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クラス会議

誤字報告いつもありがとうございます。

訂正を加えまして、由紀の指の怪我を両手から右手に変えさせていただきました。

すみません。

 火曜の放課後。

 昨日、クラスのリーダーを買って出てくれている、志々田からの提案があり、今日はクラスで音楽祭に向けての話し合いが行われる事になっている。


 クラスで何をするのか、曲はどうするのか、伴奏、指揮者は?といった所だ。


「今日は集まってくれてありがとう。なるべく早く終わらせよう」


 教壇に立った志々田は、まず皆にそう言った。

 流石リーダーだ。


 クラスもなんと全員が集まっている。

 不満そうにしつつ集まってくれるとは、皆なんだかんだいい奴なのだろう。


「それじゃあまず、どんな事をするかだけど、無難に合唱でいいよね?」


 反対する者はいなかった。

 対案を出すのも面倒だからだろう。


「じゃあ合唱でいこう」


 志々田は黒板に出し物、合唱と書いた。


「次に曲だね……。何がいいかな?先生によると、クラスで自由に決めていいらしいんだけど、内容を提出して、被っちゃったらじゃんけんなんだって」


 すると、一人が手を挙げた。


「何かな?和久井(わくい)さん」


 それは確か自己紹介の時、俺と同じでピアノを習っていると言っていた女子だった。


「曲はとりあえずCOSMOSとかでいいんじゃない?それより、伴奏と指揮者、早く決めようよ」


 COSMOSか……。被り率高そうだな。

 合唱曲として異存はないが。


「そ、そうかな?皆もそれでいい?」


 また反対する者はいなかった。

 だが、早くも主導権が志々田から奪われそうになっている。


「じゃあいまから伴奏者と指揮者を決めよう。まず、伴奏をしたい人は挙手してくれるかな?」


 すると、やはり和久井が手を挙げた。

 俺も一応は手を挙げたのだが、和久井が俺に睨みを利かせてきたのでそっと下ろした。


「晒くん、いいのかい?」


 志々田が聞いてくる。


「いいよ。そこまでやりたい訳じゃないし」


 もし伴奏者がいなかったら、という保険のために手を挙げていただけなので、取り敢えずここは引くことにする。


「じゃあ、他に手を挙げた人もいないし、伴奏は和久井さんに頼もうかな」

「うん!任せてよ〜!」


 狙い通り伴奏になれたのがそこまで嬉しかったのか、和久井は笑顔でサムズアップをした。


「じゃあ次は指揮者だけど……」

「あぁ、それにも私から提案あるんだけど」

「何かな?」


 またしても和久井が手を挙げて言った。

 やけに積極的だな、と思っていると、


「指揮者は晒くんでいいんじゃないかな?」

「は?」


 なんとも意味不明な事を言い出した。


 俺が指揮者?指揮者なんかした事ないぞ?ていうか、指揮者って一番責任重大……。


「なんてゆーか、指揮者って音楽できる人の方がいいし、晒くんそーゆーの詳しそうだし?」

「あの、別に何も詳しくはないんだけど……」

「え、ごめーん。もしかして無理?」


 カチンときた。何かが俺の中でカチンときた。

 自分で出来ないって思うのはいいが、誰かから出来ないんだって言われると、少し腹が立つ。


「…………」

「えと、晒くん、どうかな?和久井さんはそう言ってるけど……」


 俺が押し黙っている、というか内心でムカついていると、志々田が心配げに聞いてくる。

 もちろん答えはノー……


「いいよ。俺がやる」

「そっか。ありがとう!」


 馬鹿だ。俺はつくづく馬鹿だ。

 もしかしたら意外と感情に流されやすいのかもしれない。


「そうだね、となると次はパート分けだけど、今日はもう無理かな?明日の放課後、何か予定ある人いる?」


 皆に志々田がそう尋ねると、和久井とその他数人が手を挙げた。


「うーん。和久井さんにはいて貰いたいんだけど……」

「えーまじ?私そんなに大事?」

「うん。出来ればそういう音楽が分かる人にいてもらった方が……」

「それなら晒がいるじゃん」


 また俺!?

 和久井は俺に何か恨みでもあるのだろうか。


「うーん。そうだね。それでいいかな?晒くん」


 仕方なく、オーケーする。


 もしかして、和久井はあまり話し合いや集まりに出たくないのかもしれない。

 そのために勝手に練習できるピアノを選んだのだろうか。


「それじゃあ明日予定がある人だけ今日は残ってもらって、皆んなは明日に、どのパートがいいかの希望を聞くから。取り敢えず今日はここで解散しよう。晒くんもちょっと残っててくれるかな?」

「ああ」



 皆が帰った後、予定ある組には少し居残りしてもらい、どのパートがいいかを聞いた。

 が、どんなのがあるのか分かってない奴が多く、取り敢えず軽く説明してやる。

 その後、希望がない生徒には、それぞれの声質や声量、音域も加味して暫定的なパート分けを行なった。


 COSMOSは中学でも習う事が多いと思っていたのだが……。

 明日も同じ事をしなければならないのかもしれない。


 〜〜〜〜〜〜〜


 そんな予想は案の定的中し、翌日希望するパートを言ってくれたのが十人ちょいで、残りはよく分からないとか、どこでもいいとかだった。


「……なぁ、志々田。これ、昨日と同じ事またやんなきゃいけないか?」

「……ごめんね。手間はかかっちゃうけど、僕も出来る限り手伝うよ」

「まじか……」


 どうやら昨日の繰り返しらしい。

 しかも人数が昨日より圧倒的に多い。


「それじゃあ、出席番号が若い人から僕達で割り振っていくから、一人ずつ来てくれるかな?」


 志々田がそう言うと、まずは一席の麻美が来た。


「じゃあ、まずは普通に声出してくれる?」


 俺がそう言うと、あからさまに麻美は嫌な顔をして俺を見た。


「え……何?今から何するの?」

「ちょっとしたテストみたいなのだよ。それで一番いいパートに振り分ける」

「何それ面倒くさ。てかすんごい恥ずかしいんだけど」

「はい、ありがとう。じゃあ次は自分の出せる一番高い音と低い音出してみて」

「嘘……。今の会話で判断されたの……?」


 何をつべこべ言ってるのか分からないが、早くしてくれないだろうか……。


 というか、これはおかしい。昨日は皆すんなり言う事を聞いてくれたはずだが。


 ……そうか、人が周りにあまりいなかったからあまり恥ずかしがる必要がなかったのか。


 となると、これは少しやりづらい。


「皆んなもするから、早く終わらせようよ」


 そこで志々田が助け舟を出してくれる。


「う……そうだね。分かったよ。やればいいんでしょ?」


 麻美が声を出すと、クラスの視線が、麻美に集まった。


「あれって何やってんだよ」

「私達もやらされるのかな?恥ずかしい……」


 やはりそうなるか。

 だが、これはパートを選べなかった者の宿命なのだ。


 俺は麻美の結果をスラスラ書き留めていく。


「やっぱめっちゃ恥ずかしいんだけど……」

「お疲れ。もう席に戻っていいよ」


 俺が淡々とそう言うと、麻美は少しムッとしたが、席に戻って談笑を始めた。


「じゃあ次の人〜」


 と、また志々田が声を掛ける。




 この流れを繰り返す事約四十分。

 ようやく全員分のパートを分け終えた俺は、それを志々田に渡した。


「晒くんもお疲れ。ごめんね?こんな事させちゃって」

「ほんとだよ。まぁ、引き受けたのは俺だけど」

「は、ははっ……」


 なぜか乾いた笑いが返ってきたが、別に気にしないでおこう。


 志々田が皆の方を振り向く。


「今からパート分けの結果を言うね。まずはソプラノから……」


 順にパートを発表していき、最後まで言い終えると、今日もまた解散となった。


 いきなり明日から練習に入ると言うが、参加は任意だそうだ。

 俺は指揮者なので強制だが。


 伴奏はまだ出来上がっていないだろうから、和久井は明日はまだ来ないだろう。



 ならば、ピアノがいない間に歌の方を完璧に仕上げてやろう。と、俺は密かに決心した。


 そしてこれが、俺のスパルタ指導の始まりとなったのだった。

律、スパルタ化ボタンは下のお星様になります。


少しでも面白い、続きが気になるという方はブクマ、評価の程よろしくお願いします。


こんなに伸びるとは思わず、処女作ということもあり、力不足で違和感も残りますでしょうが、とりあえずはエタらないことを目標に、自分なりに面白い話が書けるようにこれからも頑張ります。


感想もお待ちしております。

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