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103.フルールさんとお風呂…マーガレットのお悩み

〔マグ〕


「ほ〜れ、上がったぞ〜」

「あら、それじゃあ行きましょうメリー、マーガレット」

「はい」

「……(こくり)」


しばらく女性同士の会話を楽しんだところで、メイカさんがユーリさんを案内すると言って部屋から出ていったその少し後に、ディッグさんたちがお風呂から出てきた。


着替えはすでに持ってきたので、フルールさんたちとお風呂場へ直行です。


(じゃっマグ、よろしく)

(はい、行ってきます)


その途中でコウスケさんと入れ代わり、昨日と同じように私がお風呂に入ることに。


…コウスケさんもお風呂好きなのに、申し訳ないなぁ……。


ともかく、脱衣所に着いた私たち。

私は昨日と同じギルドの制服だったので、特に困惑することなく服を脱ぐことが出来た。

メリーちゃんはフルールさんに脱がせてもらっていた。


…やっぱりお姉さんって感じじゃ無いなぁ。


そんなメリーちゃんと目が合う。


「……マーガレット?」

「ん?なぁに?」

「……コースケは?」

「昨日と同じように、フルールさんの裸を見ないように交代したの」

「……(ぷく〜)」

「む……なんでほっぺた膨らませるの?」

「……コースケの洗い方、ふわふわで気持ちよかったから、洗ってほしかった」

「へぇ…」


確かにコウスケさん、私の体を洗うときも、優しくゆっくり丁寧に洗ってたなぁ……。

昨日のメイカさんの洗い方はちょっと豪快な部分もあって、あれはあれで気持ち良かったけど、少し泡が残ってるところとかあったんだよね。


「フルールさんの洗い方は違うの?」

「……ママもやさしい。でもコースケはもっとやさしい」

「そうなんだ……」


…私もコウスケさんと……い、いや…やっぱりお風呂は恥ずかしいけど……!

でも…コウスケさんと一緒に街を歩いたり、同じ物を食べたりしたいな……。


(向こう)だけじゃなくて、現実(こっち)でもコウスケさんに触れたいな……。


「ほら、マーガレット。ぼーっとしてると風邪ひくわよ?」

「あっ…ごめんなさ…い……!?」


ぼんやり考え事をしていた私にフルールさんが声をかけたので、彼女の方を向きながら返事をしたのだが……。


「……?どうしたの?」

「……(じー)」

「マーガレット?」

「……フルールさんって、本当に綺麗ですよね……」

「ど、どうしたの急に……?」


私の視界に入っているフルールさんの姿は、先ほどメリーちゃんのお世話をしていたときとは違い服を着ていなかった。


お風呂に入るのだから裸なのは当然なのだが……その姿が…すごく綺麗なのだ……。


いつもは肌の露出が少ない服を着ているフルールさん。それでも透き通るような白い肌、端正な顔立ちなど、いつも見えている部分だけでも十分美人だと言い切れるほどの美貌を持っている。


初めて見たときは布切れのようなワンピースっぽい服1枚というほぼ裸の姿だったので、実質裸を見たようなものだと思っていたのだが……うん、違う。やっぱり違う。


そもそもあのときはフルールさんもメリーちゃんもぼろぼろだったのに対し、今の2人は毎日のお風呂としっかりした食事、そして良質な睡眠を取れている。


それでも、まだ数日しか経っていないので、まだまだ体は細い。脇腹などがまだ少し骨が浮かんでいるように見えるほどに。


なのに…だというのに……!


「フルールさん……」

「な、なに……?」

「どうしてそんなにお胸が大きいんですか……?」

「えぇっと……?」

「どうしたらそのぐらい大きくなりますか……?」

「マ、マーガレット……?」

「どうしたらそんなに綺麗になれるんですか……?」

「ちょ、ちょっと…本当にどうしたの……?」

「……(ふにふに)」

「無言で私の胸を触り出さないで?」

「うぅぅ……ふにふにしてるぅ……!」

「なんで泣きそうな声を出すの!?」


うぅぅぅぅ〜……!だってぇ……!


「……よしよし」

「うぅ〜…メリーちゃ〜ん……!」

「……いい子いい子」

「…えぇ……?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「で、どういうことなの?」


あの後メリーちゃんに慰められながら、風邪を引かないようとりあえずお風呂場に入った私たちは、メリーちゃんと2人、フルールさんに洗ってもらい、湯船に浸かって落ち着いたところでフルールさんがそう聞いてきた。


「ごめんなさいフルールさん……。最近女の人のおむ…体を見ると、自分の体と比較しちゃって……」

「…ということはやっぱり今はマーガレット本人ってことよね?」

「はい……」


そういえば言ってなかったっけ……。


「…あなたたち2人…変なところで引っかかるのね……」

「えっ?私とコウスケさんがですか?」

「えぇ」

「…似てますか?」

「えぇ」

「……」


コウスケさんと似てる……


「…そっかぁ……♪」

「……ニヤニヤしてるところ悪いけど、褒めたわけじゃないわよ……?」

「えっ」


褒めてないんですか!?


「まぁいいわ……。昨日メイカから聞いてたし」

「メイカさんから?」


何を聞いたんだろう?


「マーガレットが私の体と自分の体を比較して悩んでるのが凄く嬉しいって」

「えぇ……?」


どういうこと……?

まさか、悩んでる私の姿が可愛いってことじゃないよね……?

それだとさすがに失礼ですよ……?


「多分、あなたが普通の女の子のような悩みを抱えたことが嬉しかったんじゃない?」

「あっ…そういうことですか……」


なんだ…言葉通りだったんだ……。

メイカさんのことだから、てっきりいつものやつかと思っちゃった……。


ごめんなさいメイカさん……。


「…それにしても……メイカの言うことは本当だったのね……」

「?」

「マーガレットが大きい胸が好きってこと」

「なっ!?」


メイカさんなんてことをっ!?


「そんなこと無いですよっ!」

「そうなの?」

「……昨日メイカのおっぱい、ずっと見てた」

「メリーちゃんっ!?」


そそそそんなこと無いよ……!

ずっとじゃないし、ずっとじゃないしっ!

チラチラ見てただけだしっ!!


「ふ〜ん……」


メリーちゃんの告発を聞いたフルールさんは、少し考えると何かを思いついたようで、ややいじわるそうな顔を浮かべこちらを見やる。


な、何をするつもりだろう……?


身構える私に、フルールさんはこんな質問を投げかける。


「あのユーリって子、あの子も相当だったわよね」

「そ、そうですね……」

「あの子とメイカだったら、どっちの方が良かった?」

「それは…う〜ん……」


ユーリさんとメイカさん……。

どちらの方が良いかと言われたら……


「お2人ともふにふにですが…メイカさんはたぽたぽしてて少し張りがあって、ユーリさんはふかふかで押したらそれだけ沈んでいくような包み込む柔らかさを持っているので、比較しづらいですね……」

「ふ〜ん…やっぱりあの子の胸も触ったことあるのね」

「えっ?………あっ!?」


嵌められたっ!?


「しかもそんなに細かく感想まで付けられるなんて、たっぷりと甘えて来たのね」

「えっあっいやっ…えっと……!」


フルールさんがニヨニヨと笑いながら私に近づいてくる。

取り乱して隙だらけな私は、そんなフルールさんにあっさりと捕まってしまった。


フルールさんは私を、いつも夢の中でコウスケさんがしてくれるように、自分の足の間に入れて、後ろから抱きしめてくる。


そして前には何故かメリーちゃんが同じように私の足の間にいるので、よりフルールさんの体と密着してしまう。


そうすると私の背中にはフルールさんのふにふにが当たるわけで…


「ねぇ…」

「ひゃいっ!」


ふにふにに気を取られていた私の耳に、フルールさんが静かに囁いてきた。


み、耳にフルールさんの吐息が当たるのがすごくくすぐったくて、なんだか頭がほわほわしてきたような……。


「知ってる?胸を大きくマッサージがあるのよ?」

「ふぇ…?ほ、本当ですか……?」

「えぇ」


そんな夢のようなマッサージがあるなんて……!


「そ、それってどんなマッサージなんですか……?」

「そうね……確か、胸の周りをこんなふうに揉んだり……」

「ひゃっ!?」

「他のところから胸に向けて流すようにしてみたり……」

「んっ…!ふあぁ……!」


フルールさんの手が程よい力で私の体を揉んでくれて、すごく気持ちいい……!

はぁ…はぁ……でも…声が出ちゃう……我慢しないと……


「んー……お仕事頑張ってるのね……体のあちこちが固まってるわ」

「ふぅ…ふぅ……それは…はい……コウスケさんは毎日ずーっと動いてますから……」


お仕事以外でも、ギルドにある本や資料を読んで自主的にお勉強をしたり、受付が混みあってるときは、列整理をしたり冒険者の方々とお話をして気を紛らわさせたり、それでいてララさんたち他のギルドスタッフの人たちともおしゃべりをしたりして親交を深めている。


しかも、たまに親交を深めながら、その流れで自然にお仕事を手伝ったりもしてるし、なんなら自分で出来そうな仕事があると、自主的に片付けてしまう。そのとき、周りの人にひと言伝えるのも忘れない。


同じ視界を共有しているからよく分かる。

コウスケさんはずーっと誰かを気にして、そのおかげで周りの小さなことにも気づくし、そのあと面倒事にならないように手を打っている。


あれは多分……相当疲れる事だと思う……。


その証拠に今の私の体は、フルールさんに指摘されてから気づいたが、バッキバキだ。

しかも今日は訓練もしたし武器の試し振りもしたので昨日よりも体が重い気がする……。


「う〜ん……本当はこの後、本命の胸を大きくするマッサージ…「豊胸マッサージ」をしようかと思ってたんだけど……こんなに疲れているなら、今日は普通のマッサージの方が良いかしら?」

「ふぇっ!?」


そ、そんな……!?

あぅ…でもいつも頑張ってくれてるコウスケさんのためには、普通のマッサージをしてもらって疲れを取った方が良いよね……。


で、でも……


「うぅぅぅ……」

「…そんなに悩まなくても……」

「だ、だってぇ……」

「…ねぇ…なんでそんなに胸を大きくしたいの?」


なんでって……それは……


「…お胸が大きければ…大人の女の人らしくなれるから……」

「…コウスケが大人の女性の方が良いって言ったの?」

「いえ…コウスケさんはちゃんと私を女の子として扱ってくれます……でも…その……」

「?」

「…いつもメイカさんやユーリさんがお胸で甘やかすから…私もそうなれたらなぁって……」

「……なるほどね……」


私の答えに納得したような様子のフルールさんは、何故か私を抱きしめる力を強くした。


「えと…フルールさん……?」

「…メイカがあなたを気に入ってる理由が分かったわ」

「え?」

「あなた自身も頑張り屋さんってこと」


頑張り屋さん…はいいとして、あなた自身もって……


「……ん、わたしもがんばる」

「ふふ…えぇ、頑張って頂戴」

「……(ふんす)」


メリーちゃんが決意表明をし、意気込むように両手を小さくグッとしている。


かわいい…けど、何をがんばるの?


「それじゃあ…後で普通のマッサージをしてあげるわ。後で部屋に行くから、コウスケに伝えてね」

「あ、はい。わかりました」


やった!これでコウスケさんの疲れも取れるかも♪

…でも「ほうきょうマッサージ」っていうのは無しなんだ……。


ふにっ


「ひゃっ!?フルールさん!?」


フルールさんが突然私の胸をふにふにし始めて驚く。


きゅ、急に何を……?


「…豊胸マッサージ(こっち)は男の子には内緒」

「!」

「ほら…力を抜いて……?」

「…は、はい……!んっ…!」


フルールさんの言葉に従って、力を抜いて彼女の体に自分の体を預けると、フルールさんは早速マッサージを始めてくれた。


「……(ふにふに)…コースケは多分気にしない」


メリーちゃんが自分の胸を揉んで、何かを呟いたけど…


「んっ…ふぅっ…!はぁ…はぁ……何か言った……?」

「……(ふるふる)」


私が聞くとメリーちゃんは首を振った。


気のせいだったかな……?


「ほらほら、こっちに集中」

「あっはい…ふあっ!?ふっ…!んぅ……!」


そのあとしばらく、フルールさんにマッサージをしてもらった。


んふふ…これで私もぽいんぽいんに……!

えへへ〜♪待っててくださいねコウスケさぁん♫私が目一杯甘やかしてあげますからねぇ♡


「……コースケも大変…」

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