした!』
料理を食べ終わり、美味しさに興奮を隠せないショコラちゃんたちと笑いあいながらのんびりする。
お昼時が過ぎ、並んでいるお客さんもいないので、思う存分まったりすることが出来るのは嬉しい。
と、そこに手の空いたらしいモニカちゃんがやってきて、ショコラちゃんたちに感想を聞いた。
「お料理どうだった…?」
「美味しかったよぉ~!」
「うん。すっごく美味しかった!毎日でもいいくらいだよ!」
「よかったぁ…!」
はぁ~……いいねぇ~…ほんと。
こういう可愛らしい光景、本当に癒されるよ……。
俺の疲れた心にライブリライブリカバーですよ……。
「皆さんもどうでしたか…?」
「最高よ~!」
「うん、今日の料理も美味しかったよ♪」
「おう!美味かったぜ!」
「はい。絶品でした!」
「ありがとうございます…!」
口々に発せられる称賛の声に喜ぶモニカちゃん。
最後に俺を見て遠慮がちに聞いてくる。
「マ、マーガレットちゃんはどうだった…?」
「うん。今日食べたのも凄く美味しかった。大満足!」
「本当?えへへ…よかったぁ…♪」
ふにゃっ…と可愛らしい笑顔を見せるモニカちゃんにつられて、こちらも自然と笑顔になる。
(可愛いねぇ……)
(可愛いですねぇ……こう、優しくぎゅ~ってしたいです……)
(わかるぅ~)
マグと話している横で、パメラちゃんがモニカちゃんにも例の質問をした。
「ねぇねぇ、モニカちゃんは好きな人とかいるの?」
「ふぇっ!?い、いないよぉ~…!」
「えぇ~?ホントに~?」
「あぅぅ…!」
「ねぇねぇ〜♪」
「ふぇぇ…!マ、マーガレットちゃん……!」
「はいはい、おいで」
パメラちゃんの質問にタジタジのモニカちゃんが、俺に助けを求めたので受け入れる。
…なんでこの子は真正面から抱きついてきたん……?
普通後ろに隠れるとかじゃない?別にいいけどさ。役得だけどさ。
「よしよし。も~…パメラ」
「だってぇ…気になるんだも~ん♪」
細かいことを気にしないで、そのままモニカちゃんを撫でながらパメラちゃんに注意するが……。
まったく悪びれてないな……。
「マグは気にならないの?」
「気にはなるけど…そういうのは本人から相談されない限り首を突っ込みたくないなぁ……」
「えぇ~っ!?」
しかしモニカちゃんの好きな人かぁ……。
こんな愛らし生物を彼女に出来るラッキーボーイがいつか現れるかもって思うと……
「許さん……!」
「そう…許さな……え?」
突然聞こえた男性の声に振り返ると、そこには鬼の形相で涙を流すモニカちゃんのお兄さん…リンクスさんが立っていた。
「モニカに……モニカに彼氏など許さん……!彼氏になりたければ、俺を倒してみろぉーっ!」
「「ひゃあぁっ!!?」」
「お、お兄ちゃん……!」
リンクスさんの咆哮に、ショコラちゃんとパメラちゃんが怯えた声を上げた。
メイカさんたち大人組も何が何だか分からないという顔をしてる中、モニカちゃんが恥ずかしそうに止めに入る。
「そ、そういうことを友だちの前で言わないでよぉ……!」
「モニカが……モニカがどこの馬の骨とも分からん奴に……!」
「はいはい、兄さん。そういうのはあたしが聞くって言ったでしょ。すみませんねぇ~お見苦しいところを~」
「えっあっいえ……」
「ではごゆっくり~」
「俺は許さん!アリシアもモニカも嫁になど出したくないぃーっ!」
「だからそういうことをお客さんの前で言うなっての、バカ兄っ!」
『…………』
アリシアさんに引っ張られていったリンクスさんを、唖然として見送る俺たち。
そんな俺たちに、俺の腕の中のモニカちゃんが恥ずかしそうに謝ってきた。
「ご、ごめんなさい…!お兄ちゃん…こういうお話をするといつもあぁなっちゃって……!」
「あぁ……うん……」
「妹思いの良いお兄さんなのね。分かるわ……私もマーガレットちゃんやメリーちゃんがお嫁さんに行くって言ったらあぁなると思うから」
いやメイカさん。
俺のこと割とすんなり受け入れてくれたじゃないですか。
やっぱり男として認識してないんじゃないか?
「あ、あはは……ま、まぁでも、それだけ大事にされてるってことだし、モニカちゃんも嫌いってわけじゃないんでしょ?」
若干気まずい空気を変えようと、ユーリさんがモニカちゃんに話しかける。
「は、はい…!いつもは優しいお兄ちゃんですから……」
「はははっ。ま、身内としちゃあ心配なんだろうよ。せめてそういう相手を見つけたときは、素直に話してやりな。隠したら余計に意地になるだろうからな」
「はい…!」
ディッグさんの言葉に頷くモニカちゃん。
う〜む……さすがディッグさん。
メイカさんの手綱をいつも握っているだけのことはある、見事な話のまとめ方だ。
俺も見習いたいぜ。
「ん……マーガレットちゃん。そろそろ戻らないとじゃない?」
「そう…ですね。そろそろお暇しましょうか」
ケランさんに言われて時計を見ると、そこそこいい時間になっていたので帰ることに。
「えぇ〜!もうちょっとだけダメ?」
「それ言い出したらキリが無いでしょ。また近いうちに来るだろうし、お休みの日に遊びに来ても良いんだから、今日は戻るよ。チェルシーももう来てるころだしね」
「むぅ……確かにチェルシーとも会いたいなぁ……分かったよ……」
駄々をこねるショコラちゃんを説得したので、俺は抱きついてるモニカちゃんを剥がしにかかる。
「そういうわけだからモニカちゃん。また今度ね」
「…ん〜……」
「…ちゃんとまたいっぱい撫でてあげるから」
「…えへへ……♪約束だよ…?」
そう言って俺から名残惜しそうに離れるモニカちゃん。
(…むぅ……モニカちゃんもコウスケさんへのおねだりを覚えてきてるなぁ……これは私ももっと積極的にいかないと……!)
(マグがこれ以上積極的になったら、俺のハートが持たないから勘弁してくれ……)
現状でもかなりギリギリなのに。
そんなこんなありつつ、ディッグさんがお会計をしてる間に、我々子供組で別れの挨拶をする。
「じゃあね、モニカちゃん。また来るよ」
「うん、じゃあね…!」
「またギルドに遊びに来てね!」
「うん…!」
「今度こそ好きな人を聞かせてね♪」
「そ、それは……!」
「こらこらパメラ……」
「言っておくけど、マグの好きな人も絶対に聞くからね!」
まだ諦めてなかったか……。
「えっ!?マーガレットちゃん、好きな人がいるの!?」
「いると思うんだけど…教えてくれないんだよぉ〜……!」
「ねぇマグぅ〜♪せめて特徴とかだけでも、ダメ?」
「ダ〜メ♪これは墓まで持ってくんだから」
「「「伝えないのっ!?」」」
だって伝えたし、付き合ってるし。
(さすがに自分に取り憑いてる幽霊と付き合ってますなんて言えないからねぇ)
(しかもその幽霊さんご本人ですからね……)
説明するのがぶっちゃけダルいね☆
そうこうしてる間に、ディッグさんが戻ってきたのでお開きになった。
「それじゃ、またね!」
「うん…!…約束、忘れちゃやだよ…?」
「覚えてるよ。どっちもね」
また次もいっぱい撫でることと、ノーダメ勝利な。
もちろん覚えてるよ。
「「またねぇ〜!」」
「またねぇ、モニカちゃん!」
「じゃあね〜!」
「ご馳走さん!」
「ご馳走様でした!」
モニカちゃんに見送られ、俺たちはギルドへと戻っていくのだった。
毎年エイプリルフールって、いろんな人や会社のウソ呟きが楽しみなんですよね。
みんな腕が良すぎるよ。
さて、次回は4/4(日)更新予定です。
……もう4月か……。
…お楽しみに〜。




