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104.歓迎会開始…ヤキモチ焼きの少女

〔マグ〕


(コウスケさん。コウスケさ〜ん!)

(ん…?あぁ、お風呂上がった?)

(はい!)

(何事も無く?)

(………はい!)

(なにその間?)


お風呂から上がり、いつものパジャマに着替えたところでコウスケさんを呼ぶ。


お風呂でフルールさんにマッサージをしてもらったのは秘密……いや、マッサージをしてもらったのは良いとして、それがお胸を大きくするものだというのは秘密だ。


ふふふ…♪今から楽しみだなぁ……♩

これでメイカさんやユーリさんみたいな美人さんになれるぅ〜♫


「ふふ〜ん♪」

(…なんか知らんが…ま、楽しそうで何より何より)


えへへ〜♪

そうですよ〜♪


「楽しみですねぇ♪」

(そうだねぇ)

「そうねぇ、結構買い込んでたみたいだし、色々研究させてもらおうかしら」

「……お肉」


パーティーのことだと思われてるかな?

まぁ今はそれでいっか。

ふんふふ〜ん♪


そんなこんな話しながらみんなが待ってるリビングへ。

フルールさんが扉をガチャっと開ける。


「お待たせ」

「お待たせしました〜♪」

「おかえり3人とも。なんだかマーガレットちゃんは嬉しそうだねぇ?」

「えへ〜♪お風呂でフルールさんにマッサージしてもらったんですよ〜♪」

(へぇ)

「へぇ〜!いいなぁ!ね、ね、フルールぅ!」

「はいはい、後でね」

「やた♩ユーリちゃんもして貰えば?」

「えっ!?そんな…申し訳ないですよ!」

「あら、遠慮しなくても良いのに」

「え、えっと……!」


(マグが上機嫌だったのはそういうことだったんだ)

(はい!今日この後、部屋でマッサージをしてくれるらしいですよ!)

(マジか)

(マジです!)


コウスケさんにもあの気持ち良さを味わって欲しいなぁ〜!

それに私も…むふふ……♡


(楽しみにしててくださいね♡)

(うん、そうする)


「マーガレットぉ…助けてぇ…!このままだとダメになっちゃうぅ……!」

「えっなんでそんなことに?」


私がコウスケさんと話している少しの間に何があったの?


見かねたディッグさんがみんなを制し、ケランさんがいつの間にか用意した飲み物をそれぞれに手渡す。


…あら〜?ケランさん…フルールさんに渡すときだけすごく緊張してませんか……?


(コウスケさんコウスケさん!あれってもしかして……!)

(んー…多分そういうことだろうね)

(?あんまり乗り気じゃなさそうですね?こういうの好きそうだと思ったんですが……)


コウスケさん、街でなんだか甘酸っぱい関係っぽい人たちを見つけるとよく応援してるから、人の恋愛模様とか好きだと思ったんだけど……。


(うん、好きだよ。でもねぇ…フルールさんは子持ちでしょ?ケランさんはそこら辺もう知ってるから良いとして、フルールさんがその辺を気にして身を引いちゃわないか……)

(ん…なるほど……)


そっか……第2の恋…になるんだもんね……。

それは…確かにちょっと考えちゃうかも……。


もし私がコウスケさんと別れたとして…………もしね?もし、もしもの話ね?

例え話だからね?


……ダメだ…考えられないし考えたくないっ!


(そもそもフルールさんに脈があるかどうかからだからねぇ……)

(……)

(マグ?)

(ハッ!?そ、そうですね!うん、確かに!)

(?)


うん…やめよう。

こういうの考えるのはやめよう!


それで?えーっと……フルールさんがケランさんをどう思っているか…でしたっけ?


(本人に聞いてみれば…)

(…いやそもそも人の色恋沙汰に無闇に首を突っ込むのは控えようや)

(えっ!?なんでですかっ!?)

(誰かが応援してるってのは頼りになる反面、プレッシャーにもなるんだから。それが身内なら(なお)の事。相手が相談してきたときとかだけで良いの)

(うぅ〜!)


言いたいことは分かるけどぉ〜……!

見守るだけって落ち着かないなぁ〜……!


と、そこでディッグさんがみんなを見回し、飲み物が行き届いたことを確認すると、乾杯の音頭を取った。


「よし、全員飲み物は持ったな?では!ユーリ嬢ちゃんのパーティ加入を祝って…かんぱ〜い!!」

『かんぱ〜い!!!』


思考を戻し、みんなと乾杯をする。

何はともあれ、ユーリさんの歓迎会の始まりだ!


早速メイカさんたちがユーリさんに話しかける。


「ユーリちゃんの好きな食べ物ってなぁに?」

「美味しければなんでも好きですよ!」

「あら、じゃあ嫌いな物とか苦手な物は?」

「そうですねぇ……あー…実は子供のときからピーマンが苦手で……」

「あぁ…あれは慣れないとねぇ……」

「じゃあ今日は良かったねぇ。ピーマンは無さそうだよ?」

「はい、安心しました」


そっかぁ…ユーリさん、ピーマン苦手なんだぁ……。

私も苦手だなぁ…あれ苦いし食感もアレだし……。


あっそうだ。


(コウスケさんはピーマン大丈夫な人ですか?)

(大の苦手でございます)

(あっ良かったぁ……)


コウスケさんがピーマン好きだったら、多分私の体は受け付けないからピーマンを食べられなくて大変だったかも……。


(マグも苦手なの?)

(はい…あまり贅沢言っちゃいけないのは分かってるんですけど……あれは体が受け付けなくて……)

(あぁ…そういうやつね。あるある)

(コウスケさんもですか?)

(俺は…うん……いろいろ駄目だね……)

(えっ、そうなんですか?)


意外……。

コウスケさん、ずっと美味しそうに食べてるところしか見てないから、あまり好き嫌いは無いと思ってた……。


(まず生野菜があんまり好きじゃないし、苦い物とかも駄目だし…他にもいろいろ細かいのがねぇ……)

(へぇ〜……)

(だから、まぁ…情けない限りだけど…マグが好きで俺が苦手な物が出たら変わってくれたり…しない?)


ん……!

普段あんまり弱みを見せないコウスケさんが、苦手な食べ物が出たら助けてって……!


…か、かわいい……!


(はい!私、がんばります!)

(待って?そんな意気込むようなことじゃないよ?)

(そんなこと無いですよぉ〜!コウスケさんはもっと私に甘えていいんですからねぇ♡)

(あれ?マグそんなキャラだったっけ?そんなロリママみたいなキャラだったっけ?)


んふふふ……♡

いいですねぇ……コウスケさんが少しずつでも私に甘えてくれるようになってきてくれて嬉しいですよ?


そしてゆくゆくは……♡


「……マーガレット…顔がだらしない」

「うぇっ!?そ、そうかなっ!?」

「……(こくり)」


私がコウスケさんとの甘々なやりとりを妄想しているところをメリーちゃんに見られてしまった。


そ、そんなにだらしなかったかな……?


「………ずるい」

「えっ?」

「……わたしも」

「えっ?えっ?」


メリーちゃんがおもむろに抱きついてきて、私は困惑してしまう。


ず、ずるいって…何が……?


(…んー…マグ、ごめん。ちょっと代わってくれる?)

(は、はい……でもどうするんですか……?)

(んー……多分これじゃないかな……?)


私はコウスケさんと交代して、抱きついてるメリーちゃんにコウスケさんがどうするのかを見守る。


コウスケさんはメリーちゃんを優しく抱きしめ返すと、そのままメリーちゃんの頭をこれも優しく撫で始める。


「……♪」


メリーちゃんはそれに気持ち良さそうな顔をする。


あっ…もしかして……メリーちゃんもコウスケさんに甘えたかったの……?


「メリーちゃん、ごめんね?いつも忙しくてあんまり構ってあげられなくて……」

「……ん…いい……でもたまにこうしてほしい…」

「うん、いいよ」


そっか…メリーちゃんは吸血鬼なのもあって、いつも起きるのが遅くて、私たちが出かけるぐらいにギリギリ起きるぐらいだから、いつも朝ご飯は1人だし、お昼だってフルールさんと2人っきりだから、寂しかったんだ……。


「ほら、メリーちゃん。何か食べたい物はある?」

「……んー…あれ」

「あれね」


コウスケさんが料理を取ろうと手を離す。


「……んー!」

「!…ふふ…それじゃあ取れないよ?」

「……んー(ぐりぐり)」

「ふふふ…はいはい(なでなで)」

「……♫」


メリーちゃんはコウスケさんに抗議して、頭をぐりぐりとコウスケさんの胸に擦り付ける。

それにコウスケさんはふんわりと微笑むと、再びメリーちゃんの頭を優しく撫で始めた。


…いいなぁ……。

私ももっと……ハッ!?いけないいけない!

私は今日はコウスケさんを目一杯甘やかすんだから!


……でも……


なでなで…


「……♩」


いいなぁ……。


「すみませんケランさん。ちょっとそこの白パンとお肉を取ってくれませんか?」

「ん?あぁ、いいよ。ふふふ、べったりだね」

「えぇ、かわいいでしょう?」

「ふふ、そうだね。はい」

「ありがとうございます。ほら、メリーちゃん」


ケランさんに料理を取ってもらってメリーちゃんに差し出すコウスケさん。

それにメリーちゃんは…


「……あ〜」


コウスケさんに向けて口を開けた。


…えっ!?まさかこれって!?


「…も〜……しょうがないねぇこの子は……」


コウスケさんも察したのか、パンを小さくちぎってメリーちゃんの口に近づける。


「ほい、あ〜ん…」


あっ!あっ!ずるいっ!


「あ〜…む」

「あっ」


あーーーっ!!!?

指ぃ!?コウスケさんの指ごと食べたぁ!!?


「もむもむ………もっと」

「も〜…指まで食べちゃダメでしょ〜?」

「……ん」

「はいはい、次はお肉ね」


それだけっ!?

コウスケさんそれだけですかっ!?

もっと…なんか……もうちょっと注意とかぁ!


そんな私の心とは裏腹に、まったく焦ってないコウスケさんは、次にお肉をフォークを使いつつスプーンに乗せて、またメリーちゃんの口に持っていった。


うぅ……フォークが刺さらないようにしたんですね……。

優しいなぁ……。

私もしてほしいなぁ……!


「あ〜ん」

「あ〜…む。もっきゅもっきゅ…」

「美味し?」

「……ん(こくり)」

「そう、良かったね(ぽむぽむ)」

「……んふ♪」


あーっ!

頭ぽんぽんしてるぅ!?

いいなぁーー!!


(ずるーいっ!)

(えっ!?)

(メリーちゃんばっかりずるいっ!)

(んーまぁ…ほら…昼間いない分だと思って……)

(そうだけどそれでもずるい!)

(えぇ……)

(ずるいずるいずるいずるいぃーっ!!)

(マグ…ほら、マグは今夜も俺と会えるし……)

(やだぁーー!私も「あーん」ってしてほしいぃーー!!)

(う〜ん……夢の中じゃなぁ……)

(やーーーー!!!)


ずるいずるい!

私も現実でコウスケさんに甘えたい!

なでなでしてほしい!あーんしてほしい!手を繋いで一緒にお買い物したい!


「ごめんちょっとお手洗い行くね」

「……んー…(ぐりぐり)」

「にゃはは…ごめんね……。可及的速やかに解決しないといけないもんだからさ」

「………む〜……(こくり)」

「ありがと、メリーちゃん(ぽむぽむ)」

「……♪」


(あーーっ!またぁ!)


頭ぽんぽんいいなぁ!

私もしてくれたこと無いのにぃ!!

ずるいずるいずるいずるいぃー!!


私が駄々をこねてる間に、コウスケさんは素早く2階に上がり自分の部屋に滑り込むと、少し息を切らしながら私に話しかけてきた。


「はぁ…はぁ……!」

(はぁ…お待たせマグ……!)


彼が話しかけてくれたときにはもう私も疲れてしまった。


…だから……頭が回ってなかったんだ……。


(コウスケさん……)

(うん…なぁに……?)


あんなに急いでくれて、息を切らしてるのに優しく話しかけてくれて……それが嬉しい。


だからこそ…やっぱり思う……。


(……なんで私たちには体が1つしか無いんですか……?)

「!?」


こんなこと言っても困らせるだけなのに……コウスケさんがいつも私の体を使ってるのを気にしてるのを知ってるのに……。


どうしても……我慢できなかった……。

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