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晒なここという生き物

度々申し訳ありません!


またご指摘をいただきましたので、第五話の由紀の怪我のシーンの変更と、矢嶋の停学期間を一ヶ月に伸ばしました。


また話を戻って見ていただけたら詳しく分かるかと思います。

本当にすみません。

プラス、沢山のブクマや評価、本当にありがとうございます!

「ところで有名人。何で君がここに?」

「だからそれやめろよ人気者めが」

「いやそっちもそれやめてくれる?」

「で、お前こそどうしてここに?」

「話逸らさないでよ」

「始めに何か有名人とか言い出したのお前だけど」

「あれ、なんかいつのまにか記憶改変されてね?」


 ばったりショッピングモールで出会った俺たちは、取り敢えず現状把握に努めているのだが、なんだろう、兄妹ってやっぱり似た者同士らしい。

 会話が進まない。


「なこ〜?どうした?」


 なここの後ろから人が近づいて来る。


 この状況を打開してくれる救世主となるのか否か……!期待が高まりますね!律氏!


「あぁ。有名人が」

「は?どゆこと?」


 ダメだ。主に妹の方が。


「で、お兄ちゃん。なんでここにいるの?」

「さっきから同じ事しか言ってないよな」

「ああ、なこのお兄……さ、ん……」


 何故か、なここの友達の反応が電波の接続状況の悪い時並みに減速する。


「え、お兄さん?」


 どうして語尾が疑問形なのか。

 多分、「え、本当に血繋がってる?」という事だろう。

 結構俺の中ではあるあるの反応だ。


 そこでようやく俺の方の後ろから救世主が現れる。


「律。どうしたの?」


 さっきまで服を手に取ってはやめ、手に取ってはやめを繰り返して吟味していた由紀が俺の不在に気付いて来てくれた。

 後ろから咲達も付いて来る。


「え……ごめんお兄ちゃん。流石に子供とか早すぎ……」

「本当にお前頭大丈夫か?俺はいつから父になった?」

「あれ?律って妹さんいたの?」


 由紀は相変わらず飲み込みが早くて助かる。


「そうだよ。こちら、妹のなここ。中三。で、こっちが弥生由紀さん。有名なピアニストだけど、知ってるだろ?」

「あぁ、道理で見た事あると」

「あ、私なこの友達の達下 彩(たつした さやか)です。ところでお兄さん!ちょっとよ〜く顔見せて欲しいので眼鏡拝借しますね〜」


 すると、にゅっと眼鏡と前髪に手が伸びて来る。

 俺はそれを後ずさりつつすっとかわす。

 そしてまた彩の手が俺の眼鏡に迫って来るので、それもすっとかわす。


「……あの、それは肯定と見ていいんですよね?」

「何のことかさっぱり分からん」


 俺は首をふいっと横に向ける。

 何か意味深な言い方だが、あれだ、多分もうバレた。


「……後でなこに聞きますね。私のイケメンセンサー、舐めないでくださいね」


 最後の方は耳元で囁かれた。怖い。


「なここ。何を聞かれてもなんとかはぐらかせよ」

「は?そんなのお兄ちゃんが慎重過ぎなだけでしょ。私、来るもの拒まずだから」

「えぇー……」


 この時、俺は今までこいつのプライバシーを守り続けていたのは何だったのかと思わずにはいられなかった。

 別に、これからも守り続ける事には変わりないが。


「で、お兄ちゃんはそちらの弥生さんとお出かけ?後ろの子たちは兄弟か何か?」

「そうだよ」

「あ、そうそう。お兄ちゃんが全然帰ってこないからおばさん達心配してたよ?」

「あぁ〜……ごめん。また連絡して行くからって伝えといて」

「ラジャー」


 ひとまず久しぶりのなこことの会話がひと段落し、由紀の方を振り向く。


「由紀、服決まったか?」

「いや…どれも私には高くて……」

「取り敢えずこれがいいってのは?」

「……私にはよく分からないわ」

「じゃあ、私が選んであげましょうか?」


 と、なここが手を挙げた。

 なここは確かにお洒落さんで、流行にも敏感だ。


「じゃあ、なここにお願いするよ」

「ラジャーッ!ほら、行きましょう由紀さん!」

「え?あ、ちょっと待って……!」


 なここが由紀の手を引っ張って向こうへ消えて行くと、俺と彩、咲達が取り残されてしまった。

 というかもう由紀さんとか言っちゃってるし。コミュ力お化けだ。


「俺たちはどうする?」

「そうですね〜その辺でぶらぶらして待ちましょうか」

「咲達は、他にどっか行きたいところとかあるか?」

「え、俺たちはもういいよ」

「そうか?うーん……」

「じゃあ何処かでお茶でもします?」

「そうだな。じゃあ行こう」


 そうして俺たちはムーンバックスに向かった。


 〜〜〜〜〜〜〜


「さあ、由紀さん!じゃんじゃんいきますよ〜!」

「え?じゃんじゃんいくって?」

「試着室でマネキンになってもらいます」

「へ?」


 私は今、律の妹さんのなここさんに連れられてとある服屋に来ていた。


 服なんて買うのはいつぶりだろうか……と懐かしさに浸っていたのもつかの間、いつのまにかなここさんに強制連行され、何やらマネキン?にされようとしている。


「スタイルもお顔もいいのに、お洒落できないなんてもったいないですよ!」

「えぇ、そう言われても……」

「お金なら気にしないで下さい」

「え?」

「多分、始めからうちの兄貴はそのつもりでしょうし」

「そのつもり?」

「いえ、何でもありませんよ。お気になさらず!という事でまずこれとこれと、これなんてどうでしょう!」


 と言って、なここは三着程掛かっていた服を取ってきた。


 どうしよう、頭が追いつかない。

 頭の中がぐるぐるしていると、やっぱりなここさんに強制的に連れられてしまった。




「うんうん、いい感じ!これにしましょう!じゃあお兄ちゃんに連絡しますね〜」

「え、あぁ、分かったわ」


 文字通り、たっぷり一時間もの間マネキンにされていたので、もう疲弊しまくっていた。

 なんで律を呼ぶのかすら考えずに少し待っていると、律がやって来た。


 〜〜〜〜〜〜〜


 ムーンバックスでなここ達を待っている間、俺は彩の質問攻めにあっていた。


「で、お兄さんはどうして素性を明かしてないんですか?」


 いきなり俺を芸名で呼ぼうとしてきた彩を慌てて牽制すると、まずそんな質問が飛んで来た。


「由紀と咲……というか弥生一家が全員ファンなんだってさ」

「いやいや、なら尚更言ってあげれば皆んな喜ぶんじゃないですか?」

「そうだけど……由紀は今はピアノに集中してるし、あんまり気を遣わせたくないというか……。やっぱこれって慎重過ぎ?」

「そうですね」

「そうかー……」


 最近少しずつ思っていた事ではあったのだが、人に言われてしまうとやはり実感してしまう。

 ちなみに今、咲達は歩き疲れたのか仲良く眠っている。


「最低でも、由紀には言った方がいい?」

「まあ、大混乱するでしょうけど」

「だよねー」


 どうするかなーと考えていると俺のスマホが鳴った。なここからだ。


『お兄ちゃん〜ちょっと来て〜』だそうだ。


 俺は彩に子守を任せて、なここ達がいる店に向かった。




「どうどう?お兄ちゃん!私の自信作!」

「おお。似合ってるぞ」

「そ、そう?ありがとう」


 流石なここが選んだだけあって、とても由紀に似合っている。

 それを着こなす由紀もなかなかだが……。


「それで、どうして律がここに?」

「あぁ、それ買ってやろうと思ってな」

「え…?いいわよそんな事!」


 やはりあっさり断られてしまった。

 ならば、と俺の切り札を出す。


「あのな、これはお前のためじゃなくて俺のためにするんだ」

「え?」

「俺はお前に無理をして欲しくはない。けど、その服は俺がお前に買ってあげたいんだ。何もお前が金無くて買えないから、ということじゃない」

「そ、そう…なの?」

「あぁ。だからぴゃっと買って咲達のところに戻るぞ」

「……分かったわ。ありがとう」


 由紀を言いくるめる事に成功した俺は、早速由紀が着ていた服の会計を済まし、咲達の元へ戻る。



 ムーンバックスに着くと、まだ咲達は寝ており、少し時間をまた潰す事にした。


 四人で雑談していると、その三十分後には二人とも起き出した。


 時間はもう四時を回ったところだったので、今日はこれでお開きにする事にする。


「咲、花。楽しかったか?」

「うん!」

「また一緒にこれる……?」

「そうだな。また一緒に行こう」


 そこで由紀達とは別れて、俺たちは駅に向かった。

 寮と、なここ達の家の方向は真逆なので、駅までしかなここと一緒にはいられなかったのがちょっと残念だが。



 なここ達とも別れると、俺は一人寮方面の電車に乗った。




 寮に帰って来たが、カイはまだ帰っておらず、部屋では信と翔がトランプをしていた。

 携帯ゲームじゃなくてカードゲーム、ボードゲームの方が彼等には合うようだ。


 夕食の時間になったぐらいで、ようやくカイから連絡が入り、夕食は向こうで食べてからこっちに帰って来るとの事だった。


 俺達は三人で食堂に向かうと、信が

「今日どこに行ってたの?」

 と言ってきたので、俺はとりあえず

「ショッピング」

 とだけ返した。


 ショッピングとか言っときながら、俺は何も買ってないのだが……。なここにも会えたし、咲達も喜んでくれたし、俺は満足だから良しとしよう。

君も今日から有名人っ☆ボタンは下のお星様になります


少しでも面白い、続きがきになる、と思ってくださったら、ブクマと評価の程、よろしくお願いします。


また、感想もお待ちしております。

設定がゆるゆるで、おかしな点もあるかと思いますが、ご指摘いただいた都度、少しずつ変にならないよう、内容を調整して参ります。

初めての作品で、読み手の皆さんと作り上げていきたいな、と思っていますので、何卒。

(もちろん面白かった!といった感想もくださると、執筆の励みになります!)

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めてお読みしましたが、面白かったので、一気読みしました!まだまだ続きが読めると思っていたのですが、ここで更新が終わっていたので、もっと読みたかったです(´・ω・`)ショボーン更新お待ちして…
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